50歳前後のいびきは更年期が原因かも!対策法は?

女性のいびき対策5つ!主な原因&早く治すべき理由も

草ヶ谷英樹
監修者
草ヶ谷医院
草ヶ谷英樹

更新日:2024.04.18

いびきは自分では気付けないことも多く、周りの人に迷惑がかかってしまったり、気付かず放置してしまうと健康を害したりする恐れもあります。特に女性の場合は、旅行などで恥ずかしい思いをしてしまうこともあるため、主な原因や対処法を知っておきましょう。

女性のいびき対策5つ!主な原因&早く治すべき理由も

女性がいびきをかく主な原因

女性がいびきをかく主な原因

いびきは、睡眠中に何らかの原因によって空気の通り道である「上気道」が狭くなり、そこを空気が通るときに気道壁が振動することで起こります。

一般的に、男性よりも女性の方がいびきをかきにくいといわれていますが、女性の場合は男女共通の原因の他に、女性特有の原因でいびきが生じることもあります。

特に45〜55歳頃の更年期は、さまざまな体の不調が起こりやすく、それに伴っていびきが増えることもあるため注意が必要です。

では、上気道が狭くなってしまう原因には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

風邪やアレルギーなどによる鼻詰まり

風邪やハウスダストなどによるアレルギー性鼻炎、花粉症などで鼻詰まりが起こっていると、女性でもいびきをかくことがあります。

これは、鼻が詰まると鼻呼吸ができなくなり、自然と口呼吸をするようになるためです。口呼吸になると、舌が下がって気道が狭くなり、いびきをかきやすくなります。

風邪によって鼻詰まりが起こる急性鼻炎の場合は、風邪が治ることでいびきが出なくなります。

しかし、アレルギー性鼻炎や花粉症などの慢性的な鼻炎の場合は、そのまま放置してしまうと副鼻腔炎(蓄膿症)を合併してさらに悪化する可能性もあるでしょう。

また、鼻の症状でいうと鼻中隔湾曲症や鼻茸(鼻の中にできるポリープ)、良性腫瘍、アデノイド(鼻の奥にあるリンパの塊)が腫れている場合など、風邪やアレルギー性鼻炎以外の場合もいびきが起こりやすくなる可能性があるため、気になる症状があるときは早めに医療機関を受診することが大切です。

肥満

性別に関係なくいびきの原因となるのが、肥満です。

肥満になると、首まわりに脂肪がついて舌が後方に押し出されます。喉の裏側にも脂肪が付き、喉の奥の壁(咽頭後壁)が前方に押し出され、前後からの圧迫によって気道が狭くなることで、いびきが出るようになります。

また、扁桃腺の裏側や口蓋垂(のどちんこ)を支える軟口蓋、舌自体にも脂肪がついて喉が狭くなってしまい、そこに空気が流れることによっていびきが起こることもあるでしょう。

一般的に、女性は40〜50代になると、若い頃と比べて筋肉量が落ちやすく、それによって基礎代謝が低下して脂肪が付きやすくなるとされています。

それに加えて女性ホルモンの分泌量低下によって、血中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)中性脂肪が増えやすく、肥満が起こりやすくなるため、いびきにも注意が必要になります。

疲労やストレス

疲労やストレスによる「単純性いびき」と呼ばれるいびきも、性別に関係なく起こります。

過度の疲れストレスは、首や肩、背中の筋肉が緊張する原因です。疲れやストレスがたまると、体は全身の筋肉をゆるめて休ませようとする作用が働きます。

この作用によって喉周辺の筋肉がゆるんでしまうと、舌が沈んで気道が狭くなり、いびきが発生してしまいます。

50代頃の女性は、毎日忙しく仕事や家事をこなしています。睡眠時間が短い人も多く、その中で人間関係や金銭面などさまざまなことで悩んでいる場合もあるため、疲労やストレスによるいびきに注意が必要です。

骨格や顔立ち

一般的に、いびきというと太った人や男性に起こるものというイメージがありますが、痩せている女性でも顔の骨格や顔立ちによっては、いびきをかくことがあります。

いびきが起こりやすいのは、あごが小さい場合や歯の噛み合わせが悪い場合です。日本人を含むアジア系の人種は、もともとあごの骨格が小さいうえ、下あごが後方に下がって噛み合わせが悪くなっていることも多いです。

