- ハルメク365トップ
- 美と健康
- 健康
- 「動脈硬化」を予防する、食事のポイントとは?
悪玉と呼ばれるLDLコレステロールが増え過ぎると、動脈硬化を引き起こし心筋梗塞などの原因になるため、日々の食事に気を付けている人は多いと思います。でもコレステロール摂取量より大切なことがあると、ニコークリニック院長の田中裕幸さんは言います。
教えてくれた人:田中裕幸さん(循環器専門医)
たなか・ひろゆき ニコークリニック院長。1954(昭和29)年生まれ。長崎大学医学部卒業。九州大学医学部皮膚科、久留米大学第三内科(循環器)を経て、医療法人ニコークリニック開業。日本性差医学・医療学会評議員、更年期と加齢のヘルスケア学会幹事、女性医療ネットワーク理事などを務める。著書に『男は40代、女は50代から悪玉コレステロールの罠にはまるな』(青萠堂刊)。
コレステロールの摂取量に制限はない?
日本では長い間、コレステロールは悪者にされ、スーパーなどには「コレステロールゼロ」などとうたった食品が並んでいます。ところが、2015年から日本でコレステロールの摂取制限がなくなったことをご存じでしたか?
「そもそもコレステロールは食事で取り込まれたもの以外に、糖質からも作られます。コレステロールの摂取が少なければ、肝臓でコレステロールの合成が進み、摂取が多ければ、肝臓での合成が抑えられます」と田中さん。
コレステロール含有量の高いものを食べても、低いものを食べても、血中のコレステロール値はほとんど変わらないという調査結果も出ています。
「以前、テレビの健康番組などで1日のコレステロール摂取量を300mg以下にするよう盛んに言われていましたが、あれはある意味“ウソ”。重要なのは、コレステロールを取る・取らないではなく、食べるものの質なのです」
動脈硬化予防:コレステロール改善にはリノール酸を避けることから
では動脈硬化を防ぐために、食事で何に気を付ければよいのでしょう。田中さんの調査では、食事に含まれる脂肪のうちリノール酸が多いと、LDLコレステロールが上昇し、動脈硬化が進みやすくなることがわかったといいます。
「リノール酸は、肉の脂にも含まれますが、最も多く含まれているのは植物油です。患者さんの食事指導で『魚を増やし、肉と植物油を控えてください』と言うと、ほぼ確実にLDLコレステロールが低下します」と田中さん。リノール酸は、植物油以外にも、マヨネーズやパン、菓子類などに多く含まれるので、好きな人は注意しましょう。
「逆に積極的に取りたいのが、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)、エゴマ油といったオメガ3系の脂肪酸です。コレステロールの質がよくなり、「血管年齢」を若返らせることができるため、動脈硬化の改善につながります。『コレステロール改善は食事から、特に油から。コレステロールは制限しなくていい』と覚えておきましょう」
動脈硬化予防:血管年齢を若返らせる5つの食事ポイント
ポイント1:調理に使う油は植物油を避ける
リノール酸の摂取が多い食生活を続けていると、血栓ができやすくなり、動脈硬化を促す重大なリスクとなります。加熱調理には、リノール酸の多い植物油を避け、比較的リノール酸の少ないオリーブオイルを使うと、LDLコレステロールを上げることはありません。サラダのドレッシングなど加熱調理しない場合には、オメガ3系のエゴマ油やアマニ油がおすすめです。
ポイント2:パンや菓子類の見えない油に注意する
トランス脂肪酸は、LDLコレステロールを増やして血管をもろくし、過剰摂取すると動脈硬化や心疾患のリスクを高めます。トランス脂肪酸は、揚げ物やパン、お菓子などに多く含まれています。パンや菓子類を買うときは、原材料に植物油脂、マーガリン、ショートニングとあるものは避けましょう。
ポイント3:週2回は魚料理、または刺し身を毎日食べる
