不規則な生活を改善してつらいめまいを予防・改善!

めまいに効く食べ物飲み物は?生活習慣改善のコツも

林安津美
監修者
たいや内科クリニック
林安津美

公開日:2024.04.10

めまいに効く食べ物飲み物を栄養素別にご紹介!めまいはひどくなると立ち上がったり歩いたりすることも困難になる場合があります。まずは原因を知り、必要な栄養素を積極的に摂取していきましょう。控えるべき飲食物についても詳しく解説します。

めまいに効く食べ物飲み物は?生活習慣改善のコツも

めまいの原因は主に5つ

めまいの原因は主に5つ

目がまわるような感じがして、立ちくらみがしたり頭がふらついたりなど、不快な症状が起こるめまい。

厚生労働省が発表した「2022(令和4)年 国民生活基礎調査」によると、めまいに悩む人は約248万4000人。女性では、約174万8000人がめまいを訴えています。

めまいの改善で重要なのが、原因は何かを知ることです。原因によっては、医療機関で治療を受ける必要があるため、まずは自分のめまいの原因を把握しておきましょう。

加齢

年齢を重ねると、めまいが起こるリスクが増加します。

人間の体がバランス感覚を維持するには、目で見て得る情報と耳が感じる重力や加速、回転などの情報、足の裏が自分の体の動きを感知することで得られる情報の3つが必要です。

それらの情報が小脳で統一され、頭や目の動きをコントロールすることで、体は平衡を保っています。しかし、3つのうちどれか一つでも調子を崩してしまうと、体の平衡が乱れてめまいが起こってしまいます。

中でももっとも多いのが、「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」と呼ばれる、耳から起こるめまいです。

耳の奥にある「前庭(ぜんてい)」という器官から、何らかの理由で「耳石(じせき)」という重力を感知する小さな結晶が外れてしまうことで起こります。

前庭は加齢によって徐々に機能が低下するため、耳石が外れやすく、怪我や病気でなくてもめまいが起こりやすくなります。

睡眠不足

睡眠不足はめまいが起こる原因の一つです。

睡眠不足になると、自律神経のバランスが崩れて交感神経が優位になり、血管が収縮して脳や体の平衡を保つ役割を担う三半規管へ、十分な酸素と栄養が行き渡らなくなります。すると三半規管の働きが悪くなり、めまいが発生してしまいます。

また、寝不足の状態は三半規管の過敏な反応を引き起こし、めまいを起こしやすくなる可能性も。

三半規管は寝不足や疲れなどの影響を受けやすいといわれているため、寝不足の状態が続くときは特に注意が必要です。

更年期

女性の更年期も、めまいの原因の一つだと考えられます。

閉経の前後約10年間は、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が急激に減少し、自律神経のバランスが乱れることで、めまいなどのさまざまな体の不調が引き起こされます。

また、加齢に伴う体の機能の衰えやストレスなどの精神的な要因が、めまいをさらに引き起こしやすくすることも。

一般的に、めまいは更年期の早い時期にみられる症状です。のぼせやほてりなどのホットフラッシュや、不安感、憂鬱、怒りやイライラなどの精神症状なども、めまいとともに早い時期から出現することがあります。

ストレス

めまいはあるけれど体に異常がない場合は、ストレスが原因の可能性があります。

現代人の多くはストレスを感じていますが、ストレスを長期間にわたって感じていると交感神経が優位になって血管が収縮し、耳や脳に十分な酸素や栄養が届かなくなるため、耳や脳の機能が低下してめまいが起こるようになります。

また、過度のストレスによる消化器系の機能低下や内耳機能の低下も、めまいや吐き気の原因です。めまいに加えて吐き気を伴う場合は、ストレスに関連している可能性が高いといえます。

女性は更年期頃になると子どもの独立や就職、仕事や職場のストレス、パートナーとの関係、親の介護など、環境の変化によってストレスがたまりやすいため、特に注意しましょう。

耳や脳の病気

耳や脳の病気によってめまいが起こる場合もあります。以下は、症状の一つとしてめまいが現れる可能性がある病気の例です。

耳の病気でめまいの原因になる可能性があるのは、メニエール病や突発性難聴です。脳の病気では脳梗塞や脳出血、脳挫傷、脳炎、くも膜下出血などがあります。

注意すべきなのは、激しいめまいが急に起こった場合です。前日まではなんともなかったのに、朝になって急に強いめまいが起きた場合などは、何らかの病気が関係している可能性があります。

他にも、時間が経っても症状がよくならない場合や逆に悪化していく場合なども、病気によるめまいの可能性があるため、早めに医療機関を受診しましょう。

めまいに効く食べ物飲み物とは?

