公開日:2022/07/21
生活習慣病や脳梗塞、心筋梗塞などを引き起こす要因にもなる、血管の衰えの予防方法について専門医の梅津拓史さんに教えてもらう全3回の企画。今回は、運動習慣とともに最も大切な食習慣についてです。
一般的に加齢とともに血管は硬くなり、血圧が上昇することがわかっています。そして60代以降は急激に血管の硬化が進み、高血圧などの生活習慣病に加え、脳卒中や心筋梗塞など、命にかかわる病気のリスクが高くなります。
さらに、血管や血液のトラブルは、認知症や骨粗鬆症(こつそしょうしょう)との深いかかわりがあることがわかっています。
そこで、血管や血液を健やかに保つために必要なのが、第1回目でも取り上げたアメリカ心臓協会が提唱する「血管をしなやかに保ち、血液の流れをサラサラにする7つの生活習慣」です。中でも特に血管を若々しくしなやかに保つカギとなるのは運動と食事。
前回は運動について詳しく解説しましたので、今回は「食習慣」についてです。科学的根拠に基づく、血管と血液をきれいにする9つの食習慣を紹介します。
納豆やみそなどの大豆食品は、脳梗塞や心筋梗塞を減らす、LDL(悪玉)コレステロールを減らすなどの研究結果があり、血管内皮細胞の機能を改善させる効果が期待できます。
朝食をちゃんと食べることで、血糖値の改善、心筋梗塞や脳出血の予防などの効果が報告されています。朝はパンやご飯だけで済ませず、たんぱく質や野菜も食べましょう。
市販のパンやラーメン、うどんなどの麺には、意外と塩分が含まれています。主食はパンと麺類を減らし、お米を増やしましょう。しょうゆやみそは減塩のものがおすすめです。
一酸化窒素は、血管内皮細胞の機能を改善させます。セロリ、ホウレンソウ、レタスなどに含まれる硝酸塩は、体内で一酸化窒素に変換されるので、積極的に食べましょう。
魚の脂やたんぱく質には、血管力を高める効果があります。毎日でも食べてほしいのは、不足しがちなビタミンDも豊富な鮭。良質なたんぱく源となるタラもおすすめです。
最近の研究によると、加工肉は心筋梗塞や脳卒中による死亡率を上げます。赤身肉も食べ過ぎると死亡率の上昇につながるので適量を。白身肉(鶏肉)は積極的に食べましょう。
食事をするとき、最初に野菜やたんぱく質を食べ、炭水化物であるお米は最後に食べると血糖値の上昇を抑えられます。最初の10分は、肉や魚、野菜などを食べるよう心掛けて。
オリーブオイルを1日20mLくらいとると、脳卒中や心筋梗塞の発症リスクが下がるという調査があります。健康を害するトランス脂肪酸が多いサラダ油よりもおすすめです。
ナッツ類は、脳卒中や心筋梗塞など心血管疾患のリスクを減らす、血圧を下げるといった調査結果があります。特にクルミは週1回、28g食べるだけでも効果が認められています。
血流力をよくする9つの食習慣も、少しの意識付けでできそうな内容ばかり! 前回ご紹介した3つの簡単な運動とともに、ぜひ習慣にしてみてください。
東京都西東京市の保谷厚生病院の循環器内科部長 。2003年、防衛医科大学卒業。自衛隊医官、循環器専門緊急病院勤務等を経て、13年に静岡県の病院で循環器科および心血管カテーテル治療室を立ち上げ、15年の心臓カテーテル治療個人症例数(治療件数/循環器科常勤医師数)で東海地区1位に。7年間心臓カテーテル治療を主体として治療に取り組んだ後、千葉県の病院で心臓カテーテル室を立ち上げる。2020年9月より愛知県の病院で循環器センター長を務め、2022年4月から現職。日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会認定医。
取材・文=五十嵐香奈(ハルメク編集部) イラストレーション=中村知史
※この記事は雑誌「ハルメク」2021年7月号を再編集し、掲載しています。
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