誰でも一度は通る道!更年期障害はなぜ起こる?

更年期とは?症状・原因・治療法、予防や対策を解説

横倉恒雄さん(横倉クリニック)
監修者
横倉クリニック
横倉恒雄

公開日:2022.06.29

更年期とは、女性が一生で迎える4つのライフステージのうちの一つ。更年期の原因や、体に起こっている変化、代表的な症状、治療法や予防・対策について専門家監修のもと詳しく解説します。誰でも通る道である更年期について、正しい知識を身に付けましょう。

更年期とは

更年期とは

更年期は「閉経(生理が1年以上来なくなること)の前後5年間」と定義されており、40代半ば~50代半ばの10年間を一般的に「更年期」と呼びます。なお、日本人女性の閉経年齢は50歳前後といわれています。

女性は一生のうちに「思春期」「性成熟期」「更年期」「老年期」の4つライフステージを経験し、更年期はその一つです。

  • 思春期……7歳頃から女性ホルモン分泌が開始、10〜12歳で初潮を迎える
  • 性成熟期……20〜30代。妊娠・出産に関わる大切な時期で、卵巣機能が最も活発になる
  • 更年期……40代半ば~50代半ば。卵巣機能の低下が起こり、女性ホルモンの分泌量が激減、閉経を迎える
  • 老年期……卵巣機能が完全に停止し、更年期の不調が徐々に安定してくる

更年期は、症状や程度に個人差はあるものの、女性であれば誰でも体験する期間です。これまで長年分泌され続けていた女性ホルモンが減り、やがて閉経を迎えるという環境の変化に体が慣れるまでの期間ともいえます。

30代後半~40代半ば頃は「プレ更年期」と呼ばれており、閉経までには時間があるものの、閉経に向けて心や体に変化が起こり始めます。

更年期障害・更年期症状とは

更年期に起こるさまざまな症状を「更年期症状」といいます。症状の現れ方や感じ方、症状の重さは人によって違いがありますが、症状が重く、日常生活に支障が出る状態は「更年期障害」と呼ばれます。

更年期にはさまざまな症状が現れますが、大きく分けると「身体的な症状」と「精神的な症状」の2つです。

「顔や体がほてるようになった(身体的な症状)」「めまいがしたり、倦怠感があったりする(身体的な症状)」「些細なことが気になったり、イライラしたりする(精神的な症状)」「夜、布団に入ってからもなかなか寝付けない(精神的な症状)」などの症状を感じる場合は、更年期の症状が出ているサインかもしれません。

更年期障害はセルフチェックもできるので、「もしかして更年期障害?」と思ったらセルフチェックで確認して、更年期外来に足を運ぶなど、医師に相談してみるといいでしょう。

更年期障害・更年期症状の原因

更年期障害・更年期症状の原因

ここからは、更年期障害・更年期症状の原因について解説します。

加齢に伴うエストロゲンの減少

更年期障害・更年期症状が起こるのは、閉経に向けて卵巣機能が衰えていき、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と呼ばれる女性ホルモンの分泌量が急激に減ることが原因です。

エストロゲンの激減に体が追いつかなくなることで、心身の不調が起こりやすくなるといった状態です。

エストロゲンの分泌は、脳の視床下部にある下垂体がコントロールしています。しかし、45歳頃を過ぎると、卵巣機能の衰えによって、下垂体が卵巣に「女性ホルモンを分泌しなさい」と司令を出しても、分泌されにくくなります。

すると、下垂体から指令が出続ける異常な状態になり、脳が混乱状態に。視床下部は体のさまざまな機能調整を行う自律神経も同時にコントロールしており、混乱が自律神経に伝わることで、自律神経失調症に似た症状が引き起こされます。

心理的要因や環境要因

更年期は、女性にとって全年齢のうちでも最もストレスを受けやすい時期といわれています。

更年期にあたる時期は、子育てを終えたことによる喪失感、子どもが巣立ったことで気付く夫婦の問題、親の介護の疲れや死による喪失感など、女性を取り巻く環境の変化が大きくなります。また、容姿の変化や衰え、閉経など女性としての変化に関連する不安やストレスもあります。

