高さ、サイズ、素材など、枕選びのポイント

睡眠改善のプロ伝授!快眠できる枕選びとおすすめの枕

公開日:2020.08.13

更新日:2021.08.05

教えてくれる人 上級睡眠改善インストラクター・安達直美さん

上級睡眠改善インストラクター安達直美(あだち・なおみ)さん

安達直美(あだち・なおみ)さん
日本に4人しかいない、日本睡眠改善協議会上級睡眠改善インストラクター。国内大手航空会社において国際線客室乗務員として勤務後、寝装品メーカーの研究所で主任研究員に従事。以後、睡眠文化戦略コーディネーターを経て現職。「ハルメク 健康と暮らし」で、抱き枕や枕を監修。

日本人の約20%は、不眠の悩みがある

日本人の不眠の悩み


 厚生労働省の平成29年度「国民健康・栄養調査」の調査結果によれば、ここ1か月間、睡眠で休養が十分に取れていないと感じる人は20.2%もいます。つまり日本人の5人に1人が眠りに満足していません。

特に50代の女性の場合、1日の睡眠時間が5時間未満の人が11.5%、6時間未満の人が40.1%で、睡眠時間も短いことがわかっています。50代は加齢で疲れやすくなる上に、仕事や家事、家族の面倒と何かと忙しいからこそ、質の高い睡眠を取りたいですよね。

眠りを妨げる原因の一つとして考えられるのが、枕です。頭まわりは感覚器が集中する体の中でもっとも過敏な場所だからこそ、一度枕を見直してみましょう。ちなみに日本語の「枕」の語源は、魂の蔵(たましいのくら)。それほど、枕は大事なものといえるでしょう。

まずは、今の枕が合っているのかチェック!

頭や首と敷き布団とのすき間を埋めるのが枕の役割です。頭や首の形が人によって違うように、人それぞれ合う枕は異なります。起きたときに、次に挙げるような違和感がある場合は、枕が合っていないかもしれません。チェックしてみましょう。

朝起きたときに、頭が枕にのっていない

睡眠に難がある枕

朝起きたときに、ちゃんと枕の上に頭がのった状態でなければ枕が合っていない証拠です。寝始めは枕を使って楽な姿勢でいたはずですが、寝心地が悪いため枕を使わなくなってしまっているのです。

また、うつ伏せになって腕で枕を集めていたり、手を添えて高さを出していたり、肩から枕に乗り上げて寝ている場合も、枕が合っていない可能性があります。

朝起きたときに、首、肩、腰、手足に違和感がある

起床時違和感がある

朝起きたときに、寝違えていたり、肩や腰、手足に違和感がある場合は、体と敷布団とのすき間が埋まらず体のどこかに集中的に負荷がかかっています。つまり、枕が合っていないといえるでしょう。

身に覚えはありましたか? 快眠のための枕選びには5つのポイントがあります。

 

快眠できる枕の高さ

適切な枕の高さ

体に負担の少ない寝姿勢は、リラックスした立ち姿勢と同じです。首や肩の力を抜いて立ち、3mほど先の床を見るようにあごを引いている状態を、仰向けになってもキープできるようにしましょう。横になったときに、足元から真上の天井を見るイメージです。

合わない寝具を使っていると、横になったとき、体と寝具との間にすき間が生まれます。このすき間が大きいほど体への負担は大きくなり、痛みやこりを招いてしまう原因になります。そうならないためには、リラックスした立ち姿勢を維持できるように、首がまっすぐ伸び頸椎に無理がかからず、呼吸が楽になる高さの枕を選ぶようにしましょう。

しかし頭や首の形には個人差があり、売れ筋の枕であってもしっくりくるとは限りません。専門家のいるショップで相談するのが得策です。

またもう1点、枕を選ぶときに気を付けたいのが敷布団の硬さです。使用している敷布団が柔らかいと体が沈んでしまうので、想定よりも低い枕が必要になります。逆に、敷布団が硬ければ高い枕が必要になります。

枕を選ぶときは、店頭の敷布団と自分の家の敷布団とで、感触が違うかチェックしておきましょう。オーダーメイドで枕を作るときは、少し高めに作ってもらっておき、敷布団に合わせて高さを調整するのも一つの手です。

 

