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- 更年期の吐き気はいつまで続く?原因や対処法を紹介!
更年期に見られる症状の一つとして、吐き気や胃のむかつき、胃痛、食欲不振、めまいや頭痛などがあります。なぜ吐き気が起こるのか、原因や対処法、いつまで続くのかなどについて医師監修のもと詳しく解説!症状がつらい場合は早めに対処しましょう。
更年期は吐き気の症状が起こりやすい
更年期とは、一般的に40代半ば~50代半ばの10年間を指します。
更年期は、女性の体にとって大きな変化が起きる時期。これまで順調に分泌されていた女性ホルモンの分泌量が激減することで、心身にさまざまな症状が現れます。吐き気もその一つです。
近年では、更年期よりも少し早い年齢で更年期症状が見られることもあるようです。更年期の前段階とされる「プレ更年期(30代後半~40代前半)」に強いストレスの影響を受けると、更年期症状が現れることがあります。
また更年期には、吐き気の他にも食欲不振、胃のむかつき、嘔吐などが見られることもあります。以下は、吐き気に関連する症状です。
- 急に気持ち悪くなる
- 胃がムカムカする
- つわりのような吐き気がする
- 食欲が起こらない
- 胃腸の調子が悪い
更年期症状の程度は人によって大きく異なり、ほとんど気にならないくらいの人もいれば、仕事や家事、日常生活がままならなくなるほど重い症状を感じる人もいます。更年期症状が重く、生活に支障が出るほどの場合は「更年期障害」と呼ばれます。
吐き気は更年期の早い段階で現れやすい症状
更年期に見られる症状は、時間との関連性があります。
大きく分けると『早い時期の症状(45歳前後に見られる)』と『遅い時期の症状(55歳前後に見られる)』の2つがあり、吐き気は早い時期に見られる症状です。
その後、年齢を重ねるにつれて、倦怠感や不眠、憂うつ、不安感、記銘力低下など精神神経系の症状や、尿漏れや萎縮性膣炎(老人性膣炎)、性交障害、尿失禁などの泌尿生殖器の萎縮症状が見られるようになっていきます。
めまい、頭痛などが見られることも
更年期には吐き気や食欲不振、胃のむかつき、嘔吐などの症状に加えて、めまいや頭痛などが見られることもあります。
めまいの起こり方は、以下のようにさまざまです。
- 回転性めまい……天井や壁がぐるぐる回る、目が回る
- 浮動性めまい・動揺性めまい……体がふわふわ浮いているように感じて、足元がふわふわする、体がぐらぐらと揺れる
- 立ちくらみのようなめまい……くらっとする
また、頭の片側がズキズキと鋭く痛む、片頭痛が起こることもあります。
更年期に吐き気が起こる原因
ここからは、更年期に吐き気が起こる原因についてご紹介します。
女性ホルモン分泌量の低下による自律神経の乱れ
更年期に吐き気が起こるのは、女性ホルモン分泌量の減少によって自律神経が乱れることが原因です。
女性は、閉経に向かって卵巣機能が低下し、それに伴い女性ホルモンの分泌量も少なくなっていきます。中でも、女性の健康や美容を支える役割を果たしていた女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)が減少すると、身体的にも精神的にも大きな影響があります。
エストロゲンの減少はセロトニンの減少につながり、これが自律神経の乱れを引き起こすのです。
自律神経は「交感神経(体の活動性を生む神経)」と「副交感神経(体を休息させる神経)」の2つで構成されており、活動的になる昼は交感神経が優位に、就寝へ向かう夜は副交感神経が優位になります。
このように自律神経のバランスによって人間の体は正常な状態が保たれていますが、これが乱れると胃腸の働きが低下し、吐き気や胃のむかつき、食欲不振などの症状が見られるようになります。
その他(頭痛、肩こり、ストレス、消化器疾患、うつ病など)
長時間のパソコン操作、スマホ操作などにより、肩こりから頭痛や吐き気が出ることがあります。
また、胃炎などの消化器疾患やうつ病などの精神的な要因によって、吐き気が引き起こされている可能性もあります。
自律神経は胃腸の働きに影響するため、胃腸の調子が悪くなったり、動きが鈍くなったりするのも更年期に見られる症状の一つです。暴飲暴食をしているわけではなくても、消化器症状が見られることがあります。
