- ハルメク365トップ
- カルチャー
- エンタメ
- 女優・風吹ジュン!永遠の命がテーマの映画への思い
映画「Arc アーク」に出演中の風吹ジュンさん(69歳)。風吹さんが演じる芙美は、原作小説には登場しないキャラクターです。映画のテーマ「永遠の命」と女優ライフについて語っていただきました。
不老不死を選ばずに自然に死を迎える女性を演じて
映画「Arc アーク」は人類で初めて永遠の命を得て、若い身体のまま生き続けるヒロインのリナ(芳根京子)の人生をたどる物語。そんなヒロインに対し、不老不死を選ばずに自然に死を迎えようと穏やかに生きる女性・芙美を演じたのが風吹ジュンさん。
プラスティネーション(遺体を生きている状態で保持する技術)などが登場するSFらしい前半に比べ、風吹さんが登場する後半は「生と死」に向き合うドラマチックな展開。芙美との出会いでリナの心が動くのです。そんな芙美を演じた風吹さんに映画「Arc アーク」のこと、ライフスタイルのことなどインタビューしました。
永遠の命がテーマの映画でオリジナルキャラを熱演
―「Arc アーク」は、これまで見たことのない世界を描いていて新鮮でした。風吹さんは後半に登場する芙美という役ですが、原作(ケン・リュウ著の短篇集『もののあわれ』の中の短篇『円弧(アーク)』)にはない、映画オリジナルのキャラクター。難役だったのではないでしょうか。
風吹ジュンさん(以下、風吹ジュン)
芙美の夫・利仁の役を小林薫さんが演じているのですが、薫さん頼みでした。仲のいい夫婦という設定なので、芙美は薫さんが演じる利仁のトーンに合わせて、二人が一つの世界で仲良く生きていくカップルであればいいんだと思って演じましたね。
もともと「芙美は元気で明るい人」というイメージが自分の中で出来ていましたので、リナに利仁との出会いのときめきを話すシーンなど、セリフのひとつひとつにキャラクターが表れていたと思います。
ただ、リナは人類史上初めて、30歳の姿のまま永遠の命を得た女性で、見た目は若いけれど、実年齢は芙美より年上。だから年長者に対するように、リナとのシーンは言葉遣いに気を付けました。
映画を見終わってから思いを巡らせてほしい
―利仁と芙美は、不老化処置の施術を受けなかった夫婦として映画に登場しますが、お二人が出てきてから映画の中に愛情が流れてきたような気がして、ホッとしました。風吹さんは完成した映画をご覧になっていかがでしたか?
風吹ジュン
この映画は本当に脚本が素晴らしかったし、石川慶監督も大好きな演出家さんなので、クランクインが楽しみで仕方なかったんです。
完成した映画を見たとき、プラスティネーション技術が出てくる前半は、踊りのシーンも強烈なので、観客のみなさんがどう解釈するかなと思いましたが、この映画は最後まで受け止めてから、いろいろなことが見えたり、感じたりできる映画だと思います。「これはどういう意味だろう」と考えながら見るのではなく、映画が終わってから、さまざまなシーンを思い出して、思いを巡らせる映画なのではないでしょうか。
―確かに! あとからジワジワと来る映画で、もう1回見たいと思いますし、原作も読んで、もっと理解を深めたいと思う作品でした。
風吹ジュン
そうなんですよ。考えずに素直に見ていると不思議な感動をもたらす映画なんです。これは石川監督の演出の技なのかもしれません。
死は決して悲劇ではなく、命をつなぐこと
―この映画で描かれる「永遠の命」について、風吹さんはどうお考えですか?
風吹ジュン
この映画の良いところは、年を取ることが素敵に描かれていることです。リナは不老不死を選びますが、自然に年を重ねていくこと、生まれてから亡くなるまでが石川監督がこの映画で言いたかった「アーク(円弧)」なのだと思います。原作者のケン・リュウさんも同じ思いだったのではないでしょうか。
亡くなることが悲劇ではなく、命をつないでいくという意味のあること。薫さんと私が演じた利仁と芙美は自然に年を重ねていった夫婦で、二人の世界はとても素敵でした。映画を見ていただければ、年を重ねることはネガティブなことではないと感じ取っていただけると思います。
実は、年を取るのが楽しみです!
―風吹さんは長いキャリアの中で、年を重ねていくことで役が変わったと感じたり、女優としての意識の変化があったりということはありますか?
