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人生100年時代の健康づくり
生活習慣病とは?50代以降に多い病気と8つの予防法
城西内科クリニック院長
髙橋 聡美
公開日:2021.10.04
更新日:2024.09.01
生活習慣病は重篤な病気を招くリスクがあり、予防に努めることが大切です。今回は、生活習慣病とはどんな病気で、50代以降の女性が気を付けたい病気にはどんな種類があるのか、また、その予防法についてわかりやすく解説します。
生活習慣病とは何か
生活習慣病とは「生活習慣が原因で起こる病気の総称」です。生活習慣病には明確な定義や範囲はありませんが、厚生労働省がこれまでに発表した文書では、次のように記載されています。
生活習慣に着目した疾病概念の導入にあたっては、「生活習慣病(life-style related diseases)」という呼称を用い、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」と定義することが適切であると考えられる。引用元:生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について(意見具申)
生活習慣病にはさまざまな病気があり、大人だけでなく、子どもでも発症する病気もあります。ここでは、主に50代以降の女性がかかりやすい生活習慣病や、生活習慣病が原因で起こり得る病気について見ていきます。
50代以降の女性が気を付けたい生活習慣病と三大疾病
50代以降の女性が気を付けたい生活習慣病と、日本人の三大疾病について解説します。
50代以降の女性がかかりやすい生活習慣病
50代以降の女性がかかりやすい生活習慣病として、「高血圧症」「脂質異常症」「糖尿病」「動脈硬化」などがあります。
これらの病気が怖いのは、日本人の三大疾病と呼ばれる「がん」「心臓病」「脳卒中」など、重篤な病気を引き起こす原因になることです。では、三大疾病とはどのような病気なのか、具体的に見ていきます。
がん
国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)によると、2018年の女性のがん罹患数は、多い順に「乳がん」「大腸がん」「肺がん」「胃がん」「子宮がん」でした。引用元:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)
乳がんは30代から増加し、40~50代で特に多く発症する病気です。女性特有のがんとして、乳がん、子宮がんの他に卵巣がんがあります。尚、稀に男性の乳がんも見られます。
子宮がんには、子宮の入り口にできる「子宮頸がん」と、子宮の奥にできる「子宮体がん」があります。子宮頸がんは20~30代の女性に多く、子宮体がんと卵巣がんは40~60代の女性に多いがんです。
がんの原因は、生活習慣やがんの家族歴、ウイルス感染など、種類によってさまざまなものが考えられます。
心疾患(心臓病)
心疾患とは心臓の病気の総称です。生活習慣が原因の心疾患は「虚血性心疾患」といい、心臓を動かす心筋に酸素や栄養が十分行き渡らず「狭心症」や「心筋梗塞」を引き起こします。
狭心症とは、心臓の筋肉(心筋)が一時的に血液不足になり、胸部に痛みや圧迫感を引き起こす病気です。心筋梗塞とは、血管が完全に閉塞し、心筋に血液が届かず、胸部に激しい痛みなどを伴う病気で、命に関わります。
女性は50代以降になると女性ホルモンの「エストロゲン」の分泌が急激に減少します。エストロゲンには血管をしなやかに保つ働きがあるため、50代以降の女性は血管が硬くなったり、もろくなったりしやすく、虚血性心疾患のような血液の循環不全による病気に注意が必要です。
脳血管疾患(脳卒中)
脳血管疾患(脳卒中)とは、脳の血管に障害が起こる病気です。脳血管疾患のうち、脳の血管が詰まる病気を「脳梗塞」、脳の血管が破れる病気を「脳出血」「くも膜下出血」と呼びます。いずれも命に関わる重篤な病気で、たとえ命が助かっても、半身不随や寝たきりなどの後遺症が残ることもあります。
脳血管疾患の原因の一つは高血圧症です。50代以降の女性は高血圧症になりやすいため、脳血管疾患も気を付けたい病気です。
生活習慣病を予防する8つの方法
生活習慣病の予防は、生活習慣を見直すことから始まります。具体的な方法を見てみましょう。
生活習慣病予防健診を受ける
