更年期の女性ホルモン減少も影響

骨粗鬆症を予防!骨の健康度チェックと日常生活の対策

公開日:2021/09/13

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骨がもろくなり、骨折しやすい状態になる「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」。閉経などによる女性ホルモンの減少で発症しやすく、50代以上の女性の3人に1人が罹患するといいます。ここでは、発症のメカニズムや日常生活の中でできる予防策を紹介します。

骨粗鬆症を予防しよう!日常生活でできること

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とは?メカニズムを解説

骨粗しょう症とは

骨粗鬆症とはどんな病気なのか、詳しくは知らないという人もいるのではないでしょうか。まずは発症のメカニズムを解説します。

骨の代謝バランスが崩れると骨粗鬆症に

皮膚と同じように、骨も新陳代謝していることをご存じでしょうか。骨の新陳代謝には、古い骨を破壊する「破骨細胞」と、破壊された部分を修復する「骨芽細胞」が関わっています。

健康で丈夫な骨は、この2つの細胞によって壊される骨と作られる骨の量のバランスがとれていて、中身がびっしりと詰まっている骨です。

一方で、壊される骨と作られる骨の量のバランスが崩れて、破骨細胞が骨を壊すパワーやスピードに、骨芽細胞が骨を修復するパワーやスピードが追い付かなくなると、「骨量≒骨密度」が少なくなり、骨の中身はスカスカでもろくなります。この状態が、骨粗鬆症です。

骨密度とは、骨の強度の70%の要因となり、骨の成分であるミネラルとタンパク質の「量」のことです。残り30%は骨の成分であるミネラルとタンパク質の「質」によって骨強度が左右されます。そのため骨密度が多いほど、骨質が良いほど骨が強く、少なかったり、悪いほど骨が弱くもろくなります。

女性の骨密度は、女性ホルモンの低下が始まる45歳前後を境に減少し始め、さらに閉経をへて年齢を重ねるごとに骨粗鬆症になりやすくなり、骨粗鬆症の80%は女性です。

【骨粗鬆症発症の理由1】女性ホルモンの減少

骨粗鬆症は、男性よりも女性に多い病気です。骨密度は45歳くらいまでは男女同じ値ですが、加齢によって男女ともに減り、女性は45歳前後から閉経後3年間くらいの間に女性ホルモンの分泌が急速に低下することで、骨密度が急激に減少するため、骨粗鬆症の発症リスクが大きくなります。

閉経と同様に、若い年代での女性ホルモン分泌の低下による生理不順や無月経も骨粗鬆症の発症リスクとなるので、気を付けなくてはいけません。

【骨粗鬆症発症の理由2】運動・食生活などの生活習慣

普段の生活習慣により、骨粗鬆症になるリスクが高まってしまう人もいます。中でも関わりが深いのは、「運動不足」「欠食や偏った食生活」「極度のダイエット」「過度な紫外線対策」です。

例えば、運動は、骨の健康を保つのに不可欠です。骨がきちんと新陳代謝するには、自分の体重で骨に刺激を与える垂直荷重系の運動が重要だといわれています。

食生活では、骨の健康のカギとなる栄養素であるタンパク質やカルシウム、ビタミンDの不足を防がなくてはなりません。それらの栄養素は骨の形成に必要なため、不足していると強い骨が作られなくなります。特に朝食欠食は、想像以上に決定的な栄養不足に直結します。

あなたの骨の健康度は?チェックリストで確認!

あなたの骨密度はチェックリスト


自分や家族の骨の健康状態はどうなのか、気になっている人もいるのではないでしょうか。ここで紹介するチェックリストで確認してみましょう。

骨スカスカ危険度チェックリスト

下記のリストに当てはまる項目があるか、チェックしてみてください。
※『鍛えれば骨は今日から強くなる』(太田博明監修、Gakken刊)より。

【A】
□身長が若い頃よりも低くなった
□最近、背中や腰が丸くなってきた
□背中や腰が痛む
□ちょっとしたことで骨折した

【B】
□65歳以上である
□閉経後、または生理不順。両側の卵巣摘出手術を受けた
□タバコを吸う
□お酒をよく飲む(ビールなら1日に中瓶2本以上、ワインならボトル半分以上)
□インスタントやテイクアウトの食品を利用することが多い
□乳製品や小魚、大豆製品をあまり取らない
□体格は小柄で細身、かつ筋肉が少ない
□天気が良くてもあまり外に出ない
□運動する習慣はほとんどない
□家族に「骨粗鬆症」と診断された人や骨折した人がいる
□糖尿病や胃の手術を受けたことがある