特に女性は骨格が男性よりも細く、あごの骨格も小さい場合が多いため、太っていなくてもいびきをかくことがあります。

更年期

女性の更年期とは、閉経前後の約10年間の時期のことです。一般的に45〜55歳頃になることが多いといわれていますが、時期も症状も個人差が大きく、ほとんど影響を受けない人もいれば、病院にかかるほど症状が重くなる人もいます。

更年期になると、女性ホルモンの分泌量が大幅に減少します。

舌を支えるオトガイ舌筋という筋肉の活性化には、女性ホルモンの一種である「プロゲステロン」が関係しているといわれていることから、更年期によってプロゲステロンが減少したことで気道が狭くなり、いびきが出やすくなっている可能性もあるでしょう。

また、更年期によるほてりや発汗などの血管運動神経症状や、不安抑うつなどの精神症状も、いびきの原因の一つです。

これらの症状が夜間に起こると、寝付きが悪くなったり途中で何度も目が覚めたりなどの睡眠障害が現れます。すると、体が心身の緊張をほぐそうと筋肉をゆるめてしまうため、喉周辺の筋肉もゆるんで気道が狭くなり、いびきが出やすくなってしまいます。

いびきを早く治すべき理由

いびきを早く治すべき理由

いびきが出ていることがわかっていながら長時間放置すると、以下のように健康を害したり家族やパートナーに迷惑がかかったりする恐れもあるため、早めに治しておきましょう。

健康を害する可能性がある

いびきを長期間放置していると「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が停止する「無呼吸状態」や、止まりかける「低呼吸状態」が何度も繰り返される病気で、平均して1時間に5回以上無呼吸や低呼吸が起こった場合に診断されます。

睡眠時無呼吸症候群によって窒息死することはありませんが、無呼吸や低呼吸は心臓に大きな負担をかけ、動脈硬化不整脈、ひいては心筋梗塞を引き起こす恐れもあります。

また、新陳代謝に異常が生じて肥満になり、さらにいびきを悪化させることもあるでしょう。

それに加えて、眠りの浅さが血圧や血糖値の上昇を招くことで、高血圧糖尿病を引き起こすなど、生活習慣病のリスクも高まります。

周囲に迷惑がかかる

いびきがひどいと、近くで鳴る救急車のサイレンや、鉄道の線路脇、パチンコ屋の店内などと同じくらいの大きさになることから、毎日続くいびきを放置することによって、同居している家族やパートナーが眠れなくなってしまうことが考えられます。

慢性的な睡眠不足は大きなストレスの原因となり、生活に支障が出てしまうだけでなく、家族やパートナーとの関係を悪化させることもあるでしょう。

また、友人と旅行に行ったときなどに恥ずかしい思いをしたり、相手に迷惑をかけたりすることもあるため、早めに対処しておくことをおすすめします。

いびき対策が知りたい!女性におすすめの対策法

いびき対策が知りたい!女性におすすめの対策法

いびきは家族やパートナーに迷惑をかけるだけでなく、健康を害する恐れもあります。

軽度ないびきであればセルフケアで治せる場合もあるため、そのまま放置せず早めに対策しておくべきです。

ここからは、女性におすすめのいびき対策を5つご紹介します。

横向きの姿勢で寝る

もっとも簡単にできるのが、横向きの姿勢で寝る方法です。

仰向けで寝ると舌が喉に下がっていびきをかきやすくなりますが、横向きに寝ることで舌の落ち込みを防ぐことができます。

とはいえ、寝ている間は無意識に姿勢を変えてしまうものです。

仰向けになっても気道が塞がりにくいに変えてみたり、抱き枕を使って横向きの姿勢をキープしやすくしてみたり、就寝時にベッドや壁に背中をつけてみたりなどして工夫しましょう。

口呼吸を改善する

口呼吸の改善も、いびきの予防・改善に役立ちます。

例えば、マウステープや鼻腔を拡張するテープを貼るなど、口呼吸を防止するグッズを使うのもよいでしょう。

また、室内の湿度を見直すのも一つの方法です。空気が乾燥していると、鼻が詰まって口呼吸になりやすいため、室内の湿度は40〜60%程度を保つように加湿器などで調節してください。

