映画「エターナルズ」の吹替でも活躍!

戸田恵子!アンパンマンから吹替まで声で表現する誇り

公開日:2021.11.26

マーベル・スタジオの超大作「エターナルズ」声で熱演

マーベル・スタジオの話題の最新作「エターナルズ」は、大ヒット映画「アベンジャーズ/エンドゲーム」のその後を描いた世界です。一度は滅びた巨悪のディヴィアンツが復活し、地球の危機にエターナルズが立ち向かうという物語です。

戸田恵子さんが声を担当したサルマ・ハエック演じるエイジャックは、エターナルズの中心人物で母親的な存在。特殊能力を持つリーダー役です。

声優のお仕事は役作りよりも、女優さんの声にピタリハメるのが仕事

映画「エターナルズ」はマーベル・スタジオの最新作で、2021年冬映画の目玉作品ですが、声の出演が決まったときのことや吹替版のお仕事に臨むときのことを教えてください。


戸田恵子さん(以下、戸田恵子)
「エターナルズ」の声の出演のお仕事をいただいたとき、事務所のスタッフがざわついたんですよ(笑)。スタッフがざわついて浮足立つときは、いいお仕事であることが多いので、これは「面白そうだわ」と思いました。

でも吹替版のお仕事など声の出演では、私は特に役作りをしたり、準備することはありません。現場主義というか、今回ならば、私が演じるエイジャックの映像を見て、吹替版の監督さんの指示通りに声をあてていきます。

演じる女優さんの声に合わせていくのが仕事なので、その人の持つ雰囲気、声のトーンなど逸脱しないように、またオーバーに演じないようにしつつパワー不足にならないように、ピッタリはまるように声をあてていきます。とにかく集中してお仕事させていただきました。

映画「エターナルズ」をご覧になった感想は?


戸田恵子
とても面白かったです! この映画、2020年公開した「ノマドランド」でアカデミー賞監督賞を受賞したクロエ・ジャオ監督作なんですよ。でもこの映画を見ると「本当に同じ監督が演出したの?」って思ってしまいました。前作はドキュメンタリータッチでしたが「エターナルズ」は本格的なエンタテインメント作品でアクションも多く、迫力もありますからね。

うちの事務所スタッフは男性が多いので、彼らが「エターナルズ」と聞いてざわついた理由が、映画を見てわかりました(笑)。でも、こういう映画は男性向きと思っていましたが、私はとても楽しかったので、大人女性にもオススメです。

自分たちの正義を貫いたエターナルズに負けないくらい仕事で貫いていることは?

戸田恵子さんのライフスタイルについて教えていただきたのですが、健康面で気を付けていることはありますか?


戸田恵子
私は64歳になりましたので、もう若い頃と同じようにはできないことを自覚しています。2021年、「グッドピープル」という舞台で全国をまわっていたのですが、正直、肉体的に楽ではないですね。特にコロナ禍なので、とにかく健康にはとても注意をはらって過ごしています。もしも私が病気になったら公演中止になってしまうので、健康でいること!これはずっと大切にしています。

まず気を付けていたのは睡眠ですね。若いときは寝なくても元気に仕事ができましたが、今は無理です。それからちゃんと朝食をとること。ツアー中のオフ日でも、同じ時間に起きて、朝食をいただくという規則正しい生活を心掛けています。ツアーは移動も多く、毎日違うホテルに宿泊する生活が続くので、できるだけ規則正しく生活してベストコンディションを維持しています。

朝食は洋食、和食、どちら派ですか?


戸田恵子
ホテルの朝食は和洋どちらでもOKなので、その日の気分で決めますが、どちらの食事でも、納豆があったら必ず食べます。バイキング方式で、メインはフレンチトーストで納豆もいただく、なんてことはよくあります(笑)。

健康に気を使っていらっしゃる戸田恵子さんですが、振り返ってみて更年期の不調はありましたか?


戸田恵子
それが、幸いなことにないんですよねえ。ホットフラッシュとか、汗がすごく出るとか、ずっと心身ともに不調とか聞きますけど「これから更年期が来たらどうしよう!」と悩んじゃうくらい何もなかったんです。

でも感じている余裕もないくらい、忙しくしていたからかなとも思っています。よく更年期障害で精神的にイライラしがちというのも聞きますが、それを言ったら、私は20代のときからイライラしていたので(笑)、あまり特別に不調が来るとか感じなかったですね。

床屋さんで顔を剃ることが美容のこだわり

お肌もピカピカですが、美容で気を使っていらしゃることやこだわりは?


