【医師監修】その背中の痛み、もしかして病気?

背中が痛い原因はストレス?病気・症状やストレッチも

安藤大樹(あんどう内科クリニック院長)
監修者
あんどう内科クリニック院長
安藤大樹

公開日:2020.08.31

更新日:2024.01.30

監修者プロフィール:医師・安藤大樹さん(あんどう内科クリニック院長)

安藤大樹さん

あんどう・だいき 医療法人社団藤和会理事長、あんどう内科クリニック院長。「プライマリケア」と「総合診療」を武器に、生活習慣病はもちろん、感染症、膠原病、内分泌疾患、心身症等、幅広い疾患に精通。あんどう内科クリニックは「医療よろず相談所」をコンセプトに、医療に関する問題なら、どんなことでもとことん患者さんに寄り添うスタンスが好評を博し、近隣はもちろん、遠方からも多くの患者さんが訪れる人気の診療所。

背中が痛いのはなぜ?ストレスも関係!? 原因3つ

背中が痛い原因

背中が痛くなる原因は、大きく分けて3つあります。物理的なケガや炎症、内臓や心臓・血管の異常、ストレス・心理的な要因です。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

原因1:物理的なケガや炎症

背中の痛みの原因としてまず考えられるのが、物理的なケガや炎症です。背中の骨がずれたり縮んだりすることで背骨の間を通っている神経が圧迫されたり、転んでけがをしたり、ぎっくり腰、ぎっくり背中で直接筋肉が障害される場合がこれにあたります。

物理的なケガや炎症の経過は、一般的に急性期と慢性期に分けられます。急性期の痛みの原因は患部の炎症に伴う熱とむくみで、慢性の痛みの原因は血流の悪化による老廃物の蓄積です。この違いを知っておくことは、痛みの対処法を考えるうえで重要になります。

神経や筋肉のことを運動器といいますが、この運動器疾患に由来するものが、背中の痛みの原因として最も多いと言われています。

原因2:内臓や心臓・血管の異常

内臓や心臓、血管などの内科系疾患でも、症状の一つとして背中の痛みが出てくることがあります。原因として多いのは尿路結石や腎盂腎炎など尿路系の異常ですが、大動脈解離や心筋梗塞、膵がんや胆のうがんなどの重大な病気のサインのこともあり、注意が必要です。

詳細は後で述べますが、「安静にしている時に突然起こった」「一カ月以上症状が続いている(改善の兆しがない)」「微熱や体重減少など全身症状を伴っている」などがキーセンテンスになります。

原因3:ストレス・心理的な要因

ストレスや心理的な要因で背中に痛みを感じるケースもあります。疲労や睡眠不足など、ストレスが蓄積され続けると自律神経がうまく働かなくなり、血流の悪化や冷えなどを引き起こします。そうなると内臓の機能が低下し、筋肉の状態がアンバランスになり、背骨が歪んで痛みが起こります。

強いストレスは、本来脳の持っている「身体機能のバランスをとる能力」に影響を及ぼします。脳の機能に不具合が生じると、動悸、のどの詰り、息苦しさ、腹痛など様々な症状を認めるようになります。このような状態を「身体化」といい、背中の痛みも比較的よくみられる症状です。

また、背部痛が続いて心配になり、原因をネット検索をすると「すい臓がん」「心筋梗塞」などの怖い病名がヒットしてきますので、「これは重大な病気なのでは」と益々不安が強くなり、さらに痛みを強く感じるといった、負のスパイラルに陥ることも多くみられます。

近年、整形外科学会からも「慢性の腰痛の原因の一つにストレスがある」と発表されています。最初はケガや内臓の機能低下からの背部痛が、ストレスに伴い慢性化する場合もあります。心理的に負担がかかっていないか、生活など見直してみるとよいかもしれません。

