スクワット、縄跳びダンス、散歩などの軽い運動でOK

自律神経失調症の不調が気になったら運動を始めよう

公開日:2020/12/18

更新日:2021/11/06

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だるさ、不眠、こり、めまいなどの不調を起こす「自律神経失調症」。自身も自律神経失調症のライター・鳥居りんこさんが、精神科医の鹿目将至さんに症状や原因、対策について伺う全3回の連載です。2回目は、気軽にできる運動による対策方法をお伝えします。

自律神経失調症の不調が気になったら運動を始めよう
自律神経失調症の不調が気になったら運動を始めよう

コロナ禍で増える心身の不調、自律神経失調症の対策とは?

『1日誰とも話さなくても大丈夫 精神科医がやっている猫みたいに楽に生きる5つのステップ』(双葉社刊)という本を出版した精神科医の鹿目将至(かのめ・まさゆき)先生に聞く「コロナ禍でも負けない心身(カラダ)作り」。

前回は50代前後の女性のための「自律神経失調症」について教えてもらいました。
2回目の今回は「うつと運動の関係」についてです。
 
―前回、心身の不調は「もっと私を労わって!」という体からのサインだから、放置してはいけないというお話を聞きました。自律神経失調症がうつ病やパニック障害に移行する場合もあるってことでしたよね。

【鹿目医師】そうですね。もちろん、全員がそうなるわけではないので、必要以上に心配しなくて大丈夫ですよ。ただ、コロナ禍ということで、誰もが、知らず知らずのうちにストレスを抱え込んでしまっていることも事実です。

感染を不安視する風潮がずっと続いているわけですから、自分は気にしていないつもりでも、心身のダメージは蓄積する一方だと思います。

―確かに!会いたい人にも気軽に会えないような状況が続いていますものね。私も今年は特に調子が悪い日が多いです。気持ちが沈んでしまうというか、元々出にくいやる気がもっとなくなるということがよくあります。

【鹿目医師】今、こういった症状を訴える人が僕の病院外来にも多くいらっしゃいます。
これは、リモート勤務や不用意の外出自粛の影響で、運動不足気味の人が多くなっているということも一因だと思っています。

―不調の原因は運動不足なんですか⁉

【鹿目医師】言い尽くされていることですが、やはり健康を支えているものは「運動」「栄養」「睡眠」なんですね。よく動いて、よく食べて、よく眠れたら、それだけで健康体!ってことなんですが、現代人にとっては3つとも満足に行うことはなかなかに難しい。ことにコロナ禍では「運動不足」に拍車がかかりましたからね。

―そうですよね~。私の通っていたジムは長期休業の挙句、閉鎖になりましたもの……。

【鹿目医師】同じく、僕が通っていたプールも休業中です。僕にとっては、水泳がストレス発散だったので、正直、痛いです。

でもね、ご承知の通り、ジムに通うだけが運動じゃないですからね。

自律神経失調症対策になる、道具を使わず気軽にできる運動

道具を使わず気軽にできる運動

―そうそう!先生は私に、以前、今すぐできる対策として、スクワットをすすめましたよね?

【鹿目医師】ずっと座っているお仕事は、血流が悪くなっていることが多いですからね。スクワットは効きますよ。でも、続かなかったんですよね?(笑)

―面目ないです。実は運動は大の苦手でして、自発的にはなかなか続けられず……。

【鹿目医師】わかります。苦手なことをやり続けるのは、すごく大変ですからね。ただ、医師の立場から言えば、スクワットは第二の心臓とも呼ばれるふくらはぎのポンプ活動を鍛えることなので、血液の循環が良くなるんです。朝5回、夕方5回っていう感じで、気が付いたときでいいですから、まずは1日トータルで10回を目標にやってみると、それだけでも変わりますよ。

どうですか? また、今日から、始めてみませんか? それこそ、できた日は、カレンダーか何かに「目標達成のごほうびシール」を貼るとかいかがですか?

まずは1日トータルで10回を目標にやってみる

―そうですね。また、今日から始めればいい話ですよね。そういえば、ご著書の中で、エア縄跳びをすすめていましたね?

【鹿目医師】できれば、お金も道具も要らないっていう運動が一番、気楽にできるんじゃないかと思って、考案したんです(笑)。

縄跳びの縄を持っている振りをして、その場で低くピョンピョン跳ぶ! 3分もやれば十分です。はじめは好きな曲をかけて1番が終わるまで、その場跳び。慣れたら、少しずつタイムを延ばしていけばいいんです。こんな簡単なことですが、効果的な有酸素運動です。

心肺機能も鍛えられ、酸素も体中に行き渡り、新陳代謝も活発になります。

縄跳びは2020年のトレンドでもありますしね? アイドルのNiziU(ニジュー)気分で、縄跳びダンスをしても、すっごく楽しくなると思いますよ。

――あ~、紅白出場も決めた韓国発の日本人ガールズグループですね? YouTubeで見たことありますが、運動不足の体だと息切れするかも!?(笑)とりあえず、私は紅白のパフォーマンスを楽しみにしときます。