さらに、ストレスも影響していると考えられており、更年期の吐き気はさまざまな要因が複雑に絡み合って起こっている可能性もあります。
他の症状も出てるかも?更年期症状のセルフチェック
ご自身の吐き気が更年期によるものなのか気になる場合は、他に更年期症状を感じていないか、自分の生活を振り返ってセルフチェックしてみましょう。以下は、更年期に見られる代表的な症状です。
- 吐き気
- 食欲不振
- 下痢
- 便秘
- 腹部膨満感
- のぼせ、ほてり
- 発汗
- 冷え
- 動悸
- 息切れ
- 頭痛
- めまい
- 耳鳴り
- 憂うつ、不安感、イライラ
- 倦怠感、疲れやすさ
- 不眠
- 判断力や集中力の低下
- もの忘れ
- 皮膚や粘膜の乾燥
- ドライアイ、ドライマウス
- 湿疹
- 肩こりや腰痛、関節痛、手足のしびれ、手のこわばり
- 月経異常
- 頻尿、尿漏れ、尿失禁 など
上記のような症状が見られる場合、吐き気も更年期症状によるものかもしれません。更年期症状は女性の多くが経験するものですが、症状の現れ方や程度は人によって大きく違いがあります。
吐き気や他の更年期症状がつらく、日常生活に支障が出ている場合や、症状に悩まされストレスになっている場合は「更年期症状だから大丈夫」「みんな我慢している」と自己判断せず、病院で医師に相談してみるとつらい症状の緩和につながるでしょう。
更年期の吐き気はいつまで続く?
更年期の吐き気は、体が女性ホルモンの急激な減少に慣れてくると少しずつ治っていくのが一般的だといわれていますが、症状の現れ方や治まり方には個人差があります。
更年期の吐き気の対処法や治療法
ここからは、更年期の吐き気の対処法や治療法をご紹介します。
ホルモン補充療法(HRT)
病院で行う代表的な更年期症状の治療がホルモン補充療法(HRT)です。ホルモン補充療法とは、更年期になると分泌量が減少するエストロゲンを補う治療法です。
更年期の吐き気だけではなく、気持ちの落ち込みを和らげる効果、血管のしなやかさを維持し動脈硬化を予防する効果、肌の潤いを保つ効果、尿漏れや頻尿を改善する効果など、さまざまな更年期症状に幅広く対応できます。
ホルモン補充療法で使われるエストロゲン製剤には飲み薬・塗り薬・貼り薬の3タイプがあり、一人ひとりの症状や体質などによって適したものが選ばれます。
抗うつ薬や抗不安薬
なんらかの理由でホルモン補充療法が受けられない場合や、精神的な要因による影響が強いと考えられる場合、抗うつ薬や抗不安薬を服用して治療することもあります。
漢方薬
東洋医学の観点にもとづいて漢方薬を処方し、更年期の吐き気などの症状を治療することもあります。
更年期の薬物療法には「ホルモン補充療法」「抗うつ薬や抗不安薬」「漢方薬」の3つがありますが、漢方薬は市販品もあって手軽な治療法の一つです。
漢方薬は、心と体全体のバランスを回復させるので、更年期に起きるいくつもの症状の根本からの改善が目指せます。そのため、産婦人科でも用いられているのです。
漢方薬は、血流や水分バランスを改善することで、免疫力をアップさせたり自律神経を整えたりして、内臓の機能を回復させます。さらに、更年期の症状だけでなく、「疲れにくくする」「ストレスに負けない」「睡眠の質を上げる」など他にもメリットがあることも特長です。
漢方薬では、一人ひとりの体質や症状に合わせて薬を選ぶため、体質改善による症状の緩和が期待できます。ホルモン補充療法の副作用を避けたい場合や、ホルモン補充療法が受けられない場合も漢方薬が選ばれることがあります。
吐き気があるときにおすすめの漢方薬
- 六君子湯(りっくんしとう):胃痛や吐き気がある場合に
- 呉茱萸湯(ごしゅゆとう):吐き気を伴う頭痛がある場合に
- 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう):吐き気の他に喉がつかえる感じやイライラがある場合に
漢方薬が気になるけれど、お近くの医療機関で出してもらえない場合や、市販で試してみたいけれど、どれを選んでよいかわからないという場合は、スマホで症状や体質を無料相談した上で、漢方薬を選択してくれる「あんしん漢方」などのサービスも検討しましょう。
生活習慣の改善
生活習慣の改善も、更年期の吐き気の緩和や改善のためには大切です。
