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- 血管をしなやかに強くする!7つの生活習慣とは?
「健康な人であっても、加齢とともに血管は硬くなる」と、医師の梅津拓史さん。60代からは急速に硬く、詰まりやすくなるんだそう! 血管と血液を健康な状態に保つ“血流力”を高めるための「7つの生活習慣」について、教えてもらいました。
60代から急速に進行!血管が硬くなるとどうなる?
「一般的に健康な人であっても、加齢とともに血管は硬くなり、血圧は上昇していきます。血管の硬さの指標を見ると、特に60代以降は急激に右肩上がりに硬化します」こう解説するのは、保谷厚生病院の循環器内科部長で血管の専門医である梅津拓史(うめつ・ひろし)さん。
2017年に発表された論文によると、血管の硬さが20代と同レベルの人は、50代では30.3%でしたが、60代では7.4%に急減し、70代ではわずか1%でした。60代、70代以降、しなやかな血管を保つことがいかに難しいかがわかります。
「血管が硬くなると、血液の流れも低下してしまい、脳卒中や心筋梗塞など命に関わる病気のリスクが高まる恐れがあります」と梅津さん。さらに血管や血液のトラブルは、認知症や骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とも深く関わっていることがわかっています。
「身近な生活習慣病はもちろん、突然死や寝たきりを防ぐためにも、血管と血液を健康な状態に保つ“血流力”を高めることが重要です」と梅津さんは訴えます。
血流力が低下すると引き起こる深刻な病気
- 心筋梗塞・狭心症
血流力の低下は、心臓の血管が詰まる「心筋梗塞」、心臓の血管が狭くなる「狭心症」の引き金になります。
- 脳卒中
脳の血管が切れて出血する「脳出血」、血栓によって脳の血管が詰まる「脳梗塞」のリスクが高まります。
- 閉塞性動脈硬化症
足の血流が悪くなることで、歩くときにしびれや痛みを感じる病気。進行すると、歩くとき以外でも症状が出ます。
- 骨粗鬆症
血流の悪化は、骨の形成にも悪影響を及ぼします。骨の量が減って、骨折しやすくなります。
- 認知症
認知症では、血管の機能の低下が認められています。特に脳血管性認知症は、脳の血流に問題が生じることで起こります。
血管と血液を健やかに保つカギは血管内皮細胞
血液の流れを左右するものとして近年注目を集めているのが、血管の一番内側にある「血管内皮細胞」です。
血管の一番内側にある「血管内皮細胞」は、血管を縮めたり広げたりする働きをしています。血管内皮細胞の機能が低下すると、血管壁が硬くなり、コブ(プラーク)ができて動脈硬化が進む一方、血液もドロドロな状態になり、血流が悪化します。
「血管内皮細胞は血管を縮めたり、広げたりする働きをしている他、プラーク(血管壁の中にコレステロールなどがたまった状態)の形成や、血液が固まる作用にも大きく関わっています」と梅津さん。
血管内皮細胞を適切に機能させることが、血管をしなやかに、血液を固まりにくいサラサラな状態に保つためのカギだといいます。「最初に解説したように、年齢とともに血管は硬くなりますが、血管内皮細胞の機能をよくしていけば、血流の悪化を防ぐことが可能なのです」と梅津さんは言います。
血管を強くするための 7つの生活習慣
指針となるのが、アメリカ心臓協会が提唱した7つの生活習慣です。「特に血液の流れをスムーズにするカギとなるのは運動と食事です」と梅津さん。
7つの生活習慣
- 体によい食事
- 運動をして活動的になる
- 体重を減らす
- 適正血圧に保つ
- コレステロールをコントロールする
- 血糖値を減らす
- 禁煙する
血流力の低下で生じる「ゴースト血管」
ごく細い毛細血管は、血管内皮細胞と基底膜のみでできています。近年話題となっている「ゴースト血管」は、血流の悪化により毛細血管が消えてしまうというもの。毛細血管をいきいきと保ち、ゴースト血管を防ぐためにも、血管内皮細胞の機能を良好にすることが大切です。
健康的な血管と血液を保つための7つの生活習慣の中で、特に重要な運動と食事。次回は、今からでもすぐにできる3つの運動を紹介します。
梅津拓史(うめつ・ひろし)さんのプロフィール
東京都西東京市の保谷厚生病院の循環器内科部長 。2003年、防衛医科大学卒業。自衛隊医官、循環器専門緊急病院勤務等を経て、13年に静岡県の病院で循環器科および心血管カテーテル治療室を立ち上げ、15年の心臓カテーテル治療個人症例数(治療件数/循環器科常勤医師数)で東海地区1位に。7年間心臓カテーテル治療を主体として治療に取り組んだ後、千葉県の病院で心臓カテーテル室を立ち上げる。2020年9月より愛知県の病院で循環器センター長を務め、2022年4月から現職。日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会認定医。
取材・文=五十嵐香奈(ハルメク編集部) イラストレーション=中村知史
※この記事は雑誌「ハルメク」2021年7月号を再編集し、掲載しています。
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