背中が痛いときに考えられる病気・ケガ一覧

背中が痛いときに考えられる病気・ケガ一覧

背中が痛いときに考えられるケガや病気はさまざま。単に猫背などの悪い姿勢が招くこりや筋肉痛、疲労ではなく、がんや心臓疾患などの病気が隠れていることもあります。

気になる症状があれば早めに病院を受診するようにしてください。怖い病気を否定することはもちろん、早く治療を開始することで、痛みを早く楽にすることができます。

腎疾患(膀胱炎・腎盂腎炎・尿管結石など)

背中が痛む内科系の病気で一番多いのが、腎疾患です。特に、膀胱にばい菌が入り込み炎症を起こす膀胱炎は、女性だけでなく高齢の男性にも多くみられる病気です。さらに、膀胱に入ったばい菌が尿管をさかのぼり、腎臓で炎症を起こす急性腎盂腎炎は、高率に背部痛を伴います。強い腰や背中の痛みに加えて高熱、震え、吐き気を認め、進行すると血液にばい菌が入り全身にまわる敗血症という命に係わる状態になることもあります。

尿管結石は、尿に含まれるシュウ酸や尿酸が固まった結石が尿管につまる疾患です。発症すると、吐き気や冷や汗をともなう突然の非常に激しい背中や腹部の痛みに襲われます。明け方に発症することが多く、一度起こすと何度も繰り返すことがあります。

その他、腎がん、膀胱がん、腎梗塞などの可能性も考えられます。

内臓疾患(胆のう炎・すい炎・すい臓がんなど)

胆のうやすい臓は後腹膜という背中側の壁に接していますので、胆のうやすい臓に炎症を起こすと、背中の痛みを生じることがあります。

胆のう炎は、胆のうの中の胆汁の流れが悪くなり、そこにばい菌がつくことで起こります。多くは胆汁が固まってできる胆石によって引き起こされ、脂肪の多い食事や煙草も大きな原因のひとつとされています。

一方、すい炎は何らかの原因で膵液の分泌が増え、、その結果すい臓自体を消化してしまい、炎症を起こす疾患です。アルコールのとり過ぎや胆石が原因になることが多く、みぞおちから脇腹、背中などに痛みを感じます。痛みの程度は人それぞれで、鈍痛や不快感程度から、睡眠を妨げるほどの激痛まで様々です。胆石が原因になる場合は、突然の痛みで始まり、吐き気、熱、食欲不振などの症状が出現します。すい臓がんは、慢性の背部痛を来す疾患で最も怖い疾患の一つです。進行すると腹痛、吐き気、お腹の張り、黄疸、体重減少などを認めますが、初期にはほとんど認めないことも多く、「なんとなく背中が痛い」といったものが唯一の症状の場合もあります。

心臓疾患(虚血性心疾患・大動脈解離など)

背中の痛みは、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞など)が原因で起こることもあります。血管に血液のかたまりが詰まることで起こる心筋梗塞では、血流が途絶えるため動悸や息切れを発症し、胸はもちろん、顎や肩、背中に痛みが広がることがあります。

一方、大動脈解離は、心臓から送り出された血液が最初に通る「大動脈」の膜が避け、血液の通り道が本来のものと別にもう一つできてしまう病気です。前触れなく突然、胸や背中に激痛が走ることが特徴で、高血圧や糖尿病、喫煙などが原因の一つとされています。

大動脈解離は命を落とす可能性も高い、非常に危険な病気です。背中や胸に「今まで経験したことのない強い痛み」「突然起こった激痛」「短時間で移動する痛み」を感じた場合は、躊躇なくすぐに病院を受診しましょう。

消化器系の疾患(食道がん、胃がん、逆流性食道炎、胃・十二指腸潰瘍など)

食道がんは喫煙者に多く、食事の際のしみる感じやつかえる感じ、声のかすれなどを認めますが、がんが大きくなって肺、大動脈、背骨などを圧迫すると背中の痛みを認めることがあります。ヘリコバクターピロリ菌の感染率が高い日本人は、胃がんの人も多くみられます。胃もたれ、食欲不振、みぞおちの痛みなどの他、背部の鈍痛を伴うこともあります。

