公開日:2020/09/08
つらい背中のコリ、誰でも一度は経験したことがあるはずです。疲れや姿勢、習慣など、背中のコリの原因は実にさまざま。当記事では、背中のコリを解消する方法や、肩コリや首コリにも効果的なストレッチをご紹介します。
背中がこりやすい人は、どのような生活をしているのでしょうか? ここでは、背中がこっている人の特徴をいくつかご紹介していきます。日常生活の何気ない習慣や姿勢などが、背中のコリにつながる原因となっているようです。
デスクワークの人は、座わったままの姿勢で一日中過ごす時間が長くなります。長時間同じ姿勢でいると、全身の血流が悪くなり背中を中心にコリが生じやすい状態になります。パソコンを中心とした前傾姿勢の作業が多くなるため、気付かない間に猫背になりがちです。猫背のように背中を丸めた姿勢を長時間続ければ、おのずと首コリや肩コリが起こり、結果的に背中がこることにつながります。肩コリや首コリがある人は、背中もこっている場合が多いでしょう。
毎日長時間スマホを使用することも、背中がこっている人の特徴です。約4~6kgあるといわれる人間の頭部。スマホを操作するときには自然とうつむく姿勢になるため、頭部の重さが首、肩、背中などに負担をかけてしまうといわれています。
同じ姿勢で立っている時間が長い人は背中の筋肉が張りやすいです。腰が反っている人は背中の筋肉に負担がかかっていますので特に張りやすい傾向にあります。また、お腹側やお尻の筋肉が衰えていると腰が反ってしまいやすいので注意が必要です。
日々の生活でストレスを感じられることは多いと思います。ストレスにより自律神経が乱れ交感神経優位となることでアドレナリンの作用が強くなります。そうすると血管が収縮してしまい、常に血管が圧迫された状態が慢性化すると血流が悪くなってしまいます。
肩や首の筋力が弱かったり、運動不足や血行不良などが原因に挙げられる肩コリや首コリ。それらが慢性化すると上半身全体の血流が滞りがちになり、背中の血行も悪くなるため、背中にこりを感じるようになるかもしれません。
こっている人の特徴として血液循環の悪い人が多いですが、食生活の乱れでビタミン不足となる人もおられます。特にビタミンEには末梢血管を広げ全身の血流を良くする作用があります。他にもビタミンB1による細胞内でのブドウ糖をエネルギーに変える働きが不足してしまうことで、乳酸の蓄積により疲れが溜まりやすくなります。疲労が蓄積すると自律神経の乱れも生じやすくなり、筋肉がほぐれにくい状態になります。
お仕事や日常生活で座ったままの姿勢が続くと、お尻まわりの筋肉の血流が悪くなります。お尻まわりの血流が悪くなると、筋肉が硬くなったり動きが悪くなります。お尻まわりの筋肉と背中の筋肉は筋膜という組織で繋がっていますので、お尻が硬いと背中がコリやすくなってしまいます。
背中のコリの大きな原因となる姿勢の状態を知るために、まずは体のゆがみをセルフチェックしてみましょう。立ったまま、座ったまま、寝たままで、簡単に自分の体のゆがみを知ることができます。
1.立ってセルフチェック
壁に背中を合わせてリラックスして真っすぐ立ちましょう。肩・首・腰が緊張しないように楽に立ちます。視線は少し前方をぼんやりと眺めるようにします。猫背の人は両肩や後頭部が壁よりも前に離れてしまいます。反対に反り腰の方は背中と壁の間がスッポリと空間ができてしまいます(目安は手のひら1枚が入る程度)。
2.座ってセルフチェック
ひざを真っすぐ伸ばして座り、両手をバンザイさせながら耳の後ろに回してください。このとき、肩がきつい人は背骨の胸椎の周辺が硬くなっており、腰がきつい人は腰骨の腰椎から骨盤のあたりが硬くなっていると考えられます。
3.寝てセルフチェック
あおむけに寝てリラックスしてください。手を体から10cmくらい離し、手のひらを天井側に向けてください。このとき、腰の下に隙間ができる人は、背骨に負担がかかっていると考えられます。隙間が手のひらが何とか入る程度であれば正常範囲内ですが、余裕を持って手が入るのは腰が反っているという一つの目安となります。寝たときに膝を曲げたくなる人や、膝を曲げないと腰が痛い人も腰が反っている人の特徴です。また、肩甲骨が左右均等で床につかない場合、巻き肩傾向で猫背になりやすくなっています。
背中全体の血行不良につながり、肩コリや首コリの原因にもなりうる背中のコリ。ここからは、そんな背中のコリに効果的なストレッチをご紹介します。ポイントは、背骨を柔らかくリラックスしながら体を動かすことです。
