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- ストレスによる頭痛がつらい!種類や予防・痛みの対処
こめかみがズキズキする、後頭部が痛いなど頭痛に悩んでいませんか? ストレスは頭痛の代表的な原因の1つです。ストレスが密接に関連する「緊張型頭痛」と「片頭痛」。それぞれの原因や症状・予防法・対処法について、医師監修のもと詳しく解説します。
監修者プロフィール:北川 亮さん(総合東京病院 脳神経外科)
総合東京病院 脳神経外科勤務。日本医科大学卒業。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。専門領域は、頭部外傷と脊椎脊髄疾患。患者さん一人ひとりの声に耳を傾け、丁寧な診療を心がけている。脳外科・脊椎脊髄に関することであれば些細な事でもお気軽に相談を。
頭痛の原因第1位は……ストレス!
日本の大規模な疫学調査によれば、慢性頭痛を持っている人は4000万人にものぼるといわれており、頭痛に悩んでいる人は数多く存在しています。
頭痛が起こるシーンはさまざまで、季節の変わり目や気圧の変化、寝不足や二日酔いなどでも頭痛が起こることがあります。
そして、中でも最も多いのが、ストレスが原因となった頭痛です。第一三共ヘルスケアが行った調査の「頭痛がよく起こるシーンについて」の質問では、「ストレスがたまっているとき」が40.6%で第1位という結果が出ています。
ストレスと並んで多いのが「寝不足のとき」で39.1%という結果でした。
頭痛の種類
頭痛には種類があります。ストレス・凝り・疲労などが原因となったものが「一次性頭痛」で、病気などが原因となって引き起こされるのが「二次性頭痛」です。
また、これらの頭痛のうち、急激に起こる頭痛を「急性頭痛」、慢性的に痛むものを「慢性頭痛」といいます。
ここからは、一次性頭痛と二次性頭痛について詳しく見ていきましょう。
ストレス・凝り・疲労などで起こる「一次性頭痛」
一次性頭痛は、原因とされる病気がなく、それ自体は命にかかわることがないとされる頭痛です。ストレスや筋肉のこり、疲労などが原因で引き起こされます。繰り返し起こることが特徴で、慢性頭痛症といわれることも。
一次性頭痛は、痛みなどの性質から以下の3タイプに分類されます。
- 緊張型頭痛(緊張性頭痛)
頭や首の筋肉が緊張、収縮することによって引き起こされる頭痛。後頭部〜首筋を中心として頭全体が締め付けられるような痛み方。めまい、立ちくらみが起こることもある - 片頭痛
頭の片側もしくは両側のこめかみ付近がズキズキ痛む。痛む頻度は人によって異なり、週1の人もいれば月に数回という人もいる。頭痛の前兆としてフラッシュのような光が目の前で瞬く、視野が一部見えにくくなるなどがみられる - 群発頭痛
目の奥がえぐられるような、じっとしていられないほどの激しい痛みが続く時期が、年に1〜2回ほどみられる。原因ははっきりしていないもののアルコールやタバコなどが誘発要因とされ、男性に多い
病気の症状として現れる「二次性頭痛」
二次性頭痛は、何らかの病気(器質的疾患)の症状として起こる頭痛を指します。
今まで経験したことがないような激しい痛み方をする頭痛や、意識がはっきりしない、しびれや麻痺、1つのものが2つに見えるなどの症状がある場合は、緊急性の高い脳血管の疾患の可能性があるため、すぐに病院を受診する必要があります。
また、二次性頭痛が慢性的な頭痛の原因となることもあります。
原因としては副鼻腔炎、低髄液圧症候群、髄膜炎、硬膜炎、高血圧、下垂体炎、睡眠時無呼吸症候群、精神疾患などが考えられるでしょう。これらの病気の場合も、早めに医療機関を受診してCTやMRIなど詳しい検査をする必要があります。
ストレスが密接に関係した2種類の頭痛について
ストレスに関連した代表的な頭痛には「緊張型頭痛」と「片頭痛」の2種類があります。
ここからは、それぞれの頭痛について詳しく解説します。
緊張型頭痛とは
