松山ケンイチ!東京と田舎の二拠点生活を決めた理由
2022.05.282022年05月21日
映画「大河への道」で中井貴一、橋爪功の演技に感銘
松山ケンイチ!演じる時は今しかできないことを考える
映画「大河への道」に出演している松山ケンイチさん。地元の偉人、伊能忠敬を大河ドラマの主人公にするために奔走する市役所職員を演じています。そんな松山さんに映画撮影の裏側についてインタビューしました。
映画「大河への道」で見せた現代と江戸時代の役どころ
松山ケンイチさんが出演している映画「大河への道」は、立川志の輔さんの新作落語「大河への道-伊能忠敬物語-」をベースにした作品。日本地図を作った男として有名な伊能忠敬の地元・千葉県・香取市の市役所職員たちが「伊能忠敬の大河ドラマを!」と懸命に働きかける姿を描きつつ、江戸時代に遡り、伊能がなぜ日本地図を完成させることができたのかというドラマも描いています。つまり伊能忠敬を中心に現代と江戸時代、2つの時代をミックスした映画なのです。
松山さんは、現代編では、市役所の池本(中井貴一)の部下・木下を、江戸時代編では、伊能忠敬を支えた高橋景保(中井貴一)の助手・又吉を演じています。松山さんに、2つの時代を描いた本作の撮影裏話を伺いました。
中井貴一さんは芸能界における父親のような存在
――「大河への道」は、企画にも関わっている中井貴一さんから出演依頼があったそうですね。
松山ケンイチさん(以下、松山ケンイチ)
はい。僕がNHK大河ドラマ「平清盛」(2012年)に清盛役で主演したとき、中井貴一さんは平清盛の父親・平忠盛役でした。大河ドラマ初出演の自分の緊張をほぐしてくれたり、いろいろな相談に乗ってくれたりと、芸能界での父親のような存在です。今回は上司と部下という間柄の役ですが、貴一さんと僕の普段の関係の延長線上にあるような池本と木下なので、共演を大いに楽しみました。
――松山さんが演じた木下は、とてもひょうひょうとしていて、つかみどころのないタイプですが、木下のキャラクターをどのように捉えて演じたのでしょうか?
松山ケンイチ
木下は、中井貴一さんと相談しながら作り上げたキャラクターです。何不自由なく育ってきた木下は、素直で忖度のない男。だから相手が上司でも、思っていることをすぐ口にするんです。伊能忠敬の地図を見て、池本が「すごいだろ」というシーンがあるのですが、台本では「すごいですね」と木下が同意するセリフでした。でも貴一さんと相談して、木下が池本に軽くつっこむセリフに変えたんです。ツッコミがあった方がキャラクターが際立つと思ったからです。
でも生意気という感じでもなく、脚本家の加藤先生(橋爪功)を招くシーンではおもてなしのお菓子をきちんと用意するなど、彼なりに「ここは大事だ!」と思ったら懸命に取り組む一面もあります。
正直、扱いにくい男でしょうね(笑)。でもそんな彼を受け止めてくれるのが池本。人としての器の大きさが違うんですよね。池本と木下の関係性は、僕と中井貴一さんの関係でもあり、そういう一面をこの映画では出していきたいと思いました。
伊能忠敬の生き様を知り、今しかできないことを考えた
――原作になった立川志の輔さんの落語「大河への道-伊能忠敬物語-」を聞かれたそうですが、いかがでしたか?
松山ケンイチ
志の輔さんの声は迫力があるので、ならず者とかを演じられるとすごくハマるんですが、この落語ではその迫力ある声で市役所の人物を演じて笑わせてくれるんです。僕は志の輔さんの落語を参考にしながら、木下を魅力的に演じたいとその方法を模索していました。
――松山さん自身は伊能忠敬について、どんな印象がありましたか?
松山ケンイチ
伊能忠敬は、地図作りを50代から始めているんです。自分はまだ50代ではないので、その年齢の人の体力知力について身をもってはわかりませんが、20代、30代ならばまだ体力もあるから、エネルギーを全て注いで頑張れると思うし、失敗しても再トライできると思うんです。でも、50代からのスタートだといろいろな面で、若い頃よりも厳しい側面があると思います。だからこそ伊能忠敬はすごいなと。その生き様を知り、僕は今しかできないことについて考えましたし、時間は無駄にできないと思いました。
橋爪功さんのお芝居に感銘を受ける
――コロナ禍での撮影だったそうですが、やはり役者さん同士のコミュニケーションは取りにくかったですか?
松山ケンイチ
確かに新型コロナ感染拡大の前の映画撮影現場とはだいぶ違っていましたが、スタッフキャストの皆さん、その事が影響しないように工夫していたし、その工夫がいい形で映画に表れていると思います。僕は、脚本家の加藤先生を演じた橋爪功さんとも一緒のシーンが多かったので、いろいろなことを学ばせていただきました。
劇中、池本が何度頭を下げても、加藤先生は「伊能忠敬の脚本は書かない」とつっぱねるのですが、なぜ書かないか。その理由を話すシーンがすごく好きなんです。脚本作りをとても愛していて、テーマにも愛情をもって取り組んでいる加藤先生は、伊能忠敬だけではなく、名も無き高橋景保たちにも目を配っていたんです。そんな加藤先生の人間性がすごくよく表れているシーンで、橋爪さんのお芝居が本当に素晴らしいんです。僕もいつか、あんな演技ができるようになりたいと思いましたね。
松山ケンイチ(まつやま・けんいち)
1985年青森県生まれ。2002年、ドラマ「ごくせん」(日本テレビ)で俳優デビュー。映画「男たちの大和/YAMATO」(05年)で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。人気漫画の実写映画化「デスノート」シリーズ(06年)で天才探偵Lを演じてブレイク。以降、映画、ドラマを中心に幅広く活躍。ドラマではNHK「こもりびと」(20年)、TBS日曜劇場「日本沈没-希望のひと-」(21年)など。映画では「BLUE/ブルー」(21年)、「ノイズ」(22年)など。「聖の青春」(16年)では日本アカデミー賞優秀主演男優賞、ブルーリボン賞主演男優賞を受賞した。公開待機作に「川っぺりムコリッタ」(22年9月)、「ロストケア」(23年)がある。
「大河への道」
(2022年5月20日公開)
原作:立川志の輔「大河への道-伊能忠敬物語−大河への道−」
監督:中西健二
脚本:森下佳子
出演:出演:中井貴一 松山ケンイチ 北川景子
衣装=ベスト3万6300円、パンツ3万5200円(全て税込み)/ともにマーカ(パーキング
)、シャツ参考商品/ジョセフ アブード(オンワード樫山)
取材・文=斎藤香 写真=中村好伸 スタイリスト=五十嵐堂寿 ヘアメイク=勇見勝彦(THYMON Inc.) 編集=鳥居史(ハルメクWEB)
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