座った状態で、右手で頭の後ろに触れます。左手で右ひじを触ります。手を組んだままで、体を左斜め前方へゆっくり倒していきます。呼吸は止めずにゆっくり倒します。手を替えて左右どちらも行います。
四つんばいになり、床を見て背骨のラインを真っすぐにします。腰から背中を反らしてゆっくりと頭を上げていきます。 無理なく反らすことができたら、次は背中を丸めてゆっくりとおへそを見るように動かしていきます。背中の張りや痛みに注意して10回程度繰り返して行います。
ひざを軽く曲げた状態で横向きに寝ます。まずは頭の後ろを手で触れておきます。上体を背中側に無理なくねじります。骨盤のあたりが動かないようにしておき、上半身を無理なくねじるのがポイントです。息を吸うときにねじり、息を吐きながら体を元に戻します。左右どちらも10回程度行います。
背中がこる人はストレッチが有効です。ストレッチを実践すると、背中のコリや肩コリ・首コリの解消だけでなく、睡眠、腰痛、姿勢などの改善にもうれしい作用が期待できそうです。
姿勢が崩れてしまって知らぬ間に猫背になっている人は多いです。同一姿勢を繰り返すことによって背骨や骨盤まわりが硬くなっています。背骨を柔らかく動かすことで凝り固まった背骨がスッキリして姿勢の調整に繋がります。背骨をしっかりと動かすことで猫背の緩和が期待できます。
筋肉をほぐすことで血液の循環がよくなるストレッチは、血行不良が大きな原因となっている肩コリや首コリの改善につながります。
血行を促進するだけではなく、体をリラックスさせてくれるストレッチは、体のコリや張りなどから解放し、快適な睡眠がとれるように導きます。
腰痛の改善もストレッチの大きなメリットです。腰まわりの筋肉の調子を整えるストレッチは、腰痛の緩和・防止の期待ができるでしょう。
ストレッチを実践すれば、筋肉の柔軟性が改善し、無理なく姿勢を整えることができるため、キレイな姿勢を保つことができるようになります。
日常生活の中にも背中のコリの原因となる習慣があるといわれています。ここからは、そんなNG習慣をピックアップしてみました。よくない生活習慣や癖を見直すことで、背中のコリを改善できるかもしれません。
歯を食いしばれば、アゴや側頭部の筋肉が収縮し、それが頭部、首、肩、背中といった部位の筋肉を緊張させ、背中のコリの原因になってしまいます。いつも歯を食いしばっている人は、注意が必要でしょう。
左右どちらかの歯に偏って食べ物を噛んでしまう人も、背中がコリやすいといわれています。片噛みは、口周辺にある片側の筋肉ばかりを酷使してしまい、結果的に上半身や全身のバランスが悪くなり、背中のコリにつながる可能性も考えられます。
手の甲が内側に向いている人は、背中がコリやすいともいわれているようです。手の甲が内側に向けば、自然にひじや肩も内側を向き、肩甲骨は前に移動してしまうため、巻き肩になります。ついつい肩が前に出てしまう人は普段から姿勢に注意する必要があります。
呼吸が浅い人は、酸素の供給量が少ないため、疲れが取れにくい体質になっている場合もあります。酸素不足は血流の循環を悪くさせ、疲労回復を遅らせるだけではなく、肩コリ・首コリ、そして背中のコリにつながってしまう可能性もあるといわれています。
低い枕を使い、横向きに寝る習慣がある人も背中がこってしまいがちでしょう。枕よりも自分の肩の方が高くなるため、上になった側の首の筋肉が緊張してしまいます。首の筋肉が緊張することで血流が悪化し、首や肩、肩甲骨や背中に大きな負担をかけてしまうと考えられています。
つらい背中のコリに悩む人には、血液の循環をよくするストレッチが必要不可欠な緩和法といえるでしょう。また、背中のコリを解消するだけではなく、肩コリ、首コリ、快適な睡眠、腰痛の改善・予防、姿勢の矯正などにもストレッチは効果的です。さらに筋トレをプラスすれば、理想的な健康と快適な生活を手にすることも難しい話ではありません。まずは、ストレッチを日常生活に取り込むことから始めてみましょう。
■背中のコリについて教えてくれたのは?
よしおかクリニック 中村太地さん
京都府北部の病院に勤務後、よしおかクリニックにて勤務。スポーツや整形外科疾患のリハビリテーションを中心とした理学療法士。クリニックの方針でもある、丹後地域の人々のためになるクリニックを目指して日々鍛錬中。また、首、背中、肩、腰などの症状別に、セルフエクササイズムービーを配信中。https://yoshiokaclinic.jp/selfexercise/
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