ストレスや生活リズムの乱れなどにより自律神経が乱れると、胃酸の分泌が増えたり胃粘液の分泌が減ったりして、胃粘膜がダメージを受けやすくなります。逆流性食道炎や胃炎、胃潰瘍などを発症しやすくなり、いずれも背中の痛みの原因になります。

十二指腸は膵臓と同様、一部が背中側に接している臓器(後腹膜臓器)なので、そこに潰瘍ができると背中の痛みで発見されるケースがあります。

いずれの疾患も「食事をとると症状が強くなる」ことが、病気を疑うサインになります。

婦人科系の疾患(子宮内膜症、子宮筋腫、子宮外妊娠など)

月経痛、排卵痛などでも背部痛を伴うことがありますが、婦人科系の疾患は、おおむね背部痛を来す可能性があります。

緊急性の高いものは子宮外妊娠と卵巣捻転です。子宮外妊娠は腹腔内に出血することにより腹痛を来す疾患ですが、出血量によっては背部痛を認めることがあります。自身で妊娠に気付いていないことも多いので、まずは疑うことが大切です。卵巣捻転は突然の下腹部痛あるいは背部痛を来す疾患で、吐き気や嘔吐を伴うことがあります。尿管結石と似たような症状のため、自己判断は危険です。

その他、子宮付属器炎、子宮内膜症、子宮筋腫、チョコレート嚢胞など、婦人科系疾患は背部痛を認めるものが沢山あります。長引く女性の背部痛は、一度婦人科受診を検討してみてもいいでしょう。

骨の疾患(骨粗しょう症、圧迫骨折など)

加齢によって骨がもろくなると、骨粗しょう症となり、ほんの些細なことでも圧迫骨折してしまうことがあります。

圧迫骨折とは、背骨の本体に当たる椎体と呼ばれる部分の負荷が高まって起こる骨折のことです。骨粗しょう症などで骨がもろくなった閉経後の女性に起こりやすく、尻餅はもちろん、前かがみの姿勢やくしゃみなどちょっとした動きでも起こってしまう可能性があります。脊椎を骨折すると、背中に痛みを生じます。

その他にも、化膿性脊椎炎、強直性脊椎炎、脊椎すべり症なども考えられます。

ぎっくり背中・椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症

ぎっくり背中とは、肩甲骨やその下〜腰の上までの筋肉や関節に炎症が起きている状態のことをいいます。ズキッと突然の激痛が走り、動けなくなることもあります。痛む場所は肩甲骨の内側や裏、脇の下などさまざまで、「呼吸しただけで背中が痛む」「背中を丸めても伸ばしても痛くて、楽な姿勢が見つからない」「顔を下に向けたときに痛みが出る」などの症状が出てきます。

ぎっくり腰として知られる急性腰痛症も背中の痛みの原因となることがあります。ぎっくり腰は、何らかの動作によって突然腰に激しい痛みを感じ、動けなくなることが特徴です。そのあまりの痛さに、ヨーロッパでは昔から「魔女の一撃」と言われています。腰に大きな力を加える急激な動作で発症することが多いのですが、咳やくしゃみなど些細な出来事で発症する場合もあります。筋肉や関節の炎症などが原因だといわれていますが、はっきりと原因は特定できてはいません。

椎間板ヘルニアは、骨をつなぐ椎間板の亀裂により、飛び出した椎間板組織の一部が神経を圧迫することで痛みを生じます。首からの痛みは手の方に、腰からの痛みは太ももから足の指にかけて、しびれを感じることが多いです。

