更年期後に気を付けたい病気
更年期に注意すべき病気と不調

更新日:2024年06月02日 公開日:2018年07月02日

女性ホルモンの減少が原因で自律神経にも影響を及ぼす

【更年期】閉経後の女性が注意すべき病気と体調不良

【更年期】閉経後の女性が注意すべき病気と体調不良

対馬ルリ子
監修者
対馬ルリ子
監修者 対馬ルリ子 対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座 院長

更年期に注意すべき病気と不調について解説します。更年期の体調不良は、女性ホルモンの分泌が急激に減ることが影響しています。原因は女性ホルモンの分泌を調節する“フィードバック”という機能がうまく働かなくなるためです。

女性ホルモンは脳の指令で分泌される

更年期になり、心身にさまざまな体調不良が起こるのは、加齢に伴ってエストロゲンの分泌が減少することが原因です。

では、エストロゲンの分泌が減ると、体内ではどんな反応が起こるのでしょう。それを理解するにはまず、女性ホルモンの分泌のしくみを解説しましょう。

女性ホルモンのエストロゲンは、卵巣内にある卵胞から分泌されますが、その命令を出しているのは脳の視床下部という部分。まず、ここからGnRH(性腺刺激ホルモン)が放出されると、その刺激で下垂体からFSH(卵胞刺激ホルモン)が分泌されます。

卵巣内ではFSHの働きかけによって卵胞が育ち、それに伴ってエストロゲンがたくさん分泌されます。すると、ポジティブフィードバックによってLHがアクセルの役割をして、LH(黄体化ホルモン)が卵胞を爆発させます。これが、排卵です。

さらにLHによって排卵後の卵胞は黄体に変化し、プロゲステロンが分泌されます。この後、プロゲステロンは約2種間分泌され妊娠を待ちますが、妊娠しなければプロゲステロンは出なくなり、それによって子宮内膜が剥がれ落ち、月経が起こる仕組みになっています。

ちょっと複雑なのですが、このように女性ホルモンの分泌には「脳と卵巣ホルモンのやりとり(フィードバック)」が関わっています。ひと言でいえば、常に脳と卵巣はつながって動いているのです。

女性ホルモンが不足すると体内は大混乱

更年期になると脳から女性ホルモンの分泌を促す指令が届いても、卵巣内にはFSH(卵胞刺激ホルモン)に反応する卵胞が残り少なく、エストロゲンがほとんど分泌されません。

すると、脳の刺激系(FSHとLH)が著しく興奮するようになり、それに引きずられて関連した働きである自律神経や情動系の混乱が起きるようになります。

卵胞が十分に残っている年齢なら、FSH(卵胞刺激ホルモン)に反応してエストロゲンが分泌され、その情報が脳に伝わると視床下部や下垂体に「もう分泌しなくてもいいですよ」という情報が届き、FSHやLHがそれ以上分泌されないように調節されます。

このしくみを「フィードバック」といいます。つまり、十分な量の女性ホルモンが分泌されていれば、フィードバックによってそれ以上分泌を促す指令は出なくなるのです。

ところが、更年期には脳からの指令があってもそれに応える卵胞がないため、エストロゲンが分泌されません。すると脳は、「どうして分泌しないの?もっと分泌しなさい!」と促すように視床下部が下垂体に指令を出してFSHやLHを大量に放出させ、卵巣を刺激します。

しかし、卵巣にはもう卵胞がなく、女性ホルモンを分泌する力はありません。このように、本来なら女性ホルモンの分泌を調整するはずのフィードバックのシステムが暴走し、体内の調整システムすべてを混乱させることになるのです。

更年期障害の症状には自律神経が関わっている

更年期障害の症状には自律神経が関わっている

卵巣からはもうほとんど女性ホルモンを分泌できない状態にもかかわらず、脳の視床下部や下垂体から次々に分泌の指令が出されます。

すると、その影響を自律神経が受けてしまいます。理由は、視床下部には自律神経の中枢もあるからです。

自律神経には呼吸や心拍、血圧、血管の収縮・拡張、内臓の働きなど全身の機能をつかさどる大切な働きがあります。また、感情や情動をつかさどる大脳偏縁系とも密接に連携しています。

