「寝起きのぐっすり感がない」という眠りの悩みを改善

睡眠の質を上げるなら「横向き寝」&首は「S字」に!

公開日:2020.06.02

更新日:2021.07.06

50代からの睡眠の質を上げる方法として押さえるべきポイントが2つあります。日本にまだ4人しかいない、上級睡眠改善インストラクターの安達直美さんが、心地よく眠るための寝方と枕の選び方を解説します。

横向き寝
睡眠の質を上げるなら「横向き寝」&首は「S字」に!

教えてくれる人 上級睡眠改善インストラクター・安達直美さん

安達直美(あだち・なおみ)さん

安達直美(あだち・なおみ)さん
日本に4人しかいない、日本睡眠改善協議会上級睡眠改善インストラクター。国内大手航空会社において国際線客室乗務員として勤務後、寝装品メーカーの研究所で主任研究員に従事。以後、睡眠文化戦略コーディネーターを経て現職。「ハルメク 健康と暮らし」で、抱き枕や枕を監修。

 

睡眠の質は「高める」より、不眠の原因を減らす

不眠の原因を減らす

「あーよく寝た!」、そうやって快活な1日を始められたら理想的。でも、50代を過ぎると、そんな朝を迎えられる方は少なくなっているかもしれません。寝つきが悪く、夜中に目が覚め、朝はぐったり。暑い・寒いなどの季節要因も影響しますね。また最近だと、スマートフォンやパソコンを寝る前に見る悪い習慣がついてしまったという人も多いのではないでしょうか。

私はよく「どうやったら睡眠の質を高められますか?」と聞かれますが、そもそも、睡眠の質は高望みするものではありません。「不眠の原因を一つ一つ解消し、マイナス幅を減らしていく」、それが正解です。

「ぐっすり感」が足りないなと感じたら、「睡眠をジャマしているものは何だ?」と考え、対策していくことが必要なのです。

不眠の原因として考えられることは、以下が挙げられます。

不眠の原因

  • 呼吸のしづらさ
  • 首・肩の違和感
  • 腰の違和感
  • 寝返りのしにくさ
  • 室内の温度や湿度(高温多湿・低温低湿)
  • 眠る直前にスマホやパソコンを使用し、ブルーライトを浴びること
  • 寝る前に、カフェインやアルコールを摂取すること  など

中でも、50代以上の女性にありがちな睡眠の質を下げている原因「呼吸」と「頸椎(けいつい)のカーブ」について、詳しくお伝えします。

 

睡眠時の呼吸がカギ! 横向きに寝る「横寝」に変えよう

横向きに寝る

睡眠をジャマするものの一つが「呼吸のしづらさ」です。いびきは代表的なその状態です。50代以降の方は睡眠時の呼吸がしづらくなるといわれています。

なぜ50代以降か、というと、それは筋力低下が一因です。「舌根沈下」といって、筋肉が衰えることにより下の根っこ「舌根」が沈み、気道をふさいでしまうのです。特に仰向けに寝ると、舌根沈下は起こりやすくなります。

呼吸がうまくできないと脳に酸素が回りません。脳に酸素が回らないと眠りが浅くなり、結果、朝起きてもだるさが抜けないのです。

そこでおすすめなのが、横向きに眠る「横寝」をすること! 仰向け時に比べ気道が確保されやすく、呼吸がラクになるのです。脊椎動物の中で仰向けに眠るのはヒトだけだといわれています。ヒト以外の動物は臓器を守ろうとし、睡眠時は本能的に「横寝」になります。つまり、横寝は呼吸がラクになるだけでなく、精神的にもほっと安心できる眠り方なのです。

ただし、横向きは仰向きよりも体圧分散が少なく、身体に違和感を感じることがあります。横向きに寝るための補助として、抱き枕などを使って、快適な横寝を実践してみましょう。

抱き枕は、脚でしっかり挟んだときに無理な体勢にならず、肩に負担がかからないのでおすすめです。

 

首の骨「頸椎」をS字に保つ! 枕選びのポイント

枕選び

呼吸の他に睡眠をジャマするものとして、特に多く耳にするのが、首や肩の痛みです。「何度枕を替えても、どうしても合わない」、俗にいう「枕難民」ですね。

枕は頭を載せるというよりも、敷ふとんと体の間にできた隙間を埋めて「首(頸椎)を支える」ためのもの。頸椎はS字のカーブを描いていますが、寝ているときも立っているときと同じように、この頸椎のS字をキープできれば、睡眠の質を保つことができます。

枕選びのポイントは「仰向けでも横向きでも、S字頸椎をキープできること」「高さ調節が自在にできること」、この2つです。まっ平な枕では、仰向け時はよくても横向きになると頸椎がゆがんでしまうため、両サイドにやや膨らみがあるタイプがおすすめです。

また「高さ調節」も重要です。よく「百貨店で専門家に合わせてもらった枕なのに、実際に使ってみると合わない」という声を聞きます。

それもそのはず、百貨店と自宅の「敷き布団の沈み方」が異なるからです。枕の高さは、実際に寝る布団の上で調節しなければなりません。そもそも、頸椎のカーブの深さは人によって異なります。「高さ調節が可能かどうか」を確かめて、枕を選んでください。


睡眠の質を上げるには、まずマイナス要因を減らすこと。そのためには「横寝&S字カーブを保つこと」が重要、そして上手に寝具に頼るという話をしてきました。でも、疑問に思われる方がいらっしゃるかもしれません。「そんな寝具、どこにあるの……?」

 

睡眠の質を上げる寝具「ないなら、作ろう!」

2018年1月に行ったモニター会の様子。会議室に布団を敷いて、いろいろな枕の寝心地を比べました。
2018年1月に行ったモニター会の様子。会議室に布団を敷いて、いろいろな枕の寝心地を比べました

確かに市場を見ても、「50代以降の女性に特化した寝具」ってなかなかありません。ハルメク健康と暮らし編集部は、それに気付いてからは早かった(笑)。「ないなら、作ろう!」

横寝を実践しようと思っても、ただ横を向くだけでは体が不安定。それを回避するために作ったのが「抱き枕」です。上半身と下半身で厚みを分けて設計、お腹にフィットするようカーブをつけ……と、寝具メーカーさんと試行錯誤しながら形にしました。

高さ調節ができる枕も、枕一筋の職人さんと一緒に。中材にはビーズなどを入れる袋をいくつも作り、場所によってビーズやパイプを入れ分け。それもこれも、絶妙な高さ調節をかなえるため……。その過程ではハルメク読者のみなさまにモニター会に参加していただき、貴重なご意見もいただきました(ありがとうございました!)

ぐっすりよく眠ること。これはあくまで手法です。目的はやっぱり、幸せな気持ちで眠りに就けること、そして、毎日元気に健康で暮らせること! 日本全国で「あー、よく寝た!」「今日もがんばれそう!」、そんな声が響き渡りますように――。

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■もっと知りたい■

モデル=青木沙織里、撮影:廣江雅美(人物)、中西裕人(モデル)

宮崎 謙輔

みやざき・けんすけ 2007年入社。「ハルメク 健康と暮らし」で、編集業務に携わる。出身は福岡、住まいは横浜。妻の家族と4世代7人で、わいわい、がやがやと暮らしている。

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