快眠できる枕のサイズ

枕のサイズ感も重要です。快眠のための枕は、やや大きくて頭がしっかり収まるものがおすすめです。サイズ感が小さいと、ゆったりと寝返りが打てず、安心感を得ることができません。小さい枕や狭い寝具で寝ていると、無意識のうちに身を守ろうと脳が緊張して覚醒しやすい状態になってしまいます。

実は近年、枕のサイズはどんどん大きくなっています。以前は、肩幅くらいがいいとされていましたが、最近は横幅70cm程度のゆったりしたサイズのものが多くなっています。小柄な女性の方でも65cm程度はほしいですね。

寝返りを打つ赤ちゃんのイラスト
赤ちゃんが足から寝返りを打つように、大人になっても寝返りを打つときは、足から動きます

枕を店頭で試すときは、安心して寝返りが打てるサイズかどうかを確認しましょう。膝を曲げて、振り子のように左右に振りながら腰を起点に体の向きを変えて、頭が枕から落ちなければ問題ありません。

 

快眠できる枕の素材

快眠できる枕の形

枕の素材は、基本的に好みと体質、生活スタイルに合っていて、安らげるものであることが大切です。また硬いか、柔らかいかといった感触、音がするか、しないか、リラックスできる香りかなども選ぶポイントになります。

「安らげる」枕選びには、人それぞれの原体験でも選択肢が変わります。これまで自分が何の素材の枕を使っていたのか、思い出してみてください。そば殻を幼い頃から使ってきたという人であれば、きっと大人になってもそば殻の枕は安心感を与えてくれます。

また、

  1. 熱がこもらず、汗を吸放湿させる、通気性がいいものか
  2. 衛生的で洗えるか
  3. 型くずれしにくいか
  4. ほこりが出にくいか

などといった視点も、枕の素材選びには重要です。特に汗かきの人の場合、通気性がよく洗える素材を選びましょう。また、ハウスダストアレルギーのある人は、ほこりが出にくい素材を選ぶのも大切です。

とはいえ、枕の素材は進化しており、防臭効果や抗菌効果など機能面が優れているものも増えていますので、定番の素材以外にも、選択肢の幅を広げてみてもいいでしょう。

 

代表的な枕の素材それぞれの特徴

快眠できる枕の素材は?

ポリエステル綿

・ふんわりと柔らかい素材で、安価なのが特徴
・通気性は、あまりよくない
・洗えるものと洗えないものがある
・へたりやすく寿命は半年~2年程度
・加工されたポリエステル綿で、ほこりが出にくく抗菌作用がある種類も登場している

ウレタン素材

・低反発、高反発のものがある。もちもちとした柔らかさがあり、体圧分散性が優れており姿勢に合わせてフィットする
・通気性はあまりよくない
・洗えないものが多く、水分や日光で劣化しやすい
・寿命は半年~3年
・ほこりは出にくく、防虫効果も高い

羽根、羽毛、ダウン

・ふんわりとした素材感で特にダウンには高級感がある
・通気性に優れており、吸湿、保温もできる
・洗えないものが多い
・寿命は1~3年程度
・中身が出やすく、ほこりも出やすい

そば殻

・古くから枕の素材として使われており、ずっしりとした重量感と硬さがある
・頭の形に合わせやすい
・通気性、吸湿性に優れている
・水洗いはできないものが多い
・寿命は半年~1年程度
・そば殻がつぶれると粉が出る、虫がわきやすい

パイプ素材、ストロー

・柔らかさやサイズの種類が多様で、頭と首をしっかり支える
・通気性に優れている
・洗える
・高い耐久性があり、寿命は3~5年程度
・ほこりが出にくい

他にも、マイクロビーズや、ヒノキといった木の素材、ビーズの進化した素材などもあります。

 

快眠できる枕の形状

快眠できる枕の形状は?

海外では多くの枕は長方形で、真ん中がややふくらんだ形状をしています。人によっては見た目のかわいい形状のものを好んだり、頭がすっぽりと収まる真ん中がくぼんだタイプの包容感のある枕を好んだりします。また、昨今では、枕の中身を分割し、パーツによって異なる素材や高さになっているユニット構造も人気の形状です。寝返りを打ちやすくするために、中央よりサイドを高めにした、機能性を追求したものも多く登場しています。

ある時期では快眠できていた枕も、年齢を重ねると不便になることは珍しくありません。これだけ多くの形状が開発されているので、体型の変化や健康状態、気分や季節によって枕を使い分けてもよいでしょう。枕は定期的に見直すことをおすすめします。

 

