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「大丈夫」じゃないかも?見逃し要注意の限界サイン
ストレスが限界に達した時に出る12のサイン・症状
Dr.孝志郎のクリニック
藤澤孝志郎
公開日:2022.11.15
更新日:2024.07.08
ストレスが限界に達した場合や限界に近い場合、心や体に「サイン」ともいえるさまざまな症状が現れます。「私は大丈夫」「つらいのは自分だけじゃない」そんな人はがんばり過ぎに要注意!医師監修のもと、強いストレスが原因で起こる症状について解説します。
監修者プロフィール:藤澤孝志郎さん(総合内科専門医)
Dr.孝志郎のクリニック院長。日本内科学会認定総合内科専門医。宮崎大学医学部卒業。医学教育の第一人者としても知られ「サマライズシリーズ」、「病態生理講座」、「ラストメッセージ」はその代表作。また、医学英語を取り入れたオリジナルの講座を国内でいち早く誕生させ多数の大学医学部で外部講師として活躍。今日までに海外出身者を含め約10万人の医学生と医師達がその講義を受けた。
著書に「内科系専門医試験 解法へのアプローチ第1集・第2集・第3集」(医学書院)、「糖尿病 自分で治す最強事典」(マキノ出版)、「世界一効率よく若返る!骨トレ!」(ビジネス社)など。監修は「肋骨締め」(KADOKAWA)など他多数。VOGUE JAPAN、an・an(アンアン)、Tarzan、ゆうゆう、ハルメクなど取材記事多数。
ストレスをため過ぎると心や体に異常が現れる
ストレスとは、負荷がかかって歪みが生じた状態のことを指します。このときの負荷を「ストレッサー」といい、ストレッサーによる刺激を受けると「ストレス反応」として心や体にさまざまな異常が現れます。
更年期に差し掛かる年代の大人女性の場合、家事や仕事、子育て、健康面での不安や親の介護、家族の病気や死別など、負担になる出来事も多く、慢性的なストレスがかかる状況になりやすいです。
過度なストレスは心にも体にも大きな負担になるため、ため込んでしまうのは危険。限界になる前に対策しましょう。
ストレスが限界なのに見逃してしまう理由
周囲から見れば明らかに大丈夫ではないのに「自分は大丈夫」「まだがんばれる」と思い込み、無理をしてしまう人は少なくありません。
なぜ、ストレスが限界に近いのに見逃してしまうのでしょうか?それには、2つの理由が考えられます。
- ストレスフルな環境にいる自覚がない、麻痺している
- 「つらいのは自分だけじゃない」と考え我慢してしまう
それぞれの理由について、詳しく見ていきましょう。
ストレスフルな環境にいる自覚がない、麻痺している
人間関係の厳しさや働き過ぎなど、ストレスがかかり続けている状態が当たり前になると、それが「日常」のようになってきます。
すると感覚が麻痺し、自分がストレスフルな環境にいる自覚がなくなってしまうのです。
また、ストレスがつらい場合でも、環境を変えるのが難しいこともあります。苦しい中でなんとかやるべき業務をこなすため、感情に蓋をしてがんばり続けているケースもあるでしょう。
「つらいのは自分だけじゃない」と考え我慢してしまう
他の人の感情に寄り添える優しさを持っている人や、目の前の仕事をこなさなくてはという責任感が強く真面目な人は、ストレスを限界までため込んでしまいやすい傾向にあります。
「他の人もがんばっている」「つらいのは自分だけじゃない、だから自分もがんばらなくては」と、つらい気持ちに無理をしてがんばってしまいがちです。
これが積み重なると、精神的にも肉体的にも負荷がかかり、限界を迎えてしまいます。
ストレスが限界に達したときの12のサイン・症状
ストレスは自覚できることもあれば、上記でご紹介したように自分では気づけないこともあります。
ストレスが限界に達した時に出る症状は、倒れる、突然涙が止まらなくなるなど、目に見える明らかな症状だけではありません。