めまいに効く食べ物飲み物とは?

病気以外のめまいを予防・改善するには、ビタミンB群やビタミンC、ビタミンE、鉄、マグネシウムなどの栄養素を積極的に摂取することが大切です。

ここでは、めまいに効く食べ物や飲み物を、おすすめの栄養素別にご紹介します。

ビタミンB群

めまいの予防・改善のためには、自律神経の維持に役立つビタミンBを積極的に取るのがおすすめです。

例えば、ビタミンB1は中枢神経や末梢神経を整える働きが、ビタミンB12は神経細胞の修復をサポートする働きがあります。

以下は、ビタミンB1とビタミンB12が豊富な食べ物の例です。

  • ビタミンB1:豚肉・赤身肉・玄米・豆類・ナッツ類・ほうれん草など
  • ビタミンB12:レバー・シジミ・アサリ・カキ・サンマ・イワシなど

ビタミンB1は、日頃お酒をよく飲む人が不足しがちな栄養素です。

ビタミンB1が不足するとウェルニッケ脳症によるめまいが起こる可能性があります。インスタント食品を好んで食べる人や、偏った食生活を送っている人も要注意です。

ビタミンB1の吸収力がアップするアリシンを含む、ニンニクや玉ねぎと一緒に取るとよいでしょう。

ビタミンB12は、植物性の食品にほとんど含まれないのが特徴です。普段野菜を中心に食事を取っている場合は、ビタミンB12が不足している可能性があるため、野菜と一緒に貝や青魚も食べるようにしましょう。

野菜やフルーツを使ったジュースは、多くのビタミンB群が含まれています。食が細い人やきちんと食事を用意する時間のない人は、補助的にジュースを取り入れるのもおすすめです。

ビタミンC

強い抗酸化作用をもち、コラーゲンを作るために必要な栄養素であることから、アンチエイジングや肌荒れ防止のために積極的に摂取している人も多いビタミンC

ビタミンCには鉄の吸収を助ける作用があるため、貧血によるめまいの予防や改善に役立ちます。

以下は、ビタミンCを多く含む食べ物の例です。

  • パプリカ
  • 芽キャベツ
  • ブロッコリー
  • パセリ
  • ケール
  • ゴーヤ
  • キウイ
  • イチゴ
  • みかん など

ビタミンCは、主に野菜や果物に多く含まれています。

しかし熱に弱く水に溶けやすい性質をもつため、生食が可能なものはできるだけ新鮮な状態で生で食べ、加熱する必要があるものは電子レンジで加熱する、煮た煮汁ごと食べるなどして栄養の分解や流出を抑えましょう。

ビタミンCは、青汁やお茶、アセロラやグレープフルーツ、オレンジなどの果物のジュースから摂取するのもおすすめです。

ビタミンE

ビタミンEは、脳の血流が悪くなる血流障害によるめまいの予防・改善に効果的な栄養素です。末梢血管を広げて血流をよくする効果があります。

以下は、ビタミンEを豊富に含む食べ物の例です。

  • アーモンド
  • ピーナッツ
  • オリーブオイル
  • べに花油
  • アボカド
  • カボチャ
  • 大豆製品
  • うなぎ
  • ブリ など

ビタミンEは、強い抗酸化作用をもつ脂溶性のビタミンです。

めまいの予防・改善だけでなく、体内の脂質の酸化防止、動脈硬化や血栓の予防、血圧低下悪玉コレステロールの減少などの働きもあるため、加齢による疾患を予防する効果も期待できます。

ビタミンEを多く含む豆乳に、大豆から作られるきな粉を入れて飲むなど、飲み物でも積極的に摂取しましょう。

貧血によるめまいや立ちくらみを予防・改善するには、ミネラルの一種であるを積極的に摂取することが大切です。

鉄には、肉や魚などの動物性食品に多く含まれる「ヘム鉄」と、野菜や穀類、豆腐、海藻などの植物性食品に多く含まれる「非ヘム鉄」の2種類があります。非ヘム鉄よりもヘム鉄の方が体に吸収されやすいため、積極的に食事に取り入れましょう。