悩み別!症状を自覚してから快眠できる枕を探そう

いびきをかかない枕の選び方

イビキ

イビキの原因は、口呼吸になっていたり、仰向けに寝ているときに舌が口の奥に入り込んでしまったりとさまざまです。共通しているのは睡眠中の呼吸がスムーズにできていない点です。大きないびきや呼吸がとまるなどの症状で知られる無呼吸症候群という病気が潜んでいる場合もありますので、特に日中の眠気が高いと感じる方は注意が必要です。

イビキを防ぐには、枕の高さを少し変えてみるのも一つの方法です。枕が高すぎたり低すぎたりすると、気道が妨げられてしまいイビキの原因になります。仰向けで寝ていても楽に呼吸できる高さの枕を選んでみましょう。

また、専門医によると、イビキをかいてしまう人の4割程度は体位依存性とされており、横向き寝の姿勢で寝ればイビキが緩和するという研究結果も出ています。横向き寝を促すために、抱き枕を使用するのも一つの手です。ただし抱き枕は抱きつくように足で挟むのではなく、覆いかぶさるように使って肩と腰に負担がかからないように体重を分散させましょう。

首の痛みや寝違え

朝起きたとき、寝違えて首を痛めるのもよくあるトラブルです。寝違えが起きる原因は、一時的に筋肉が弛緩しているときに、不自然な姿勢のまま首が固定されてしまうことです。枕に正しく頭がのっていれば寝違えることはありません。頭の位置が安定するよう考慮された枕を使うようにしましょう。

肩こりの人

肩こりをする場合の枕選びは

寝起きの肩こりは寝具が原因です。敷布団と首のすき間が埋まっていないことで、寝ている状態でも首や肩が緊張していたり、枕のサイズ感が合っておらず、寝返りを打った後に頭の位置がずれて、血行を邪魔して肩こりを生み出しているかもしれません。枕の大きさや高さ、柔らかさなどが適切でないことも考えられます。十分な大きさがあり、体の形状にあった枕を探してみましょう。

寝る前から肩こりのある人は、寝る前にストレッチをすると寝つきやすくなります。肩が前に出て巻き肩になっている人は、仰向けに寝たら、目を閉じて大きく深呼吸をして、敷布団に両肩がつくように意識してみて。歳を重ねると自然と巻き肩になってしまう方もいらっしゃいますが、その場合は巻き肩用の枕もあるので検討してみてください。

ストレートネックで枕がしっくりこない  

ストレートネックとは

頸椎の緩やかなS字カーブがないストレートネックの方の場合、合う枕がなかなかありません。首の後ろのすき間を埋めるSタイプの枕は合わないので、枕を前後に2つ重ねて、肩からのるとしっくりとくる場合があります。

 

枕の寿命は半年~5年、メンテナンスも必要です

枕選びは

購入時にピッタリと合っていた枕も、経年劣化して弾力性やボリューム感が失われて高さが合わなくなります。枕の寿命は素材によって異なりますが、半年~5年と考えましょう。

ポリエステル綿などの柔らかい枕ほど、ヘタって高さが低くなっていきます。まだその枕を使いたいという場合は、枕カバーの中にバスタオルを入れて、枕の下から嵩上げするように高さを調整するといいでしょう。

また快眠のためには、使用中の枕のメンテナンスも重要です。基本的には、使用中の枕に付いている洗濯表示タグや取扱説明書の指示に従いましょう。素材によっては自分で洗うこともできますし、クリーニングに出すこともできます。洗うときは枕を洗濯ネットに入れるといいでしょう。洗濯機で脱水をかけるときは、一度取り出し、脱水中の枕の位置と向きをかえると、まんべんなく脱水されて時短になります。

枕が洗えない素材の場合は、枕カバーの上からさらにカバーとなるピロートップをかぶせると汗やよだれがしみこみづらくなって衛生的ですよ。

マイクロビーズ、そば殻、羽根、ウレタン素材といった水洗いができない素材の場合は、汚れとほこりがたまり快眠を妨げる可能性も。月に1度は干しましょう。特にそば殻は虫がわいてしまうので、しっかりと天日干しをしましょう。ウレタン素材は太陽の光に弱いため、陰干しをしてください。

 