緊張型頭痛は、「ストレスを感じている最中に痛む傾向がある」ことが特徴です。一次性頭痛の中でももっとも多いのが、この緊張型頭痛といわれています。
緊張型頭痛の現れ方や痛むタイミングの例としては「パソコンやスマートフォンを使っているときに肩こりを感じ、頭痛が起こり始めた」「朝から忙しく動き回っていたところ、夕方になって頭痛が出てきた」などがあります。
緊張型頭痛の原因
緊張型頭痛は、身体的ストレスと精神的ストレスが絡み合って起こるといわれています。
- 身体的ストレス
長時間のパソコンの使用や無理な姿勢を続けることで頭・首・肩などの筋肉が緊張し、血行障害が起こると疲労物質が蓄積され、これが神経を刺激することで頭痛を引き起こす。眼精疲労も原因の1つ - 精神的なストレス
精神的に緊張した状態が続くことで、自律神経のバランスが崩れ、脳の痛みを制御する部位が機能不全となり頭痛につながる。日頃からのストレスも原因となる
緊張型頭痛の症状
緊張型頭痛は後頭部から首筋を中心に、頭全体が締め付けられるような鈍い痛みが起こります。
我慢できないほど痛みではなく、一度頭痛が起こると数時間〜数日ほど続くことが多いようです。中には、めまいや立ちくらみなどの症状が起こる人もいます。
緊張型頭痛の予防法・対処法
緊張型頭痛の場合、対症療法によって症状を軽減する治療を行います。肩こりや首こりなどで硬くなった筋肉をほぐしたり、精神的なストレスの緩和をはかるのも治療の1つです。
運動やマッサージ、入浴、首や肩を温めるなどのセルフケア、カウンセリングなどを行い、痛みが改善されない場合は鎮痛剤を使用します。不安感や抑うつなどの症状が強い場合は、抗うつ薬などを使うこともあります。
片頭痛とは
片頭痛は、緊張型頭痛とは反対に、「ストレスから解放されたときに痛む傾向がある」ことが特徴です。
片頭痛の現れ方や痛むタイミングの例としては「やらなければいけないことが終わり、遊びに出かけようと思っていたら痛み始めた」「平日はなんともないのに、休日になると頭が痛くなる」などがあります。
片頭痛の原因
片頭痛は、脳の血管が急激に拡張することによって引き起こされるとされています。脳の血管が拡張すると、周囲にある三叉神経が刺激されて炎症物質が発生。更に血管が拡張して痛みが起こると推測されています。
身体的なストレスや精神的なストレスから解放されたときに急激に血管が拡張することがあり、これが原因となって片頭痛が引き起こされます。
その他にも女性ホルモンの変動や睡眠不足、寝過ぎ、疲労、音や光などの強い刺激、気圧の変化、空腹、喫煙、空腹などが片頭痛を引き起こす原因になります。
片頭痛の症状
頭の片側もしくは両側のこめかみ周辺が脈打つようにズキンズキンと痛むのが、片頭痛の症状の特徴です。一度痛みが起こると仕事が手につかなくなる、寝込んでしまうなど、つらい症状が日常生活に影響することも少なくありません。暗い静かな場所で、安静にしていると軽快することが多いです。
慢性頭痛の診療ガイドライン作成委員会が公表したガイドラインによれば、慢性頭痛を持っているとされる日本人約4000万人うち約840万人は片頭痛患者で、その74%は頭痛による生活支障度が高いといわれています。
頭痛の他、前兆症状として閃輝暗点(目の前がチカチカする)も片頭痛でよく見られる症状です。吐き気、下痢、気圧・音・光の変化に敏感になる人もいます。
片頭痛の予防法・対処法
片頭痛は、鎮痛剤を使った薬物療法によって治療することが一般的です。漢方薬が処方されることもあります。
片頭痛は空腹や寝過ぎ、飲酒や喫煙などが誘引となることもあるため、食生活や生活習慣に注意して過ごしましょう。
また、チーズ、赤ワイン、チョコレート、化学調味料などの食べ物が誘因となっていることも考えられるため、これらを避けるのも予防法の1つです。
ストレスによる頭痛に効く薬
ストレスによる頭痛は、薬によって痛みを軽減できることがあります。