また、腰部脊柱管狭窄症(ようぶ せきちゅうかん きょうさくしょう)も、脊椎の変形により脊髄が圧迫されることで、痛みやしびれを生じます。特徴的な症状は、間欠破行といい、長時間歩くと太ももの裏からふくらはぎにかけてのしびれやだるさが出現し、歩行困難となります。これらの病気の多くは、外的な要因によって生じるものです。また、腰部脊柱管狭窄症は加齢による背骨を支える筋肉の衰えによって生じることが多いため、日頃から正しい姿勢を心掛けることが必要です。

多発性骨髄腫

60歳以上の方にみられる血液のがんで、女性よりも男性に多くみられます。骨髄の中にある「形質細胞」と呼ばれる細胞ががん化して増殖することにより、骨を破壊してしまう病気です。

骨がスカスカになってしまうため簡単に骨折したり、骨が壊れることで血液中にカルシウムが流れ出て高カルシウム血症になることで吐き気や意識障害をきたしたり、腎機能障害や重い貧血や感染症などにより様々な臓器障害を起こす、非常に予後の悪い病気です。

帯状疱疹

日本人の9割以上がもっている水ぼうそうのウイルスが再活性化することで起こるのが、帯状疱疹です。

主に身体の片側の肋間神経に沿ってピリピリとした激しい痛みが出現し、数日後に水ぶくれを伴う赤い湿疹ができます。水ぶくれは背中だけではなく、お腹にも広がり、これが帯状に見えるためこの名前がついてます。水ぶくれは3週間ほどで治まってくることが多いですが、約2割の人に3カ月以上神経痛が残る帯状疱疹後神経痛への移行がみられます。治療が遅れると帯状疱疹後神経痛を発症する可能性が高くなりますので、ピリピリとした痛みを認めたら、湿疹がなくても早めに受診することをお勧めします。

心身症(うつ病、線維筋痛症、慢性疲労症候群など)

ストレスは、体のあらゆる器官の働きを調節している「自律神経」の働きにも影響を及ぼします。ストレスが多くなり、うまく自律神経の調整が出来なくなると、背中を支える筋肉の血流が悪くなり、結果として背中の痛みを感じることがあります。背中の広い範囲や肩から肩甲骨にかけてなど、痛みを感じる範囲は人それぞれです。

ストレスによる病気で代表的なものがうつ病です。寝付けない、急に涙が出る、何も楽しくない、食欲がないといった気持ちの症状とともに、背部痛以外にも動悸や息苦しさ、頭痛などの身体症状も多く認めます。「過去1ヵ月間で、気持ちが落ち込んだり、憂鬱な気分、絶望的な気分になりましたか」および「過去1ヵ月間で、しばしば小さなことに悩まされたり、何をしても楽しくないと感じますか」といった2つの質問で拾い上げが可能です。

その他、身体表現性障害、線維筋痛症、慢性疲労症候群など、ストレスとの関わりが大きい病気も、背部痛を認めることがあります。

部位別!背中が痛む原因

部位別!背中が痛む原因

このように、背中が痛い原因はさまざまですが、痛む部分によって、原因が推定できる場合もあります。背中の痛む場所ごとに、その原因となる病気やケガをチェックしていきましょう。

背中の右側が痛む

背中の右側に痛みが出やすい疾患としては、肺に関わる病気や肝炎、十二指腸潰瘍(かいよう)、腎盂炎、腎結石などがあります。肺炎、胸膜炎、肺塞栓症、気胸などの肺に関わる病気は、肺の周りを包む胸膜の痛みが背中まで広がることがあり、背中の上部が痛むこともあります。十二指腸潰瘍の場合は空腹時に痛むことが多く、胆石・胆のう炎の場合は背中から脇腹まで痛みます。

背中の左側が痛む

背中の左側で特に上部が痛む場合は、心臓疾患が原因かもしれません。狭心症や心筋梗塞では心臓周辺から背中にかけて握られるような、圧迫されるような痛み、大動脈解離や大動脈瘤の場合は引き裂かれるような激痛が特徴です。左側の下部が痛む場合に考えられるのは、すい臓の疾患です。特に脂っこい食事をした後や過度のアルコール摂取の後にみぞおち付近から痛む場合は、急性膵炎の可能性があります。

