2024年03月30日

更年期以降、心も体も元気に過ごすために

更年期|不調・症状は人生を見直すタイミング

対馬ルリ子
監修者
対馬ルリ子
監修者 対馬ルリ子 対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座 院長

人生100年時代。つらい症状に悩まされる更年期は、人生の折り返し地点です。更年期以降の人生を健康で幸せに過ごすためにも、今ここで自分の体調をコントロールできるようになりましょう。そのためには、かかりつけの婦人科医を作ることが大切です。

女性ホルモンが減少すると…弱いところに症状が!

更年期障害によってホットフラッシュや体のだるさ、憂うつ感といった症状が現れると、そのつらさもさることながら、それ以外の体調の変化にも注意が必要になります。

女性ホルモンの分泌量が減少することによって、女性の体は大きく変わります。女性ホルモンの恩恵が受けられなくなると、代謝が低下して太りやすくなる、コレステロール値が高くなる、高血圧になる、動脈硬化が進むなど、それまで守られていた部分が一気に弱り始めます。さらに、家族に脳卒中や狭心症・心筋梗塞を起こした人がいるとか、糖尿病の人がいる場合、自分も同じ病気を発症する危険が高まります。

(図=提供対馬ルリ子医師、「玉川高島屋女性ホルモンと美容」)​​​​​​


また、妊娠・出産の経験がある人は、そのときに起こった不調が再現されやすくなります。妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群にかかった人は糖尿病や高血圧になる可能性がありますし、低栄養で生まれた赤ちゃんは、成人して代謝は異常を起こしやすいというデータもあります。過去に強いストレスで病気になったことがあれば、その病気にも注意が必要です。このように女性ホルモンが揺れ動いたときに現れた不調が、更年期にも再び起こりやすくなるのです。

しかも、こうした変化は発汗などの更年期障害の症状の有無とはまったく関係ありません。女性ホルモンの分泌量の減少に伴う影響は、確実に女性の体を変化させます。「私はあまり更年期障害になるような症状がない」という人も決して油断できないのです。

更年期は人生の折り返し地点

更年期を迎えると、まるで人生の終盤にさしかかったように感じる人もいるかもしれませんが、その認識は改めたほうがよいでしょう。かつての人生50年の時代ならともかく、現代の日本女性は非常に長生きです。

 

2022年の調査では、日本人女性の平均寿命は87.09歳です。男性が81.05歳ですから、女性のほうが6年も長く生きます。世界的に見ると男女とも平均寿命はトップクラスです。その平均寿命から逆算してみれば、40代後半〜50代半ばの更年期はほぼ折り返し地点。先はまだまだ長いということがわかるでしょう。


つまり、更年期以降の人生を健康で幸せに過ごすためには、今こそリカバリーのチャンスです。更年期障害でさまざまな不調に悩まされるようになり、女性ホルモンの大切さを痛感していることでしょう。これまでどうして自分の体のために何もしてこなかったのだろうと後悔しているかもしれません。しかし、まだ手遅れではありません。今からでも女性ホルモンを使いこなせるようになれば、これから先の人生が大きく変わることは間違いありません。

かかりつけの婦人科医は人生の味方

更年期になり、いろいろな不調が現れて、あわてて婦人科を受診する人も多いでしょう。あるいは更年期障害だと気づかずに、複数の診療科をあちこちはしごして受診したという人もいるかもしれません。

病院にかかること自体はよい判断ですが、ただ、女性ホルモンを使いこなすという観点に立つと、やはり専門医の出番です。つまり、更年期障害をはじめ女性の体をトータルで診察し、アドバイスができるかかりつけの婦人科医をもつことがベストの選択となります。

そして、もう一つ重要なことがあります。かかりつけ婦人科には具合が悪いときや病気になったときだけ行くのではなく、普段からがん検診などで定期的に受診するということ。それによって不調のサインが現れたらすぐに予防策がとれるからです。また、更年期の症状は一つ治まっても次から次に不調が現れやすいため、定期的に診てもらうことで治療もスムーズに行えます。何より女性ホルモンを使いこなすには、かかりつけ婦人科医の存在が強い味方になります。

更年期以降の長い人生を健康に幸せに暮らすためにも、かかりつけ婦人科医をもつことが強くすすめられます。

※この記事は2018年7月の記事を再編集して掲載しています。

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HALMEK up編集部
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