ただし、薬を飲むだけでは根本的な解決にはなりません。ストレスが原因と考えられる場合は、ストレスを発散するなど、痛み対策だけではなくストレスに対する対策も合わせて行っていきましょう。
市販薬
頭痛に効果のある薬は、ドラッグストアなどで市販されています。頭痛に効果がある成分としては以下のようなものがあります。
- ロキソプロフェン
- イブプロフェン
- アスピリン
- アセトアミノフェン
いくつかの種類があるので、薬剤師に相談してみましょう。
漢方薬
頭痛を軽減する効果が期待できる漢方薬もあります。漢方薬は個人の体質や症状を考慮して処方が決められるため、さまざまな症状にきめ細かく対応できることが特徴です。
- 呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
- 釣藤散(ちょうとうさん)
- 桂枝人参湯(けいしにんじんとう)
- 五苓散(ごれいさん)
- 葛根湯(かっこんとう)
薬物乱用頭痛に注意が必要
頭痛薬を使えば痛みを軽減できますが、飲み過ぎには注意しましょう。「薬物乱用頭痛」といい、薬の服用によって引き起こされる頭痛もあるためです。
頭痛薬の常用によって脳が痛みに過敏になり、ちょっとした刺激でも強い痛みを感じやすくなった結果、頭痛の回数が増え、痛みも強くなるなど症状が悪化してしまいます。
「頭痛薬を毎月10回以上飲むことが3か月以上続く」場合は、薬物乱用頭痛の可能性があるため、一度病院で相談してみましょう。
他の病気の可能性も!重い・続く頭痛は病院へ
頭痛はストレスや肩こり・首こり、生理や更年期によって引き起こされることもありますが、なんらかの病気が原因となっている可能性も考えられます。
頭痛がみられる疾患には、以下のようなものがあります。
- クモ膜下出血
- 脳出血
- 脳腫瘍
- 髄膜炎
- 副鼻腔炎
- 不正咬合 など
放置すると危険な頭痛もあるため、頭痛の症状が重い場合や、長く続いてなかなか治まらない場合は、病院を受診して詳しい検査を受けるようにしましょう。
頭痛についてメモ・日記をつけて分析しよう
頭痛が引き起こされる原因はストレスの他にもさまざまあり、人によって違いがあります。そのため、病院を受診する際、自分の症状や症状が起こる原因をうまく医師に伝えられないことも。
頭痛についてのメモや日記をつけておくと、自分の頭痛について自己分析できます。例えば、以下のような内容を書き留めておくといいでしょう。
- どのような痛み方の頭痛か(ズキズキ痛む、鈍く痛む、締め付けられるような痛みなど)
- 頭痛が起こる前兆はあるか、痛みが起きる前にしていたこと、食べたもの
- 頭痛が起きるタイミング、痛みの持続時間や頻度、痛みの強さ、痛む場所
- ストレスを感じていたか。どのようなストレスがあったか、ストレスの程度
- 頭痛が日常生活にどの程度支障を与えるか
- 薬や対処法に効果があったか。効果のあった薬・対処法はどんなものか
- 頭痛が起きているときに音・光・においなどを不快に感じるか、体や頭を動かすと痛みが強くなるか
- 家族や親族に頭痛持ちの人はいるか など
一般社団法人日本頭痛学会が「頭痛ダイアリー」のフォーマットを用意しているので、ダウンロードや印刷して使ったり、参考にして自分の日記に書いてもいいでしょう。
ストレスによる頭痛がつらい場合は早めに病院へ
ストレスは頭痛が引き起こされる原因の第1位であり、多くの人がストレスによる頭痛に悩まされています。ストレスによって引き起こされる頭痛は大きく分けて緊張型頭痛と片頭痛の2つがあり、症状の現れ方や痛み方など、特徴には違いがあります。
頭痛はそれ自体がストレスになるため、長引けばストレスが積み重なり、悪化してしまう可能性も。また、何かの病気が隠れている可能性もあるため、長引く場合や痛みが強い場合などは、早めに病院を受診することが大切です。
※この記事は2022年9月の記事を再編集をして掲載しています。
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