少子高齢化社会問題のタブーに触れる「PLAN75」

磯村勇斗!75歳で死も選べる…映画で考えた生の意義

公開日:2022/06/22

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話題作への出演が続く俳優の磯村勇斗さん。2022年、少子高齢化社会を描いた作品「PLAN 75」への出演でも注目を集めています。俳優としての心境やプライベートな話など伺いました。

磯村勇斗!75歳で死も選べる…映画で考えた生の意義

出演作品は、脚本の内容を吟味して決める

出演作品は、脚本の内容を吟味して決める1

――2021年は、映画「劇場版 きのう何食べた?」、若手俳優総出演の「東京リベンジャーズ」などの話題作に出演。ヤンキー少年から心優しい青年まで、さまざまな役柄を演じられていますが、役の振り幅を広げようと出演作を選んでいるのですか?

磯村勇斗さん(以下、磯村勇斗)
役の振り幅を広げようとは特に思っていないんですが、映画でもドラマでもお話をいただいたときのタイミングと、脚本を読んで自分が参加したいと思うかどうかで決めることが多いですね。

出演作品は、脚本の内容を吟味して決める2

――2022年6月公開の映画「PLAN 75」では、国の決めた安楽死制度を推進する真面目な公務員の役を演じています。これも脚本で出演を決められたんでしょうか。

磯村勇斗
はい、脚本を読ませていただいて決めました。早川千絵監督の書く台詞(せりふ)や、75歳になったら自らの生死を選択できるという「プラン75」の設定など、作品の持つ近未来な世界観に興味が湧いたので。

台詞がなくても演じることはできる!?

――磯村さん演じる公務員「岡部ヒロム」は、最初は淡々と仕事をしていますが、叔父との再会で次第に心の変化が現れます。演じていてどう感じられましたか?

磯村勇斗
ヒロムは最初はただの仕事として高齢者の方に「プラン75」の加入を勧めているのですが、内心では思うところがあった……、という役どころです。ある日、自分の親戚である叔父が申請に現れて関わっていくうちに、次第に「プラン75」に対する疑問が心の中に芽生えてきます。徐々に表と裏の気持ちが入れ替わっていくというところを、早川監督ともディスカッションしながら考えて演じました。

――この作品は台詞が少ないので、そういった気持ちの変化を演じるのは難しいと感じませんでしたか?

磯村勇斗
僕自身は極論でいうと「台詞がなくても伝わる」と思っています(笑)。台詞はもちろん大事ですが、内容の説明でしかない場合も多いですよね。

例えば、チャップリンの無声映画を見ていて、台詞がまったく無くてもチャップリンがはめちゃめちゃ面白いし、喜びや笑い、悲しみなどの気持ちが伝わってきます。だから僕は台詞が少ない場合でも、その分自分で考えて演じられるので、その点はいいなと思っています。

今回の作品でも、脚本のト書き(=場面の説明)やそのシーンの情景にのせた監督の感情を受け取って演じています。

75歳以上の高齢者は、元気で楽しそう

75歳以上の高齢者は、元気で楽しそう

――現実の問題として考えたとき、75歳以上の高齢者が生死を選択できる「プラン75」という制度は理解できますか?        

磯村勇斗
理解はできますね。センシティブなテーマなので、いいか悪いかは別としていろいろな意見があっていいと思います。でも生死を決断するのは自分なので、その人が最後にどういう人生を歩みたいかという想いは尊重してあげたいです。

――現在29歳の磯村さんから見て、現実の75歳以上という年齢はどう見えますか?