背中の真ん中が痛む・左右両側が痛む

背中の真ん中や全体が痛む場合は、椎間板へルニアや変形性脊椎症などの可能性があります。風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルスなどのウイルス感染、あるいは体中にばい菌が回る敗血症なども、背中全体に痛みを感じることがあります。

また、背中の真ん中に鈍痛を感じる場合は、色々な臓器の障害の可能性を考える必要があります。腹腔内の背中側には腎臓、尿管、膀胱といった泌尿器科で扱う臓器の他、すい臓、十二指腸、腹部大動脈など多数の臓器が接しているため、これらの臓器に障害が起こると背中の真ん中に鈍い痛みが生じる可能性があります。すい臓がんの場合、初期には自覚症状がなく、長引く背部痛で初めて見つかることもあり注意が必要です。

背中の痛みは、背中のこりなど、筋肉の緊張や疲労が原因の場合も多いのですが、ここで紹介した病気の中には、放置すると症状が悪化し、重大な結果を招くもの沢山あります。。「突然痛みが始まった」「時間とともに痛みの位置が移動している」「熱や体重減少などの全身症状を伴っている」「何週間たっても痛みが変わらない」など、いつもと違う痛みの場合は、早めに病院を受診しましょう。

背中が痛いときは何科に行けばいい?症状別の診療科目

背中が痛いときは何科に行けばいい?症状別の診療科目

背中が痛む原因はさまざまなので、原因によって受診すべき診療科目は異なります。ここでは症状ごとに、どの科を受診するべきか説明します。

背中が痛いけど、何科に行けばいいかわからないという人はぜひ参考にしてみてください。

整形外科に行くべき症状

重いものを持ち上げたときや、運動をした後に急に痛むようになった、つまり受傷したタイミングが分かっている場合は、ケガにより患部が炎症を起こして痛みが生じていると考えられます。特に、痛みの場所より下にしびれが広がっている場合は、圧迫骨折や椎間板ヘルニアなどで脊椎の神経に障害を来している可能性があり要注意です。歩くと両足にしびれが広がる場合は、脊柱管狭窄症の可能性があります。患部のレントゲン写真やMRI検査が必要になることがありますので、整形外科を受診しましょう。

消化器内科に行くべき症状

「食事をとると症状が悪くなる」というキーワードがあれば、食道、胃、十二指腸、胆のうなど消化器系の異常が疑われます。チーズ、チョコレート、揚げ物などを食べて焼けるような痛みを自覚する場合は、胃酸過多による逆流性食道炎や胃十二指腸潰瘍などが疑われます。特に、数週間続く背部痛に体重減少や微熱などを認める場合は食道がんや膵がんなどの可能性がありますので、早めに消化器内科を受診して下さい。

循環器内科に行くべき症状

高血圧症、糖尿病、脂質異常症など動脈硬化のリスクの高い人が、特にきっかけなく突然の背部痛が出現したときは、心筋梗塞などの心臓疾患の可能性があります。特に、数十分続く痛みが出たり治まったりする場合は、心臓の病気の可能性が高いです。もし、突然の背部痛でそれが移動する場合は、胸部大動脈解離の可能性があります。非常に緊急性の高い病気ですので、早めに救急外来を受診することをお勧めします。

泌尿器科に行くべき症状

下腹部痛や排尿時の痛み、残尿感や血尿などの症状が出ている場合には、膀胱や腎臓の病気である可能性があります。特に、40℃近い高熱や、毛布などで温めても治まらない寒気と震えがある場合は、腎盂腎炎が疑われます。。また、明け方の突然の背部痛と血尿は、尿管結石のサインです。いずれも早めに泌尿器科を受診しましょう。

