更年期障害の症状と対処法・3

更年期のホットフラッシュとは?ほてり・のぼせの原因

吉岡 範人
監修者
つづきレディスクリニック
吉岡 範人

公開日:2018.07.02

更新日:2024.06.11

「これって更年期障害?」という人のために、更年期障害の気になる症状・対処法を医師が解説する連載企画。今回のテーマは、更年期ののぼせ・ほてり。更年期は自律神経の乱れで体温調節がうまくいかない人が多いようです。対処法をチェックしましょう。

更年期のホットフラッシュは女性ホルモン不足が原因

更年期のホットフラッシュは女性ホルモン不足が原因

暑くないのに急に顔や上半身がほてって、大量の汗が噴き出す……。これは「ホットフラッシュ」と呼ばれる、典型的な更年期障害の症状です。実際、ホットフラッシュがきっかけで、更年期障害を意識するようになった人も多いでしょう。

ホットフラッシュの原因は、女性ホルモンの急激な減少です。

卵巣の機能が衰え、女性ホルモンの分泌がなくなっているにも関わらず、脳から分泌を促す指令がどんどん来るせいで自律神経のバランスが乱れ、血管の拡張・収縮をコントロールできず、体温調節がうまくできなくなってしまうのです。

ホットフラッシュは、季節に関係なく、また昼夜も問わず、いきなり起こります。ストレスがかかったときや緊張したときには、特に悪化しがちです。

突然、顔がほてってポタポタと汗が噴き出るため、人前でこうした症状が現れると余計にあせって、さらに症状が強くなってしまうことも少なくありません。そのせいで外出や人前に出るのも恥ずかしくなり、引きこもってしまう人もいるほどです。

また、カーッと体が熱くなった後、急激に冷えて、上半身はほてっているのに下半身や手足は冷たく、いわゆる「冷えのぼせ」の状態になることもあります。

ホットフラッシュの対処法・治療法をチェック!

ホットフラッシュの対処法・治療法をチェック!

ほてりやのぼせ、発汗などの症状には個人差があります。とはいえ、いつ、どこで症状が現れるのかわからないため、前もって備えておくと安心です。特に外出先での汗対策は大切です。

大量の汗をかいたあと、そのままにしておくと体が冷えてしまいます。外出の際には、汗を拭く厚手のハンカチやタオルなどを忘れないようにし、下着は吸湿・速乾性の高い素材のものを選ぶとよいでしょう。

外出先でも体温調節がしやすいように、カーディガンやストールなどを持ち歩き、暑さ・寒さ対策をしておきましょう。夏場は大量の汗をかいた後、冷房で体が急激に冷えてしまうことがよくあります。風邪や冷えの原因にもなるので気をつけて。

顔のほてりを鎮めるには、冷たい水で絞ったタオルで冷やすか、凍らせた保冷剤などを携帯しておくと便利です。

また、産婦人科ではホルモン補充療法(HRT)も行えます。かなり悩んでいる人も多い症状だけに、気になる人は早めに産婦人科専門医に相談することをおすすめします。更年期に対するホルモン剤を用いることで、劇的に改善する人もいます。

症状がひどいときは、お酒やカフェインは控えめに

ホットフラッシュの症状がたびたび起こるときは、自律神経のバランスを少しでも整えるために、できるだけ規則正しい生活を心掛けましょう。睡眠不足や過労は悪化のもと。こまめにストレス解消・リフレッシュすることが大切です。

適度に体を動かすのもよいでしょう。というのも、運動して定期的に汗をしっかりかくようにすると発汗対策になるからです。

汗を出す汗腺は、運動不足であまり汗をかかずにいると休眠状態になります。そのため、顔や上半身にだけ大量の汗をかいてしまいます。運動でこまめに汗を流して全身の汗腺を活性化させると、顔や上半身だけに発汗が集中しなくなります。

そのほか、食生活の注意点としては、香辛料などの刺激物やアルコール、カフェインは控えるようにしましょう。これらはほてりや発汗を促す作用があります。

コーヒーや紅茶、緑茶にはカフェインが多いので、ハーブティーや麦茶、ほうじ茶などがおすすめ。中でも、セージをブレンドしたハーブティーは清涼感があり、のぼせや汗を抑える作用があるといわれています。

日常生活の中でできる対処法を取り入れて、少しでも快適に過ごせるようにしていきましょう。

監修者プロフィール:吉岡範人さん(つづきレディスクリニック院長)

吉岡範人さん(つづきレディスクリニック院長)

1978年生まれ。千葉県出身。2005年、聖マリアンナ医科大学大学院を卒業。同大学初期臨床研修センター、産婦人科に入局。16年間の医局勤務中、約2年間にわたりカナダ・バンクーバーにあるブリティッシュコロンビア大学へ留学。がんの研究に従事。2019年に事業を引き継ぐ形で、つづきレディースクリニックの院長に就任。その後、自らの発案で訪問医療を新たにスタートさせるなど、枠に捉われない多角的な医療サービスを促進。大きな注目を集めている。

撮影=中西裕人 ヘアメイク=小島けさき モデル=桂智子(TOP画像)、その他イメージ=PIXTA

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