女性も要注意!高血糖を防いで脳と体を病気から守る

更新日:2024年01月14日 公開日:2023年06月20日

早く始めるのが正解!血糖コントロール#1

女性も要注意!高血糖を防いで脳と体を病気から守る

糖尿病は男性がなりやすいと思われがちですが「女性は脂肪をため込みやすく、インスリンの働きが低下しがち。60代以上は男女関係なく高リスク」と専門医は言います。高血糖は、糖尿病だけでなく全身の不調を引き起こすため、早めのコントロールが大切です!

血糖値が高いとどうなる?全身の病気を引き起こす原因に!

血糖値を正常に保つ生活習慣で不調や病気を予防

「血糖」とは、血液中のブドウ糖のこと。その濃度を表す「血糖値」が高い「高血糖」の状態が続くと、やがて糖尿病につながるだけでなく、脳や全身のさまざまな不調や病気を引き起こす原因にもなります。年齢を重ねると、男女関係なく高リスクです。今のうちから血糖値をコントロールする習慣を身に付けることが大切です。

明暗を分けるのは、“インスリンの働き”です

血糖(ブドウ糖)は脳や体に不可欠なエネルギーです。そもそもブドウ糖は、体内でどのように働くのでしょう。順天堂大学名誉教授で、糖尿病治療の権威である河盛隆造(かわもり・りゅうぞう)さんに聞きました。

「ブドウ糖の素になるのは、主にご飯やパン、イモ類などに多く含まれる炭水化物です。これが十二指腸でブドウ糖に分解され、血液中に入ると、血糖値は一時的に高くなります。しかし、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンの働きでブドウ糖が全身の細胞に取り込まれ、エネルギーとして使われるため、血糖値は上下動を繰り返しながらも、1日の間で狭い範囲にコントロールされています」

血糖値の1日の変化を表すグラフ
『糖尿病治療の手引き2017 改訂第57版』日本糖尿病学会

上図は血糖値の1日の変化を表すグラフ。健康な人は朝食前の血糖値は100mg/dL以下で、食後も140mg/dL以下ですが、糖尿病が進むほど一度上がった血糖値が下がりにくくなります。血糖値が基準値を超えると「高血糖」、さらにこの状況が進行すると、「糖尿病」と診断されます。

インスリンがブドウ糖に働きかけ、血糖値を調整する

ブドウ糖の血中濃度が上がると、すい臓から速やかにインスリンが分泌されます。その働きで全身の細胞にブドウ糖が取り込まれ、脳や筋肉、内臓が働くエネルギー源になります。

インスリンがブドウ糖に働きかけ、血糖値を調整する

血液内にあふれたブドウ糖は血管を傷つけ、血栓を作ることも

食後などに血糖値が上昇しても、インスリンが正常に働けばすぐに元の値に戻ります。しかしインスリンの量や働きが落ちると、ブドウ糖がいつまでも血管内にあふれた高血糖の状態に。それが続くと血管壁が傷つき、そこへコレステロールがたまって動脈硬化を起こします。

血液内にあふれたブドウ糖は血管を傷つけ、血栓を作ることも

インスリンの量や働きを低下させる生活習慣こそ、高血糖の主な原因に

では高血糖を防ぐには、ブドウ糖の素になる炭水化物を極力控える、いわゆる「糖質制限」をすればいいのでしょうか。「それは大きな間違い」と河盛さんは指摘します。

「ブドウ糖は脳や全身の臓器の貴重なエネルギー源で、毎日300~700gもの量が必要です。しかし、それを血中から脳や全身の臓器に取り込ませるインスリンの量や働きが低下すると、ブドウ糖が血液中にだぶついたままになる。これが『高血糖』の状態です。この状況は、“脳や臓器にはエネルギー源が行き渡っていない”ことを表しています」

インスリンの量や働きを低下させる生活習慣こそ、高血糖の主な原因に

インスリンの量や働きが低下する主な原因は、脂肪の過剰摂取や運動不足などの生活習慣にあります。こうして起こった高血糖の状態を放置すると、日本で1000万人以上の患者がいる「2型糖尿病」になる危険性が高くなります。

運動不足で内臓脂肪が増えたり、高脂質の食事を続けていると、インスリンの働きが落ちて高血糖に。やがてインスリンの分泌量も低下し、2型糖尿病につながります。

糖尿病は男性だけの病気ではない

また「糖尿病は“男性がなりやすい〟と思われがちなことも問題」と河盛さん。

「加齢によって筋肉量が低下すると、ブドウ糖が消費されにくくなります。また女性は特に脂肪をため込みやすく、インスリンの働きが低下しがち。60代以上になれば、男女関係なく高リスクです」

糖尿病は男性だけの病気ではない

とはいえ、今や糖尿病は「治らない病気」ではありません。糖尿病になっても早めの治療と生活改善で治すことができます。「症状がないから」と高血糖を放置して重い合併症を引き起こす前に、生活習慣の改善をはかり、適切に治療を受けましょう。

次回は、高血糖が全身に及ぼす影響についてより詳しく解説します。現時点での「糖尿病リスク度」がわかるチェックリスト付き!

教えてくれたのは、河盛隆造さん(かわもり・りゅうぞう)さん

教えてくれたのは、河盛隆造さん(かわもり・りゅうぞう)さん

1943(昭和18)年、兵庫県生まれ。順天堂大学名誉教授、同大学大学院医学研究科・スポートロジーセンター センター長。医学博士。68年、大阪大学医学部卒業。専門は糖尿病、代謝内分泌学、動脈硬化学。監修書に『健康図解 最新版 今すぐできる! 血糖値を下げる40のルール』(学研プラス刊)などがある。

取材・文=新井理紗(ハルメク編集部) イラストレーション=みやしたゆみ

※この記事は雑誌「ハルメク」2022年9月号を再編集、掲載しています。


■早く始めるのが正解!血糖コントロール■
【第1回】女性も要注意!高血糖を防いで脳と体を病気から守る
【第2回】糖尿病だけじゃない!高血糖が引き起こす不調や病気
【第3回】高血糖の原因を断つ!食事の取り方4つの最新ルール
【第4回】簡単!こまこま運動と睡眠&歯のケアで高血糖を予防

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