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- 背骨のゆがみは自律神経に影響も。動かし方の注意点
肩こりや腰痛など、一見背骨と関係なさそうに思える不調ですが、実は背骨のゆがみや、動きが悪くなることで起こります。なんと、読者が抱える不調の10位までは、すべて背骨のゆがみに関わるもの! 背骨と体の不調の関係や予防法について解説します。
読者が抱える不調10位まで、すべて背骨のゆがみが関係!
背骨のゆがみが関係! 女性の不調ランキング
- 77人 肩こり
- 71人 目の疲れ
- 55人 腰痛
- 49人 ひざの痛み
- 40人 ドライアイ
- 36人 物忘れ
- 35人 不眠
- 32人 手足の関節の痛み
- 30人 頻尿
- 29人 首の痛み
※このアンケートは、ハルメクが2017年5月12日~14日に実施。インターネット上でアンケートを送り、50歳以上の女性219人から回答を得ました。
肩こりや腰痛、ひざの痛みは、猫背などで頭の重心がずれることでその重みが肩や腰、ひざにかかり、引き起こされます。一方、背骨がゆがむと、内臓や神経が圧迫され、目のトラブルや不眠、物忘れ、頻尿なども招いてしまいます。
私たちの命を支える、背骨の重要な役割とは
「この一つ一つの骨(椎骨)が重なって絶妙なS字を描き、上半身の重みを分散するからこそ、歩いたり体をひねったり、自由に動けるのです」と、背骨と体の不調の関係に詳しい鍼灸師の石垣英俊さん。
さらに、背骨の中心には脊髄が通っていて、そこから椎骨の隙間を通って末梢神経が全身に伸びています。「熱い、冷たいといった感覚を瞬時に感じられるのも、内臓がしっかり働くのも、背骨が神経を守り、手足やさまざまな臓器に神経をつなげているからです」と話すのは、脳神経外科医の工藤千秋さん。他にも、胸椎にある造血細胞が新鮮な血液を作り出すなど、背骨は私たちの命を支える重要な役割を果たしています。
姿勢を正すだけで脳の血中酸素が122%に
背骨は体の広範囲と結びついているため、「不調の多くは、背骨の状態に起因している」と、石垣さんと工藤さんは口をそろえます。実際、ハルメクのモニター組織「ハルトモ」に「気になる不調」を聞いたところ、間接的な原因になるものも含めると、10位までの不調のすべてに背骨が関係していました(上のランキング参照)。
「背骨のゆがみは、加齢や運動不足による筋肉の衰えなどで進行します。例えば猫背になると頭の重心が前に傾き、頭の重さが直接首や肩、ひざ、腰に負荷をかけ痛みを招きます。さらに肺や心臓が圧迫されて呼吸が浅くなるので、酸素も十分に運ばれなくなる。結果、脳の活動量が落ち、気分の落ち込みにもつながるのです」
実際、工藤さん独自の実験では、姿勢を正しただけで脳の血中にある酸素量が平常時の122%に上がるという結果も出ています。
内臓を守りつつ正しい位置にキープ
神経を保護し全身につなぐ上半身の重みを支えるひねる、曲げるなど体を自由に動かす新鮮な血を作り全身の細胞を活性化
(右)背骨が曲がってバランスが悪いと…
背骨がゆがみ、頭の重心が前後にずれると、足腰に余計な負荷がかかり、痛みの原因に。神経が圧迫されることで、内臓の働きが悪化することも。
(左)背骨が真っすぐだと…
背骨が適正なS字カーブを保っていれば、頭の重さが背骨でうまく分散され、腰やひざなどの関節も内臓も、健やかに働ける。
さらに、背骨がゆがむことで自律神経にもトラブルが
「背骨のゆがみは自律神経のバランスの崩れを招き、不眠や震え、頻尿を引き起こします。多くの方が悩む疲れ目やドライアイも、自律神経の乱れで目の調整機能が弱って起こることも多いのです」
そう話す工藤さんが危惧するのが、感覚神経や運動神経の働きに欠かせない「ミエリン」という構造への影響です。「ミエリンは、電気コードの覆いのように神経に巻きつき、電気信号が早く伝わる手助けをしています(下図参照)。背骨がゆがみ、神経が圧迫されると、このミエリンが傷ついて溶け、電気信号が止まったり、外へもれ出てしまい、体が思うように動かなくなる。転倒や手足の痛み、しびれにも、実は背骨の問題が潜んでいるのです」
神経伝達に欠かせない「ミエリン」の仕組みとは?