寝る時間や起きる時間を一定にして1日の生活リズムを整えたり、なるべくストレスを感じないようにしましょう。睡眠不足の場合は、しっかり睡眠を取ることも大切です。
また、体を動かさないと代謝が悪くなるため、適度な運動を習慣化するといいでしょう。ただし、吐き気などの症状が出ているときは無理をせず安静に過ごしましょう。
食生活の改善
食生活が乱れていると、胃に負担がかかります。脂っこい食べ物を避ける、食事の量に気をつける、なるべく1日3食を規則正しい時間に食べるようにするなどの工夫をするといいでしょう。
女性ホルモンと似た働きをする「イソフラボン」が含まれる豆腐や豆乳、納豆、油揚げなどを摂取するのもおすすめです。
また、大豆イソフラボンが腸内で代謝されることで生まれるエクオールも、エストロゲンと似た働きをします。エクオールはサプリメントがあるので、取り入れてみてもいいかもしれません。
さらに、「気」の巡りをよくする食材を取り入れるのもおすすめです。気とは東洋医学でいう生命エネルギーのことで、気の巡りが悪くなると吐き気や胸のつかえ、げっぷなどが起こります。
気の巡りをよくする食材としては、セロリやニラなどの香味野菜、みかん、キウイ、しょうが、ハーブ類があります。
口内環境を整える
吐き気や胃のむかつきがあると歯磨きが丁寧にできなくなってしまうことがありますが、口腔内が不衛生な状況になると、その不快感がさらに吐き気を強くしてしまう可能性も。
吐き気が治まったタイミングで口腔ケアをするようにしましょう。口の中がさっぱりすることで、吐き気が抑えられます。
ツボ押し
吐き気に効果のあるツボを押すことで、楽になることもあります。以下は吐き気などに効果のあるツボです。気持ちいいくらいの強さで押し揉みしてみましょう。
- 中脘(ちゅうかん):みぞおちとへその間……吐き気、胃のむかつき、腹部膨満感
- 労宮(ろうきゅう):手のひらの中央のくぼみ……吐き気、食欲不振
- 内関(ないかん):手首のシワから指3本分下……胃のむかつき、胃痛、頭痛、リラックス
吐き気がよくならず、続く場合は病院で診察を
食生活や日常生活に気をつけてもなかなか吐き気がよくならずに続く場合は、早めに病院を受診して詳しい検査を受けましょう。
吐き気が長く続く場合には、以下のような病気が隠れている可能性もあるためです。
- メニエール病
- 胃腸炎
- 逆流性食道炎
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
- 腸閉塞(イレウス)
- 胃がん
- 肝炎
- 膵炎
- 胆石症
- 脳血管障害
- 尿路結石
- 心筋梗塞
- 糖尿病
- 緑内障
- 虫垂炎 など
また、飲んでいる薬の副作用として吐き気が出ている場合や、精神的なストレスの蓄積が吐き気につながっている可能性も考えられます。
吐き気の原因がわからず不安を抱えたままの状態が続く場合や吐き気が長引く場合は、それ自体がストレスになります。症状が長引く場合は、早めに病院で医師に相談しましょう。
更年期のつらい吐き気は治療で緩和できる
吐き気は、更年期症状の一つです。更年期は女性ホルモンの分泌量が少なくなることで自律神経が乱れ、胃腸の不調が現れやすくなります。
症状の強さは人によって異なりますが、日常生活に支障が出るほど症状が強い場合は、病院で治療や検査を受けましょう。
なお、吐き気のすべてが更年期症状によるものとは限りません。他の病気が隠れている可能性も考えられるため、吐き気が続く場合は早めに病院で詳しい検査をすることが大切です。
監修者プロフィール:横倉恒雄さん(横倉クリニック)
よこくら・つねお 医学博士。医師。横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長。東京都済生会中央病院に日本初の「健康外来」を開設。故・日野原重明先生に師事。婦人科、心療内科、内科などが専門。病名がないものの不調を訴える患者さんにも常に寄り添った診療を心がけている。著書『病気が治る脳の健康法』『脳疲労に克つ』他。日本産婦人科学会認定医 /日本医師会健康スポーツ医/日本女性医学学会 /更年期と加齢のヘルスケア学会ほか。
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