戸田恵子
それが、私は面倒くさがりのズボラなので、特にこだわっていることはないんです。ツアーから自宅に帰ると、エステに行ってプロにお任せすることはあります。やはり気持ちいいし、いい気分になれるので。

そうそう、一つこだわっているのは床屋さんへ行くこと! 髪は美容院で整えてもらうのですが、床屋さんでは顔を剃ってもらいます。私は子どもの頃から親に床屋さんに連れて行ってもらって顔を剃ってもらっていたので、これは大人になっても続けています。

上京したばかりのとき床屋さんを探したんですが、女性の肌は柔らかいので、剃ってくれるお店がなかなか見つからなかったんです。今通っているお店は女性の顔そりもやってくれる床屋さんで、長いお付き合いですね。すごく素朴なお店で、お客さんはオジサン中心(笑)。そこで偶然、永六輔さんとばったり会ったこともありました(笑)。

意外なこだわり(笑)。顔を剃るとサッパリしそうですね。


戸田恵子
はい。顔を剃っていただいた後お仕事に行くと、メイクさんに「お顔剃りましたね」とすぐ言われます。ファンデーションのノリがよくなるみたいです。

ご自宅でしているスキンケアなどはありますか?


戸田恵子
ないですね。でもツアーや旅行などでホテルに泊まるとシートパックしたりするんです。なぜだろう、家ではやらないのに(笑)。今年のツアーにもシートパック持参で行きました。ホテルライフの一環として、パックの時間があるのかもしれません。あの非日常的な空間がそういう気持ちにさせるんでしょうね。

家だと、こまごまとした用事に追われて、自分は二の次になってしまうから、美容にまで手が回らないのかもしれません。

ボランティアで子どもの映画祭のジェネラルディレクターも!情熱の源とは?

戸田恵子さんは、キネコ国際映画祭(子どものための映画祭)のジェネラルディレクターも務めていらして、すごくパワフル、活動的な印象があります。パワーの源はどこにあるのでしょうか?


戸田恵子
よく聞かれるのですが、本当はもっと休みたいし、遊びたいんです(笑)。キネコ国際映画祭のお手伝いは10年以上やっていますが、毎年、子どもたちに世界中の素敵な映画を見てもらいたくて参加しています。子ども目線で制作された傑作映画がたくさんあるんですよ。最近は、ライブで吹替上映もやっています。「生で吹替上映するなんて信じられない」と、海外の映画関係者の方には驚かれました。

最初、短編でやってみたら「気合い入れれば長編もできる!」と思ったので、100分の長編のライブ吹替に挑戦したんです。今はそれが目玉企画です。

新型コロナ感染拡大で、2021年は映画祭の開催ができなかったので、来年は開催したいですね。このお仕事はノーギャラ、ボランティアでやっているのですが、毎年、世界中で子どもたちのための素敵な映画が制作されるので、やめられないです(笑)。

すごい情熱ですね!


戸田恵子
ご縁に恵まれていると感じます。映画祭も他の仕事もご縁があってつながっている、続いているのかなと思います。

人生後半戦!身の回りから面白いことを見つけて

では、最後に、50代以上の方になると今後の人生の過ごし方に迷っている方も多いので、励ましのメッセージをいただけるとうれしいです。


戸田恵子
子育てなどが一段落して、心にぽっかり穴が開いてしまうという話はよく聞きます。私は経験がないので、ベストな言葉ではないかもしれないのですが、一つでも興味が持てることがあればいいのではないでしょうか。

新しいことを始めなくてもいいんです。身の回りのこと、お料理でも、お裁縫でも、ご近所散策でもなんでも、身近なことでいいと思います。もっと深掘りできることを見つけられれば、生活が色づくと思うのです。

けっこう見落としていることがあると思うんですよ。そういうのを見出す力がつけばいいですね。時間には限りがあるので、新しいことしなくちゃと焦るのはもったいないです。まずは身の回りから面白そうなことを見つけてくださいね。

戸田恵子(とだ・けいこ)プロフィール

1957年9月12日、愛知県生まれ。NHK名古屋放送児童劇団に小学5年生から在籍。「中学生群像」(「中学生日記」の前身)で女優デビュー。1977年、声優・演出家の野沢那智主宰の劇団・薔薇座へ入団。「スイート・チャリティ」「踊れ艦隊のレディたち」など数多くのミュージカルに出演、看板女優として活動。「スイート・チャリティ」で芸術祭賞演劇部門賞、外部出演したミュージカル「ミュージックマン」で葦原英了賞受賞。舞台「渾・身・愛」で第24回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞。「機動戦士ガンダム」(1979年)のマチルダ・アジャン役で本格的に声優としての活動をスタート。アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」(三作目)の鬼太郎、「キャッツ・アイ」の瞳、「きかんしゃトーマス」のトーマス、「それいけ!アンパンマン」のアンパンマンなどの声で人気を博す。洋画の日本語版吹替えも多く、ジュリア・ロバーツ、ジョディ・フォスター、ビビアン・リーなどで知られている。

「エターナルズ」

(全国公開中)
監督:クロエ・ジャオ(「ノマドランド」他)
出演:ジェンマ・チャン、リチャード・マッデン、アンジェリーナ・ジョリー、サルマ・ハエック、マ・ドンソク、キット・ハリントンほか
吹替版:声の出演/恒松あゆみ、川田紳司、深見梨加、戸田恵子、花輪英司、杉田智和、金子睦、後藤光祐、内山昂輝、稲田徹

取材・文=斎藤香  編集=鳥居史(ハルメクWEB)

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ハルメク365編集部

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