<結果>
【A】に1つでもチェックがついた場合は、すでに骨が弱くもろくなっている可能性があります。健康診断などの方法で骨密度検査を受けてみることをおすすめします。

【B】に3つ以上チェックがついた場合は、骨の強さを維持できるよう、ライフスタイルの見直しを行いましょう。

日常生活でできる4つの予防策

骨粗鬆症にならないように健康を維持するには、どのような取り組みをすればいいのでしょうか。ここでは4つの対策を紹介します。

1.「ながら運動」で運動不足を解消

普段から運動する習慣がない人が、新たに運動を始めるのは大変だと思います。運動不足は、日常生活でできる「ながら運動」で解消しましょう。

まずできることは、掃除機掛けや床磨き、風呂掃除などの家事を大きな動作で行うこと。膝や肘の曲げ伸ばしを意識するだけでも、積み重ねれば運動量を確保できます。庭いじりが趣味の人は、草むしりや植木の手入れなどで汗をかくのも良いでしょう。

通勤や買い物で出掛けるときは、エスカレーターやエレベーターを使わずに、階段を利用する方法もあります。また、孫や小さな子どもと遊んだり、親を介護したりする中でも体は動かせます。普段からこまめな運動を意識した生活が、骨の健康を保つことにつながります。

大きな動作で掃除機をかける
毎日の家事は大きな動作で!

2.バランスよく栄養を摂取して、50代以降は極度のメタボ対策を控える

50代以降の食生活は、栄養不足に注意し、栄養をバランスよく十分取ることが重要です。

40代までは生活習慣病の予防のため、痩せることこそが健康につながるという誤解からダイエットを意識するメタボ対策の食生活が中心になっていたのではないでしょうか。その意識のまま、いくつになってもこの食生活を続けると、新しい骨の形成に必要な栄養素が不足してしまうかもしれません。

低栄養が骨粗鬆症ばかりでなく、筋肉の低下(サルコペニア)、認知機能の低下(認知症)、加齢による虚弱(フレイル)の原因にもなり、介護のリスクにつながることがわかっています。

骨の強さを保つカギとなる栄養素は、「タンパク質」「ビタミンD」「カルシウム」の3つです。食材としては魚、肉、野菜、乳製品などがおすすめです。次に骨の健康を補助する栄養素はビタミンK、マグネシウム、亜鉛の『ビタミンとミネラル』と、動植物に広く存在する黄色と赤色の色素であるカロテノイドです。

骨の健康と若さを保ち続けるには、長年の栄養バランスのとれた食生活の積み重ねが大切になります。加齢とともに食が細くなりがちですが、いつまでも活動的でいられるように、しっかりと栄養を取りましょう。

タンパク質
出典:『骨粗鬆症について知っておきたいこと』企画・制作/SBバイオサイエンス株式会社、監修/太田博明

3.過度な紫外線対策は骨粗鬆症のリスクに!

最近はシミ・シワを防ぐため紫外線を可能な限り避けようとする人が増えています。日向を避けるのはもちろん、UVカットクリームを顔にしっかり塗った上で、冬でも日傘をさしたり、つばひろの帽子をかぶったりするなど、過剰なまでの紫外線対策をしている人が目立ちます。

しかし、徹底的に紫外線を避けることは、骨密度を減少させ、骨粗鬆症予備群の道へ突き進むことになります。というのは体内のビタミンDの80%は紫外線によって皮膚で生成されるので、紫外線対策によってカルシウムの小腸などからの吸収や骨への沈着が妨げられてしまうからです。

食事から取るビタミンDより、紫外線によるビタミンDの方が4倍も多く、適度に紫外線を浴びることは、骨の健康に欠かせないのです。過剰な紫外線対策は骨粗鬆症のリスクになることを覚えておきましょう。

紫外線対策
過剰な紫外線対策は骨粗鬆症のリスクに!

