認知症のご本人の財産や権利をどう守るか?

公開日:2025年04月08日

認知症のご本人の財産や権利をどう守るか?

認知症のご本人の財産や権利をどう守るか?

ご家族は、認知症のご本人の財産や権利を守るためにどのような対策を取ればよいでしょうか。今回は、法律面からの支援をご紹介します。

当事者の財産や権利を守る制度

8x10 / PIXTA(ピクスタ)

認知機能が低下すると、所有する不動産や預貯金などの管理のほか、遺産分割協議などの相続手続といった財産管理が難しくなる恐れがあります。

また介護・福祉サービスの利用契約や、施設入所・入院の契約締結、履行状況の確認などといった「身上保護」といった法律行為を一人で行うのが困難な場合もあります。悪質商法の被害にあう恐れさえ出てきます。

このように一人で決めることに不安のある方々を法的に保護し、ご本人の意思を尊重した意思決定支援を行えるようにするのが成年後見制度です(※1)。

〇成年後見制度
成年後見人はご本人の意思のもと、金融機関や不動産関連の手続き、また商品の購入契約を結んでもその取り消しなどのサポートを行います。

後見人には当事者の親族がなるケースもあります  が、法律や福祉の専門家などの第三者がなることもあります。制度の利用には、家庭裁判所への申し立てが必要です(※2)。

成年後見制度には、大きく分けて「法定後見制度」と「任意後見制度」があります。

〇法定後見制度
家庭裁判所が各々の事案に応じて、成年後見人等(成年後見人、保佐人、補助人)を選任します。ご本人の代理として、契約などの法律行為をしたり、ご本人が成年後見人等の同意を得ないでした不利益な法律行為を後から取り消すことによって、ご本人を保護・支援します(※3)。

〇任意後見制度
将来認知症などになった場合に備えて、当事者が一人で物事を決められるうちにあらかじめ自らが選んだ人、つまり任意の後見人を選ぶ制度です。自分の代わりにやってもらいたいことを契約で決めておくことができます(※4)。

〇家族信託
成年後見制度以外にも、「家族信託」という財産を管理する方法もあります。不動産や預貯金、有価証券といった財産を所有する委託者は、信頼できる家族、あるいは第三者である受託者に託し、受託者はあらかじめ定めた信託目的に従って管理・処分・承継することができます。

委託者の認知機能が低下した場合も、受託者は定められた信託目的に応じて、委託者本人の財産を柔軟に活用できます(※5)。

守られる当事者の想いや意志

pearlinheart / PIXTA(ピクスタ)

法定後見制度においては、たとえ当事者の認知機能の低下が進んで意思決定が困難になったとしても、できる限り当事者の意思が優先されます。意思決定支援によって最適な選択がなされ、当事者もご家族も安心できる環境を整えるためにこのような制度があるのです(※6)。


<参考>
(※1)成年後見制度とは|厚生労働省
https://guardianship.mhlw.go.jp/personal/(最終閲覧日:2025年3月21日)

(※2)成年後見制度|厚生労働省
https://guardianship.mhlw.go.jp/common/pdf/seinen_pamphlet.pdf(最終閲覧日:2025年3月21日)

(※3)法定後見制度とは|厚生労働省
https://guardianship.mhlw.go.jp/personal/type/legal_guardianship/(最終閲覧日:2025年3月21日)

(※4)任意後見制度とは|厚生労働省
https://guardianship.mhlw.go.jp/personal/type/optional_guardianship/#p02(最終閲覧日:2025年3月21日)

(※5)家族信託とは?|法務局
https://houmukyoku.moj.go.jp/kobe/content/001354479.pdf(最終閲覧日:2025年3月21日)

(※6)認知症の人の日常生活・社会生活における 意思決定支援ガイドライン|厚生労働省(3ページ、Ⅲ認知症の人の特性を踏まえた意思決定支援の基本原則 1本人の意思の尊重)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001323515.pdf(最終閲覧日:2025年3月21日)

記事協力:Theoria technologies株式会社


認知症が気になる方はこちらをチェック! 

HALMEK up編集部
HALMEK up編集部

「今日も明日も、楽しみになる」大人女性がそんな毎日を過ごせるように、役立つ情報を記事・動画・イベントでお届けします。

みんなの コメント
ハルメクが厳選した選りすぐりの商品

暑い夏でも涼しくおしゃれに

大人のための軽やかデニムの決定版 大人のための軽やかデニムの決定版

足の爪が切りづらい方必見!医師監修「正しい爪の切り方」

足の爪が切りづらい方必見!

