立川志の輔の落語を中井貴一が制作指揮で映画化

中井貴一!惚れたらトコトン追及「大河への道」とは?

公開日:2022.05.21

更新日:2022.05.21

中井貴一さんが出演する映画「大河への道」は、日本地図を作り上げた伊能忠敬の生涯を大河ドラマにしようと奔走する千葉県市役所の職員たちの姿と日本地図完成の裏側を描いた作品。撮影裏側と役作り、そして俳優としての生き方について聞きました。

日本地図を作った伊能忠敬の大河ドラマを実現させる物語

中井貴一さん主演の最新映画「大河への道」(2022年5月20日公開)は、立川志の輔さんの新作落語「大河への道-伊能忠敬物語-」が原作。この落語に感銘をうけた中井貴一さんが、直接、立川志の輔さんに映画化を打診し、制作にも関わった力作です。

江戸時代に日本地図を作った人物として知られる伊能忠敬の地元・千葉県・香取市の市役所の職員・池本(中井貴一)が、伊能忠敬の大河ドラマを実現させるべく奔走するものの、実は「日本地図を完成させたのは伊能忠敬ではなかった!」という真実が判明。では「日本地図は完成させたのは誰なのか?」という謎を、江戸時代まで遡り、紐解いていく物語です。

伊能忠敬をめぐり、二つの時代が描かれるという実に凝った構成の本作で、現代劇では市役所の池本、時代劇では伊能隊をサポートした天文学者の高橋景保を演じている中井貴一さん。この作品の魅力と撮影の裏側、そしてライフスタイルまで、様々なお話しを伺いました。
 

二つの時代。現代劇が喜劇なら時代劇も面白くなる!

中井貴一!惚れたらトコトン追及「大河への道」とは?

――映画「大河への道」は、現代と江戸時代、二つの時代を行き来する、実に贅沢な作品ですね。中井さんは制作にも関わっていますが、立川志の輔さんの落語を映画化しようと思ったきっかけは?

中井貴一さん(以下、中井貴一)
志の輔さんとは、僕が出演した舞台「メルシー!おもてなし~志の輔らくごMIX~」(2016)で知り合いまして、そのとき、志の輔さんの落語「大河への道」のことを知りました。タイトルから、きっと歴史上の人物が主人公の壮大なお話なのだろうと想像していたのです。ところが実際に落語を聞かせていただいたら、大河というのは、大河ドラマのことで「そっちだったか!」と(笑)。でも逆にとても楽しく拝聴できました。

――落語「大河への道」に感銘を受けて映画化へと話を進めていったのですね?

中井貴一
僕はここ数年、時代劇という素晴らしい日本の文化をどのようにして後世に残してい行ったらいいのかとずっと考えていたんです。おそらく、いろいろなパターンに挑戦していかないといけないのではないかと思っていたところ、志の輔さんの「大河への道」に出会いました。

この物語だったら、現代劇と時代劇をミックスできる!現代劇を喜劇にすれば、時代劇もお客さんは楽しんで見てくれるのではないかと思ったのです。現代劇と時代劇をミックスさせた映画はこれまでもありましたが、タイムスリップする作品が多いのです。でもこの物語ならば、タイムスリップせずに、現代と江戸時代をつなぐことができると考えて、志の輔さんに映画化の話を持っていきました。

松山ケンイチさんには自ら出演交渉、脚本完成には5年

――でも制作と主演を兼任するのは大変ではないかと思いますが、実際に取り組んでみていかがでしたか?

中井貴一
最初は出演するつもりはなく、企画だけで裏方に徹するつもりだったんですが、プロデューサーから「この作品は貴一さんが出演しないとダメですよ」と言われまして。僕は「企画と主演だなんて、やりたがりみたいで嫌だ」と言ったのです。でも、現代劇と時代劇は同じキャスティングでやった方がいいという話になり、やはり志の輔さんの「大河への道」の魅力をよく知っていて、企画も立ち上げた僕がやるべきという話になったんです。

――そうなのですね。キャスティングや脚本にも関わっているのですか?

中井貴一
はい。まず池本の部下の木下役は「松山ケンイチくんがいい」と僕が松山君に直接連絡をして出演依頼をしました。脚本はドラマ「JIN-仁」や大河ドラマ「おんな城主 直虎」などの森下佳子さんにお願いをしました。

でも「伊能忠敬は、日本地図完成まで携わっていないから大河ドラマにならない」という設定のはずが、森下さんに「伊能忠敬を調べれば調べるほど、大河ドラマの主役になれるほど魅力的な人物なのですが」と言われ、これはどうしたものかと悩みました。原案の落語をひっくり返すわけにはいかないので、スタッフみんなで思考錯誤を繰り返しながら、森下さんに書き上げていただきました。落語の内容にリアリティを加えていくなど、作業は細かく、脚本作りには5年くらい要しましたね。

現代劇と時代劇は、同じ俳優でチャレンジ

中井貴一!惚れたらトコトン追及「大河への道」とは?

――まさに力作ですね!主要キャストのみなさんは、一つの作品で現代劇と時代劇で違う役を演じていますが、大変ではなかったですか?

中井貴一
それは大丈夫です。俳優のみなさんは芝居がうまい人ばかりだったので、楽しんで演じてくれたと思います。また同じ俳優が二つの時代を演じることで、観客の皆さんも混乱することなく、スっと物語に入っていけるし、登場人物に感情移入しやすく楽しんでいただけますよ!

中井貴一(なかい・きいち)プロフィール

1961年東京生まれ。81年に映画「連合艦隊」で俳優デビューし、山田太一脚本のドラマ「ふぞろいの林檎たち」(83~97年)が大ヒット。ほか大河ドラマ「武田信玄」(88年)など多数のドラマに出演。映画出演も多く、中国映画「ヘブン・アンド・アース 天地英雄」など国際的にも活躍している。「四十七人の刺客」(94年)で日本アカデミー賞助演男優賞、「壬生義士伝」(2003年)では日本アカデミー賞主演男優賞を受賞。「記憶にございません!」(2019年)では、ブルーリボン主演男優賞、報知映画賞主演男優賞を受賞した。

「大河への道」

 

(2022年5月20日公開)
原作:立川志の輔「大河への道-伊能忠敬物語−大河への道−」
監督:中西健二
脚本:森下佳子
出演:出演:中井貴一 松山ケンイチ 北川景子


取材・文=斎藤香 写真=中村好伸 編集=鳥居史(ハルメクWEB)

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ハルメク365編集部

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