更年期障害・更年期症状にはエストロゲンの減少に加えて、このような心理的要因や、環境要因によるストレスが重なっており、一種のストレス性疾患とも考えられています。

更年期障害・更年期症状の代表的な症状

更年期障害・更年期症状の代表的な症状

更年期は誰にでも訪れますが、症状の現れ方、症状を感じるかどうかには、個人差があることが特徴です。ほとんど不調を感じない人もいれば、日常生活に支障が出てしまうような重い症状に苦しむ人もいます。

以下は、更年期障害・更年期症状の代表的なものです。

  • 精神神経系の症状……めまい、頭痛、不眠、うつ、イライラ、不安
  • 血管運動神経系の症状……ホットフラッシュ(ほてり、のぼせ)、発汗、寝汗、むくみ、動悸、息切れ
  • 皮膚・分泌系の症状……ドライアイ、喉の乾き
  • 消化器系の症状……下痢、便秘、胃もたれ、吐き気、胸焼け
  • 運動器官系の症状……肩こり、腰痛、背中の痛み、関節痛、手指の変形・しびれ・痛み
  • 泌尿器・生殖器系の症状……月経異常、性交痛、尿失禁

更年期に入ると女性ホルモンの分泌量が大きく減少するため、月経が続く日数が短くなったり長くなったりする、周期が安定せずバラバラになる、月経のときの経血量が変化するなど、月経周期や経血量に変化が見られるようになります。

ホルモンバランスの乱れは40歳を過ぎた頃から起こるため、さまざまな月経トラブルを感じるようになる可能性があるでしょう。これらは「月経異常」と呼ばれ、多種多様な症状があります。

月経が長引いたり、出血が止まらなかったりするのは、癌などの病気が隠れている可能性もあるため、月経や体調の変化を感じた場合は早めに婦人科や産婦人科など、かかりつけの病院を受診することが大切です。

更年期障害・更年期症状の現れ方・症状は年齢で変化する

更年期を迎えた女性の卵巣機能とエストロゲンの減少の変化は時間と症状に関連性があり、更年期の症状の種類や現れ方は、年齢によっても変化します。

  • 40歳頃……月経異常
  • 40代半ば頃……血管運動症状(めまい、発汗、ホットフラッシュなど)
  • 40代後半〜50代……精神神経症状(倦怠感、頭重感、憂鬱、不眠、不安、記銘力低下など)
  • 50代半ば以降……骨粗鬆症、心血管系疾患(動脈硬化、高血圧、冠不全、脳卒中など)、泌尿生殖器の萎縮(性交障害、萎縮性(老人性)膣炎、外陰部掻痒症、失禁など)

まず、月経異常が起こるのがプレ更年期である40歳頃から。その後、エストロゲンの減少に伴い、めまいや発汗、ホットフラッシュ(のぼせ、顔面紅潮)などの血管運動症状、倦怠感や不眠、不安、うつなど精神神経症状が現れ始めます。

また、エストロゲンの減少は臓器にも影響を与えます。これによって、骨量が減少し骨粗鬆症になりやすくなる、泌尿生殖器の萎縮が起こる、動脈硬化などが少しずつ進行していきます。

なお、更年期に現れる症状は、50代後半〜60歳前半頃になると落ち着く人が多いです。

更年期障害の治療法

更年期障害の治療法

更年期障害は女性ホルモンの影響による身体的因子と、その他の心理的因子、社会的因子が複雑に絡み合って発症します。喫煙や飲酒の習慣を見直し、規則正しい食習慣や運動など生活習慣を整えることで改善する場合もあります。

ここからは、更年期障害の主な薬物療法について解説します。

  • ホルモン補充療法(HRT)
    減少したエストロゲンを少量補うことで更年期症状を改善する治療法。ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)や発汗など、更年期に現れる代表的な症状に高い効果を発揮し、更年期症状全般に効果があります。貼り薬、塗り薬、内服薬などの種類があります。心臓・血管の病気や骨粗鬆症など老年期に起こる疾患が予防できるという利点が、再び見直され始めています。
     
  • 漢方治療漢方薬は自然由来の生薬の組み合わせで作られており、心と体全体のバランスの乱れを回復させる働きを持ちます。いくつもの不調を同時に訴える更年期女性に対しては、「婦人科三大処方」と漢方薬を中心に、さまざまな処方が用いられます。
     