年齢とともに爪の形が変化し、「足の爪が切りづらい」「爪が巻いてきてどう切ればいいか分からない」と悩んでいませんか?トラブルを防ぐための正しい爪のケア方法を専門家に伺いました。

2025.07.16
夏に暑い・冬に寒い部屋は 断熱窓リフォーム!

ハルメク読者がショールームで体験!

環境省「先進的窓リノベ2025事業」で、窓やドアのリフォームに最大200万円の補助金が!お得にリフォームできる断熱窓の重要性が分かるショールームを、読者が体験しました。さらに、実際にリフォームしたご自宅にも潜入します!

2025.07.10
あれっおまたが擦れる……?40代からのおしもの悩みチェックリスト

あれっおまたが擦れる……?

40代、最近デリケートゾーンが気になったり、尿モレが気になったりということはありませんか。実はそれ、単に年齢のせいではなく、更年期に向かい始めている1つのサインかもしれません。今回は早めに知っておきたい閉経前後の症状「GSM」を解説します。

2025.07.10
今、レンズを薄いカラーにするのがおしゃれ♪

今、レンズを薄いカラーにするのがおしゃれ

50代女性の紫外線対策は、メガネのレンズを「カラーレンズ」にするのがおすすめ!おしゃれ&機能的に、カラーレンズを選ぶコツを紹介します。

2025.06.24
【PR】自分の尿モレタイプはどれ? 簡易診断でチェック!

自分の尿モレタイプはどれ?

たまに尿モレがあっても、だましだまし過ごされている方も多いのでは? けれど一口に尿モレと言っても症状によってタイプはさまざま。そこで自身の尿モレのタイプがわかる簡易診断チャートをご紹介!

2025.06.10
【PR】巻き爪や外反母趾などの足悩み解消を目指せる「正しい歩き方」

巻き爪解消を目指せる「正しい歩き方」

間違った歩き方は足トラブルを招き、健康寿命に影響があることを知ってましたか?正しい歩き方と足トラブル対策を専門家が解説!

2025.05.12
健康への意識が高い人へのギフトにもぴったりなオリーブオイル

夏のギフトはオリーブオイルで差を付ける!

健康志向の高い人や料理好きの人に喜ばれるオリーブオイルは、贈り物にもぴったり。かけるだけでもリッチな気分になれる優れモノなんです。

2025.07.16
皮脂・メイク汚れに要注意!夏こそ眼鏡をメンテナンスしよう

眼鏡の皮脂汚れ気になる…

夏は汗や皮脂、メイク崩れなどで、いつもより眼鏡が汚れやすい季節。レンズやフレームの汚れを放っておくと、眼鏡の寿命が縮むことにもつながります!

2025.07.01
眼鏡愛好家の紫外線対策に!度付きサングラス・調光レンズを活用しよう

紫外線の量でレンズの色が変わる眼鏡!?

紫外線に反応して色の濃さが変わる調光レンズはこの季節にぴったり。屋外などではレンズカラーが濃くなり、紫外線が弱い屋内などではクリアに近くなります。

2025.07.01
更年期は気象病になりやすい?つらい症状を遠ざけるおすすめ対策3つ

更年期は気象病になりやすい?

雨が降ると頭痛やめまい、だるさなどの不調が起こる「気象病」。天気の変化によって起こる気象病は、実は更年期とも関わりがあると言われます。気象病のメカニズムや更年期との関係、つらい症状を和らげる対策について、医師の石原新菜さんに伺います。

2025.06.22
「ほったらかしの投資」~手軽に投資を始める・続ける方法

「投資は難しそう…」と思っている人は必見

興味があるけど自信がない人におすすめな、長期的に資金を積み立てていく「ほったらかしの投資」。家計をラクにする資産運用の方法が知りたい人はぜひチェック!

2025.06.02
【PR】タイプで分かる!ライフスタイル別レンズ診断

タイプ別!ぴったりの眼鏡

「近くのものが見えづらくなった」と感じる人は眼鏡の変え時かも!ライフスタイル別におすすめの眼鏡レンズを無料で診断♪

2025.03.10