更年期以降の女性は要注意?コレステロール新対策#1

超悪玉コレステロールで動脈硬化!50代女性の注意点

公開日:2023.07.11

更新日:2024.04.12

動脈硬化などを引き起こし、死に至る病の原因にもなりうる悪玉コレステロール。そこで、全3回でコレステロールとの付き合い方を専門医に伺います。今回は、悪玉コレステロールの中でも特に注意したい「超悪玉コレステロール」についてです。

教えてくれたのは:田中裕幸(たなか・ひろゆき)さん

教えてくれたのは:田中裕幸(たなか・ひろゆき)さん

循環器専門医
1954(昭和29)年佐賀県生まれ。長崎大学医学部卒業。九州大学医学部、久留米大学第三内科(循環器)を経て、佐賀県武雄市で医療法人ニコークリニックを開業し、現在は名誉院長。日本性差医学・医療学会評議員、更年期と加齢のヘルスケア学会幹事など。著書に『男は40代、女は50代から悪玉コレステロールの罠にはまるな』(青萠堂刊)。

日本人の死因2位と4位は血管の異常!原因は動脈硬化

日本人の死因2位と4位は血管の異常!原因は動脈硬化

下の円グラフをご覧ください。日本人の死因第2位である「心疾患」(心筋梗塞など)と第4位の「脳血管疾患」(脳梗塞、脳出血など)は、どちらも血管の異常である「動脈硬化」が原因で起こります。

4~5人に1人は「血管の病気」で亡くなっている

日本人の死因2位と4位は血管の異常!原因は動脈硬化
主な死亡原因の割合(2021年)/出典:「令和3年人口動態統計(概要)」厚生労働省

「動脈硬化というのは、簡単に言うと、血管の壁の中にコレステロールがたまり、おかゆのような状態のコブができることです」と説明するのは循環器専門医の田中裕幸さん。

このコブは厚みが1.1mm以上あれば「プラーク」と呼ばれ、血流を悪くする他、放置して破れると血栓(血液のかたまり)ができ、心筋梗塞や脳梗塞につながります。

コレステロールが重大疾患につながる3ステップ

コレステロールが重大疾患につながる3ステップ

  1. コレステロール・中性脂肪の異常(脂質異常症)+高血圧・高血糖/喫煙/加齢
  2. 動脈硬化が起こる
  3. 狭心症・心筋梗塞、脳梗塞などを発症

動脈硬化の元凶「超悪玉コレステロール」は中性脂肪と関係が!?

動脈硬化の元凶「超悪玉コレステロール」は中性脂肪と関係が!?

動脈硬化の大きな危険因子となるのがコレステロール。コレステロールには善玉と悪玉があり、悪玉といわれるLDLコレステロールは長年、動脈硬化の元凶とされてきました。

しかし、「LDLコレステロールの中にも、動脈硬化を進めやすいタイプとそうでないタイプがあることがわかってきました」と田中さんは解説します。

「動脈硬化を進める超悪玉は、小型のLDLコレステロールです。サイズが小型だと血管壁に入り込みやすく、酸化されやすくなります。そのため小型のLDLコレステロールが増えると動脈硬化を起こしやすくなるのです」と田中さん。

血管壁に入り込む小型LDL(超悪玉)が動脈硬化を進める

血管壁に入り込む小型LDL(超悪玉)が動脈硬化を進める
出典:田中裕幸

超悪玉である小型のLDLコレステロールは、中性脂肪の値が高いと出現しやすいことがわかっています。

「男女で比較すると、一般的に女性は男性よりも中性脂肪値が低く、LDLコレステロールが小型化しにくいという特徴があります。同じLDLコレステロール値でも、女性の方が動脈硬化が進みにくい理由の一つといえるでしょう。

更年期以降、女性はコレステロール値が上昇しますが、数値だけで一喜一憂しないこと。LDLコレステロールは量より小型化が危険なのです」と田中さんは話します。

小型LDL(超悪玉)の特徴

  • 血液中に長くとどまる
  • 血管壁に入り込みやすい
  • 酸化されやすい

40代以降は「頸動脈エコー検査」で動脈硬化の確認を!

40代以降は「頸動脈エコー検査」で動脈硬化の確認を!

田中さんは「たとえコレステロール値が高くても、実際には動脈硬化の進行が見られない人が多くいる」と言います。

そこで、自分の血管でどのくらい動脈硬化が進んでいるかを知り、治療した方がよいかを判断するために、「40代以降であれば、誰でも一度は頸動脈エコー検査を受けること」を田中さんは提唱しています。

頸動脈エコー検査では、血管壁の厚さや血管の内側の状態を調べることができ、血管壁にこびりついたプラークや血栓の有無も確認できます。

「これで動脈硬化の進み具合がわかります」と田中さん。

頸動脈エコー検査

エコー(超音波)で頸動脈を観察。動脈硬化が進んでいると「プラーク(コレステロールによってできたコブ)」ができ、動脈が狭くなっている様子が確認できます。

多くの医療機関で動脈硬化の検査として最初に行われ、所要時間は5~10分程度、検査費は1500~2000円程度(3割負担の場合)。検診や人間ドックでも受けられます。

次回は、気を付けるべきLDL値の基準や、治療を受けるかを判断する検査結果の標準値などについてです。

取材・文=五十嵐香奈(ハルメク集部) イラストレーション=ゼリービーンズ
※この記事は雑誌「ハルメク」2023年6月号を再編集し、掲載しています。


【健康特集】更年期以降の女性は要注意?コレステロール新対策

  1. 超悪玉コレステロールで動脈硬化!50代女性の注意点
  2. LDLコレステロールの基準値を知って動脈硬化を予防
  3. 食事でLDLコレステロールを下げる!4つの新習慣

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