磯村勇斗
東京で会う高齢者といえば、例えばデパ地下にいる方たちは、お元気そうですよね(笑)。楽しそうで特に生きづらいとは思っていなそうだと感じますね。

俳優は年齢を重ねても動けるし元気な方が多い印象です。とはいえ同じ年齢でも、体力や気力が衰える人もいるでしょうし、人それぞれなのかもしれません。例えば、年齢による定年制度ではなく、元気で働きたい人は、定年関係なく働けるような制度になればいいのにとも思います。

――「PLAN  75」という作品も、若い人の視点からは違った視点で見えるかもしれませんね。

磯村勇斗
「プラン 75」の制度も結局社会が生み出したものですし、今コロナ禍になって苦しんでいる若い人も多いので、この映画が生きることに対して考えるきっかけになったらいいですね。
自分たちの世代でも、税金とか将来の年金のこととか気になります。“少子高齢化”は、社会全体に訴えていきたい問題だと思います。

2022年、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞!

2022年、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞!

――磯村さんは多くの映画に出演されてきましたが、お話からも “映画愛”を強く感じます。普段から、映画はお好きなんですか?

磯村勇斗
はい、休みの日も映画館に出掛けたり、家でインターネット配信の作品を見たり。時間があれば、よく映画は見ていますね。

――2022年は、映画「ヤクザと家族 The Family」、「劇場版 きのう何食べた?」の2作品で、第45回日本アカデミー賞で新人俳優賞も受賞されて、高く評価されていますね。

磯村勇斗
ありがとうございます!やはり映画が大好きですし、映画の場で評価いただけるのはうれしいです。日本の映画界を代表される、役所広司さんや阿部寛さんなど多くの俳優さんと一緒に授賞式に参加させていただけたことは、誇りですしがんばろうと思いました。

――NHKの朝ドラ「ひよっこ」で夫婦役を演じられた、有村架純さんも日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞されましたね。

磯村勇斗
映画「前科者」でも共演をしていますし、有村さんの作品に向き合う姿勢やがんばりを見てきたので、彼女の受賞は同世代として僕自身もうれしかったです。

カンヌ国際映画祭カメラドール特別賞を受賞

――今回、長年夢だったというカンヌ国際映画祭の「ある視点」部門に、映画「PLAN  75」が出品され、カメラドール特別賞(新人監督賞)を受賞、現地ではレッドカーペットを早川千絵監督らと歩きました。

(C)Kazuko WAKAYAMA 

映画の世界で、今後ますます活躍が期待される磯村勇斗さん。インタビューの後半では、多忙な磯村さんの普段の生活ぶりや健康法なども伺います。

磯村勇斗(いそむらはやと)プロフィール

1992年生まれ、静岡県出身。2015年テレビドラマ「仮面ライダーゴースト」(EX)に出演、17年NHK連続テレビ小説「ひよっこ」で話題。22年映画「ヤクザと家族 The Family」、「劇場版 きのう何食べた?」で、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。その他の出演映画に、「東京リベンジャーズ」、「前科者」などがある。現在は、ドラマ「持続可能な恋ですか?」(TBS)に出演中。今後の出演待機作に映画「ビリーバーズ」(7月8日公開)、「さかなのこ」(9月1日公開)がある。

「PLAN  75」

「PLAN  75」

少子高齢化が一層進む近未来の日本で、満75歳以上に生死の選択権を与える制度「プラン75」が国会で可決・施行された。夫と死別し、ひとり静かに暮らす78歳の角谷ミチ(倍賞千恵子)は、ある日突然、高齢を理由に仕事を解雇されてしまい、「プラン75」の申請を検討し始める。一方、市役所の「プラン75」申請窓口で働くヒロム(磯村勇斗)やスタッフらは、次第にこの制度の在り方に疑問を抱くようになっていく……。

2022年6月17日(金)より、新宿ピカデリーほか全国公開
監督・脚本:早川千絵
出演:倍賞千恵子、磯村勇斗、たかお鷹、河合優実、串田和美ほか
配給:ハピネットファントム・スタジオ 
©2022「PLAN 75」製作委員会/Urban Factory/Fusee

文=金田千里、写真=小倉啓芳、編集=鳥居史(ハルメクWEB)

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ハルメクWEB編集部

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