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- 【更年期体験談】家では動けない…でも仕事を休めない
女性は必ず閉経を迎えます。しかし更年期症状は人によって千差万別。そこでハルメクWEB読者Tさんの更年期体験談を教えてもらいました。家では寝込むほどつらいが仕事は休めないと悩むTさんに、産婦人科医の高尾美穂さんがアドバイスします。
更年期症状と気付く前に始まっていた体の変調
現在、51歳のTさん(会社員)。更年期症状による不調に悩まされている真っ最中です。体の不調が、更年期症状と気付いたのは49歳の時でした。
しかし、すでに42歳から体の変調は始まっていました。皮膚に赤みや湿疹などの症状はみられないのに、かゆみだけが起きる「搔痒感(そうようかん)」に悩まされるようになったのです。
「寝ているときに両上肢下肢をかいてしまって、ひっかき傷が多く、病院でヒルロイドを処方してもらってます。長時間、汗をかくとかゆくなります。どんな化粧品を使っても大丈夫な肌だったのですが、45歳ぐらいから顔のアレルギーが始まり、低刺激・ノンアルコールの化粧品に変えました(※Tさんが愛用しているのは『ダーマメディコシリーズ』)」
そして今は、ホットフラッシュ、関節痛、頭痛、イライラ、無気力感……いわゆる「更年期症状」といわれるもののほとんどが当てはまると語ります。
「2年前(49歳)から半年間ほど、気力で保っていた仕事以外は、自宅で常に横になっている状態が続きました。まるで、妊娠中のつわりみたいな感じです。頭では行動したいと思っているのに、体が思うように動かないんです」
「命の母」を服用し、少し回復。休むべきとはわかっているが…
「体が重くて、いろいろすべきことがあるのに動けない。何か病気かもしれないと思い、かかりつけ医で相談したことをきっかけに、更年期かもと気付きました。物は試しにと小林製薬の『命の母A』を内服してみたところ、1週間過ぎたあたりから少しずつ倦怠感の改善がみられ、ああ更年期なんだなと確信しました」
それから更年期外来を受診したというTさん。「命の母」の効果を感じていることからそのまま服用を続け、外来では血液検査と内診検査を行うことにしているそう。最近は、五十肩に悩まされているため、整形外科にも通って湿布や痛み止めの処方も受けています。
更年期外来に通う以外にも、家ではできないことは無理せず、家族に「体がきついこと」をアピールして手伝ってもらう、ストレッチ、散歩、好きなことをして息抜きをしたり、年上の知人に更年期の情報収集を積極的に行うなど、自分でできる工夫を重ねています。
ただし、周囲の理解という点では「職場」だけはどうしても、更年期で体調が悪いという事情を打ち明けられないと葛藤しています。
「女性の問題なので、打ち明けたときに上司の範囲内で口外しないか不安で、仕事を休んだことはありません。私自身、仕事というのは、一回休んでしまうと気持ちに緩みができて休み癖がついてしまうものだと思っていますし、他の人に迷惑もかけてしまうので気力でがんばっています。周りの方に気を使われるのも苦手ですし……」
また職場環境で妊娠中の「つわり」ほど、更年期障害の理解は得られていないと続けます。
「更年期は恥ずかしいことではないとはわかっています。しかし更年期は、意外と理解されていないと思いますし、私自身も更年期がどのような症状かわかっていませんでした。周りに聞くと『更年期症状がなかった』という方も多いですし、経験したことがない人からすると、一種の甘えと思われるかもしれません。でも誰にでも起こることですから、世の中にどんどん情報が提供され、職場でも理解が得られるといいなと思います」
今までの自分と違う「更年期の自分」に戸惑うけれど
更年期になるまで、体を動かすことが大好きで家庭も仕事も全力で、パワフルに過ごしていたというTさん。今は大きな変化を感じています。
「これまで元気に過ごしてきたからか、体の老化をかなり感じているのかもしれません。また今までの自分と違う分、精神的、肉体的につらいです。更年期がくるまでは『考えたら、即行動』でした。今は『考えても、行動したいができない』状態です。本当は、神様が少し休憩しなさいと、優しさで教えてくれてるのかもしれませんね」
医師・高尾美穂さんのアドバイス
「どんなとき不調になるか」対策を持っておきましょう
更年期も閉経も、人それぞれ時期が違いますし、更年期症状の重さも異なります。およそ4割ぐらいの人は特段、困らずに過ごしていけてしまうものです。つまり、自分の不調を他人に理解してもらうのは難しいということなのです。
だから、職場に理解してもらおうとがんばるよりは、自分がどんな時に不調になりやすいのかを把握しておき、薬を服用するなど、対策方法を持っておくことが大事です。『更年期に変えるべき5つの生活習慣と健康意識』でもお伝えしましたが、更年期はいわば『曲がり角』。スピードを緩めて曲がれば、その先にまた太い道が開けます。更年期の自分に合ったペースに緩めることも、取るべき対策の一つと言えます。
私は産業医としても働いています。働く女性も社会の一員として組み込まれていて企業からお給料が支払われる分、コンディション管理は自分の責任下に置くべきものだ、という考え方もできます。その点、Tさんは社会人としての義務を十分果たしていると思います。
社会が未成熟で、「更年期」への理解は確かに足りませんので、まずは私たち自身が正しく知ることが大事です。
日本の「労働基準法」で、昭和22年に「生理休暇」が定められました。世界的には早い動きだったのですが、この法律の意味するところは「女性は庇護されるべき対象である」ということです。そして、守るものと守られるものには上下関係がある、つまり「男性の下に女性がいる」という考えがあるのです。
この状況が変わっていかない限り、今の日本の社会は変わりませんから、まずは私たちが自分の体のことをしっかり理解して、取れる対策をしていきましょうね。その結果、「更年期休暇」が作られるのではなくて「ウェルネス休暇」といった、男性も含む誰もが体調が悪いときや、家族の健康のために休みやすい世の中になればいいと思います。
高尾美穂さんのプロフィール
医学博士・産婦人科専門医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。東京慈恵会医科大学大学院修了後、同大学附属病院産婦人科助教、東京労災病院女性総合外来などを経て、2013年から「イーク表参道」副院長を務める。婦人科外来に携わるほか、スポーツ庁国立スポーツ科学センター 女性アスリート育成・支援プロジェクトのメンバーとして、女性アスリートのサポートも行う。ヨガの指導者資格も持つ。著書に『いちばん親切な更年期の教科書【閉経完全マニュアル】 』(世界文化社ホールディングス)、『心が揺れがちな時代に「私は私」で生きるには』(日経BP刊)
■もっと知りたい■
- 更年期特集(1)医師に聞く「更年期って何?」我慢しない人生の始め時
- 更年期特集(2)更年期・アフター更年期で体はどうなる?症状と病気
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