つまり、女性ホルモンの分泌を促す過剰な刺激が、同じく視床下部が司る自律神経にまで及び、影響してしまうのです。その結果、全身にさまざまな不調が現れることになります。

更年期障害ではホットフラッシュ(のぼせや大量の発汗)をはじめ、動悸、息切れ、めまい、頭痛、冷えといった症状が現れますが、これらは「自律神経失調症状」です。

また女性ホルモン、特にエストロゲンは、脳、血管、肝臓、骨、皮膚、粘膜など全身に作用し、細胞のはりとうるおいを守ってくれる役割を果たし、免疫の機能も保たれていました。それが、更年期以降は失われることになるのです。

更年期をきっかけに、注意すべき病気とその対処法

更年期をきっかけに、注意すべき病気とその対処法

閉経前は、ホルモン分泌の司令塔である視床下部が自律神経や免疫の機能もコントロ―ルすることで、ホルモン、自律神経、免疫がバランスよく働き、女性の美や健康は守られてきました。

しかし、これまで説明してきたように、エストロゲンが分泌されず脳がホルモンをコントロールできなくなると、自律神経をはじめとした他の機能も引きずられて弱まってしまいます。

そうして引き起こされる更年期の症状が「障害」といえるほどひどいかどうかは人それぞれで異なります。

それは、遺伝的な影響だけでなく、その人のホルモン変化に対する感受性、健康状態や健康管理といった身体的要因、考え方や価値観といった精神的要因、仕事や私生活の状況といった社会的、環境的要因が関係してくるからです。

また、加齢により女性ホルモン分泌が減少することに伴って現れる心身の不調は、更年期症状だけではありません。更年期以降に起こりやすい疾患とその時期を覚えておきましょう。

1 月経不順・過多月経
……40代過ぎ~閉経

2  更年期症状
(のぼせ・発汗・動悸・頭痛・肩こり・関節痛・落ち込み・イライラ・ふらつき・易疲労・不眠など)
……閉経前後の2~3年

3 女性ホルモン欠乏症状
(膣の乾燥・性交痛・外陰部痛・皮膚のかゆみ・ドライアイ・ドライマウス・尿失禁や頻尿など)
……閉経後2~3年後からずっと

4 女性ホルモンの低下で発症しやすい病気
(関節炎・関節リウマチ・骨粗しょう症・認知症・自律神経失調症・子宮体がん・卵巣がん・乳がん・大腸がん・高血圧症・高脂血症・脳梗塞・心筋梗塞・動脈硬化症・糖尿病・橋本病・萎縮性膣炎等)
……閉経前後からずっと

3の女性ホルモン欠乏症状や4の女性ホルモン低下で発症する病気は、最初は症状の自覚がない場合が多いです。

ぜひ、女性特有のがんの検査やホルモン値の測定、骨密度測定や甲状腺疾患、リウマチ、膠原病など自己免疫疾患がわかる血液検査など、女性向けの健診を受けていただきたいです。

自分の状態を知っておくことで、病気と早い段階で向き合うことができます。更年期の症状だと思っていたら、病気だったということもあるので気を付けましょう。

閉経前なら低用量ピル、閉経前・閉経後にはホルモン補充療法(HRT)を取り入れることで、低下したホルモンをうまく補ったり、コントロールしたりすることで、自律神経や免疫を安定させる手段もあります。

そして、身体の弱いところを補い全体的な改善を期待できる漢方薬や、不調をサポートするサプリメントをうまく取り入れていきましょう。

他にも、カウンセリングや運動、アロマテラピーなど、対処する手段はさまざまあります、医師と相談しながら組み合わせましょう。

更年期は、自分の健康と向き合うひとつのきっかけです。自分の状態を正しく知って対処し、どうなりたいかを考え実現することで、人生を輝かせていきましょう。

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HALMEK up編集部
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