【鹿目医師】ダンスもエアロビも初心者向けの動画がYouTubeでは無料でたくさん見られますから、気分が上がる動画で挑戦すると、体にも心にも効きますよ。

運動って体にももちろん効果的なんですが、心にも良くて、自然と気持ちを上向きにさせるんですよ。実は運動不足とうつは関係しているんです。

運動不足とうつは関係している

運動不足とうつは関係している

【鹿目医師】最新の研究で、運動はうつ病の治療に効果的で、そもそもうつ状態になるのを防ぐ可能性があることが明らかになったんですよ。

つまり、心を健康にするには、活動的になることが有効ってことです。

―なるほどね~。体と心は連動しているってことですね? 体を動かすことって大事なんですね。

【鹿目医師】そうなんです。すっごく大事です。今、僕ら精神科医はお年寄りのフレイル(※加齢により心身が老い衰えた状態)を憂慮しています。

コロナ禍でデイサービスなどに通えず、運動量が激減しているんですよ。運動量が減ると筋肉量が減り、動く機会が減ると物事を考えることも減るので、認知機能の低下を招きやすくするんですね。このことが、認知症の発症につながったり、体の機能の低下を招いて要介護の状態になりやすくしてしまうんです。

動かないと認知症のリスクも上がります

―動かないだけで、認知症に移行しちゃうんですか?

【鹿目医師】そのリスクが上がってしまうってことですね。軽い運動は認知症予防には効果的なんですよ。これは、運動することで筋肉から脳へBDNF(脳由来神経栄養因子)という神経の成長を促す信号が送られ、結果として、脳の記憶を支える海馬の神経細胞が活性化。軽い運動だけでも海馬は若く保たれるので、認知症の発症を遅らせることができるってわけです。

―運動って、脳にもダイレクトに関係しているんですね。

【鹿目医師】そうです。運動は侮れないでしょう? これは、お年寄りだけの話ではなく、やはりその前から、予防として、運動を習慣にしてしまうのが得策かもしれませんね。

ウォーキング、水泳、ヨガ、ラジオ体操なんて、とってもいいですね。

運動できない場合は、散歩に出掛けるだけでもOK!

―先生は著書で15分間の「コンビニついでに行く散歩」をすすめていますよね?

【鹿目医師】先ほど申し上げた、スクワットや縄跳びダンスの他にも、運動好きな人なら、ジョギングやサイクリングもおすすめしますが、お好きな人ばかりではないので、そういう人には散歩がいいと思います。

ただ、現代人は忙しいですから「散歩に行くぞ!」って気合いを入れないと、中々、実行できないってこともあると思うんです。そうすると「今日も、また行けなかった……」っていうことが逆にストレスになってしまう……。

それを避ける意味で、コンビニとかスーパーに食料を調達しに行くという「ついで」に散歩することを提案しています。運動が苦手な人は「気楽に」「ついでに」っていうことが大事ですね。

一つ手前の駅とまでは言わなくても、一つ手前のバス停で降りるとか、気が向いたら、駅では階段を使うというような「ちょっとだけ、やってみようかな?」ってことの方が続けやすいかもしれないですね。

「ねばならない」思考はストレスと疲労につながる

「ねばならない」思考はストレスと疲労につながる

―「ちょっとだけ」の積み重ねが大事なんですね。

【鹿目医師】そうです!気付いたときに「そうだ、ちょっと屈伸運動しようかな?」くらいでもいいですよ。「ねばならない」って思考は、それ自体がストレスになるんです。つまり、気持ちがその思考にとらわれてしまい、必要以上に疲れやすくなるってことなので逆効果。

鳥居さんも、今日から「そうだっ!ちょっとだけ動くかな?」ってやってみてくださいね。

――わかりました。「ちょっとだけ!」を意識してみます。

次回は、日常生活に疲れている私にセルフケアの方法を教えてください。

次回>>「精神科医伝授!心の不調を抱えないためのセルフケア

鹿目将至(かのめ・まさゆき) さんのプロフィール 
1989年、福島県郡山市生まれ。日本医科大学卒業。現在、愛知県豊橋市の松崎病院 豊橋こころのケアセンター勤務。2020年4月にプレジデントオンラインで発信した「激増中『コロナ鬱』を避けるための5つの予防法~精神科患者の9割以上がコロナ案件」が大反響を呼ぶ。『1日誰とも話さなくても大丈夫 精神科医がやっている猫みたいに楽に生きる5つのステップ』(双葉社刊)は、コロナ禍で、心身の不調を抱える人が増加する日本。特に深刻なのは、「1日中家にこもって、誰とも言葉を交わさない人」のうつ。精神科医の著者が自ら取り組む、簡単かつお金のかからない効果絶大なテクニックの数々を紹介する一冊。

鳥居りんこ(とりい・りんこ) 

鳥居りんこ
とりい・りんこ 作家、教育ジャーナリスト、介護アドバイザー。1962年生まれ。自らの体験を基に幅広い分野から発信し、悩める女性の支持を得る。近刊に『神社で出逢う 私だけの守り神』(浜田浩太郎著・祥伝社刊)、取材・文を担当した「1日誰とも話さなくて大丈夫、精神科医がやっている猫みたいに楽に生きる5つのステップ」(双葉社刊)。「親の介護をはじめる人へ伝えておきたい10のこと」(ダイヤモンド・ビッグ社刊)。

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鳥居りんこ

作家、教育ジャーナリスト、介護アドバイザー。1962年生まれ。体験を基に幅広い分野から発信し、悩める女性の支持を得る。近刊に『1日誰とも話さなくて大丈夫、精神科医がやっている猫みたいに楽に生きる5つのステップ』(双葉社)。『親の介護をはじめる人へ伝えておきたい10のこと」(ダイヤモンド・ビッグ社』。

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