更年期女性こそ積極的に取りたい「若返りビタミン」

ビタミンEが豊富な食べ物ランキング!効果&摂取目安

林安津美
監修者
たいや内科クリニック
林安津美

公開日:2023.09.11

「若返りビタミン」ともいわれるビタミンEが豊富な食べ物をご紹介!ビタミンEは種実類や油脂類の他、魚介類や野菜類などに豊富に含まれています。女性ホルモンにも関わっており、更年期対策にもおすすめ。ビタミンEの働き、摂取量目安なども解説します。

ビタミンEとは

ビタミンEとは、4種のトコフェロールと4種のトコトリエノールを合わせた8種類の物質の総称で、油に溶けやすい性質を持った「脂溶性ビタミン」の一つです。

ビタミンEには8種類の物質がありますが、この中で人間に対して強い効果を発揮するのは「α-トコフェロール」と呼ばれる物質のみ。

その他は吸収されても腸管に捨てられてしまうため、栄養学では、α-トコフェロールのみをビタミンEといいます。

ビタミンEの1日の推奨摂取量

ビタミンEの1日の食事摂取基準は「α-トコフェロールの目安量」で示されます。

厚生労働省が公表する「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」によれば、ビタミンEの1日の推奨摂取量は以下のようになっています。

【女性のビタミンEの1日当たりの摂取量の目安(mg/日)】

  • 18〜29歳……5.0mg
  • 30~49歳……5.5mg
  • 50~64歳……6.0mg
  • 65~74歳……6.5mg
  • 75歳以上……6.5mg

【男性のビタミンEの1日当たりの摂取量の目安】

  • 18〜29歳……6.0mg
  • 30~49歳……6.0mg
  • 50~64歳……7.0mg
  • 65~74歳……7.0mg
  • 75歳以上……6.5mg

ビタミンEの摂取状況は、厚生労働省が公表する「令和元年 国民健康・栄養調査報告」によれば、男女ともどの年代でもほぼ必要量を摂取できています。そのため、現代の日本で通常の食生活を送っている分には、不足の心配はないでしょう。

ビタミンEの働き

ビタミンEの働き

ここでは、ビタミンEの働きについて解説します。

強い抗酸化作用

ビタミンEは、非常に強力な抗酸化作用を持っています。

抗酸化作用とは活性酸素による「酸化」から体を守る作用のことです。活性酸素の過剰産生や酸化ストレスは老化を促進させたり、健康にも悪影響を及ぼすといわれています。

ビタミンEには、以下のような作用があります。

  • 過酸化脂質の生成を抑制し、血管を健康に保つ作用
  • 血中LDLコレステロールの酸化抑制作用
  • 細胞の酸化を防ぐ老化予防作用

ビタミンEは「若返りのビタミン」とも呼ばれ、老化を遅らせる効果が期待されています。

生活習慣病の予防や改善

ビタミンEの強い抗酸化作用は、生活習慣病の予防・改善効果もあります。血液中のLDLコレステロールが活性酸素の影響で酸化して「過酸化脂質」になり、蓄積すると、動脈硬化を進行させてしまいます。

動脈硬化は心筋梗塞や狭心症、脳梗塞、高血圧などを引き起こす原因となるため、注意が必要です。ビタミンEの強い抗酸化作用は、コレステロールや脂肪の酸化抑制に役立ちます。

血行の改善

ビタミンEには、血管収縮を促す神経伝達物質の生成を抑制し、血行を促進する作用もあります。

血流がスムーズになり、体の隅々に酸素や栄養素が行き渡るようになるため、血行不良が原因となった肩こりや疲れ、冷えの緩和につながるでしょう。

ホルモンバランスを整える作用

ビタミンEが発見されたのは、1920~1930年代のこと。不妊のネズミの実験によって発見され、動物の生殖や人間の正常な発育に欠かせない成分です。

ビタミンEの別名である「トコフェロール」はギリシャ語の「tocos(子どもを産む)」「phero(力を与える)」「ol(水酸基をもつ化合物の総称)」に由来しています。

