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公開日:2021年04月09日
夫に先立たれた女性の暮らしを描く映画「椿の庭」
映画「椿の庭」に主演する女優・富司純子(ふじ・すみこ)さん。映画の見どころや撮影現場の様子、体のメンテナンスなどの日々の生活と、女優業へのこだわりについてもお話を伺いました。
写真家界の巨匠・上田義彦氏の初監督映画「椿の庭」は、夫に先立たれたばかりの絹子が、葉山の高台に建つ日本家屋で孫娘(シム・ウンギョン)と暮らす様子を通して、家族の絆を描く、静かで美しい物語です。
主演を演じたのは、本作が14年ぶりの映画主演となる富司純子さん。15年以上温めた構想を実現した上田義彦監督は、自らの祖母のおもかげを富司純子さんに見出し、もし富司さんに断られたら、映画化を断念しようと思ったと言います。
案の定、凛とした着物姿で美しい庭や家の手入れをする絹子は、まるで富司さんの日常生活を垣間見ているよう。そんな富司純子さんに、「椿の庭」のお話や日常生活について、お聞きしました。
――富司純子さんが主演を引き受けてくれなければ、この作品は撮らないと上田監督は決めていたそうですが、「椿の庭」に出演することになった決め手はなんですか?
富司純子さん(以下、富司純子)
まず、上田監督から台本になっていない段階の原稿をいただいて、読ませていただきました。ト書きを読んでいても、映像が浮かんできました。あまりにも素晴らしくて、これは出演させていただきたいと思いました。
――舞台となった家は、古民家を改装した美しい庭を持つ家だそうですが、この映画では、この家自体が、まるで登場人物のように重要な役割を果たしていますね。
富司純子
私の演じた絹子は、夫との幸福な日々を過ごした幸せな女性でした。私は、家とは夫婦の歴史が刻まれていくところだと思います。絹子は、夫に対する思いや家に対する思いが強かった。だから、夫が亡くなり家を売らなきゃならないということになったとき、この家で最期を迎えたいと思ったんですね。
今では四季折々に建具を変える人も少なくなりましたが、絹子は、夏になると障子を入れ替えたり、庭の掃除や置物などちょっとしたことに気を配っていた人なのだと思います。
実際に撮影した家は、素晴らしく心地よかったです。日本建築とモダンな西洋の要素が混じり合っていて。監督の思い入れもあると思います。ふっと見ると、いつも監督が掃除してらしたり、家を本当に愛しんでいらっしゃいましたね。
それから、撮影中は、あの家のお台所を使って、プロデューサーやスタッフの方々が食事を作ってくださったんです。地の魚などおいしい食材を使って。私は普段、朝と晩の2食なのですが、この撮影中は、今日は何をいただけるのかと、楽しみにしていました。
――ご自身も家は大切にしていらっしゃるのですね。
富司純子
そうですね。子どもたちはみんなそれぞれ独立しましたから、今は主人と私とだけです。一軒家は、主婦が大変です。メンテナンスを考えたら、よっぽどじゃないと維持していけないので、マンションの方が楽だなと思います。なので、この映画を撮影していた1年間は幸せな時間でしたね。
――着物を手際よく着替えるシーンも印象的でした。着物はすべて富司さんの自前だったと伺いました。
富司純子
上田監督の希望でしたので、私の着物から選んでいただきました。学生時代の友人が久々に訪ねてくれるので心ウキウキして着物を着替えている、そんなシーンも、いつも通りにささっと着ただけです。女優時代に撮影所の行き帰りに着ていた紬とか、結婚してからはあまり着なかった普段使いの着物が、今回は着られました。何かの時に、着られるかなと思って取っておくと、着られたりするんですね。
――絹子は、夫に先立たれた後、荷物を整理していましたが、終活などは考えられたことはありますか?
富司純子
片付けないといけないと思っているんですけれど、死んだ後、処分してくれればその方がいいなと。私の母が亡くなったときは、着物や遺品などの整理は大変でしたけれど。それに、生活を続けていると大事なものを使う機会があるので、なかなか処分できません。
――映画では、三代に渡る女性たちの生き様も描かれていました。特に、シム・ウンギョンさん演じる孫と絹子の関係は、胸を打つものがありましたね。
富司純子
私の場合、子どもたちの結婚が遅かったので、孫はまだ小さいんです。幼稚園やバレエなどのお稽古事とか、サッカーの試合のこととかの話はします。いろいろ話ができるほど大きくなれば、違った楽しみもあるでしょうけれど。でも、子どもたちが、それぞれが結婚して孫を見せてくれたり、私自身、人生を振り返ると幸せだったと思っています。
――1960年代に東映のスターとして脚光を浴びました。今でも現役でいらっしゃるからこそ、まるで人生がにじみ出すような素敵な役を演じられたのではないでしょうか。
富司純子
この年ですから、どうしたってチャンスは少なくなります。なので、上田監督からこういうチャンスをいただいたことを本当にうれしく思います。この年になって素晴らしい作品に出合えたことを幸せだと思っています。
――75歳で現役の女優として活躍されていることは、多くの女性たちの励みになります。
普段から、健康面などで気を付けていることはありますか?
富司純子
その年齢なりに、あるがままに生きてきました。一日を大切に生きている。毎日の繰り返し。変わったことのない一日を、気張らずに送っていけたらと思います。
日課としては、Eテレの朝の体操を10分した後、スクワットとか自分なりに体を動かしています。毎日少しですけど、体操をする。背筋が伸びてないと年をとって見えるし、着物も洋服もきれいに着られませんから。油断しているとだんだん猫背になってきてしまうので、気を付けています。
うちの夫は、お芝居しかできない人なので、「私がいないと!」と思ってがんばってきました。だから、一日でも長く生きなきゃだめだって思っています(笑)。夫婦ってそういうものじゃないかな、と思います。
かつて夫や子どもたちと暮らした家に、孫娘と住み続ける絹子。夫との日々を思い出しながら穏やかな日々を過ごす絹子にある日、一本の電話がかかってくる。
監督・脚本・撮影/上田義彦
出演/富司純子、シム・ウンギョン、鈴木京香 他
配給/ビターズ・エンド
2021年4月9日(金)より、シネスイッチ銀座他、全国順次公開
ふじ・すみこ
女優。和歌山県生まれ。藤純子の芸名で東映仁侠映画の看板女優となる。1968年「緋牡丹博徒」シリーズで主演を務め、爆発的な人気に。結婚を機に一時引退するが、83年ドラマ「勇者は語らず」で女優復帰。89年には、芸名を富司純子に改名。98年「おもちゃ」、2006年「フラガール」で数々の映画賞で助演女優賞に輝く。
取材・文=立田敦子 撮影=烏頭尾拓磨 着付け=与儀みどり(与儀美容室) ヘアメイク=倉田正樹(アンフルラージュ)
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