生活習慣病予防健診とは、会社などで定期的に実施される健康診断よりも検査項目が多く、病気の早期発見や健康管理に役立てられるものです。ある年齢以上になると、自治体や、協会けんぽと契約している全国の検診機関に申し込んで受診できます。
禁煙する
生活習慣病の予防には、禁煙が欠かせません。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させる作用があるため、動脈硬化が進みやすくなります。動脈硬化が進むと虚血性心疾患や脳血管疾患のリスクも高まります。
また、肺がんのリスクを高める他、タバコに含まれるニトロサミンなどの発がん物質が、子宮頸部の分泌物からも確認されており、受動喫煙でも非喫煙女性の子宮頸部がんの発生率が2~3倍にも増加するとの報告もあります。
お酒はたしなむ程度にする
お酒の飲み過ぎは肝臓に負担がかかる他、高血圧症や脂質異常症につながる可能性があると言われています。
一日のお酒の目安量は、男性の場合、ビールなら中瓶1本分(500mL)ですが、女性は男性に比べてアルコール分解速度が遅く、臓器障害を起こしやすいと言われています。女性の飲酒量は男性の1/2~2/3程度で適当な量を楽しみ、週に2日は休肝日を設けましょう。
運動習慣をつくる
運動不足だと消費エネルギーが少ないため肥満になりやすく、肥満の影響から高血圧症や脂質異常症、糖尿病などを引き起こす可能性もあります。適度な運動を習慣にし、生活習慣病の予防に努めましょう。
運動習慣がない人は、ウォーキングやヨガなど、体への負担が少なく楽しみを感じられる運動から始めるのがおすすめです。運動は筋力の維持やストレスの解消にも役立ちます。
食生活を見直す
栄養バランスの良い食事は生活習慣病予防の基本です。高血圧症の予防には塩分を控え、血管の細胞をしなやかに保つ作用のある、オメガ3系脂肪酸を多く含む、魚油・アマニ油・えごま油といった、良質な油を取るよう心がけましょう。逆に、時間が経ってしまった揚げ物や、固まりの油は控えましょう。
食事で塩分の取り過ぎを防ぐには、お酢やスパイスなどを料理に使って味にアクセントをつけるのがおすすめです。なお、早食いは血糖値が急上昇しやすく、糖尿病のリスクを高めます。食事はゆっくりよく噛んで食べましょう。
質の高い睡眠をとる
不眠症などの睡眠障害は、生活習慣病と関わりがあることが指摘されています。良質な睡眠のためには、就寝前にスマホやパソコンを見ない、入浴時は湯船に浸かって体を温める、体を締め付けないパジャマを着る、などの方法があります。
スマホやパソコンの画面が発するブルーライトは睡眠を妨げると考えられています。就寝前は音楽を聴いたり、アロマの香りを楽しんだりなど、リラックスできる時間を過ごすと眠りにつきやすくなります。
歯の健康を守る
歯の健康と全身の健康には深い関わりがあります。歯の健康を守ることは、生活習慣病の予防を含め、全身の健康を保つために重要です。
代表的な病気として歯周病がありますが、歯周病は加齢とともに発症リスクが高まり、そのままにしておくと歯を失ってしまうこともあります。毎日の口腔ケアに、朝の舌磨きもとても効果的です。定期的な歯科検診なども活用して、お口の健康を保ちましょう。
ストレスを溜めない
「ストレスは万病のもと」と言われるように、ストレスを感じたら早めに対処することも、生活習慣病の予防につながります。
避けたいのは、ストレス解消のために喫煙や過度な飲酒、過食、夜更かしなどをすること。こうした生活習慣の乱れは病気の引き金となってしまいます。
運動や読書、音楽鑑賞など、ストレス解消法をいくつか見つけておきましょう。一人でストレスを抱え込まず、誰かに話すことも心の安定につながります。
生活習慣病は、その名の通り生活習慣が影響する病気です。健康寿命を延ばすために、生活習慣を見直して健やかな体づくりに努めましょう。
監修者プロフィール:髙橋聡美さん(城西内科クリニック院長)
たかはし・さとみ 城西内科クリニック院長。順天堂大学医学部卒業、順天堂大学練馬病院糖尿病内分泌内科助教、医学博士、糖尿病療養指導医、臨床栄養学会指導医、内科認定医、米国マハリシ国際大学アーユルヴェーダ臨床医学ドクターベーシックコース終了、日本ホリスティック医学協会専門会員
肉体面への西洋医学による治療に加え、アーユルヴェーダの診断や自然栄養療法、運動療法、量子力学的知識を組み合わせた治療を、個々の体質とライフスタイルに合わせて実施。なるべく薬に頼らないホリスティックな医療を展開している。
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