マグロ、青魚など油の多い魚を積極的に食べましょう。EPAやDHAの摂取量を増やすことが、血管の若返りにつながります。魚料理を最低でも週2回、または刺し身を毎日8切れ食べることをおすすめします。調理法は生が一番ですが、煮たり蒸したりした場合は、汁ごと落ちた油も食べましょう。
ポイント4:肉類は赤身を選び、脂を控える
牛肉や豚肉の脂身には、リノール酸が多く含まれています。とはいえ、肉は良質なたんぱく源でもあるので、赤身を選ぶなど工夫して食べるようにしましょう。ポイント3で、魚の油はしっかり食べるように伝えましたが、肉の場合は逆です。なるべく脂を落として食べるように心掛けてください。
ポイント5:卵は油を使わずに調理すれば、むしろ食べるべき
女性では卵の摂取によりLDLコレステロールが上昇するという研究結果がありますが、それは卵の調理法が大きく影響していると考えられます。油を使う卵焼きや炒り卵は控え、ゆで卵や生卵で食べましょう。
卵は貴重な必須アミノ酸の供給源なので、調理法に気を付け、むしろ積極的に取るべきです。卵の栄養や卵レシピもチェックして、健康な生活を心掛けましょう。
取材・文=五十嵐香奈(ハルメク編集部)
※この記事は雑誌「ハルメク」2019年4月号に掲載した記事を再編集しています。
■もっと知りたい■
- 50代女性のコレステロール値が高くても大丈夫な理由
- 魚・いい油・糖質オフで「血管年齢」を若返らせよう
- 血管をしなやかに強くする!7つの生活習慣とは?
- 寝たきりの原因1位!「脳梗塞」を寄せ付けない
- コレステロール低下薬の5つの疑問に医師が回答!
※雑誌「ハルメク」は定期購読誌です。書店ではお買い求めいただけません。詳しくは雑誌ハルメクのサイトをご確認ください。
雑誌「ハルメク」
女性誌売り上げNo.1の生活実用情報誌。前向きに明るく生きるために、本当に価値ある情報をお届けします。健康、料理、おしゃれ、お金、著名人のインタビューなど幅広い情報が満載。人気連載の「きくち体操」「きものリフォーム」も。年間定期購読誌で、自宅に直接配送します。雑誌ハルメクサイトはこちら
-
子に遺すべき資産は?
「現金」か「不動産」か…どっちが得?メリット・デメリットは?相続や親族間のトラブルに悩まされないためにしておくべき準備とは -
突然の我慢できない尿意
実は多くのハルメク世代が悩んでいる「尿トラブル」…中には上手に対策をしている人も!気軽にできる対策って? -
個人情報管理できてる?
銀行口座・保険・クレジットカードなど、「デジタルの情報」をきちんと管理できていますか?煩雑にしていると思わぬ落とし穴が… -
お金の管理が簡単に!
三井住友銀行アプリに「シンプルモード」が新登場!スマホ操作が苦手な人でも簡単に使える便利機能が満載です! -
認知症セルフチェック
「もの忘れが増えた」「名前が思い出せない」という症状に心当たりがある方は要注意!それ、「認知機能のレベル低下」が原因かもしれません… -
健気な姿がかわいい!
「思わず笑顔になる」と巷で話題の「永遠の2歳児・ニコボ」!ハルメク世代の2人に、ニコボとの生活にハマる理由をお聞きしました! -
生前親に●●聞き忘れると
老親の契約や登録しているサービス、これらを子が把握していないと将来ムダな出費や面倒なトラブルに発展する可能性が!特に見落としがちなのは… -
50代~お金の増やし方
将来を見据えて、50代から「まとまった資金の調達」が重要になります。どんな選択肢があるか、ご存知ですか? -
60日で英語が話せる!
英語をマスターするのに「完璧」はいらない!初心者でも60日で英語が話せるようになる、驚きの3つのコツとは? -
今なら無料でお試し!
将来、自分の認知機能が低下するリスクがあるか、簡単に予測できるサービスが誕生。今なら無料で先行利用できます! -
おひとり様の備えはOK?
この先「おひとり様」になったら意外な落とし穴がいっぱい…。そんな不安に備える、おひとり様専用お助けサービスが誕生! -
50代から1日1分脳トレ
認知機能を衰えさせないためには、早い時期から「脳を活性化」させることが大切。脳トレ効果がグッとアップするコツって?