公開日:2020/09/10
季節の変わり目や乾燥した日など、喉(のど)が痛くなりますよね。軽い症状だからといって放置すると、思わぬ病気につながることも……。そこで、喉が痛いときの対処法や予防の方法と、喉の調子がよくないときに飲みたい飲み物を紹介します。
喉が痛くなる原因にはいろいろありますが、代表的なものを挙げていきましょう。
まず挙げられるのは、ウイルス感染です。ウイルスに感染し、風邪や扁桃炎、急性咽頭炎などになると、喉の痛みを引き起こします。花粉症になり鼻づまりを起こすと口呼吸が増えるため、喉の粘膜が乾燥しやすくなります。喉の乾燥は喉の痛みへとつながりやすいのです。
喫煙や飲酒を習慣にしている人も注意が必要でしょう。タバコは喉に対する有害物質が含まれていますし、アルコールも粘膜を傷つける可能性が高いです。また、辛いものや熱いものを大量に食べ、喉に刺激を与えすぎるのも控えた方がよい行動といえます。
普段から喉をケアしているつもりでも、長時間話続けたり、大声をあげたりしたことをきっかけに、喉の痛みを感じるケースもあるでしょう。
新型コロナウイルスの初期症状は、風邪と同じようなものが多いといわれています。WHOによると、最も多い症状は発熱や乾いた咳、体のだるさ、患者によっては喉の痛みなども起きると報告しています。
喉の痛みはタイプによって対処法が異なってきます。
ものを飲み込むときに痛みを感じる場合は、急性咽頭炎の可能性があります。マスクの着用や加湿器を使用して喉の乾燥を防ぐようにしましょう。喉スプレーなどで喉をケアする方法でもいいです。市販薬を使用するときには、抗炎症成分が配合されているかどうかをチェックしてください。
食べ物が食べられないほど喉の痛みがひどかったり、高熱が出たりするケースでは、病院にいくことを検討しましょう。
声がかれたり、咳が出たりするのは喉頭の炎症が原因である可能性が高いです。風邪を治すための薬を服用し、栄養がある食事を心掛けましょう。
直接の痛みではありませんが、花粉症などで喉がむずがゆいようなときには、鼻水や鼻詰まりを解決する方法を考えましょう。鼻と喉はつながっているため、鼻で吸収できなかった花粉が喉へと流れこみます。その結果、喉のかゆみを引き起こす事例がよくあるのです。鼻の症状を緩和する薬を使用することで、喉の症状も回復することが見込めます。
喉の痛みがなかなか治らない、喉以外にも調子が悪い症状が出ているようなときは、深刻な病気が潜んでいる可能性もゼロではありません。
例えば、国立がん研究センターによると、咽頭がんの症状として「のどに、いがらっぽさ、異物感や飲食物を飲み込んだときの痛みがあらわれます」と説明しています。
また、日本消化器病学会ガイドラインによると、胃食道逆流症(逆流性食道炎)には「胸が詰まるような痛みを感じたり、のどの違和感や慢性的に咳が持続する患者さんもいます。胃酸の逆流は食後2~3時間までに起こることが多いため、食後にこれらの症状を感じたときは胃酸の逆流が起きている可能性を考える必要があります」と説明しています。
新型コロナウイルスの初期症状の一つにも喉の痛みがあるといわれています。発熱を伴い、症状が4日以上続く場合は、り患の可能性があります。
違和感が続くようなら、早めに病院で診察を受けるようにしましょう。
喉に痛みがあり病院に足を運ぶ際、内科に行くか耳鼻科に行くかで迷う人は多いでしょう。原因がはっきりわかっておらず、大きな問題が起きていないのであれば、内科がおすすめです。喉の痛みの原因として最もよくあるのは、喉の感染症である風邪といえます。