ビタミンEは脳下垂体や副腎といったホルモンを産生する器官に多く分布しており、女性ホルモンの一つであるプロゲステロン(黄体ホルモン)の材料にもなる栄養素です。

女性は更年期を迎えると、女性ホルモンの分泌量が激減してさまざまな更年期症状が現れます。プロゲステロンの材料となるビタミンEを摂取することは、更年期対策としても効果が期待できるでしょう。

ビタミンEが豊富な食べ物

ビタミンEが豊富な食べ物

ビタミンEは、アーモンドや落花生などの種実類、ひまわり油やオリーブオイルなどの油脂類などに豊富に含まれています。また、魚介類、豆類、野菜類、穀類などにも豊富です。

ここからは、広く流通している食材からビタミンE(α-トコフェロール)が豊富な食べ物をランキング形式でご紹介します。(参照:食品成分データーベース

なお、女性のビタミンEの1日当たりの摂取量の目安(mg/日)は、50~64歳で6.0mg、65歳以上で6.5mgです。

種実類

ビタミンEは、アーモンドやヘーゼルナッツ、落花生など種実類に豊富に含まれています。ナッツは調理の必要もなく、おやつ感覚で摂取できるでしょう。

【ビタミンEが豊富な種実類(可食部100g当たりの含有量/mg)】

  1. アーモンド(乾)……30.0mg
  2. ヘーゼルナッツ(フライ・味付け)……18.0mg
  3. ひまわり(フライ・味付け)……12.0mg
  4. 松(煎り)……12.0mg
  5. 落花生(大粒種・乾/小粒種・煎り)……11.0mg
  6. 落花生(ピーナッツバター)……4.8mg
  7. ブラジルナッツ(フライ・味付け)……4.1mg

油脂類

ビタミンEは油脂類に豊富に含まれています。油脂類は取り過ぎると肥満につながるため、良質なオイルを適量摂取することが大切です。

【ビタミンEが豊富な油脂類(可食部100g当たりの含有量/mg)】

  1. ひまわり油……39.0mg
  2. ぶどう油……28.0mg
  3. 綿実油……28.0mg
  4. サフラワー油……27.0mg
  5. 米ぬか油……26.0mg
  6. とうもろこし油……17.0mg
  7. ファットスプレッド……16.0mg
  8. マーガリン……15.0mg
  9. なたね油……15.0mg
  10. 調合油……13.0mg

魚介類

ビタミンEは、魚介類にも豊富に含まれています。普段、肉が多いという人は魚介類も取り入れてみましょう。

【ビタミンEが豊富な魚介類(可食部100g当たりの含有量/mg)】

  1. あゆ(養殖・内臓・焼き)……24.0mg
  2. あんこう(肝・生)……14.0mg
  3. しろさけ(すじこ)……11.0mg
  4. ぼら(からすみ)……9.7mg
  5. 牡蠣(製油漬缶詰)……9.5mg
  6. キャビア(塩蔵品)……9.3mg
  7. しろさけ(イクラ)……9.1mg
  8. まぐろ類油漬缶詰(フレーク・ホワイト)……8.3mg
  9. いわし類油漬缶詰(フレーク・ホワイト)……8.2mg
  10. たらこ(焼き)……8.1mg

豆類

豆類にも、ビタミンEが含まれています。豆類には女性にうれしいイソフラボンも豊富です。

【ビタミンEが豊富な豆類(可食部100g当たりの含有量/mg)】

  1. 大豆胚芽……19.0
  2. きなこ(青大豆・脱皮大豆)……7.5
  3. 黄大豆(ブラジル産・乾)……4.8
  4. そらまめ(フライビーンズ)……3.3
  5. 煎り大豆(黒大豆)……3.1
  6. 大豆(国産・乾)……3.1

野菜類・果物類

ビタミンEは野菜類や果物類にも含まれています。さまざまな種類の野菜や果物でビタミンEが摂取できるため、いくつもの食材を組み合わせると栄養バランスのいい食事につながるでしょう。

