更年期の不調:気になる症状と対処法

「更年期うつ」にも抗うつ薬・抗不安薬治療は効果あり

公開日:2018/07/02

更新日:2022/03/07

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更年期はエストロゲンの減少に伴い気分が落ち込みやすくなります。家族関係でストレスを感じたり、更年期症状のせいで体調が悪くなったりして、それがストレスとなり抑うつ状態に陥ることも。ひどい場合は、抗うつ薬や抗不安薬の助けを借りることも大切です。

「更年期うつ」にも抗うつ薬・抗不安薬治療は効果あり

どんなときに抗うつ薬や抗不安薬を使う?

どんなときに抗うつ薬や抗不安薬を使う?

更年期には女性ホルモンのエストロゲンが減少し、それに伴い脳内のセロトニンという神経伝達物質も減ります。

セロトニンには気持ちを明るく、活動的な気分にさせる働きがあるため、減少すると気分の落ち込みや憂うつ感が強くなります。そのため、症状が進み「更年期うつ」になることも珍しくありません。

このような心の症状が現れるのも更年期障害の特徴の一つで、もちろん治療法もあります。中でも効果があるのが、ホルモン補充療法(以下、HRT)です。

HRTは不足した女性ホルモンを外から薬で補う方法で、更年期の症状に高い効果を発揮します。HRTを受けた人の多くが、体の症状以外にも「気分がよくなった」とか「憂うつ感が解消された」と実感しています。

まずは、HRTを3か月ほど受けてみて、必要ならメンタルクリニックや精神科を受診することをおすすめします。

しかし、何らかの事情でHRTが受けられない場合や精神的要因が非常に強く、HRTでも気分の落ち込みやうつ症状が改善しないことがあります。この場合は、早めに抗うつ薬や抗不安薬などの薬を使ったほうがよいでしょう。

抗うつ薬や抗不安薬は脳の働きを整える薬

抗うつ薬や抗不安薬は脳の働きを整える薬

抗うつ薬は、主に脳内のセロトニンやノルアドレナリンといった、神経伝達物質の減少を改善させる働きがあります。

抗うつ薬にはいくつかの種類がありますが、最近の傾向としてセロトニンにだけ、あるいはセロトニンとノルアドレナリンにだけピンポイントに作用するSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)という薬が最初に用いられることが多いようです。

主な薬には、デプロメール、ルボックス、パキシル、ジェイゾロフト、レクサプロ、トレドミン、サインバルタなどがあります。これらのSSRIやSNRIで効果がないときには、別のタイプの三環系や四環系と呼ばれる抗うつ薬が用いられます。

また、抗うつ薬だけでは状態がなかなか安定しないことがあり、この場合には抗不安薬や睡眠薬も一緒に使います。

抗不安薬は名前の通り、不安感や緊張感をやわらげる効果があります。抗うつ薬と相性がよく、一緒に使うことで抗うつ薬の量を減らすことができます。主な薬には、デパス、リーゼ、コンスタン、ソラナックスなどがあります。

服用の注意点や副作用を知っておこう

服用の注意点や副作用を知っておこう

抗うつ薬には即効性がありません。効果が現れるまで少なくとも2〜4週間かかります。そのため「薬を飲んだのに効かない」といってすぐに服用を中止しないことが大切です。

また、抗うつ薬は効果があるかどうかを判断するためにも、一定期間は服用する必要があります。一刻も早く良くなりたい気持ちは理解できますが、治療にはしばらく時間がかかることを理解しておきましょう。

そして、症状が治まったと思っても抗うつ薬の服用をすぐに止めてはいけません。再発することがあるので、しばらくの間は薬を続けたほうが、ぶり返しを防げます。

抗うつ薬・抗不安薬の副作用もチェックしておこう

抗うつ薬の副作用は少ないのですが、中には吐き気や嘔吐、頭痛、イライラなどの症状が現れることがあります。また、抗不安薬では眠気やふらつきが起こることもあります。

もし副作用が現れた場合も、勝手に薬の服用を止めないことが大切です。医師に相談すれば、薬の量を調節したり、別の薬に替えてもらったりするなどして対処してもらえます。

薬の副作用が不安な場合は、カウンセリングや漢方など、他の方法でも対処できるので、かかりつけの婦人科やメンタルクリニックで相談してください。

更年期のうつ症状に用いられる漢方薬

更年期の不定愁訴によるうつ症状の治療には、漢方薬がよく用いられます。眠気などの副作用が少ないとされており、眠気などの副作用が出やすい西洋薬に比べて使いやすいのがメリットです。

漢方医学の考え方では、血(けつ)が不足することで気力や集中力が低下し、眠りが悪くなります。また、血の巡りが悪くなることで頭痛や肩こりが生じます。さらに、ストレスなどで気が乱れるとのぼせやほてり、動悸などが生じると考えられているのです。

更年期のうつ症状によく用いられる漢方薬は以下になります。

  • 加味逍遙散(かみしょうようさん):不眠や不安、イライラがある方に
    血液循環をよくしてからだを温めつつ、のぼせにも効果を発揮します。ホルモンのバランスを整える効果も期待され、イライラや不安感、不眠などのある方に用いられます。
     
  • 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう):心身が疲れ、喉のつかえ感がある方に
    気分がふさいでいる方の気の巡りを整え、心と体の状態をよくします。不安感や緊張感、イライラ、抑うつ、不眠、神経性の胃炎などに用いられます。
     
  • 加味帰脾湯(かみきひとう):心身が疲れ、不安や不眠などがある方に
    血を補い、気の巡りを整え、消化器のはたらきを助けながら不眠を改善します。気持ちを落ち着かせ、精神を安定させる作用があります。貧血気味で、精神的なストレスや不安感、不眠、焦りなどがある方に用いられます。

上記の3種類以外にも更年期のうつ症状に用いられる漢方薬はありますが、漢方薬を選ぶ際には、一人ひとりの症状や状態、体質に合わせるのがポイントです。体質や症状に合わないと効果がでないだけでなく、体へのダメージや副作用が起きてしまうこともあります。

今はオンラインでも簡単に相談できる漢方サービスがありますが、その中でも「あんしん漢方」は、ご相談が無料です。
 

監修者プロフィール:横倉恒雄さん(横倉クリニック)

横倉恒雄さん(横倉クリニック)

よこくら・つねお 医学博士。医師。横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長。東京都済生会中央病院に日本初の「健康外来」を開設。故・日野原重明先生に師事。婦人科、心療内科、内科などが専門。病名がないものの不調を訴える患者さんにも常に寄り添った診療を心がけている。著書『病気が治る脳の健康法』『脳疲労に克つ』他。日本産婦人科学会認定医 /日本医師会健康スポーツ医/日本女性医学学会 /更年期と加齢のヘルスケア学会ほか。

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ハルメクWEB編集部

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