ここからは、ストレスの限界が近い、もしくはすでに限界に達していると考えられるサインについて解説します。
睡眠に不調が出ている
睡眠は人間に不可欠なものであり、睡眠の不調は精神面に大きな影響を与えるため、しっかりと注意を払っておくべきサインです。
ストレスの影響を受けると、睡眠に以下のような変化が起きることがあります。
- なかなか寝付けない
- 眠っていても夜中によく目が覚めてしまう
- いつもより寝過ぎてしまう
- 朝なかなか起きられない など
時々寝付けなかったり、少し寝過ぎてしまう程度であれば問題ありませんが、睡眠障害が毎日のように続いたり、アルコールや市販薬を飲まないと眠れないことが1週間以上続く場合は、注意が必要です。
体調不良を感じることが増えた
うつ病は体の不調から始まることが多いといわれています。体がだるい、動悸、息苦しさ、胃痛、頭痛、肩こり、めまい、吐き気、下痢などの体調不良が続いている場合、ストレスが限界に近いサインかもしれません。
体の不調はストレスにもつながるため、悪循環に陥ってしまいます。
お酒を飲む頻度や量が増えた
お酒を飲む頻度や量が増えた場合、精神的に負担がかかっているサインの可能性があります。アルコールにはストレスを抑えつける強い作用があるため、ストレスによる不安から一瞬は逃れられます。
しかし、脳がお酒を渇望するようになると量や飲む頻度が増え、アルコール依存症につながることも。お酒はストレスの根本的解決にならないばかりか、「また飲み過ぎてしまった」と自分を責めるなど、精神的な混乱を悪化させてしまう可能性があります。
食生活や食欲に変化が見られる
ストレスが高じてうつ状態になると、食欲が減退していきます。食事をおいしく感じない、お腹が空かないなどの理由から食事量が減り、痩せてしまうこともあります。
逆に、ストレスによって食べ過ぎてしまう人もいる。空腹を満たすだけではなく、ストレス解消のために暴飲暴食することで、体重増加につながります。
「食事内容を過剰に気にするようになる」「料理の味を感じにくくなり調味料が増える」「同じものばかりを食べ続ける」なども、ストレスの影響が考えられるでしょう。いずれの場合も食事内容が偏って栄養バランスが崩れると、体調をさらに悪化させてしまうことになります。
スケジュールを詰め込み過ぎる
不安感や精神的な問題から目を背けるため、仕事や習い事などのスケジュールを詰め込み過ぎるのも、ストレスが高じているサインかもしれません。
忙しい生活の中で休息の時間が取れないと、ストレスがたまってしまいます。自分ではストレスに気づけていないケースもあるため、注意が必要です。
集中できなくなった
仕事や人との会話で集中することが難しくなった、以前よりもぼーっとしていることが増えた、物忘れがひどい、ちょっとしたミスが増えたなども、ストレスの影響が考えられます。
集中できなくなってミスが増えると、ミスを注意される不安感や自責の念が強くなってしまい、ストレスをさらに強めてしまう可能性もあるでしょう。
怒りっぽくなった
食生活や生活リズムも安定しているのに「怒りっぽくなった」「周囲に対するイライラを抑えられない」「ちょっとした人の欠点が気になって仕方がない」「気分の浮き沈みが激しい」など感情の波が大きい場合、ストレスが原因になっている可能性が考えられます。
気分障害や双極性障害、パーソナリティ障害など心の病気につながることもあるため、注意が必要です。
なお、更年期は女性ホルモン分泌量の急激な低下によってイライラや不安感などの不調が起こりやすい時期でもあります。更年期症状が見られる人は、婦人科を受診してみてもいいかもしれません。
身だしなみに配慮できなくなった
ストレスがたまり続け、限界に近づくと、これまで毎日習慣的にこなしていたこともできなくなってしまうことがあります。
服や靴の手入れ、メイクなどこれまで当たり前に行っていた身だしなみに気を使えなくなった場合、ストレスが限界を迎えている可能性があります。
このケースは本人は気づいておらず、周囲が変化に気づくことが多いようです。
