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- 寺島しのぶ!息子の歌舞伎界デビューと女優業を両立
寺島しのぶさんは、人類初、永遠の命を得たヒロインの人生を描く映画「Arc アーク」で、遺体を芸術品のように美しく永久保存するボディワークス制作の天才・エマを演じます。女優のキャリアやライフスタイルについてお話を伺いました。
若い子の物語が多く大人の女性の作品は少ない
【インタビュー1記事目】
―寺島しのぶさんは、さまざまな役を演じていらっしゃいますが、出演作を決めるときのポイントはありますか? また年齢を重ねて、役の変化は感じられますか?
寺島しのぶさん(以下、寺島しのぶ)
私は自分のコンディションと仕事の波に逆らわないようにしようと決めています。だいたい脚本を一読して「演じたい!」と思ったらやります。2~3度脚本を読み返したりする場合は演じないことの方が多いかな。
今の日本の映画界、ドラマ界も含め、若い子の物語が多く、大人の女性の作品が少ないと思うんです。だから主人公のお母さんとかの役が多く、ちょっと前までそのことに抵抗がありました。でも最近は、芝居の上で「おばさん」と言われたりするうちに、よく考えてみれば「そうだよね、あなたたちから見れば、おばさんだよね」と受け入れられるようになりましたね(笑)。
女優なので、きれいでいたいと思うし、映画やドラマの映りが良くあってほしいと思いますが、見た目の美しさうんぬんではなく「これでいいのさ!」と大きく構えられるような女優力、圧倒的な存在感で勝負できる役者でいたいと思います。
―女優の仕事は、一度作品に入ってしまうと、代わりがいない仕事でもあると思いますが、自分の健康のために気を付けていることはありますか?
寺島しのぶ
以前は、ジムへ行ってトレーニングするのが好きでしたが、今は月1回くらいになり、ヨガに行ったり、瞑想をしたり、自分と向き合う時間を大切にしています。筋肉を作るのではなく、呼吸を深くすることを意識するようになり、健康を維持するスタイルがシンプルになってきました。
食生活は、お腹いっぱい食べるという年齢は過ぎて、質のいいものを少しずつ食べるようになりました。あと、睡眠についてもすごく考えるようになりましたね。やはり睡眠を8時間とると目覚めがよく気持ちがいいんですよ。これにお昼寝30分をつけるのがベスト。体が冷えたらお湯に浸かる、白湯を飲むなど、自分に優しくする時間を増やしています。
息子の歌舞伎界デビュー!応援したいから全面バックアップ
―寺島さんは、息子さんも歌舞伎界にデビューをされて、全面的にバックアップされていますよね。育児といっても歌舞伎の世界にも入った息子さんの育児とお仕事の両立は大変ではないですか?
寺島しのぶ
息子の歌舞伎デビューは、本人がやりたいと言ったことがきっかけなのです。歌舞伎役者の孫だから、そうせざるをえなかったわけではなく自然な流れでした。でも確かに時間のやりくりは大変です。息子の舞台の初日のときは、ドラマの撮影が入っていたので、まず初日の舞台を見て、ドラマの撮影へ行って、また戻ってきて……と行ったり来たり。でも息子も日々、チャレンジしているわけですから「彼ががんばっているから私もがんばる」というモチベーションでやっています。
人生は立ち止まったときがチャンスです!
―ハルメクの読者は、子育てがひと段落したアラフィフ世代が多く、みなさん「これから自分は何をしたらいいのだろう」と悩む方もけっこういるんです。そんな読者に寺島さんからメッセージを送るとしたら、どんな言葉をかけますか?
寺島しのぶ
自由に楽しむ何かを見つけるのがいいと思います。私自身も、息子が大人になって、私の手を離れたとき、きっとすごく寂しいんだろうなと思う瞬間があるんです。でもそうやって立ち止まったときこそチャンス。自分の人生を見直して、以前の自分ではなく、これからの自分が楽しいと思えることを一から探していくのがいいのではないでしょうか。昔を引きずらず、今を楽しく豊かに生きるためにできることは何だろうと。
日本人は、とても思いやりがあり、おもてなしの文化があり、ちょっとした気遣いができるという魅力があると思うけど、コロナ禍の今は、物事がシンプル化して、そういう日本人らしい細やかさが発揮できない時期かもしれません。
でも、それはそれでいいのではないかと。あまり人から良く思われようとしなくてもいい。もっともっと自分本位で、やりたいことを考え、挑戦して、大いに楽しみましょう。自分の人生が豊かになれば、人にも優しくなれるはず。私も息子が成長し、自立したとき、そういうふうに考えて生きていこうと思っています。
【インタビュー1記事目】
寺島しのぶ(てらじま・しのぶ)
1972年、京都市生まれ。高校在学中にドラマ「詩城の旅人」で女優デビュー。2003年映画「赤目四十八瀧心中未遂」で第27回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞、「ヴァイブレータ」では東京国際映画祭女優賞を受賞。2010年「キャタピラー」で、ベルリン国際映画祭の銀熊賞(最優秀女優賞)を受賞。2018年「OH!LUCY!」で、インディペンデント・スピリット賞主演女優賞候補になった。最新作に山田洋次監督作「キネマの神様」がある。
「Arc アーク」
(2021年6月25日公開)
監督:石川慶
出演:芳根京子、寺島しのぶ、岡田将生、清水くるみ、井之脇海、中川翼、中村ゆり/倍賞千恵子/風吹ジュン、小林薫
(C)2021映画『Arc』製作委員会
取材・文=斎藤香 写真=泉三郎 編集=鳥居史(ハルメクWEB)ヘア&メイク:片桐直樹(EFFECTOR)スタイリング:中井綾子(crepe)
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