自然に死を迎えようと穏やかに生きる女性を演じて

女優・風吹ジュン!永遠の命がテーマの映画への思い

公開日:2021/06/29

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映画「Arc アーク」に出演中の風吹ジュンさん(69歳)。風吹さんが演じる芙美は、原作小説には登場しないキャラクターです。映画のテーマ「永遠の命」と女優ライフについて語っていただきました。

女優・風吹ジュン!永遠の命がテーマの映画への思い

不老不死を選ばずに自然に死を迎える女性を演じて

不老不死がテーマの映画でオリジナルキャラを熱演

映画「Arc アーク」は人類で初めて永遠の命を得て、若い身体のまま生き続けるヒロインのリナ(芳根京子)の人生をたどる物語。そんなヒロインに対し、不老不死を選ばずに自然に死を迎えようと穏やかに生きる女性・芙美を演じたのが風吹ジュンさん。

プラスティネーション(遺体を生きている状態で保持する技術)などが登場するSFらしい前半に比べ、風吹さんが登場する後半は「生と死」に向き合うドラマチックな展開。芙美との出会いでリナの心が動くのです。そんな芙美を演じた風吹さんに映画「Arc アーク」のこと、ライフスタイルのことなどインタビューしました。

永遠の命がテーマの映画でオリジナルキャラを熱演

風吹ジュン

―「Arc アーク」は、これまで見たことのない世界を描いていて新鮮でした。風吹さんは後半に登場する芙美という役ですが、原作(ケン・リュウ著の短篇集『もののあわれ』の中の短篇『円弧(アーク)』)にはない、映画オリジナルのキャラクター。難役だったのではないでしょうか。

風吹ジュンさん(以下、風吹ジュン)
芙美の夫・利仁の役を小林薫さんが演じているのですが、薫さん頼みでした。仲のいい夫婦という設定なので、芙美は薫さんが演じる利仁のトーンに合わせて、二人が一つの世界で仲良く生きていくカップルであればいいんだと思って演じましたね。

もともと「芙美は元気で明るい人」というイメージが自分の中で出来ていましたので、リナに利仁との出会いのときめきを話すシーンなど、セリフのひとつひとつにキャラクターが表れていたと思います。

ただ、リナは人類史上初めて、30歳の姿のまま永遠の命を得た女性で、見た目は若いけれど、実年齢は芙美より年上。だから年長者に対するように、リナとのシーンは言葉遣いに気を付けました。

映画を見終わってから思いを巡らせてほしい

映画を見終わってから思いを巡らせてほしい

―利仁と芙美は、不老化処置の施術を受けなかった夫婦として映画に登場しますが、お二人が出てきてから映画の中に愛情が流れてきたような気がして、ホッとしました。風吹さんは完成した映画をご覧になっていかがでしたか?

風吹ジュン
この映画は本当に脚本が素晴らしかったし、石川慶監督も大好きな演出家さんなので、クランクインが楽しみで仕方なかったんです。

完成した映画を見たとき、プラスティネーション技術が出てくる前半は、踊りのシーンも強烈なので、観客のみなさんがどう解釈するかなと思いましたが、この映画は最後まで受け止めてから、いろいろなことが見えたり、感じたりできる映画だと思います。「これはどういう意味だろう」と考えながら見るのではなく、映画が終わってから、さまざまなシーンを思い出して、思いを巡らせる映画なのではないでしょうか。

―確かに! あとからジワジワと来る映画で、もう1回見たいと思いますし、原作も読んで、もっと理解を深めたいと思う作品でした。

風吹ジュン
そうなんですよ。考えずに素直に見ていると不思議な感動をもたらす映画なんです。これは石川監督の演出の技なのかもしれません。

死は決して悲劇ではなく、命をつなぐこと

死は決して悲劇ではなく、命をつなぐこと

―この映画で描かれる「永遠の命」について、風吹さんはどうお考えですか?

風吹ジュン
この映画の良いところは、年を取ることが素敵に描かれていることです。リナは不老不死を選びますが、自然に年を重ねていくこと、生まれてから亡くなるまでが石川監督がこの映画で言いたかった「アーク(円弧)」なのだと思います。原作者のケン・リュウさんも同じ思いだったのではないでしょうか。

亡くなることが悲劇ではなく、命をつないでいくという意味のあること。薫さんと私が演じた利仁と芙美は自然に年を重ねていった夫婦で、二人の世界はとても素敵でした。映画を見ていただければ、年を重ねることはネガティブなことではないと感じ取っていただけると思います。

実は、年を取るのが楽しみです!

実は、年を取るのが楽しみです!

―風吹さんは長いキャリアの中で、年を重ねていくことで役が変わったと感じたり、女優としての意識の変化があったりということはありますか?

風吹ジュン
そのときの私の年齢が求められているのかなと思うことはありますが、何より私は、新しい作品で、新しい世界に触れることが喜びなんです。年齢とともに、依頼される役がどんどん変化していきますから、老いていくのが楽しみなくらいです。

風吹ジュン(ふぶき・じゅん)
1952年、富山県生まれ。1975年、ドラマ「寺内貫太郎一家2」で女優デビュー。91年、竹中直人監督作「無能の人」で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。99年には中原俊監督作「コキーユ 貝殻」で報知映画賞最優秀主演女優賞を受賞。ほか映画、ドラマなどで活躍。近年の作品として、是枝裕和監督作「そして父になる」(2013)「海街diary」(2015)山田洋次監督作「東京家族」(2013)「男はつらいよ」シリーズ(2016~2018)中野量太監督作「浅田家!」(2020)など。

「Arc アーク」

「Arc アーク」
(2021年6月25日公開)
監督:石川慶
出演:芳根京子、寺島しのぶ、岡田将生、清水くるみ、井之脇海、中川翼、中村ゆり/倍賞千恵子/風吹ジュン、小林薫
(C)2021映画『Arc』製作委員会

ヘアメイク:石邑麻由、英語表記の場合:Mayu Ishimura
スタイリスト:岡本純子(Afelia)、英語表記の場合:Junko Okamoto
 

取材・文=斎藤香 写真=泉三郎 編集=鳥居史(ハルメクWEB)

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ハルメクWEB編集部

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