人生100年時代!50代〜のライフプランと資産形成
2024.12.16
公開日:2025年03月18日
おひとりさま女性のソロライフに備えよう!「おひとりさま老後」の資産運用
50代になり「独身のまま老後を迎えるかも」「いずれ夫と死別したらどうなるかしら」と不安な人も多いはず。おひとりさま女性が老後の資金不足に備えるべき理由や、老後にかかる生活費と必要な資金、資産形成の方法をご紹介!
おひとりさま女性が老後の資金不足に備えるべき理由

ひとりで趣味に没頭したり友達と旅行に行ったり、自由な時間を満喫できるおひとりさま女性。
仕事でもキャリアを積み、やりがいを感じている人も多いかもしれませんが、50代になると、老後の生活が気になってくる方もいるのではないでしょうか。
一般的に、おひとりさま女性は老後の資金不足に陥りやすいといわれています。ここでは、その主な理由をご紹介します。
理由1:年金額が低い
おひとりさま女性が老後の資金不足に陥りやすい理由の一つは、一般的に男性と比べて年金額が低い傾向があるためです。
女性の活躍がますます広がっており、職場での貢献が高まっていますが、その一方で非正規雇用で働く人や厚生年金の加入期間が短い人も少なくありません。
また、正規雇用であっても男女間の賃金格差によって平均年収が男性よりも低いケースや、年金や社会保険料の支払額が低いケースも多いことから、老後に受け取れる年金額が少ない人も多数います。
厚生労働省発表の「令和3年賃金構造基本統計調査の概況 第2表」によると、日本の平均賃金は月額で男性の方が8万円以上高く、特に50代前半では13万4000円もの開きがあります。
おひとりさま女性の中でも、配偶者からの遺産相続がなく、子どもからの資金援助もない場合は、特に資金不足に陥りやすい状況です。子どもがいるおひとりさま女性であっても、経済面であてにできないために、老後に苦しい生活を強いられることもあります。
理由2:女性は平均寿命が長い
一般的に、女性は男性と比べて平均寿命が長いことが知られています。
2024年に厚生労働省が発表した「令和5年簡易生命表の概況」によると、2023年の平均寿命は、男性が81.09年、女性が87.14年となっています。
女性は男性よりも長く生きる分、老後資金が多くかかるのも現実です。人生100年時代といわれる現代では、自分が何歳まで生きるかの予測は難しく、長生きすればするほど老後の資金不足に陥りやすいといえます。
おひとりさま女性の老後にかかる生活費と必要な資金

今はまだ仕事をしている方も、リタイア後は年金をベースに生活を考えなくてはいけません。
まずは65歳以上のおひとりさま女性が月々かかる生活費を知り、今ある貯蓄を加味したうえで平均寿命87歳までにいくら準備しておくべきかを計算してみましょう。
65歳以上のおひとりさま女性の月々かかる生活費は、14万7,655円
総務省統計局の「家計調査報告(表番号2)」によると、65歳以上のおひとりさま女性の月々にかかる生活費の平均は、14万7,655円です。 もちろん、人によって生活水準は異なりますが、平均額を目安に老後資金を考えるのも一つの方法だといえます。 「家計調査報告(表番号2)」では、消費支出の内訳も公開されています。
以下は、65歳以上のおひとりさま女性の主な支出の平均額です。皆さんの現在の生活にかかっている費用と比較してみてください。
食費 |
4万198円 |
住居費 |
1万558円 |
光熱・水道費 |
1万3,548円 |
家具・家事用品 |
1万279円 |
被服および履物 |
3,223円 |
保険・医療費 |
9,571円 |
交通・通信費 |
1万4,705円 |
教養・娯楽費 |
1万4,521円 |
その他の消費支出 |
3万1,052円 |
交際費 |
1万6,066円 |
上記の中でも、生きるうえで必要な衣食住にかかる費用は、合計約8万円です。
賃貸住宅や老人ホームで過ごす場合は、住居費を支払い続けることになります。しかも老後はケガや病気が増えるため、保険・医療費もかさんでくることも考えなければいけません。
今現在、自分の生活にかかっている費用と比べてみて、削れるところはないか考えておくのもよいでしょう。
50代おひとりさま女性の平均貯蓄額は1,110万7,000円
急な出費や老後のために、コツコツと貯金をしている人も多いでしょうが、実際のところ、50代おひとりさま女性の貯蓄額はどのくらいなのでしょうか。
総務省統計局が発表した「2019年全国家計構造調査 結果の概要」によると、50代おひとりさま女性の平均貯蓄(金融資産残高)は1,110万7,000円です。 それぞれの状況やライフスタイルなどによっても異なりますが、これから老後に備えて貯蓄を増やしていくことが大切です。
いくら貯蓄すべき?
上述のとおり、日本人女性の平均寿命は87歳を超えています。老後の生活にはこれまで以上の資金を用意する必要があるでしょう。
仮に65歳で仕事を辞めると、平均寿命の87歳までには22年もあり、その間に必要な資金を65歳以上のおひとりさま女性にかかる月々の平均的な生活費から計算すると、14万7,655円×12カ月×22年で3,898万920円にものぼります。
とはいえ、公的年金が受け取れるようになるため、全額を貯蓄しておく必要はありません。
老後の収入源の要となる年金支給額は、国民年金(老後基礎年金1人分)に40年間加入して満額を受け取る場合で月額6万8,000円。
厚生年金の場合は、令和4年の「厚生年金保険・国民年金事業年報(表番号10)」によると、平均年金月額は女性で月額10万4,878円です。
老後の22年間で受け取れる年金の合計額は、国民年金で1,795万2,000円、厚生年金で2,768万7,792円となります。 そのため、老後資金として貯蓄しておくべき金額は、国民年金の場合は2,102万8,920円、厚生年金の場合は1,129万3,128円となります。
ただし、年金額は人によって異なるため、ねんきん定期便などを参考に、ご自身で貯蓄しておくべき金額を調べてみてください。 すでにある程度貯蓄がある場合は、それを引いた金額が準備すべき老後資金の目安と考えてよいでしょう。
おひとりさま女性が老後に向けた資産形成をする方法