ミエリンが正常な場合
ミエリンが絶縁体の役割を果たし、脳からの電気信号がミエリンを飛び越えるため、より早く伝わる(跳躍伝導)。
ミエリンが傷ついた場合
背骨のゆがみなどで神経が圧迫され、神経に酸素がいかなくなると、ミエリンが溶け、電気信号が伝わりにくくなる。
背骨のゆがみを防ぐ方法は?
では背骨のゆがみを防ぐにはどうしたらいいのでしょう。
「背骨は全体が連動して動くので、一部でも痛めたり、周囲の筋肉が衰えるだけでゆがみを招きます。特に胸椎は普段動かし足りない方が多いので、積極的に動かすこと。そして痛めやすい頸椎と腰椎は、苦手な動きを知り、日常生活で気を付けることです」と石垣さんはアドバイス。
また工藤さんによれば、溶けたミエリンも、背骨の周囲の筋肉を動かし、酸素や栄養を送ることで修復できるのだそうです。
頸椎(首の骨)の役割とゆがみを防ぐ方法
回す動作もでき、背骨で一番可動域が広い。頸椎がゆがんで頭が前に出ると、首に負荷がかかり、頭痛や肩こりの原因にも。よく動く分、急にねじると痛めやすい。本を長時間うつむいて読む姿勢も、頸椎のカーブ(前弯)がなくなるなどのゆがみを招く。
胸椎(胸の骨)の役割ととゆがみを防ぐ方法
肋骨につながり、心臓や肺を守って、呼吸にも大きく影響。自律神経との関わりが深く、動きが悪いと内臓や心の不調が起こりやすい。胸椎を意識的に使い、柔軟性を保つことが頸椎と腰椎を痛めないコツ。振り向く際も首や腰からでなく腕からねじるよう意識を。
腰椎(腰の骨)の役割ととゆがみを防ぐ方法
上半身を支えるため、椎骨もクッションである椎間板も一番大きい。その分、少しの負荷でも椎間板が傷つきヘルニアを起こしやすい。椎骨同士が組み合っているため、特に前かがみにねじると痛めやすい。物を拾う際は、股関節を使って拾う物の方に体を向けて。頭の重さでさらに背骨が曲がり内臓や神経を圧迫!
次の記事では、「パーフェクト背骨」を目指す画期的なメソッドをご紹介します。さっそく挑戦してくださいね。
教えてくれた人
石垣英俊(いしがき・ひでとし)さん
1976(昭和51)年、静岡県生まれ。鍼灸師、応用理学士。神楽坂ホリスティック・クーラ代表。
工藤千秋(くどう・ちあき)さん
1958(昭和33)年、長野県生まれ。脳神経外科医。くどうちあき脳神経外科クリニック院長。
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1 体調の9割は、背骨が決め手!
2 読者44人を1週間で変えた背骨のコンディショニング
3〔実践編〕夜のリセットコンディショニング
4〔実践編〕朝のアクティブコンディショニング
5 84%の人が改善。背骨のコンディショニング体験結果
取材・文=新井理紗(ハルメク編集部) 撮影=中西裕人、イラストレーション=田渕正敏
※この記事は、2017年9月号「ハルメク」に掲載した特集「しなやか背骨で不調知らずのカラダに!」内、「体調の9割は、背骨が決め手!」を再編集、掲載しています。
雑誌「ハルメク」
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