あなたのお口は大丈夫?衰えを防いで病気も予防#1

老化の入り口「オーラルフレイル」をセルフチェック!

公開日:2022.06.03

更新日:2023.08.07

最近むせやすくなったり、食べこぼしが増えたりしていませんか? それは、全身の老化にもつながる危険があるオーラルフレイル(お口の衰え)かもしれません。セルフチェック方法と危険性について、歯科口腔外科医の平野浩彦さんに教えてもらいました。

「オーラルフレイル」心身の衰えはお口から

1-02_危険なフレイルの入り口がオーラルフレイル

みなさんは「フレイル」をご存じですか? フレイルとは、心身の機能や活力が衰え、虚弱になった状態のことで、死亡や要介護のリスクを高めます。

「フレイルの人の体は“ひびの入った器”のようなものです。一見すると問題ないようでも、少しのトラブルで大きなひびが入り、元に戻れない状態になることがあります。例えば、フレイル状態の方は、かぜや転倒をきっかけに寝たきりになってしまうこともあります」と話すのは、東京都健康長寿医療センターの平野浩彦さんです。

フレイルの定義

下記の項目で、1つか2つ当てはまると「フレイル予備軍」、3つ以上当てはまると「フレイル」です。

  • 筋力が弱くなる
  • 倦怠感があり日常生活が億劫になる
  • 活動量が低下する
  • 歩行機能が低下する
  • 体重が減少する

※出典:東京都健康長寿医療センター 平野浩彦/東京大学高齢社会総合研究機構 飯島勝矢

そんな危険なフレイルが、実はお口の機能の衰え(=オーラルフレイル)から始まることが近年の研究でわかってきました。

1-02フレイルの連鎖シート
出典:東京都健康長寿医療センター研究所 本川桂子

よく噛めない状態が続くと、軟らかいものばかり食べるようになり、噛む力が低下します。すると、ますますお口の衰えが進み食事が偏ってしまい、結果として低栄養となり、全身の機能が低下するのです。

「こうした負の連鎖を食い止めるには、お口の機能を高めることが重要です。オーラルフレイルに陥っている人でも、改善法をよく知って実行すれば、機能を回復できます」と平野さん。

オーラルフレイルの危険性をチェック!

口の不調を放置していると、病気や要介護のリスクが高まります。まずは、下記のチェック表でセルフチェックして、自分のお口の衰え状況(オーラルフレイルの危険性)を確認しましょう。

お口の健康セルフチェックリスト

オーラルフレイルの危険性をセルフチェックできるチェック表です。「はい」「いいえ」で答えて、それぞれの点数の合計が3点以上の人は要注意です!

チェック項目は以下の8個です。

  • 半年前と比べて、硬いものが食べにくくなった (はい2点、いいえ0点)
  • お茶や汁物でむせることがある (はい2点、いいえ0点)
  • 義歯を入れている※ (はい2点、いいえ0点)
  • 口の乾きが気になる (はい1点、いいえ0点)
  • 半年前と比べて、外出が少なくなった (はい1点、いいえ0点)
  • さきイカ、たくあんくらいの硬さの食べ物を噛める (はい0点、いいえ1点)
  • 1日に2回以上、歯を磨く (はい0点、いいえ1点)
  • 1年に1回以上、歯医者に行く (はい0点、いいえ1点)

※歯を失った場合、義歯等を適切に使って硬いものをしっかり食べられるよう治療することが大切です。

1-03_チェックシート
出典:東京大学高齢社会総合研究機構 田中友規、飯島勝矢

合計の点数

  • 0~2点……オーラルフレイルの危険性は低い 
  • 3点……オーラルフレイルの危険性あり 
  • 4点以上……オーラルフレイルの危険性が高い 

「3点以上の人は、大いに気にしてください。なぜなら、硬いものが食べにくい、飲み物や汁物でむせるといった“ささいなお口の不調”が、やがて全身の不調を引き起こすことがあるからです」と平野さんは警告を鳴らします。

1-04_悪循環表

噛む力が弱くなると、噛みごたえのある野菜、海藻類、肉類、果実類、種実類などを避け、穀類や菓子類、砂糖類を多くとる傾向があるといいます。

1-05_食べ物表
出典:厚生労働省「地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理の在り方検討会」資料

オーラルフレイルは、フレイルの他にも誤嚥性肺炎、糖尿病、認知症、またうつや閉じこもりなどの要因になります。また、オーラルフレイルの人は、そうでない人に比べて、身体的フレイルやサルコペニア(加齢や病気により筋肉量、筋力が低下した状態)、さらに要介護や死亡のリスクも高まるという調査結果が報告されています。
 

1-06_死亡のリスクが高まる
出典:Tanaka T. Hirano H. Watanabe Y. Iijima K. et al.Oral Frailty as a Risk Factor for Physical Frailty and Mortality in Community-Dwelling Elderly J Gerontol A Boil Sci Med Sci. 2018

こうしたオーラルフレイルを防ぐには、「舌の筋トレ(舌トレ)」が有効だと、平野さんは言います。

平野浩彦(ひらの・ひろひこ)さんのプロフィール

1-01_平野浩彦先生

東京都健康長寿医療センター歯科口腔外科部長。1962(昭和37)年生まれ。歯科医師。日本大学松戸歯学部卒業。東京都老人医療センター研修医、国立東京第二病院研修医、東京都老人医療センター主事・医長を経て、東京都健康長寿医療センター研究所専門副部長に就任。2016年より現職。専門は老年歯科学。著書に『フレイルの専門医が教える 舌を鍛えると長生きできる!』(PHP研究所刊)。

取材・文=五十嵐香奈(ハルメク編集部) イラストレーション=かやぬま優
※この記事は雑誌「ハルメク」2021年3月号を再編集、掲載しています。

■もっと知りたい■

■あなたのお口は大丈夫?衰えを防いで病気も予防■

  1. 老化の入り口「オーラルフレイル」をセルフチェック!←今ココ!
  2. 3つの簡単「舌トレ」でオーラルフレイル予防
  3. 「話す」「食べる」舌トレでオーラルフレイル予防

雑誌「ハルメク」

女性誌売り上げNo.1の生活実用情報誌。前向きに明るく生きるために、本当に価値ある情報をお届けします。健康、料理、おしゃれ、お金、著名人のインタビューなど幅広い情報が満載。人気連載の「きくち体操」「きものリフォーム」も。年間定期購読誌で、自宅に直接配送します。雑誌ハルメクサイトはこちら

マイページに保存

\ この記事をみんなに伝えよう /

みんなのQ&A みんなのQ&A

いまあなたにおすすめ