寒い夜に何度も起きたくない!冬に増える夜間頻尿の原因と対策
寒い夜に何度も起きたくない!冬に増える夜間頻尿の原因と対策
公開日:2026年01月30日
夜間頻尿は50代の身近な悩み
女性に多い頻尿の悩み。特に更年期世代では、女性ホルモンの低下により膀胱まわりの働きが弱まり、日中だけでなく「夜中にトイレで目が覚める」ということが増えてきます。
日本人を対象とした疫学調査によると、40歳以上の女性の6割以上が、就寝中に1回以上トイレで起きているのだとか。その割合は年齢を重ねるほど高くなり、50代ではさらに身近な悩みになってきます。
女性医療の専門医・関口由紀さんは、夜間頻尿のQOL(生活の質)への影響についてこう呼びかけます。
「夜中にトイレのために目が覚めると、眠りが途切れるので睡眠の質も低下しやすくなります。そもそも『トイレが近い状態』は、体の中で交感神経(活動モード)が優位になっているサイン。つまり、寝付いていても深く休めていないことがあり、結果として睡眠の質が下がりやすくなります」(関口さん)
睡眠がしっかり取れないと、翌日の集中力が落ちたり、体調を崩しやすくなったりと、日常生活にも影響が出てきます。
実際に夜間頻尿や過活動膀胱などの排尿トラブルは、睡眠の質やQOLの低下と関連していることが多くの研究で示されています。
「特に『夜間に2回以上起きる』場合は日常生活への影響が大きくなる傾向があり、症状を改善するとQOL向上につながる可能性が高まります」(関口さん)
冬は1年の中でも夜間頻尿に悩む人が増える季節です。寒い冬の夜に何度も目が覚めるのはつらいもの。まずは夜間頻尿が増える原因を知り、無理なくできるセルフケアで夜のトイレを遠ざけていきましょう。
冬に夜間頻尿が起きやすい原因
冬に夜間頻尿が増える背景には、体が寒さから身を守ろうとする生理的な反応があります。
「気温が下がると、体は熱を逃がさないように血管をギュッと収縮させます。血管が細くなると血液が体の中心に集まり、一時的に脳が『血液量が増えた』と判断します。すると今度は、余分な水分を排出しようと脳が指令を出し、尿を作る量が増えます」(関口さん)
冬にトイレの回数が増える大きな理由は、まず、このような生理現象にあります。
関口さんによると、そこに次のような要因が重なることで、夜間のトイレの回数がさらに増えやすくなるそうです。
1. 発汗量の減少で尿量が増えやすくなる
汗と尿は、体内の水分量を調整する役割があり、汗をたくさんかくと尿の量が減り、汗をかかないと尿の量が増えます。
冬は汗をかく量が少なくなるため、体内の水分を排出しようとして夜のトイレの回数も増えるという現象が起こります。
2. 寒さによる自律神経の乱れ
体が冷えると交感神経(活動モード)が優位になり、全身の筋肉が緊張します。その結果、膀胱の筋肉も異常収縮するため、尿意を感じやすくなります。
3. 温かい飲み物に含まれるカフェインの影響
冬は温かい飲み物を口にする機会が増えます。コーヒーや緑茶に含まれるカフェインには利尿作用があることが知られていますが、それ単体が原因というより、寒さですでにトイレが近くなっているところにカフェイン入りの飲料を飲むことで頻尿に拍車をかけることがあります。
特に夕方以降にカフェインを多く取ると、夜間頻尿が悪化しやすくなります。
今日からできる冬の夜間頻尿対策
つらい冬の夜間頻尿ですが、関口さんは「生活習慣や食事の工夫で改善する可能性は十分にある」と話します。
そこで関口さんに、寒い時期に取り入れたい夜間頻尿対策を教えてもらいました。
対策1:就寝前の水分摂取バランスを見直す
水分補給は日中にこまめに行い、就寝2時間前からは『量を減らす』よう意識しましょう。ただし心臓や腎臓に持病のある人は、水分制限が体調に影響する場合があるので、かかりつけの医師に相談しましょう。
対策2:カフェインやアルコールを控える