好きなことを楽しめなくなった
今まで好きだったことや楽しんでいたこと、趣味への興味が薄れてしまい楽しめなくなった場合、過剰なストレスによってうつ状態になっている可能性が考えられます。
家事や仕事などでストレスがあったとしても、趣味など好きなことに打ち込んで充実した時間が過ごせれば、ストレス解消につながるものです。
しかし、趣味や好きなことを楽しめなくなると、ストレスを発散させることが難しくなってしまいます。
罪悪感や後悔、羞恥心が強くなる
過去に起きたことを過剰に後悔したり、何もかも失敗だったという思い込み、自分のせいで誰かを傷つけたのではないかという罪悪感がある場合も、ストレスによって精神的な限界に達している可能性が考えられるでしょう。
悲しみや怒り、落ち込みしか感じられない
生きていれば誰しも、日常を送る中で悲しみや怒り、落ち込みの気持ちを感じることもあります。しかし、常に憂うつな気持ちが続いている場合は、ストレスが限界を迎えているサインかもしれません。
理由もなく涙が出てくる、笑う回数が減る、いつも疲労感を感じているなどは、うつ病や不安障害、燃え尽き症候群などでも見られる症状です。
生きている目的がわからないと考えるようになった
「生きている目的がわからない」「人生にどんな意味があるのか」といったことについて考える心理状態は、ストレスによる影響が考えられます。
つらい気持ちがさらに強くなってしまう前に、我慢せず病院を受診しましょう。
限界になる前に!ストレスへの対処法・解消法
ストレスは限界を迎えるまで我慢せず、習慣的に発散していくことが大切です。ここからは、ストレスへの対処法・解消法をご紹介します。
質のいい睡眠を取る
心身の疲労回復を行う睡眠は、ストレス発散のためには欠かせません。
質の高い睡眠を取れるよう、目覚めたら朝日を浴びる、夜寝る前は明るい光を浴びないようにするなど工夫しましょう。
不眠はうつ病のリスクを高めるという研究結果もあります。睡眠障害で悩んでいる場合は一度病院を受診してみましょう。
適度な運動をする
適度な運動は、ストレス解消に効果があります。
ストレス解消には、ウォーキング、ジョギング、サイクリングなど、一定のリズムを繰り返すリズミカルな運動がおすすめです。無理をせず習慣化できる強度で行いましょう。
自分に合ったストレス解消法を実践する
この他にも、自分に合ったストレス解消法を実践するのもおすすめです。
映画鑑賞や読書、スポーツなどの趣味や、瞑想(マインドフルネス)、ヨガなど、自分がリラックス、リフレッシュできるものを実践するといいでしょう。
信頼できる人と連絡を取る
困ったときに相談できる人や、気の合う友達に悩みや思っていることを相談するのもストレス解消になります。抱えている悩みやつらい気持ちがある人は、誰かに打ち明けてみるといいでしょう。
病院を受診した方がいいケース
気分の落ち込みや、何をするにもやる気が起こらない、疲れているのに眠れないなどの症状が続く場合は、早めにかかりつけ医や専門機関を受診しましょう。
「まだ大丈夫」と我慢しているうちにストレスが膨らみ、心身の不調がさらに悪化してしまうかもしれません。心の病気は自分では気づけないことも多いため、できる限り早めに相談することが大切です。
ストレスによる症状は何科を受診すればいい?
ストレスによる症状がある場合は、心療内科や精神科を受診するといいでしょう。更年期障害との関連が考えられる場合は、婦人科での検査を行うこともあります。
ストレスは限界まで我慢せず早めの対処を!
ストレスがたまり過ぎると、心や体にさまざまな不調が現れます。「まだ大丈夫」「私は強いからがんばれる」と我慢し過ぎず、休養を取ってストレスを発散しましょう。
我慢してストレスをため込むと症状が悪化してしまう可能性があるため、ストレスがピークを迎える前に、早めに対処することが大切です。
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