婦人科に行くべき症状

生理のリズムに合わせて出てくる背部痛は、子宮内膜症や子宮筋腫などを疑います。特に、不正出血を伴う場合は、その可能性が高くなります。妊娠の可能性のある女性が突然の背部痛を自覚したときは、子宮外妊娠の可能性があります。

かかりつけ内科、総合診療科行くべき症状

痛みの原因にこれといった心当たりがない場合には、まずは痛みの専門科である整形外科やペインクリニックを受診することが理想です。もし受診先に迷う場合は、いつも通っているかかりつけの内科を受診するか、原因不明の症状を診断する専門科の総合診療科を受診するとよいでしょう。適切な科を紹介してくれるはずです。

背中の痛みで病院を受診する目安

背中の痛みで病院を受診する目安

背中の痛みとひと言でいっても、痛みの感じ方には個人差もあり、判断に迷うケースもあります。そこで、受診の目安として気になる症状を紹介します。

急に強い痛みが現れた

突然激しい痛みが現れた場合は、大動脈解離や心筋梗塞など、緊急性が高く重篤な病気である可能性があります。もしこれらの病気だった場合は、早急に診断・治療を行わなければ命の危険があります。一刻も早く病院に行くようにしましょう。

痛みの感じがいつもと違う

普段感じる筋肉痛や背中のこりなどと明らかに違う痛みの場合は、何か別の原因で痛みが現れていると考えた方がよいでしょう。初めはそれほどでもなくても、痛みはだんだん増してくる可能性がありますので注意しましょう。

痛む位置が、時間が経つにつれて変わってくる

痛む位置が時間の経過によって変わってくる場合も、注意が必要です。特に、痛みの範囲が最初に感じたときよりも広がっている場合は、早めの受診をおすすめします。

過去にがん(悪性腫瘍)を患ったことがある

背中の痛みには、すい臓がんや食道がん、がんの背骨への転移などが隠れているケースもあります。特にすい臓がんの場合、背中に痛みを感じるのはすでにがんが進行している場合が多く、早期発見が重要です。

微熱、寝汗、体重減少など、全身の症状がある

背中の痛みだけでなく、微熱や寝汗、食欲低下、体重減少などの症状が3週間以上続く場合も、内臓疾患が原因の場合があるので病院を受診しましょう。

太ももやふくらはぎにしびれが広がってきた

脊椎を通る神経が障害を受けると、お尻から太もも、ふくらはぎにかけてのしびれを自覚します。また、脊柱管狭窄症は、「歩くと徐々にしびれが広がっていき休むと治る」といった特徴があります。手術が必要になる可能性がありますので、整形外科を受診して下さい。

日常生活で背中の痛みを予防する方法

以下で、日常生活でできる背中の痛みを予防する方法をご紹介します。背中の痛み、こり、張りなどは以下のようなケアを行うことで予防や改善ができます。

  • 湯船に浸かる
  • 運動する
  • ストレッチやマッサージをする

なお、内臓疾患が原因になっている場合や、ぎっくり背中などひどい痛みがある場合はセルフケアでの改善は難しいだけでなく、症状を悪化させてしまう可能性もありますので、必ず病院を受診しましょう。

背中の痛み・だるさを解消するストレッチ

背中の痛み・だるさを解消するストレッチ

これまで背中が痛む原因を紹介してきましたが、それほど痛みが強くない場合や重たいものを持ったなど心あたりがある場合は、筋肉疲労による筋肉痛や背中のこりが痛みの原因の可能性もあります。

背中のこり、肩こり、首こり、腰痛などは慢性化してしまうと痛みを引き起こし、仕事や日常生活に支障をきたしてしまうこともあるつらいものです。その場合は、ストレッチや運動で筋肉をほぐすことで改善することが多いものです。動かさないことでガチガチに硬くなり、血行が悪くなった背中は、ストレッチでほぐしてあげましょう。

