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更年期障害の症状と対処法・1
気になる耳鳴り、実は更年期の症状かもしれません
つづきレディスクリニック
吉岡 範人
公開日:2018.07.02
更新日:2023.05.27
「これって更年期障害?」という人のために、更年期障害の気になる症状・対処法を医師が解説する連載企画。今回のテーマは、耳鳴り。「キーン」「ジージー」「ザーザー」といった不快な音が続く人は、放置せずに一度は耳鼻科を受診することが大切です。
耳鳴りの原因は“聞こえない音”
更年期はちょうど年齢的に耳の機能が衰えはじめる年齢であること、そして更年期障害による自律神経の乱れが加わることもあり、耳鳴りは比較的よく見られる症状の一つです。
そもそも音を聞く耳の働きは、加齢によって衰えていきます。「加齢性難聴」といって、いわゆる耳が少し遠くなった状態です。これ自体はごく自然な老化現象ですから、あまり心配する必要はありません。
しかし、こうして聞こえが悪くなることが実は耳鳴りの原因になっているのです。
では、なぜ聞こえが悪いのに耳鳴りは聞こえるのでしょう? そこには脳の働きが関係しています。
私たちが音を聞くには、耳を通じて集めた音の信号が脳に伝わり、それが脳の聴覚野という部分に届くことで音を認識します。つまり、実際に音を聞いているのは脳です。
耳の機能が低下して聞こえが悪くなってくると、その聞こえない部分の音を勝手に脳が補おうとします。こうして補われた音が耳鳴りとして聞こえるのです。
ストレスや体調不良で更年期は耳鳴りが悪化しやすい時期
このように加齢による難聴に伴って耳鳴りが起こるようになったところに、更年期障害が原因で自律神経の働きが乱れると脳や耳の中の血流が悪化します。この血液の流れの悪さも耳鳴りに関与しています。
さらに、耳鳴りはストレスによって悪化する傾向があります。更年期障害による体調不良があるうえに、耳鳴りのせいでイライラすると、ますます耳鳴りが悪化する悪循環に。
特に、周囲がシーンと静かになったときほど耳鳴りは気になります。そのため夜寝る時間になると耳鳴りが気になって眠れなくなり、不眠が続くことでますます体調を崩す人もいます。
なかには、「このまま耳が聞こえなくなったらどうしよう」と強い不安を抱き、ストレスになってしまう人も。
さらに、家族や周囲の人に耳鳴りのことを相談したのに、「気にしすぎ」とか「神経質だ」などと軽くあしらわれたことで落ち込んでしまい、余計に耳鳴りが悪化してしたというケースも見られます。
耳鼻科の受診&耳鳴りが気にならなくなる方法に挑戦も
耳鳴りは、耳や脳の病気でも起こることがあります。そのため、一度は必ず耳鼻咽喉科を受診し、病気が潜んでいないか検査を受けましょう。
また、耳鳴りには難聴やめまいを伴うものもあり、この場合もきちんと検査を受けて、原因となっている病気をつきとめることが大切です。
そのうえで、加齢性難聴や更年期に関係がある耳鳴りであると診断されたら、女性ホルモンで治療をしたり、家庭でケアしたりすることで症状を軽減できます。
家庭のケアでは耳鳴りを気にならなくするため、音量を下げて音楽やラジオを流しておくと効果的です。
耳鳴りは周囲が静かだと余計に気になります。そこで、耳鳴りと同じ程度の音量で他の音を流すのです。好きな音楽でもかまいませんし、ラジオなどでもよいでしょう。
更年期障害を食生活で改善!半身浴やスポーツもおすすめ
次に、全身の血流が悪いと耳鳴りも悪化しやすいので、神経を安定させ血行を促すビタミンを摂ることも大切です。ビタミンBとビタミンEが効果的です。
ビタミンBなら豚肉、ナッツ、玄米、うなぎ等、ビタミンEならかぼちゃやほうれんそう、モロヘイヤ、アーモンド、オリーブオイルといった食品、更年期サプリメントを意識して摂りましょう。
また、半身浴や足湯も効果的です。体が温まると全身の血行不良が改善され、耳鳴りが軽くなります。
忘れてならないのが、ストレス解消です。自分が好きなことに熱中しているときは、耳鳴りも気にならないものです。趣味やスポーツなどを存分に楽しむことをおすすめします。
監修者プロフィール:吉岡範人さん(つづきレディスクリニック院長)
1978年生まれ。千葉県出身。2005年、聖マリアンナ医科大学大学院を卒業。同大学初期臨床研修センター、産婦人科に入局。16年間の医局勤務中、約2年間にわたりカナダ・バンクーバーにあるブリティッシュコロンビア大学へ留学。がんの研究に従事。2019年に事業を引き継ぐ形で、つづきレディースクリニックの院長に就任。その後、自らの発案で訪問医療を新たにスタートさせるなど、枠に捉われない多角的な医療サービスを促進。大きな注目を集めている。
撮影=中西裕人 ヘアメイク=小島けさき モデル=菊池洋華(TOP画像)、その他イメージ=PIXTA
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