閉経は早い方がいい?遅い方がいい?寿命に関係する?

閉経の平均年齢は?月経や体調の変化・サイン&注意点

森 久仁子
監修者
森女性クリニック
森 久仁子

公開日:2023.07.31

更新日:2024.04.10

日本人の閉経の平均年齢は約50歳から51歳といわれています。現代は、人生100年時代。平均寿命が伸び、女性ホルモンが欠乏状態した状態で不調を乗り越えるためには、閉経前後(更年期)の対策が大切です。閉経後に起こる変化や注意点も詳しく解説!

閉経とは?更年期とは?

閉経とは?更年期とは?

閉経とは、「月経が永久に停止すること」を指します。月経が止まったというだけでは閉経と判断することは難しいため、過去を振り返って「1年以上月経が来ない」ことがわかって初めて閉経と判定可能です。

「1年前の最後の月経があった年齢=その人の閉経年齢」ということになります。

更年期とは、閉経前の5年間と閉経後の5年間を合計した10年間のことです。更年期になると閉経に向けて卵巣機能が徐々に低下していくため、「月経が来たと思ったらすぐに終わった」「2〜3か月に1回くらいしか生理が来ない」といった月経不順が起こりやすくなります。

以下は、「プレ更年期」から「ポスト更年期」までの流れです。

  • プレ更年期(30代〜40代半ば)……更年期より前の卵巣機能が低下し始める時期
  • 更年期(40代〜50代半ば)……エストロゲン(女性ホルモン)の分泌量が激減する
  • 閉経(日本人の閉経年齢の平均値は50歳から51歳)……卵巣機能が停止する
  • ポスト更年期(50代半ば過ぎ〜60代)……更年期が過きた後の時期で、更年期症状が一段落する頃

閉経の平均年齢

日本人女性の平均的な閉経年齢は、50歳から51歳です。ただし、閉経年齢には個人差が大きく、40代で閉経する人もいれば、56歳から57歳くらいまで月経がある人もいます。

80%の女性は45歳から56歳までに閉経するといわれているため、更年期の時期は40歳から60歳くらいに収まると考えられています。

ただし、中には「早期閉経(早発卵巣不全)」といって、40歳未満で無月経となることもあります。早期閉経は100人に約1人の割合でいるといわれています。

閉経前の変化は?近づくとどうなる?

閉経前の変化は?近づくとどうなる?

月経周期や経血量に乱れが出てきたら、閉経が近いサインかもしれません。

月経周期や経血量が変化する

閉経前の変化としてよく見られるのが、月経周期・経血量の変化です。

更年期に入り、閉経に向けて卵巣機能が低下すると、エストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンが不規則に変化し、その影響で月経周期にばらつきが出ます。

「生理の周期が短くなる・長くなる」「生理と生理の期間が長く開く」などが、よく見られる変化です。

また、経血量にも変化が起こります。経血量が少なくなることもあれば、逆にナプキンからあふれるほど大量出血することも。だらだらと出血が長引き、なかなか生理が終わらないこともあります。

ただし、月経異常は閉経や更年期の影響ではなく、病気が隠れている可能性もあるため、定期的な検査を受けて、気になる症状があれば早めに病院を受診することが大切です。

心身にさまざまな変化が起こる(更年期症状)

月経の他にも、閉経前後に起こる女性ホルモン量の変化によって、心身にさまざまな変化が起こります。(更年期症状)

閉経期の症状の現れ方は人によっても異なり、症状がない人や軽い人もいれば、重い人もいます。

  • 月経不順
  • 月経前後・月経中の片頭痛の悪化
  • ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)
  • 発汗
  • 乳房の痛み
  • 気分の変わりやすさ
  • 不安、イライラ、抑うつ、神経過敏
  • 睡眠障害
  • 集中力低下
  • 頭痛
  • 疲労 など

閉経が近いかどうかは予測できる?

閉経が近いかどうかは予測できる?

正確な閉経時期は検査で知ることはできません。しかし、婦人科などで「AMH検査(アンチミュラー管ホルモン検査)」を行えば、閉経が近いかどうかを予測できる可能性があります。更年期かどうかは卵胞刺激ホルモン(FSH)、エストロゲン(E2)で判断します。

また、よくある閉経までのパターンも存在します。

閉経前の月経周期サイクルのパターン

以下は、閉経前の月経周期サイクルでよく見られるパターンです。

  1. 正常な月経周期(25~38日)
  2. 月経周期が短くなる(25日以下)、もしくは月経周期が長くなる(50日以上)
  3. 月経周期が60日以上に延長する
  4. 閉経(月経が1年以上来ない状態)

AMH検査で予測できる

AMHとは、卵胞から分泌されるホルモンのことです。

AMH検査(アンチミュラー管ホルモン検査)では、血液検査によって残された卵子の数や卵巣年齢を推定でき、AMHの数値が少ない場合、閉経が近い可能性があります。

更年期かどうかは、FSHの上昇かつE2の低下で診断します。ただAMHやFSHによる閉経予測は現状では難しいとされています。AMHは人種や個人でばらつきがあり、正常値を設定するのが困難なため、参考値としてみることをお勧めします。

閉経は早いのと遅いの、どちらがいいの?

閉経は早いのと遅いの、どちらがいいの?