【注意!】木陰で15分日光浴でよいか? ビタミンDはシイタケ・キクラゲでよいか?
よくこのように言われますが、日差しは天候・季節・時間帯・緯度(場所)で異なり、一律ではありません。したがって、条件によって木陰で15分のところもありますし、5分でもよいところから、一日中日光浴をしても必要なビタミンDができない季節や場所等があります。ですので、木陰で15分と、すべては一律ではないことをご理解ください。

また、ビタミンDの摂取というと、巷ではすぐシイタケとキクラゲがいわれますが、鮭一切れと同じビタミンD量を摂取するのにシイタケでは60個以上、キクラゲでは30枚以上必要になります。一度にこれだけの量のシイタケやキクラゲを食べることは不可能です。つまり、通常の量のシイタケやキクラゲではビタミンDは充足できないのです。

ビタミンD
出典:『骨粗鬆症について知っておきたいこと』企画・制作/SBバイオサイエンス株式会社、監修/太田博明

4.極度のダイエットは控える

極度のダイエットは栄養不足と女性ホルモンの分泌量の減少を招き、骨密度を減らしてしまいます。また、女性ホルモンは卵巣だけでなく脂肪細胞からも分泌されているので、短期間で急激に痩せてしまうと女性ホルモンの分泌はさらに減少します。

「太っているのは健康に良くない」という思いから、食事制限などに取り組む人もいるかもしれませんが、骨の健康維持とのバランスも考えて、極度のダイエットと朝食欠食は控えましょう。

骨粗鬆症は治せる病気

「すでに骨粗鬆症の予備群かもしれない」「骨粗鬆症は治せるのかしら」と、不安を抱いている人もいるかもしれません。最後に、検診や治療について紹介します。

まずは骨検診を受けよう

骨粗鬆症を早期に発見するには、市区町村などが行っている骨検診を受けるのがおすすめです。骨検診では、問診や骨密度の測定などが行われます。骨粗鬆症の可能性ありとなれば、医療機関の受診をすすめられることもあります。

治療には薬物療法が欠かせない

医療機関を受診して骨粗鬆症の治療が始まるとお薬の内服や注射が行われますが、適切な治療を継続すれば、骨折の予防だけでなく、最近では低下した骨密度の回復も望めることがわかってきています。

食生活の改善や運動習慣を取り入れるなどの自助努力は大切ですが、骨粗鬆症患者とその予備群の治療では、医師による薬物療法が欠かせません。

よくお薬は嫌いなので、運動と食事で直したいという人がいますが、お薬の必要な人は運動と食事だけでは治りません。そのように診断されたら、医師の指示に従って薬物治療を始めましょう。その上に運動と食事に気を配れば、お薬の効果がより高まる可能性があります。

女性は特に注意しなくてはならない骨粗鬆症。ながら運動や適度な日光浴など、骨の健康を保つために日常生活の中でできることは多くあります。普段からの小さな心掛けで、骨粗鬆症を予防して健康な毎日を送りましょう。
 

■監修者プロフィール

太田博明さん
おおた・ひろあき 医学博士。川崎医科大学 産婦人科学2 特任教授、川崎医科大学 総合医療センター 産婦人科 特任部長、藤田医科大学病院 国際医療センター客員病院教授。
1944年、東京都生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。同大学医学部産婦人科講師・助教授、東京女子医科大学産婦人科主任教授、国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授、山王メディカルセンター女性医療センター長などを歴任。著書に『骨は若返る!骨粗しょう症は防げる!治る!』(さくら舎刊)、『鍛えれば「骨」は今日から強くなる!』(学研プラス刊)など多数。日本骨粗鬆症学会の理事長を産婦人科医として初めて務めた我が国における女性の骨粗鬆症診療の権威。

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