更年期障害の症状と対処法・2

更年期の疲れ、だるさ、倦怠感をどうにかしたい!

吉岡 範人
監修者
つづきレディスクリニック
吉岡 範人

公開日:2018.07.02

更新日:2023.11.22

「これって更年期障害?」という人のために、更年期障害の気になる症状・対処法を医師が解説する連載企画。今回のテーマは、疲れやだるさ、倦怠感。自律神経のバランスの乱れや代謝が悪くなることで、更年期は疲れやすい状態なので早めの対策を!

だるさ・倦怠感…更年期は疲れやすい!その原因は?

疲れやだるさは更年期によく見られる症状!その原因は?

以前なら一晩ぐっすり眠れば翌朝には元気になっていたのに、「更年期になった頃からやたらと疲れやすい」、「ぐっすり寝ても疲れが取れない」という人も多いはず。

また、気力がわかず、家事どころか何もする気にもなれず、ボーッとしたまま一日を過ごし、自己嫌悪に陥るという人も少なくありません。

こうした強い疲労感や倦怠感は、更年期によく見られる症状です。自律神経のバランスが乱れ、体調に影響しているのです(意欲の低下は、男性ホルモンの低下によるもの)。

自律神経の働きが低下すると全身の血行が悪くなり、必要な栄養や酸素を体のすみずみまで届けられません。

しかも、代謝が落ちて体の中にたまった疲労物質を体外にスムーズに排出できなくなり、疲労感が増すことになります。翌日も疲れが取れないのでぼーっとしたり、だるさが抜けなくて、仕事の能率が落ちてしまいます。

さらに、更年期に入って女性ホルモンが急激に減少すると、全身の筋肉量が減ります。エネルギーをつくりだす熱産生は筋肉でも行われます。そのため、筋肉量が減ると冷えて代謝も低下し、活動に必要なエネルギーも不足するのです。

真面目で責任感の強い人ほど早めの対策を

真面目で責任感の強い人ほど休みをとって

更年期世代の多くは、家事や仕事、介護など、自分のこと以外で時間をとられて、ゆっくり体を休める時間がありません。

しかも、真面目で責任感が強い人ほど、「だるいなんて言っていられない」と自分を追い詰めてしまいがちです。

中には、家族や周囲の人から「怠けている」とか「甘えだ」などと叱咤され、つらい状態にあるのに我慢してしまう人もいます。でも、本当に何もできなくなり、ただゴロゴロしているのはつらいもの。

ここまでつらくなる前に、疲れやだるさを感じたら、体の発したSOSサインと捉えて、ホルモンの検査や治療をしてください。産婦人科を受診することをおすすめします。

体の疲れやだるさ・倦怠感は、とてもありふれた症状ではありますが、あまりに強いときや何日も長引く場合は、放っておいてはいけません。更年期障害が原因と考えられる場合であっても、自己判断は禁物です。

バセドウ病や橋本病といった甲状腺の病気や貧血・膠原病なども更年期の時期の女性によくみられる異常です。一度は採血してこれらの項目をチェックしてもらってください。通常産婦人科での診察や検査が可能です。

人間ドックに含まれていることもあり、また特別オーダーをしなければできないこともあります。更年期障害が原因であれば、ホルモン補充療法などで改善できます。

疲れが取れない時の対策方法!入浴や軽めの運動も効果的

入浴でリラックス、軽めの運動が効果あり

疲れやだるさには、入浴で気分をリフレッシュするのがおすすめです。体が温まると血行が促進されて、たまった疲労物質が排出されやすくなります。

好きな香りの入浴剤やアロマオイルなどを使って、湯船に浸かりましょう。

お湯の温度は、38〜40℃のぬるめのほうがゆっくり長く浸かっていられます。逆に気分をシャッキリさせて元気を出したいときは、42℃前後の熱めのお湯でシャワーを浴びると効果的です。

基本的には休養第一ですが、だからといって一日中横になってゴロゴロするのもおすすめできません。もちろん、どうしてもだるくて動けない場合は無理をしてはいけませんが、気分がよく、動けそうなときは、軽めの体操や運動をしましょう。

運動によって全身の血行が改善されると、疲労感もやわらぎます。適度な運動を続けることで筋力も増すので、代謝をよくする効果もあります。

食べ物で気をつけたいのは、甘いものの食べ過ぎです。疲れたときほどつい甘いお菓子などに手がのびますが、これは逆効果。

確かに砂糖に含まれるブドウ糖はすぐにエネルギー源になるのですが、その後の急激な血糖値の低下を招き、だるさが増すこともあります。また糖分は、体内で利用されるときにビタミンB1を多く消費してしまいます。

B群が足りないと疲労回復ができません。おやつには、血行促進の効果があるビタミンEやビタミンB、良質の脂質、ミネラルなどが多いアーモンドやくるみなどのナッツ類を選ぶとよいでしょう。

監修者プロフィール:吉岡範人さん(つづきレディスクリニック院長)

吉岡範人さん(つづきレディスクリニック院長)

1978年生まれ。千葉県出身。2005年、聖マリアンナ医科大学大学院を卒業。同大学初期臨床研修センター、産婦人科に入局。16年間の医局勤務中、約2年間にわたりカナダ・バンクーバーにあるブリティッシュコロンビア大学へ留学。がんの研究に従事。2019年に事業を引き継ぐ形で、つづきレディースクリニックの院長に就任。その後、自らの発案で訪問医療を新たにスタートさせるなど、枠に捉われない多角的な医療サービスを促進。大きな注目を集めている。

撮影=中西裕人 ヘアメイク=小島けさき モデル=菊池洋華(TOP画像)、その他イメージ=PIXTA

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