カフェインやアルコール入りの飲料など、利尿作用の強い飲み物は控えめにし、代わりにハーブティなどカフェインレスのお茶を選ぶように心掛けましょう。
また、バナナやきゅうりなどカリウムを多く含む食品も体の水分を排出させる作用があります。頻尿が気になるときはこれらの食品の取り過ぎにも注意しましょう。
対策3:むくみ対策を夕方のうちにしておく
足がむくんだ状態で横になると、溜まっていた水分が体に分散され、尿量が増えてしまうことがあります。
「冬は体が冷えて、末梢の循環が悪くなりむくみやすい季節です。夕方に軽いストレッチをしたり、入浴後に足をやさしくマッサージしてむくみを整えておくと、夜間の尿量を減らす助けになります」(関口さん)
対策4:体が冷えない睡眠環境に
体が冷えると交感神経が優位になり、尿意を感じやすくなります。
就寝時は湯たんぽや電気毛布などで布団を温め、体を冷やさないように気を付けましょう。
足元の冷えが気になる場合は、寝る直前まで締め付けのない靴下を履き、眠るときには脱ぐようにすると睡眠の質を保ちやすくなります。
「お腹を温めると膀胱の異常収縮が減り、尿をしっかりと溜めやすくなりますから、腹巻を付けて寝るのもいいですよ」(関口さん)
対策5:体を温める食材を積極的に取り入れる
体を温める食材は、冬の夜間頻尿対策にはもちろんのこと、更年期の頻尿対策にも有効です。
- 体を温める食材の例……しょうが、にんにく、ネギ、根菜類、味噌、シナモンなど。
しょうが、にんにく、ネギなどは冬においしい鍋料理の薬味にもぴったり。味噌汁にたっぷりの根菜を入れる、一息つきたいときはシナモンティを飲むなど、少しの工夫で体が内側から温まりますよ。
対策6:抗菌・抗酸化作用のある食べ物を取る
抗菌作用や抗酸化作用のある食べ物は、膀胱の健康維持に役立ちます。
「例えば、クランベリーは抗菌作用のある成分を含んでいるため膀胱内の細菌を増えにくくする働きが期待でき、尿トラブルにいいと言われています。一方で、間質性膀胱炎などの特殊な膀胱炎の場合は、ベリー類の摂取で症状が悪化する場合もあります。まずは医師に相談してみてください」(関口さん)
他に、抗菌・抗酸化作用に優れるミツバチ産品のプロポリスも、頻尿の悩みをサポートするとして注目されています。
プロポリスを飲むことで、昼間および夜間の頻尿回数が減少し、就寝後に排尿のために起きるまでの時間が長くなったという報告もあります。頻尿対策にはもちろんのこと、日々の健康維持にも役立ちそうですね。
夜中のトイレに潜むヒートショックのリスク
なお、冷え込む夜中にトイレで起きたときは、血圧の乱降下に注意しましょう。
冬の深夜や早朝は、廊下やトイレ空間がぐっと冷えているため、その温度差で血圧が変動して立ちくらみや失神、さらには重大なヒートショックにつながる危険性もあります。
「ヒートショックは浴室で起こるイメージが強いですが、実はトイレも要注意。暖かい部屋やベッドから、急に冷えたトイレへ移動すると、体は寒さに対応するために血管を収縮させ、血圧が急上昇します。その状態で排尿や排便を行うと、副交感神経が働き今度は血圧が急激に低下し、ヒートショックを起こす原因になります」(関口さん)
深夜や早朝のトイレは、暖かい靴下や羽織りものを着てゆっくり動く、トイレでは暖房便座や小型ヒーターを利用するなどして事故の予防に努めましょう。
冬に増える夜間頻尿は、適切な対策をすることで改善が見込めます。生活習慣や食事、睡眠環境を見直して、つらい夜間頻尿を遠ざけていきましょう。
■取材協力:山田養蜂場 健康科学研究所
■監修者プロフィール:関口由紀(せきぐち・ゆき)さん

山形大学医学部卒業、横浜市立大学大学院医学部泌尿器病態学終了。医学博士。横浜市立大学医学部泌尿器病態学講座客員教授。株式会社フェムゾーンラボ代表。女性医療クリニックLUNAグループ理事長。2019年より横浜の元町中華街駅前で生殖年齢向けの女性医療クリニックLUNA横浜元町と更年期以降向けの女性医療クリニックLUNAネクストステージを主宰。




