更年期障害の症状と対処法

更年期障害におすすめの漢方薬の種類をタイプ別に紹介

公開日:2018/07/02

更新日:2022/01/03

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更年期の気になる症状・対処法を医師が解説する連載企画。今回のテーマは「漢方薬」。漢方はピンポイントに症状を治すよりも、その人の体質に合わせて全身の状態を整える治療といえます。そこで、主な漢方薬の種類と適応する体質について解説します。

更年期障害におすすめの漢方薬は?

漢方治療では体質の特徴「気・血・水」のバランスに注目

更年期障害の症状を改善するには、ホルモン補充療法(以下HRTとする)が即効性も高く有効ですが、持病などでHRTが受けられないときには漢方治療がよく行われています。また、HRTを行うと最初に軽い副作用があらわれることがあるのですが、漢方を組み合わせると副作用が軽減されるため、HRTと併用されることもよくあります。

治療に使う漢方薬を決めるには、漢方独特の考え方にしたがって診察し、その人の体質の特徴ともいえる「証(しょう)」を調べます。

漢方では、人の体には生命活動の元となる「気・血・水(き・けつ・すい)」の3つが巡っていると考えます。そのどれかが不足したり、増えすぎたりして流れが滞ったり、バランスが乱れたりすることで、さまざまな症状があられると考えられているのです。そして、気・血・水のめぐりには、その人の体質が大きく関わっているとされています。

その考えをもとに、証は大きく2つに分けられています。1つは「虚証」といって、気・血・水のいずれかが不足しているタイプ。もう1つは、逆に気・血・水のいずれかが過剰になっているタイプで「実証」といいます。

簡単にいえば、虚証は胃腸が弱く、体力がない虚弱型で、月経不順や冷えなどの症状がよく見られる人です。一方、実証は胃腸が丈夫で血色がよく、パワフルな人です。

患者さんの証を見きわめるには、問診をはじめ、視診で全身を観察したり、舌や脈を診たり、腹部に触診をしたりして診断します。
 

症状と証に合わせて漢方薬を処方する

症状と証に合わせて漢方薬を処方する

漢方では、気・血・水がどんな状態にあるかによって症状も分類されています。

例えば、同じ「気」でも、不足した状態を「気虚」、うまく体内をめぐっていない状態を「気滞」といい、別の症状として捉えます。他にも、体の中の水分の巡りが悪い「水毒」や、血が滞っている「瘀血(おけつ)」といった分類があります。

こうした症状のタイプがわかったら、患者さんの証に合わせて漢方薬を選びます。ただし、同じ症状でも体質が違えば、効果がある漢方薬も異なります。もし体質に合っていなければ、目指している健康状態を手に入れられないばかりか、副作用が起こることもあります。

自分の体質や症状を知るためには、漢方に詳しい専門家に相談すると安心です。漢方の専門サービスとして、スマホやパソコンからオンライン上で相談できる「あんしん漢方」も話題になっています。

あんしん漢方では、漢方に精通した薬剤師が長年蓄積したデータとAIを活用し、今の状態や体質、適した漢方薬を教えてくれます。手軽に漢方を試してみたい方におすすめです。

更年期障害に使われる主な漢方薬と効能

更年期障害に使われる主な漢方薬

更年期障害の症状に用いられる主な漢方薬は以下のとおりです。

  • 加味逍遙散
    のぼせ、ほてりなどのホットフラッシュに効果があります。体力が中程度以下で疲れやすい方、不定愁訴の多い方に適しています。
     
  • 桂枝茯苓丸
    比較的体力があるタイプの頭痛や肩こり、のぼせ(冷えのぼせも含む)、ほてりやイライラ感などの症状に効果があります。
     
  • 当帰芍薬散
    体力虚弱のタイプに適しています。血のめぐりが悪く、冷えや貧血、しびれ、肩こり、むくみなどの症状に効果があります。
     
  • 桃核承気湯
    体力が中等度以上のタイプの便秘や下腹部の不快感、めまい、のぼせなどに効果があります。
     
  • 温経湯
    体力にはあまり関係がなく冷えやほてり、唇の渇き、多汗、動悸、だるさなどの症状に効果があります。
     
  • 補中益気湯
    体力虚弱のタイプで疲れやすく、頭がボーッとする、不眠、不安などの症状がある人に適しています。


これ以外にも、肩こりや頭痛に効く「葛根湯」や、手足の冷え、自律神経症状に有効な「八味地黄丸」などもよく用いられます。

漢方薬というと、生薬を煎じて飲むイメージがあるかもしれません。しかし、現在、更年期障害の治療のために病院で処方されるものは、煎じた漢方薬をフリーズドライで顆粒状に加工したエキス剤が中心です。手軽で飲みやすく、健康保険も適用されるので経済的な負担も少なくてすみます。

ドラッグストアなどで購入できる市販の漢方薬もありますが、処方薬よりも成分量が少なく、自分の体質に合ったものを選ぶのは難しい場合もあります。そのため、やはり専門家に相談したほうが安心です。

更年期障害の諸症状でお悩みの方は、気軽に婦人科の医師や漢方の専門家に相談し、漢方薬を試してみてください。症状改善のために、まずは内服してみるのが大切です。

監修者プロフィール:横倉恒雄さん(横倉クリニック)

横倉恒雄さん(横倉クリニック)

よこくら・つねお 医学博士。医師。横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長。東京都済生会中央病院に日本初の「健康外来」を開設。故・日野原重明先生に師事。婦人科、心療内科、内科などが専門。病名がないものの不調を訴える患者さんにも常に寄り添った診療を心がけている。著書『病気が治る脳の健康法』『脳疲労に克つ』他。日本産婦人科学会認定医 /日本医師会健康スポーツ医/日本女性医学学会 /更年期と加齢のヘルスケア学会ほか。

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