声がれがあり声帯部を直接確認して欲しい人、喉に異物感がある人は耳鼻咽喉科が適しています。内科は喉頭や声帯部に関する診察が基本的に対象外です。喉が痛む原因の多くは感染症であるのは事実ですが、明らかに喉に問題があるようなときは耳鼻咽喉科で診察を受けるようにしましょう。喉に外傷があるようなケースも耳鼻咽喉科の出番となります。
喉の痛みを予防する最も有効なアプローチの一つは、乾燥を防ぐことです。喉が乾燥すると、細菌やウイルスが付着しやすくなり、炎症へとつながります。
乾燥を防ぐ定番の方法はマスクの装着です。マスクをすると若干息苦しくなりますし、メガネが曇りやすくなるなどのデメリットもありますが、喉の乾燥は防げます。菌やウイルスのブロックにも力を発揮するでしょう。
マスクは外出のときだけでなく、就寝時の装着もおすすめです。就寝時は口呼吸になりやすいため、喉を乾燥させやすい状況といえます。この対策として濡れマスクを試してみてください。濡れマスクは口内の湿気を高め、細菌やウイルスの侵入と繁殖を防ぎます。
加湿器で湿気を保つのも悪くない方法です。ただし、加湿をし過ぎるとダニやカビを繁殖させる可能性があり、湿度が低過ぎるとウイルスの活動を活発化させてしまいます。適度な湿度の目安は60%前後なので、うまく調整をしてください。
加湿器がない場合は、部屋に濡れたタオルを干すだけで、同じような効果を得られます。
うがいも喉の乾燥を防ぐのに有用です。また、うがいによって風邪の原因となる細菌の付着を抑えることにも有効です。
喉の炎症の原因となるウイルスへの感染を予防するために、免疫力を上げるのも有効といえるでしょう。
体温が1度下がると免疫力は30%低下するといわれます。適度な運動を定期的に行い、血行をよくし、体温を上げるようにしましょう。
入浴の温熱効果と保温効果で全身の血行をよくし、体温を上げます。副交感神経が優位になると血管が開きやすくなり末端まで血行がよくなるので、湯船はリラックスできる温度がいいでしょう。
また、深い眠り(ノンレム睡眠)は成長ホルモンを分泌して、身体機能の回復や傷んだ細胞の修復をするので、免疫力を強くします。
食事により腸内環境を整えるのも忘れないようにしましょう。発酵食品などを取り、腸内を活発に動かし善玉菌を増やすことで、免疫力アップが期待できます。
ちょっと喉の調子が悪いな、というときに試したい、喉にいい飲み物をご紹介します。
大根に含まれるイソチオシアネートは、抗菌作用や消炎作用がありので、喉の炎症を抑えることが期待できます。サイコロ状に切った大根を瓶に入れ、殺菌効果のあるはちみつで3時間ほど漬けるとできるシロップを、水で割って飲む「はちみつ大根」がおすすめです。
紅茶の中でも、アッサムティーには、抗炎症作用のあるポリフェノールの一種テアフラビンが多く含まれています。飲み方はストレートかレモンティー、生姜を入れても。ミルクを入れると被膜効果で抗炎症作用が弱まるので避けましょう。
生の生姜に含まれるジンゲロールには抗炎症作用や殺菌作用、鎮痛作用があるといわれています。すりおろした生姜を紅茶に加えたり、スライスした生姜をはちみつで漬けたシロップを水で割って飲むとよいでしょう。
家で手作りするだけでなく、生姜を用いたシロップや飲み物、アッサムティーなどはスーパーやコンビエンスストアでも販売されているので、上手に活用しましょう。
喉が痛い原因には、乾燥や飲酒など、心配ないものが多いですが、風邪や扁桃炎など病気の症状である場合もあります。ひどい痛みが続く場合は、無理をせず病院を受診しましょう。また、普段から喉のケアはしっかり行いながら、今回ご紹介した喉に良い飲み物も試してみてください。
関連リンク
国立がん研究センター
日本消化器病学会ガイドライン
■もっと知りたい■
この記事をマイページに保存