  • 向精神薬
    精神症状がつらい場合は、抗うつ薬、抗不安薬、催眠鎮静薬などの向精神薬によって治療することもあります。
     
  • プラセンタ
    プラセンタは、胎児の発育成長を担う胎盤から精製された胎盤エキスのこと。自律神経のバランスを整え、疲労回復を促進、精神安定作用、血行促進等の働きが複合的に作用し更年期の症状を緩和。これまで感染症の報告はありません

症状や希望によっても最適な治療法は異なるため、病院で医師と相談してみましょう。

このなかでも、漢方薬なら市販でも購入ができ、小包装から販売されています。上にあげた漢方薬のなかでいくつかをピックアップしてご紹介します。

  • 加味逍遙散:体力は中程度以下、イライラやほてり、不眠に悩む方におすすめです。
  • 桃核承気湯:体力が中程度以上、便秘がちでのぼせや頭痛、精神不安や肩こりに悩む方におすすめです。
  • 八味地黄丸:体力は中程度以下、疲労感や冷え、むくみや夜間頻尿がある方に、体を温め、体全体の機能低下を改善する効果が期待できます。

漢方については、お近くに詳しい医師や薬剤師がいない場合には、オンラインで無料相談ができ、配送してくれるサービスを使用するのもおすすめです。

症状や体質に合わせて、自分に合った漢方薬を選んでもらえるので、安心できます。体質に合っていない場合は、効果が出ないだけでなく、副作用が起きることもあるので注意が必要です。
 

更年期障害・更年期症状の予防や対策

更年期障害・更年期症状の予防や対策

更年期に現れるさまざまな症状は、とても個人差が大きいものです。何も症状が現れない人、症状があってもほとんど気にならない人、何もできなくなって寝込んでしまうなど人によって大きな違いがあります。

しかし、程度の違いはあれど、更年期の症状は女性であれば誰もが経験するものです。完全に予防することは難しいですが、早めに対処すれば症状の悪化を防げる可能性もあります。

バランスのいい食事、適度な運動

更年期になると、女性ホルモンが減ることで骨の量が減少し、骨粗鬆症になりやすくなります。そのため、カルシウムを積極的に摂取するなど、栄養面に気を付けましょう。

エストロゲンに似た働きをするイソフラボンを多く含む豆腐、豆乳、納豆、おから、厚揚げ、きなこなどを摂取するのもおすすめです。ホルモンバランスを整える働きや、血液循環を促すビタミンEも積極的に摂取するといいでしょう。

食事は更年期障害の予防やつらい症状の緩和として、手軽に取り組めることの一つなので、ぜひ実践してみてください。

一緒に暮らす家族の理解や協力も大切

更年期障害には精神的な症状と身体的な症状があり、自分だけでコントロールするのが難しいこともあります。無理をすると体を壊したり、症状の悪化につながったりするため、無理をしないことが大切です。

本人だけではなく、一緒に暮らしている家族が更年期に起こる更年期障害・更年期症状について正しく理解し、家事の分担など協力する姿勢を示すことが重要です。

女性の体についての正しい知識で、更年期を乗り越える

更年期に起こる症状は、起こる時期や症状の強さに個人差があったとしても、女性であれば誰でも一度は体験するものです。怖がったりネガティブになる必要はありません。

さまざまな症状が現れることがある更年期を乗り越え、健康に過ごすためには、「更年期には自分の体にどんな変化が起こっているのか、なぜ更年期症状が起こるのか」などの情報について知っておくことが大切です。

漢方薬やサプリメント、ホルモン補充療法(HRT)などをうまく使えば、更年期に起こるつらい症状を軽減することもできます。不調が起こったら、早めに対処しましょう。

監修者プロフィール:横倉恒雄さん(横倉クリニック)

横倉恒雄さん(横倉クリニック)

よこくら・つねお 医学博士。医師。横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長。東京都済生会中央病院に日本初の「健康外来」を開設。故・日野原重明先生に師事。婦人科、心療内科、内科などが専門。病名がないものの不調を訴える患者さんにも常に寄り添った診療を心がけている。著書『病気が治る脳の健康法』『脳疲労に克つ』他。日本産婦人科学会認定医 /日本医師会健康スポーツ医/日本女性医学学会 /更年期と加齢のヘルスケア学会ほか。

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