老後資金の問題は早めに解消しておくと、安心して過ごすことができます。
もちろん、家計を見直して支出を減らすことも重要ですが、公的年金以外に老後の収入を準備したり、老後までの貯蓄を増やしたりしておくことも大切だといえるでしょう。
ここでは、おひとりさま女性が老後に向けた資産形成をする方法を三つ紹介します。
1.貯金を増やす
銀行などの預金を活用する方法は、老後資金を貯める方法としてもっとも一般的です。
まずは、現在老後資金がいくら足りていないのかを計算し、その金額を退職するまでの年数で割って1年でいくら貯金すればよいのか把握します。さらに12カ月で割れば、毎月必要な貯金額が見えてきます。
着実に貯金を増やしていくために、毎月の給料が入ったら、貯金するべき額をすぐに差し引いて、残ったお金で生活費をやりくりする習慣を身に付けるとよいでしょう。
ただし、銀行預金の場合は金利が低いため、預金だけで老後資金を準備することに不安がある場合は、別の方法も検討しましょう。
2.個人年金保険に加入する
貯金が苦手な人に向いているのが、民間の個人年金保険に加入する方法です。
個人年金保険は銀行預金と比べて一般的に積立利率が高いため、銀行預金よりも資産を増やしやすいです。また、個人年金保険は、保険料という形で毎月必ず一定の金額を納めなければいけません。そのため、貯金だけではなかなか貯められない人でも老後資金を準備しやすくなります。
さらに、50代で個人年金保険に加入すると、年金を受け取り始めるまでの期間がそれほどないことから、物価上昇による影響はそれほど大きくないといえます。
しかし、途中解約すると、払い込んだ保険料よりも解約返戻金の方が少なくなってしまうことがあります。
また、50代で加入すると保険料が高くなりがちです。老後資金を大きく増やすことは難しいと言わざるを得ないため、貯金と同様、不安がある場合はさらに別の方法も検討しましょう。
3.資産を運用する
貯金や個人年金保険も資産運用の方法の一つではありますが、それでは十分な老後資金が貯められない、一定のリスクを取ったうえで資産を増やしたい場合は、投資による資産運用を検討するのがおすすめです。
近年は急激な物価上昇により、お金の価値が低下する傾向にあり、これまで頑張って貯めていた老後資金では足りなくなってしまうことも考えられます。
急激な物価上昇から身を守るためにも、資産運用を検討することが重要です。資産運用で必ず利益が出るわけではありませんが、長期運用で少しずつ資産を育てていくことを検討してみましょう。
以下は、代表的な投資の方法です。
● 株式
● 債券
● 投資信託
● ファンドラップ
● 金投資
● 不動産投資
資産運用は種類によって特徴やリスクが異なります。また、預金と異なり元本保証はないため、資産を減らす可能性もあります。
複数の方法から自分に合ったものを選択し、いくつかの方法を組み合わせてリスクに備えることが大切です。
株式や投資信託を運用する際は、「NISA」や「iDeCo」などの制度を利用するのもよいでしょう。
50代からでも遅くない!老後資金の準備を始めよう!
おひとりさまで老後を過ごす女性も増えてきた現代の日本。
働いているうちは自由に使えるお金もあるため、まだそれほど不安になることはないものの、いざ老後を迎えたときのために、早くから資金の準備を始めることが大切です。
老後資金を準備するときに銀行預金を活用する人が多いですが、日本では金利が低いため、お金に働いてもらう「投資による資産運用」も選択肢の一つとして考えてみてはいかがですか?。
取材協力:みずほ証券株式会社