閉経が来る年齢は、個人差が大きいものです。では、閉経は早いのと遅いのとどちらがいいのでしょうか?閉経は早い場合、遅い場合それぞれのメリット・デメリットが存在するため、一概にどちらがいいとはいえません。

閉経時期を自分で決めることはできませんが、もしも早く閉経した場合や更年期症状を抑えたい場合はHRT(ホルモン補充療法)を受けることで、デメリットをカバーすることもできます。

閉経が早いメリット・デメリット

閉経が早いと、毎月の生理痛やPMS(月経前症候群)、PMDD(月経前不快気分障害)から早く開放されることになります。また、女性ホルモンに関係する乳がんリスクも低下します。大きな子宮筋腫がある人の場合、閉経すると筋腫が小さくなります。

一方、女性ホルモンが減ることでリスクが高まる病気もあります。

血管や骨、コレステロール値を健康に保つ働きのあるエストロゲンの作用が得られなくなるため、骨粗鬆症や高血圧動脈硬化、心血管疾、大腸がん、胃がん、肺がんのリスクが若いうちから高まることはデメリットです。

閉経が遅いメリット・デメリット

閉経が遅いと、その分エストロゲンの作用を長く受けられることがメリットです。骨粗鬆症や生活習慣病のリスクが上昇する時期を遅くできます。

一方、生理に関連するトラブルや煩わしさからなかなか開放されないのはデメリットといえるでしょう。また、閉経が遅いと、エストロゲン依存性の子宮内膜症や乳がんなどのリスクは高くなります。

閉経が早い人・閉経が遅い人の特徴や違いって?

閉経が早い人・閉経が遅い人の特徴や違いって?

閉経が来る年齢は個人差が大きいものですが、閉経が早い人・閉経が遅い人ではどのような特徴や違いが見られるのでしょうか?

閉経が早い人の特徴

「喫煙習慣がある」「不妊体質」の人は、閉経が早くなりやすいといわれています。

タバコに含まれるニコチンは、卵巣機能を低下させ、性ホルモンの分泌や活動を妨げてしまいます。日常的にタバコを吸っている人は、吸わない人と比較すると閉経が早まる傾向にあります。

また、子宮内膜症にかかわる不妊を経験している人も閉経の時期が早くなる傾向にあるといいます。

閉経が遅い人の特徴

海外の研究では、性的活動(セックス、オーラルセックス、愛撫、自慰)の回数が週1回以上の女性は、月1回未満の女性に比べると早期閉経リスクが28%低いという結果が出ており、閉経のタイミングと性的活動には関連があるかもしれないと考えられています。

また、閉経が遅い人は、全体的に健康状態が良い傾向にあり、長寿につながっている可能性があるという研究結果もあります。

カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究グループの研究によれば、初潮が遅かった女性と閉経が遅かった女性は、初潮や閉経が早かった女性と比較したときに90歳まで長生きする可能性が高いという結果が出ています。

閉経後に起こる変化や注意点

閉経後に起こる変化や注意点

閉経後には、体にさまざまな変化が起こります。ここからは、閉経後に起こる変化や注意点について解説します。

骨量や筋肉の低下

エストロゲンの量が減ることで、骨量や筋肉が低下しやすくなります。

骨量が少なくなると骨粗鬆症になってしまったり、骨折しやすくなったりするため注意が必要です。また、筋力が低下するとサルコペニア(筋肉減少により体の機能が低下した状態)につながることもあります。

コレステロール値の増加

女性ホルモンが減少すると、コレステロール値が上昇しやすくなります。LDLコレステロール(悪玉コレステロール)値が高くなると動脈硬化が進行し、脳梗塞や心筋梗塞の原因になるため注意しましょう。

血圧の上昇

閉経に伴って、相対的に男性ホルモンが多くなると血圧が上昇します。また、年齢を重ねると血管も老化し、弾力やしなやかさが失われて血圧が高くなりがちです。

高血圧は動脈硬化を悪化させてしまうため注意しましょう。

肥満になりやすくなる

エストロゲンには脂肪を燃焼させる働きがあります。閉経に伴いエストロゲンが減少することで、太りやすく痩せにくい状態に。

筋肉の量が減ることで基礎代謝量も低下するため、肥満にならないよう食生活の改善や運動の習慣化などを行うといいでしょう。

肌や髪など見た目の変化

更年期を過ぎたポスト更年期は、一段と老化が進む時期です。

「たるみやシワが目立つようになった気がする」「肌が乾燥する」「髪のツヤがなくなった、パサつきが気になる」など顔や肌、髪の毛など見た目の変化が気になってきます。

これは、閉経後にエストロゲンが急激に減ることが原因です。エストロゲンはコラーゲンやヒアルロン酸の生成を促すため、激減によってこれらも減り、肌のハリや弾力低下が起こって、乾燥が進みます。

また、50代以降は消化力にも衰えが。腸で栄養素が吸収されにくくなり、体の最末端部である髪の毛に栄養が届きにくくなります。

これらを改善するのに有効なのが、体の巡りをよくするケアです。ぜひリンパケアを取り入れてみましょう。

さまざまな病気のリスクの上昇

閉経を迎えると、今まで健康を守っていた女性ホルモンの作用が得られなくなることで、さまざまな病気のリスクが上昇します。

閉経前後の変化に合わせた対策を

女性の体は、更年期に入り、閉経に向かうにつれてさまざまな変化を経験します。閉経年齢は個人差が大きいですが、閉経前には多くの変化が起こるため、自分の体の変化に合わせた対策を行いましょう。

閉経後は今まで健康を守っていた女性ホルモンの作用が得られなくなるため、リスクが上昇する病気もあります。異変があれば放置せず早めに病院を受診することが大切です。

※効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。

監修者プロフィール:森 久仁子さん

森 久仁子さん

医学博士、産婦人科専門医、母体保護法指定医。大阪医科大学大学院修了後、同大学助教、和歌山労災病院産婦人科を経て、平成25年森女性クリニックを開院。患者様のプライバシーや安心感に重きをおき、更年期前後の外陰部不快症状の治療として、外陰部膣レーザー治療を導入している。

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