風吹ジュン
そのときの私の年齢が求められているのかなと思うことはありますが、何より私は、新しい作品で、新しい世界に触れることが喜びなんです。年齢とともに、依頼される役がどんどん変化していきますから、老いていくのが楽しみなくらいです。
風吹ジュン(ふぶき・じゅん)
1952年、富山県生まれ。1975年、ドラマ「寺内貫太郎一家2」で女優デビュー。91年、竹中直人監督作「無能の人」で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。99年には中原俊監督作「コキーユ 貝殻」で報知映画賞最優秀主演女優賞を受賞。ほか映画、ドラマなどで活躍。近年の作品として、是枝裕和監督作「そして父になる」(2013)「海街diary」(2015)山田洋次監督作「東京家族」(2013)「男はつらいよ」シリーズ(2016~2018)中野量太監督作「浅田家!」(2020)など。
「Arc アーク」
(2021年6月25日公開)
監督:石川慶
出演:芳根京子、寺島しのぶ、岡田将生、清水くるみ、井之脇海、中川翼、中村ゆり/倍賞千恵子/風吹ジュン、小林薫
(C)2021映画『Arc』製作委員会
ヘアメイク:石邑麻由、英語表記の場合:Mayu Ishimura
スタイリスト:岡本純子(Afelia)、英語表記の場合:Junko Okamoto
取材・文=斎藤香 写真=泉三郎 編集=鳥居史(ハルメクWEB)
■もっと知りたい■
- 寺島しのぶ!老いていく自分を笑い飛ばしたい
- 本音があふれる!女優インタビュー記事一覧
- 中山美穂のキレイの秘密は…ストレスフリー生活にあり
- 松嶋菜々子!忙しい女優業と母親業を両立する秘訣
- 安田成美!外見ではなく内面を育てるために
- 高畑淳子!大人こそ恋愛や人生を楽しんでほしい
- 熊谷真実!18歳年下夫との幸せライフの秘密
- 元・宝塚トップ真飛聖!遅咲きだから女性を楽しみたい
- 松雪泰子47歳!運動とグルテンフリー食を続ける理由
- 永作博美50歳!ストレス解消術は家事効率化?
- 黒木瞳!老化は怖がってもいい…自然体の魅力
- 鈴木保奈美!女優史上一番のダメ女を演じた舞台裏は?
- 室井滋!大人になって知った故郷の魅力
- 夏木マリの暮らし!格好良いスタイルの源は利便性
- 富司純子75歳!女優業のこだわりと暮らし
- 国生さゆり!元アイドルが乃木坂46遠藤さくらの母に
- ミニスカ伝説のモデル!ツイッギーは今何してる?
- 松下由樹!葬儀社の役作りで気付いた終活の意義
- 高岡早紀!魔性の女の素顔……実はかなり〇〇
- オトナ女性の新常識!?イマドキ情報一覧はコチラ>
-
子に遺すべき資産は?
「現金」か「不動産」か…どっちが得?メリット・デメリットは?相続や親族間のトラブルに悩まされないためにしておくべき準備とは -
突然の我慢できない尿意
実は多くのハルメク世代が悩んでいる「尿トラブル」…中には上手に対策をしている人も!気軽にできる対策って? -
個人情報管理できてる?
銀行口座・保険・クレジットカードなど、「デジタルの情報」をきちんと管理できていますか?煩雑にしていると思わぬ落とし穴が… -
お金の管理が簡単に!
三井住友銀行アプリに「シンプルモード」が新登場!スマホ操作が苦手な人でも簡単に使える便利機能が満載です! -
認知症セルフチェック
「もの忘れが増えた」「名前が思い出せない」という症状に心当たりがある方は要注意!それ、「認知機能のレベル低下」が原因かもしれません… -
健気な姿がかわいい!
「思わず笑顔になる」と巷で話題の「永遠の2歳児・ニコボ」!ハルメク世代の2人に、ニコボとの生活にハマる理由をお聞きしました! -
生前親に●●聞き忘れると
老親の契約や登録しているサービス、これらを子が把握していないと将来ムダな出費や面倒なトラブルに発展する可能性が!特に見落としがちなのは… -
50代~お金の増やし方
将来を見据えて、50代から「まとまった資金の調達」が重要になります。どんな選択肢があるか、ご存知ですか? -
60日で英語が話せる!
英語をマスターするのに「完璧」はいらない!初心者でも60日で英語が話せるようになる、驚きの3つのコツとは? -
今なら無料でお試し!
将来、自分の認知機能が低下するリスクがあるか、簡単に予測できるサービスが誕生。今なら無料で先行利用できます! -
おひとり様の備えはOK?
この先「おひとり様」になったら意外な落とし穴がいっぱい…。そんな不安に備える、おひとり様専用お助けサービスが誕生! -
50代から1日1分脳トレ
認知機能を衰えさせないためには、早い時期から「脳を活性化」させることが大切。脳トレ効果がグッとアップするコツって?