生活習慣を整える

軽度のいびきであれば、生活習慣を整えることで改善できる可能性があります。

就寝前のアルコールの摂取は、舌の筋肉をゆるませていびきが出やすくなる原因です。特に仰向けで寝ることが多い場合は、舌が後方に落ちて気道が狭くなりやすくなります。

また、就寝前の喫煙も睡眠の質を低下させる原因の一つです。

睡眠の質を向上させ、いびきを予防・改善するためにも、就寝前の飲酒や喫煙を控えるよう心掛けましょう。

なお、睡眠の質の向上を図るのであれば、就寝前の飲酒や喫煙を控えるとともに1日3分の「深睡眠ストレッチ」を行うのがおすすめです。

布団に入る直前に、以下の方法で「1分間 腕回しストレッチ」を行いましょう。

  1. 腕を曲げ、脇を開いて肘を上げる。手を軽く握って腕を曲げ、脇を開きながらゆっくりと肘を肩の高さくらいまで上げる
  2. 腕を後ろに大きくゆっくり回し、左右の肩甲骨を寄せるように、そのまま後ろに向かって大きくぐるりと回す
  3. 回した肘が体の前にきたら、両手を組んで手のひらを前に向け、腕を前にまっすぐ伸ばす
  4. 腕を頭の上に持っていき、ぐっと伸ばして2秒キープし、腕を下ろす。
  5. ここまでの動きを1分間に5〜6回のペースでゆっくり行う

標準体重を目指して減量する

数日のうちにいびきを改善できるわけではありませんが、肥満によるいびきを根本的に解消するなら減量するのがおすすめです。

食事や運動の習慣を見直し、睡眠の質を上げるなどして、標準体重を目指しましょう。

食事は、主食と主菜、副菜の栄養バランスをしっかりと考え、1日3食を規則正しく食べるようにします。食事量にも注意し、早食いやドカ食いを防ぐために柔らかいものばかり食べないよう心掛け、ゆっくりと噛んで食べるようにしましょう。

食生活の改善とともに、ウォーキング水泳などの有酸素運動を取り入れ、筋肉量を増やすことも大切です。長期間継続するためにも、軽い運動を自分ができるペースで取り入れることをおすすめします。

医療機関を受診する

セルフケアでいびきが改善しない場合は、何らかの病気が原因でいびきが出ている可能性もあるため、「耳鼻咽喉科」や睡眠時無呼吸症候群の診療を行っている「呼吸器科」、「循環器内科」、「睡眠外来」、「歯科」などの医療機関を受診して医師の指示に従って適切な治療を受ける必要があります。

治療が必要とされるのは、十分な睡眠が取れていない場合です。

たまにいびきをかく、いびきをかいていても朝はスッキリ起きられる、日中に眠気を感じないなどの場合は、大きなトラブルにならないことの方が多いでしょう。

しかし毎日いびきをかく、夜中に何度も目が覚めて睡眠が十分に取れていないと感じる、いびきの音が大きいなどの場合は、治療が必要になることもあります。

特に更年期頃の女性は、さまざまな病気のリスクも高まっているため、早めに対処しましょう。

女性のいびきは原因に適した対策で早めに治そう!

いびきは男性のものというイメージが強いですが、女性も年齢を重ねるといびきをかく人が増えてきます。

風邪やアレルギーなどによる鼻詰まりや、肥満、疲労やストレス、骨格や顔立ちなどが原因となるほか、女性の場合は、更年期による女性ホルモンの急激な減少がいびきを引き起こすことがあります。

いびきが長期化すると、家族やパートナーの睡眠を妨げてしまったり、健康に害が及ぶ可能性もあるため、早めに対策することが大切です。

自分では原因がわからないときは医療機関に相談し、適切な対策を行いましょう。

※効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。

監修者プロフィール:草ヶ谷英樹さん

監修者プロフィール:草ヶ谷英樹さん

医学博士、日本内科学会 内科認定医/総合内科専門医、日本呼吸器学会 呼吸器専門医・指導医。大学病院勤務中に、精巣腫瘍や原因不明の顎関節症などで長期入院を経験。自分が患者の立場になり、もっと患者に寄りそう自分らしい医療に取り組みたいと考え、2021年に祖父・父から続く「草ヶ谷医院」を継承し独立。

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