ここからは、背中の痛みやだるさ、こりに効果のあるストレッチをご紹介します。硬くなった背中まわりの筋肉を柔らかくして、つらい症状の予防や解消をしましょう。

背中の痛みを改善する「肩甲骨はがし」

特に、背中のこりが痛みの原因である場合には、肩甲骨まわりの筋肉をほぐすことが大切です。肩甲骨は背中の上部にある大きな骨で、鎖骨や上腕骨、周辺の筋肉と連携して肩や腕を動かす重要な存在です。肩甲骨を動かすと、筋肉の中にある疲労物質や老廃物が流れ、背中や肩まわりの血行を改善できます。

背中の痛みを改善する肩甲骨のストレッチ方法「肩甲骨はがし」のやり方をご紹介します。

  1. タオルを後ろに回した両手でつかみ、上げ下げして肩甲骨を広げてみてください。タオルが無い場合は、椅子に座った状態で両手を後頭部で組み、体を横に倒すだけでも簡単にリフレッシュできます
  2. 肘を曲げて両手を肩にあてて、肩を360度大きく円を描くように回してみましょう。前後に10回が目安になります
  3. さらに、もし寝転がれる場合は、仰向けに寝て両脚を抱え込み、顔を膝に近づけるようにして丸まった状態で30秒ほど維持すると、より一層リフレッシュできます

背中・体幹・肩甲骨まわりをほぐす「猫のポーズ」

背中・体幹・肩甲骨まわりといった、こりの原因になる筋肉をほぐせるのが、猫のポーズ。リラックス効果もあるので、お風呂上がりや寝る前などに実践するのもおすすめです。

  1. 四つん這いになります
  2. そのまま背中を丸め、2〜5秒キープしましょう
  3. 次に、背中を限界まで反らせて2〜5秒キープしてください
  4. 2と3を何度か繰り返しましょう

座ったままできる「背中の筋肉のストレッチ」

長時間の作業やデスクワークの合間にできる、背中の筋肉のストレッチです。休憩のタイミングでいすに座ったまま実践してみてください。

  1. いすに浅めに腰掛けます
  2. 両腕を組み、前へ伸ばしましょう
  3. 背中を丸め、おへそをのぞき込むようにして背中の筋肉を伸ばしましょう

3のとき、あごが下がるため呼吸がしにくくなりますが、呼吸は止めないことがポイントです。

背中のストレッチをするときのポイント

背中のストレッチをするときのポイント

ガチガチにこってしまった背中をほぐすときのストレッチをするときに意識しておきたいポイントは以下の通りです。ポイントを意識して、効果的なストレッチを試してみてください。

  • 伸ばすときは痛くない程度に留める
  • こっている部分を意識してストレッチする

グッズを使った背中のマッサージもおすすめ

背中のストレッチと一緒に、セルフマッサージをするのもおすすめです。背中を自分で指圧することは難しいため「ストレッチポール」と呼ばれるマッサージグッズなどを使うといいでしょう。

使い方は簡単で、仰向けになってストレッチポールを背中の下に入れ、ゴロゴロと転がすだけ。こりが気になる部分を中心に、ストレッチポールで直接刺激することで硬くなった筋肉をほぐすことができます。

気になる背中の痛みは早めに病院へ

このように、背部痛の原因は多岐に渡ります。頻度として多いのは打撲や捻挫などの急性の疾患で、自然に治るものです。しかし、心筋梗塞、狭心症、大動脈解離、すい臓がん、子宮外妊娠など、背部痛をサインとする緊急性の高い疾患は沢山あります。うつ病も、最悪の場合自殺に繋がる怖い病気です。また、整形外科疾患でも椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など、手術が必要になる疾患もあります。

自己判断は危険!「安静にしている時に突然起こった」「一カ月以上症状が続いている(改善の兆しがない)」「微熱や体重減少など全身症状を伴っている」など、いつもと違う背部痛を認めるときは、是非医療機関を受診してくださいね。

※この記事は2020年8月の記事を再編集して掲載しています。

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