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最近よく聞く「フレイル」。意味は虚弱で、要介護一歩手前の状態を指します。まずは筋肉が減っていないか「指輪っかテスト」でチェックしてみましょう。50代からのプレフレイル予防、高齢の親のフレイル予防に役立つ情報をご紹介します。
要介護一歩手前「フレイル」とは?
フレイル(虚弱)とは、健康と要介護の中間の状態を指し、日本では少なくとも250万人が当てはまるといわれています。人生100年時代、できるだけ要介護にならずにいるためには、要介護一歩手前の「フレイル」の予防であることが、高齢者約2000人を対象にした東京大学の調査で明らかになりました。
東京大学高齢社会総合研究機構 機構長・未来ビジョン研究センター 教授の飯島勝矢さんによれば、「寝たきりや要介護にならないために意識したいのは、口腔機能の低下“オーラルフレイル”と、加齢によって筋肉が減少する“サルコペニア”(筋肉減少症)」だといいます。飯島さんに、50~60代からの、プレフレイル・フレイル予防として、このサルコペニアについて教わりました。
筋肉が減っていないか、5秒でチェック!「指輪っかテスト」
始めに、サルコペニアの危険度を簡単に判定できる「指輪っかテスト」(上図)を試してみてください。「すき間ができる」人はサルコペニアの可能性があります。
1.両手の親指と人さし指を輪にします。
2.利き足ではない方のふくらはぎの一番太い部分を、力を入れずに囲んでみましょう。
東京大学高齢社会総合研究機構は、千葉県柏市に住む65歳以上の健康な人2044人(平均年齢73歳)を対象に「柏スタディ」と呼ばれる調査研究を実施中です。この「柏スタディ」では、4年間の追跡調査で、テストをして「すき間ができる」人は、「囲めない」人に比べて、要介護になった割合が2倍、死亡率が3.2倍も高いとの結果が出ています。
「サルコペニアを発症すると、転倒や骨折の危険が増え、認知症になるリスクも高まるので、介護が必要な状態になりやすいのです。活動量や運動量、食事の量が少ない人は、40代、50代でもサルコペニア予備軍になっている可能性があるので注意しましょう」と飯島さん。
60歳を過ぎたら、肥満より注意すべきは「新型栄養失調」
筋肉を減らす要因として、近年注目されているのが、3食取っているのに栄養不足で、いつの間にか体重が減ってしまう「新型栄養失調」(低栄養)です。低栄養状態になると、疲れることをしたわけではないのに体がだるい、低体温・低血圧などの不調を招くばかりか、免疫力が低下して、病気にかかりやすくなります。
栄養が足りているかどうかの目安になるのが、体格指標のBMIです。
BMI=体重(kg)÷[身長(m)×身長(m)]
例:身長が160cmで体重が55kgの場合は、55÷(1.6×1.6)=21.5
指輪っかテストですき間ができるくらいふくらはぎが細い、あるいはBMIが20以下の人は、栄養失調になっている可能性があります。
新型栄養失調が怖いのは、栄養不足、食事量の低下で筋肉量が減少してサルコペニアになり、基礎代謝やエネルギー消費量が低下する悪循環に陥るから。そうなると、身体的なフレイル、そして要介護状態になるリスクが上がります。
65〜75歳の日本人の約2万7000人を11年間追跡調査した研究では、BMIが20より低い人ほど死亡リスクが高まると報告されています。特に女性の場合は、70~80代になっても痩せたいと思っている人が多い傾向がありますが、スリムになるために食事を減らしていては、健康長寿はかなわないということです。
「40~50代はメタボ対策が大事ですが、60代以降は、よほど太っている人以外は痩せたら危険と頭を切り替える必要があります。フレイルを予防するためには、ダイエットをしたりせず、むしろしっかり食べて筋肉をつける方向へギアチェンジした方がよいのです」と飯島さんは語ります。
「痩せたいから」と肉や卵など筋肉のもととなる重要な栄養素を避けていないか、食生活も見直す必要があります。
教えてくれた人:飯島勝矢(いいじま・かつや)さん
1990年東京慈恵会医科大学卒業。医師、医学博士。東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座講師、米国スタンフォード大学循環器内科研究員などを経て、現在は、東京大学高齢社会総合研究機構 機構長・未来ビジョン研究センター 教授。専門は老年医学、総合老年学。著書に『東大が調べてわかった 衰えない人の生活習慣』(KADOKAWA刊)など。
取材・文=福島安紀 イラストレーション=ねもときょうこ
※この記事は2019年3月号「ハルメク」に掲載された内容を再編集しています。
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【参考資料】
・新型コロナウイルス感染症への対応について(高齢者の皆さまへ)-厚生労働省
・「長引く外出自粛 高齢者は楽しくフレイル予防を!!」-NHK
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