大豆イソフラボンの力が引き出せるのは2人に1人⁉

女性ホルモンと似た働きをするエクオールって何?

公開日:2019.02.10

更新日:2019.02.11

大豆に含まれる大豆イソフラボンは、女性ホルモンを助ける働きが知られています。でも、実は、2人に1人しか大豆を食べてもそのパワーを得られないのをご存じですか? 鍵を握る物質「エクオール」について解説します。

大豆は、女性にうれしい栄養の宝庫

納豆、豆腐、煮物には豆、サラダにも豆。「女性には大豆よね!」と毎日せっせと豆を食べている人は多いのでは。

大豆はさまざまな栄養成分が含まれる、栄養の宝庫。

大豆オリゴ糖はビフィズス菌を増やして腸内環境を良好に保ちお腹の調子を整える作用があるとされています。また大豆たんぱくは、血清コレステロールを低下させるとして、トクホの関与成分の表示が許可されています。他にも、食物繊維やミネラルもバランスよく含まれているし、ビタミンB1やEも豊富です。

中でも特に注目されるのは、やっぱり大豆イソフラボン。

主に大豆の胚芽部分に含まれる抗酸化物質で、女性ホルモンの働きを助ける作用もあり、更年期症状の改善、メタボや骨粗しょう症を予防する働きにも期待が寄せられています。

このように、女性の健康に役立ってくれる大豆ですが、その恩恵を受けやすい人とそうでない人がいることを知っていましたか? 
 

女性ホルモンに似た働きをする「エクオール」

つまり、大豆パワーの影響力には個人差があるのです。その理由を解き明かすのが、「エクオール」という物質。エクオールは、大豆イソフラボンに含まれるダイゼインという成分が腸内細菌によって代謝されてできる物質。

このエクオールが女性ホルモンに似た働きをする、大豆パワーの正体なんです。

ところがエクオールを生み出せる人の割合は、日本人でなんと5割程度なのだとか。つまり2人に1人は大豆パワーを完全には得られないということ。

「なぜその個人差が生まれるのかはわかっていません。でも若い人でエクオールをつくれない人が増えていることから、食生活の変化が原因ではないかと考えられています。一説によると、幼少期の食生活が関係しているとも言われています」(大塚製薬)

また、エクオールは体内に蓄積されず、1〜2日で体外に排出されるのだそう。「作り出せる人でも健康状態やストレスにより腸内環境が変わると、産生量も変わります。また急に作れなくなることもあります。ですので、作れる人でもエクオールを直接摂ることも大切です」(同社)

どうすればエクオールを作れるようになるかも、まだ解明途中。でも腸内環境はストレスや睡眠、運動量など、さまざまな生活習慣から影響を受けているもの。腸内環境をよい状態に整えておくことで、エクオールを作れるようになる可能性はありそうです。

自分がエクオールを作り出せるかどうかは、市販の検査キットで知ることができます。(ちなみに私はエクオール産生力がかなり低い「レベル1」でした。とほほ……)
 

エクオールが作れなくても、補える

大豆を乳酸菌で発酵させてつくったエクオールを補うサプリメントや食品も登場しているので、検索してみてはいかがでしょう。研究では、エクオールを1日10mg摂り続けた人は、骨密度の減少が抑えられたり、目尻のシワの面積の広がりを抑制したり、更年期症状に多いほてりや急な汗の回数も減ったという報告があります。

婦人科や皮膚科などでも、注目されているエクオール。これからの健康と美容のキーワードとなりそうです。

もちろん、サプリを飲めば大豆は不要というわけでも、エクオールを作れないから大豆を食べても無意味というわけではありません。冒頭に紹介したとおり、大豆はイソフラボン以外にも多くの栄養分が入っているパワーフードなので、ぜひこれからも積極的にとっていきたいですね。
 

柏谷麻夕子

かしわや・まゆこ 美容ライター。植物療法士やメノポーズ(更年期)カウンセラーなどの資格を生かし、多くのメディアでスキンケアやインナーケアの記事を執筆。スポーツアロマトレーナーとしても活動し、目白押しのスポーツイベントから目を離せない近頃。

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