安達さんおすすめ!快眠枕5つを紹介&評価

包まれ具合が最高!うつぶせ寝にも。「パピヨン」

パピヨン

枕を2つ重ねた、一風変わった構造の枕です。頭をのせると上部の両端が持ち上がり、頭を包み込むソフト感と安心感が味わえます。仰向け寝はもちろん、横向き寝、うつぶせ寝をする方にも心地よく使えます。うつぶせ寝をするときは、枕の間に手を差し込むと安定した楽な姿勢に。「ふかふかで、上質な包まれ感が最高の枕です」と安達さんも絶賛です。

商品/「パピヨン®」(LOFTY) 
サイズ(約)/縦36×横60cm
素材/【側地】 綿100%(ダウンプルーフ加工)
【中材】<上部>ダウン90% フェザー10% <下部>ダウン20% フェザー80%
価格/2万6400円(税込)
問い合わせ先/ロフテー枕工房 0120-824-855 lofty.co.jp

いびき防止!横向き寝をサポートする「ボディピローいびき」

いびき防止の抱き枕


太田睡眠科学センター所長兼慈恵医大准教授・千葉伸太郎さんが監修。いびきの悩みに特化した、横向き寝のための抱き枕です。仰向け寝をしにくい設計になっており、横向き寝になるといびきが軽減する方に特におすすめです。全長165㎝、横向き寝でも足元までしっかり支える構造で、体重がうまく分散されます。優れた通気性と、腕に負担がかからない構造です。

商品/ボディピローいびき(LOFTY) 
サイズ(約)/165×63cm
素材/<カバー>ポリエステル100%
<クッション>【側地】 ポリエステル80% 綿20%/【中わた】ポリエステル100%
<クッション材>ポリエチレン
価格/3万8000円(税抜)
問い合わせ先/ロフテー枕工房 0120-824-855 lofty.co.jp

ストレートネックに!「スマートフィットピロー」

パラマウントベッド睡眠研究所がプロデュース。どんな寝返りも受けとめる、80㎝の幅広サイズの枕です。中央にベロのある珍しい形状で首から肩をサポートします。「ストレートネックで後頭部の形がよい枕難民の方にも合う、画期的なまくら」と安達さん。通気性、耐久性に優れた、二重構造。2枚の高さ調整パッドも付いているので、自分に適した高さに変えられます。

商品/スマートフィットピロー(パラマウントベッド)
サイズ(約)/縦43×横80cm ※3種類の高さのサイズ展開があります
素材/<綿層>【側地】ポリエステル 65%【中綿】綿 35%
<ウレタン層>【側地】ポリエステル 100%【中芯】ウレタンフォーム 100%
価格/1万7600円(税込)
お問い合わせ/0120-03-3648

もっちもちに包まれる安心感「空間fitの夢まくら プレミアム」

夢まくらプレミアム

体のすきまに気持ちよくフィット!頭をのせれば夢心地が味わえる枕です。粉砕低反発ウレタンが下から上にしっかりと支え、極小ポリスチレンビーズが水のようなスムーズな流れを、マイクロファイバー綿が、まるで雲のようなふわふわ感を生み出す、3つの素材の絶妙なバランス。「ふわふわもちもちの新触感!柔らかいのにしっかり支えてくれます」と安達さん。

商品「空間fitの夢まくら プレミアム」(株式会社CCM)
サイズ(約)/幅60×横40cm×高さ8cm
素材/<本体>【側地】ポリエステル89% ポリウレタン11%
【首部分】ナイロン91%、ポリウレタン9%
【詰め物】ポリスチレンビーズ/ポリウレタンフォーム/ポリエステルわた
価格/6600円(税込)
お問い合わせ/03-5978-6220

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「硬さも調節できる私の枕」

ハルメク 硬さも調節できる私の枕

上級睡眠改善インストラクター、安達直美さん監修の枕です。ユニット式で、2種類のパイプ入りの袋で寝心地を調整できるのが魅力です。自分好みの微妙な硬さに合わせられるので、ささいな違和感すら克服できます。寝返りを打つたびに枕の位置がずれて、体が痛くなっていた人には試してほしい逸品です。また、綿100%の専用カバーが付属しており、感触や通気性も抜群です。

「硬さも調節できる私の枕」(ハルメク)
サイズ(約)/縦34×横63×高さ13cm素材/<枕側>【側地】綿100%【中綿】ポリエステル100%
<枕中材>【側地】ポリエステル65%、綿35% 【中材】エラストマー・ポリエチレン
価格/1万2991円(税込)

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取材・文=竹上久恵(ハルメクWEB編集部)

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