【ビタミンEが豊富な野菜類・果物類(可食部100g当たりの含有量/mg)】

  1. とうがらし(果実・乾)……30.0mg
  2. 菊のり……25.0mg
  3. ドライトマト……18.0mg
  4. とうがらし(果実・生)……8.9mg
  5. 西洋かぼちゃ(果実・焼き)……6.9mg
  6. ドライマンゴー……6.8mg
  7. モロヘイヤ(茎葉・生)……6.5mg
  8. ブロッコリー(花序・焼き)……6.0mg
  9. くこ(実・乾)……5.7mg
  10. オリーブ(塩漬・グリーンオリーブ)……5.5mg

ビタミンEを効率的に摂取するポイント

ビタミンEは、以下のポイントを押さえることで効率よく摂取できます。

  • ビタミンC、ビタミンAと合わせて摂取する
  • オイルを使って調理する
  • 牛乳・クリームなど乳脂質と組み合わせる
  • 食物繊維も摂取する

ビタミンEは他の抗酸化物質と一緒に摂取すると、更に効果的です。同じく抗酸化作用のある物質として知られるビタミンCは、ビタミンEの抗酸化作用を高める作用があります。

また、ビタミンAはビタミンEとビタミンCの働きを長持ちさせるため、「ビタミンACE(ビタミンエース)」を組み合わせて摂取するといいでしょう。

ビタミンACEは、肌の健康を保つために重要な栄養素です。ビタミンACEをしっかり吸収して体の栄養にするためには、腸を元気にすることが欠かせません。

50代・60代は加齢やストレスの影響で腸内環境が悪化しやすいといわれているため、食物繊維も合わせてしっかり摂取しましょう。

ビタミンEの不足・過剰摂取の影響

ビタミンEの不足・過剰摂取の影響

ここからは、ビタミンEの不足・過剰摂取の影響をご紹介します。

ビタミンE不足の影響

ビタミンEには、体のすみずみまで血液の循環をスムーズにする作用があります。そのため、不足すると肩こり、首こり、腰痛、手足のしびれ、冷え性、頭痛などが起こりやすくなることに。

また、紫外線から肌を守る力が低下し、シミやシワにつながります。

ビタミンEが不足すると、女性ホルモンバランスの調整機能がうまく働かなくなり、月経不順や更年期症状が現れることもあるため、不足には注意が必要です。

ただし、現代の日本の食生活では、明らかにビタミンEが欠乏した状態になることはまれでしょう。

ビタミンE過剰摂取の影響

ビタミンEは脂溶性ビタミンの中では体内に蓄積されにくく、通常の食事では過剰症がみられることはまずないとされています。

しかし、サプリメントなどで極端にビタミンEを過剰摂取すると、血が止まりにくくなることがあります。

近年、ビタミンEを含む薬剤やサプリメントの過剰摂取は、骨粗鬆症のリスクを高める可能性があるという研究結果が出ています。過剰摂取には注意しましょう。

ビタミンEは女性にうれしい栄養素

ビタミンEは若返りのビタミンとも呼ばれており、強い抗酸化作用があります。生活習慣病の改善・予防にも役立つなど、しっかり摂取したい栄養素です。

ビタミンEは現代の通常の食事であれば不足しにくく、過剰摂取も起こりにくいといわれています。栄養バランスのいい食事を心がけ、体の中から若返りを目指しましょう。

※効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。

監修者プロフィール:林安津美さん

林安津美さん

大学卒業後JAあいち厚生連に入職し37年間病院の管理栄養士として勤務、その間豊田厚生病院・安城更生病院の技師長として17年間在籍。2022年5月よりたいや内科クリニックへ入職。病態栄養専門管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・腎臓病療養指導士・がん病態栄養専門管理栄養士・和漢薬膳師等の資格を生かし患者さんの思いを聴き・応え、患者目線でテーラーメイドの医療をお届けできるように努めています。

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