更年期から選び取る軽やか人生特集#3
更年期に変えるべき5つの生活習慣と健康意識
更年期に変えるべき5つの生活習慣と健康意識
更新日:2025年03月15日
公開日:2022年01月19日
高尾美穂さんのプロフィール

医学博士・産婦人科専門医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。東京慈恵会医科大学大学院修了後、同大学附属病院産婦人科助教、東京労災病院女性総合外来などを経て、2013年から「イーク表参道」副院長を務める。婦人科外来に携わるほか、スポーツ庁国立スポーツ科学センター 女性アスリート育成・支援プロジェクトのメンバーとして、女性アスリートのサポートも行う。ヨガの指導者資格も持つ。著書に『いちばん親切な更年期の教科書【閉経完全マニュアル】 』(世界文化社ホールディングス)、『心が揺れがちな時代に「私は私」で生きるには』(日経BP刊)
疲やすさを感じたら見直しのタイミング

更年期のサインの代表的なものに月経不順がありますが、実はもっとも顕著な症状に「疲れやすさ」があります。
「実際、クリニックでも更年期の女性から『疲れやすくなった』という訴えはとても多いのです。更年期の曲がり角にさしかかった目安は、朝起きたときに疲れを感じること。おそらく質のいい睡眠もとれていないでしょう」というのは、産婦人科医の高尾さん。
そういえば、若い時のように朝スッキリと目覚めることが少なくなったような、という方もいるのでは。忙しいせいだと思っていた方、もしかして更年期の症状かもしれません。
この時期こそしっかりセルフケアをしよう!

更年期の女性は仕事に家事に子育てに介護にと、さまざまな役割や責任を持ち、多忙な時期と重なります。自分のためにゆっくり時間を使うなんて、なかなかできません。とはいえ、心身の不調を来してからでは取り返しがつかないことも。
「忙しさのためにセルフケアをおざなりにすると、生きがい、やりがい、そして経済的な安心感を手放すことになりかねません。実際、更年期の不調からキャリアを諦める人もいるというデータが出ています。健康があって初めて、“自分自身の足で立っている”という状態が成り立つのではないでしょうか」と高尾さん。
更年期はよく、曲がり角に例えられます。曲がり角に差し掛かっているときに、今までと同じスピードで走り続けたら、事故を起こしてしまいます。
「曲がり角を安全に曲がり切るには、今までよりもスピードを落とす必要があります。仕事や子育てはもちろん、今までがんばってきた趣味なども、少しずつ調整して無理をしないこと。曲がり角を抜け切ったら、またスピードを上げればいいのです」と高尾さんは言います。
更年期に見直すべき5つのポイント
では具体的に、どんなことを見直せばいいのでしょうか。ポイントは5つあります。
1睡眠

現代人の多くは慢性的な睡眠不足。睡眠不足はメンタルにも大きく影響します。特に40代以降の女性に多い訴えが、夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」。夜中や明け方にトイレで起きてしまうことが多いため、予防策としては寝る前の飲水量を減らすこと。
また睡眠のリズムを考えると、まずは寝入りの3時間をしっかり眠るようにすると、睡眠のリズムが整います。日中に適度な運動をする、就寝前はリラックスを心掛けるなど、なるべく睡眠の質を高めるようにしましょう。
2運動

運動は肩こりや腰痛が改善するだけでなく、ほてりやホットフラッシュなどの自律神経失調症状を軽減する効果があります。また、体だけでなくメンタルにもプラスになり、睡眠の質もアップ。激しい運動は必要ないので、ウォーキングなど、隣にいる人と話ができる程度の運動を。ウォーキングやジョギングは骨密度もアップさせ、アフター更年期にリスクが高まる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)予防にも。骨を強くするためには歩く、ジャンプをするといった重力のかかる運動が最適です。
さらに、カルシウムを骨に吸収させるには、ビタミンDが必要。ビタミンDは、日差しを浴びることで産生されます。1日10〜15分は、直射日光にあたりましょう。
3食事

更年期はエネルギーの代謝が変化する時期。過剰なエネルギー摂取や栄養不足があると、心身のバランスを崩しやすくなります。食事は3食バランスよく食べるのが基本。
大豆製品をよく食べる人は更年期症状が軽いことが知られてきました。これは、大豆に含まれる「大豆イソフラボン」が腸内で「エクオール」という成分に変換されることによって、女性ホルモンのエストロゲンに似た働きを期待できるため。
ただ、エクオールが産生できる人とできない人がいることもわかっています。エクオールを産生できる体質の人は、大豆を積極的にとるようにしましょう。エクオールを産生できないタイプの人でも、大豆製品を食べ、食物繊維や発酵食品を積極的にとることで産生能力が上がる可能性があります。
4健康診断

職場や自治体で健康診断を受けている方は多いと思いますが、毎年決まった検査項目でなんとなく受けているだけになっていませんか。
更年期で不調が見られるとき、その症状が更年期障害か他の病気かを見分けるためにも、健康診断は必要です。例えば更年期の女性に多い甲状腺疾患では、更年期障害と似たような症状が見られます。こうした病気を除外して初めて、更年期障害と診断されます。
そして、健康診断のメリットは、異常の早期発見ができること。健康診断を受ける際には、「検査項目」をチェック。更年期以降にリスクが高い婦人科系の病気や甲状腺機能、子宮体がん、乳がんなどは意識して検査するようにしてください。
5体重管理

更年期以降は、筋肉量が減るため代謝が落ちます。また、エストロゲンが材料にしていた脂肪が使われないので、それまでと同じ量を食べていたら太ってしまいます。マウスレベルの研究ですが、脂肪細胞の数が同じでもエストロゲンがないと、脂肪細胞の大きさが大きくなることもわかっています。だからこそ、食事をコントロールすることや適度に運動を続けることが大事。
ちなみに「水を飲んでも太る」というのは正しくはなく、その原因は塩分をとり過ぎているため。更年期以降は、塩分のとり過ぎは高血圧にもつながるため、なるべく濃い味つけのものは控えましょう。
自分の状態を知るのは自分自身でしかできない

健康診断で問題がないからといって、不調がまったくないということはありません。健康診断では「明らかな異常」は見つけることができますが、日々の不調まではチェックできないからです。
例えば婦人科検診では子宮筋腫がある、卵巣が腫れているといった「形」の問題はチェックできますが、更年期によくみられる自律神経の不調やメンタルの不調までは指摘できません。こういった不調は、自分で気付くしかないのです。
本来、自分の体のことは自分が一番よく知っているはず。ただ、先ほども話したように、忙しすぎて自分のことを後回しにしていると、気付いたときには重症になっていることも。
「カレンダーにメモする程度の簡単なやり方でいいので、日々の体調を記録しておくことが大切。例えば、朝起きて調子がいいか、夜寝るときに今日一日、気になったことがあったかどうかチェックします。基礎体温をつけるのもおすすめです。女性ホルモンの微妙な変化は、毎日観察し、記録を続けないとわからないのです」(高尾さん)
自分の体を知ることは、自分を大事にすることと同じ。閉経の前段階である月経不順が起き始めたら、生活の見直しに前向きに取り組んでみましょう。「どれだけいい生活習慣を積み重ねたかが、20年後、30年後の自分を作ります。健康は100点満点である必要はありません。例えば10個あった不調が6個になったら自分を褒めてあげてください。それくらいの気軽さで、自分の体と長く付き合っていけるといいですね」(高尾さん)
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