50代になったら目と耳のサインに注意!#5
難聴&認知症予防に効果的!耳の若さを保つ生活習慣
難聴&認知症予防に効果的!耳の若さを保つ生活習慣
更新日:2024年06月04日
公開日:2022年03月25日
体をサビつかせる活性酸素の発生を抑えることが大切

認知症の原因ともいわれる老人性難聴は、なぜ起こるのでしょうか。前回説明したように、耳から入った音の振動は、蝸牛(かぎゅう)で電気信号に変換され、脳へと伝わります。
蝸牛には、特殊な線毛が生えた有毛細胞があり、この有毛細胞が揺れることで振動は電気信号に変わるのです。
「しかしながら、この有毛細胞は、年を取るにつれてダメージを受けて数が減少していき、一度壊れると再生することのない、人体で最も弱い細胞の一つなのです」と坂田さん。
有毛細胞がダメージを受けると、振動を電気信号に変換する力が衰え、脳に伝わる情報量も減ってしまいます。
「実は最近の研究で、有毛細胞のダメージには遺伝子が関与していることがわかってきました。Bak遺伝子という細胞死(アポトーシス)を引き起こす遺伝子によって有毛細胞が壊され、難聴になってしまうというわけです」(坂田さん)
「このBak遺伝子は、体をサビつかせる活性酸素が増えると活発に動き出すことがわかっています。よって基本は規則正しい生活と、栄養バランスのとれた食事などで活性酸素の発生を抑えることが大切です」と坂田さんは言います。
メタボ予防は難聴予防にもつながる
さらに、内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさり、動脈硬化を招きやすいメタボリックシンドロームも、難聴を引き起こす原因の一つです。
「動脈硬化により血流が悪くなると、クモの糸のように細い内耳の血管は、ささいなことで詰まりやすくなったり、血流が途絶えたりと影響を受けてしまいます」と坂田さん。メタボ予防は難聴予防にもなる、と覚えておきましょう。

また、ゆらゆら揺らいでいる有毛細胞が、騒音や突然の大音量によって激しく揺れることで、倒れたり絡まってしまうこともあるといいます。「イヤホンで音楽を聴き続けたり、携帯電話を長時間耳に当てて話した後に耳が聞こえにくくなったケースもあります」と坂田さん。耳に負担をかけないよう心掛けましょう。
今日から取り入れたい!耳にいい9の生活習慣
それでは、耳の若さを保つ生活習慣を紹介していきます。今日から取り入れられることばかりなので、ぜひチェックしてください。
1:2倍の速さで音を再生する
2倍速で音楽や朗読を流し、意識を集中して聞く力を鍛えるトレーニングは、聴覚とともに脳を活性化する効果が期待できます。3~4人による井戸端会議も、多方向から会話を聞き取ることで耳を鍛えるよい訓練になります。
2:香りと音を同時に楽しむ

難聴と認知症を同時に予防する方法としておすすめなのが、聴覚と嗅覚を一緒に働かせるトレーニング。アロマオイルやお香などの香りをかぎながら音楽を聴くことで、聴覚と嗅覚が同時に刺激され、脳全体が活性化します。
3:長時間の座りっぱなしを避ける
長時間座りっぱなしでいると耳の中もむくみます。内耳はリンパで満たされているため、リンパの流れが悪くなると内耳も悪影響を受け、慢性化すると難聴に進むので、ご注意を。
4:コーヒーは1日1~2杯程度に

コーヒーに含まれるカフェインは、目覚まし効果などのメリットもありますが、取り過ぎると内耳を興奮させ、耳の健康によくありません。コーヒーは1日1~2杯程度が適量です。
5:紫外線を避ける
紫外線を浴びると体内では活性酸素がつくられます。日傘や日焼け止めクリームなどで対策を。これからの季節、紫外線量の多い午前10時~午後2時は極力、紫外線を避けましょう。
6:ビタミンB12をしっかり取る
ビタミンB12には、内耳の血流を増やし、傷ついた神経を修復する作用があります。レバーや貝類、サンマやアジの干物、卵、焼きのりなどに含まれるので積極的に取りましょう。
7:ヘアカラーの溶剤に気を付ける

髪を染めるヘアカラーの溶剤には、有機溶剤アニリン色素の誘導体という神経毒性の強い化学物質が含まれているものがあります。染め剤を選ぶときには注意しましょう。
8:動脈硬化や血圧をコントロールする
血流障害は難聴を引き起こす原因となります。健康診断などで動脈硬化や高血圧を指摘されている人は、きちんと治療してコントロールすることが、難聴予防にもつながります。
9:質のよい睡眠をしっかり取る
睡眠不足による自律神経の乱れから難聴になることがあります。就寝前にぬるめのお湯にゆっくりつかって自律神経を整え、質のよい睡眠を取りましょう。
補聴器を活用するのも一つの手
国内の大規模調査「Japan Trak2022」によると、日本では、補聴器を着ける必要がある人のうち、実際に着けている人はわずか約15%。これは先進国の中で一番低い数字です。
前回説明したように、難聴は認知症のリスクを高めるので、耳の聞こえが悪ければ耳鼻科で相談して補聴器を活用しましょう。購入するときは、耳鼻科か、認定補聴器技能者という資格を持った補聴器のプロがいる販売店が安心です。
補聴器の種類
耳かけ型

耳の後ろにかけて使うタイプ。本体が耳や髪で隠れるのであまり目立たず、小さくて軽いのがメリット。耳穴型より操作がしやすく、種類豊富です。ただし、汗で故障しやすく、メガネをかけている人は着けにくいのが難点。
耳穴型

耳の穴にそのまま入れるタイプ。一般に難聴レベルの低い人向き。目立ちにくいため人気の形状ですが、汗や耳だれに弱く、小型化しているぶん操作しにくい、耳の形に合っていない、ハウリングを起こしやすいといった難点も。価格は高めですが、耳の形や聴力に合わせてオーダーメイドもできます。
箱型

本体とイヤホンがコードでつながれていて、本体を胸ポケットなどに入れて使用する、昔からあるタイプ。価格が安く、本体は大きいぶん操作しやすいというメリットも。両耳に補聴器が必要な人や、よく動く人には不向き。本体のマイクが服にこすれる音がイヤホンに入りやすいのが難点です。
目と耳のケアをすすめる特集全5回、いかがでしたか?何事も早めの対処が吉。ぜひ今回紹介した耳にいい生活習慣や、目の疲れを改善&予防する生活習慣を取り入れてみてくださいね。
坂田英明(さかた・ひであき)さんのプロフィール

川越耳科学クリニック院長。1988年、埼玉医科大学卒業。91年、帝京大学医学部附属病院耳鼻咽喉科助手。ドイツ・マグデブルグ大学耳鼻咽喉科研究員、埼玉県立小児医療センター耳鼻咽喉科副部長を経て、2008年より目白大学保健医療学部言語聴覚学科教授。16年より現職。18年より埼玉医科大学客員教授、昭和女子大学客員教授。日本耳科学会代議員。日本聴覚医学会代議員。
取材・文=五十嵐香奈(編集部) イラストレーション=田上千晶
※この記事は雑誌「ハルメク」2021年5月号を再編集、掲載しています。
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