以下は、鉄を多く含む食品の例です。

  • ヘム鉄:豚レバー・鶏レバー・赤貝・牛レバー・牛赤身肉・めざし・砂肝・イワシ・カツオ・マグロなど
  • 非ヘム鉄:レンズ豆・納豆・小松菜・枝豆・ひじき・厚揚げ・サラダ菜・そら豆・水菜・ほうれん草など

体に吸収されにくいとされる非ヘム鉄は、ビタミンCやクエン酸、タンパク質などを含む食品と一緒に摂取することで、吸収率がアップします。

飲み物から鉄を摂取したい場合は、ココアや飲むヨーグルト、アサイーやプルーンジュース、豆乳を飲むのがおすすめです。

マグネシウム

目の前がクラクラするようなめまいは、マグネシウムを積極的に取ることで予防・改善できる可能性があります。

マグネシウムを豊富に含む食べ物は、魚介類や海藻類です。他にも、穀類や野菜類、豆類、香辛料などにも含まれています。

  • アーモンド
  • カシューナッツ
  • 黒ゴマ
  • ひじき
  • あおさ
  • あおのり
  • てんぐさ(ところてんや寒天の材料)
  • わかめ
  • ほうれんそう
  • えだまめ
  • 落花生
  • 切り干し大根
  • 発芽玄米
  • ライ麦パン など

マグネシウムはすべての細胞や骨に存在し、タンパク質の合成や神経伝達の制御など、300種類もの酵素反応に関わっているといわれていることから、日頃から積極的に取り入れておきたい栄養素です。

血管を広げて脳に酸素を送りやすくするため、体内で赤血球を作り酸素を運ぶ役割を担う鉄と一緒に取ることをおすすめします。

また、カルシウムと一緒に働くのもマグネシウムの特徴です。小魚や豆類、緑黄色野菜、牛乳やチーズ、ヨーグルト、ひじきなどカルシウムを多く含む食品と一緒に取りましょう。

マグネシウムを飲み物で取りたい場合は、マグネシウムやカルシウムの含有量が多い「硬水」を飲むのがおすすめです。

めまいがするときに控えるべき食べ物や飲み物

めまいがするときに控えるべき食べ物や飲み物

めまいがするときは、以下の食べ物や飲み物を過剰に摂取すると症状が悪化する可能性があるため、注意が必要です。

  • 塩分の高い食べ物:ラーメン・カップ麺・牛丼・うどん・カツ丼など
  • 脂質の多い食べ物:揚げ物・脂身の多い肉・スナック菓子など
  • カフェインを含む食べ物や飲み物:コーヒー・お茶・コーラ・チョコレートなど

塩分の高い食べ物は、高血圧の主な原因となり、メニエール病などの病気を悪化させる可能性があります。

めまいに吐き気を伴っている場合、消化に時間のかかる揚げ物や脂身の多い肉、スナック菓子などの脂質の多い食べ物は、胃のむかつきや吐き気の症状を悪化させることもあります。

飲み物についてはあまり気にしていない人も多いかもしれませんが、コーヒーやお茶、コーラなどの炭酸飲料は気付かないうちに過剰摂取している可能性もあるため、めまいの症状があるときはできるだけ控えましょう。アルコールやタバコなどの嗜好品もおすすめできません。

食べ物+生活習慣の改善でめまいを予防・改善しよう!

めまいを予防・改善するには、ビタミンB群やビタミンC、ビタミンE、鉄分、マグネシウムを豊富に含む食べ物や飲み物を意識的に取り入れることが大切です。

めまいの症状を強くするような食べ物や飲み物は控え、さまざまな栄養をまんべんなく取ってください。

それに加えて、自律神経のバランスを整えるために規則正しい生活を心掛け、十分な睡眠をとり、適度な運動などを行ってストレスをためないように注意しましょう。

※効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。

監修者プロフィール:林安津美さん

監修者プロフィール:林安津美さん

大学卒業後JAあいち厚生連に入職し37年間病院の管理栄養士として勤務、その間豊田厚生病院・安城更生病院の技師長として17年間在籍。2022年5月よりたいや内科クリニックへ入職。病態栄養専門管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・腎臓病療養指導士・がん病態栄養専門管理栄養士・和漢薬膳師等の資格を生かし患者さんの思いを聴き・応え、患者目線でテーラーメイドの医療をお届けできるように努めています。

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