抗酸化作用も!目や皮膚の健康&美容に重要な栄養素

ビタミンAを豊富に含む食べ物・飲み物!摂取量目安も

公開日:2023.06.30

ビタミンAが多い食べ物・飲み物を含有量順のランキングでご紹介!目や皮膚、粘膜の健康な働きを保ち、感染症への抵抗力に関わるビタミンAは私たちの健康にも美容にも欠かせない栄養素です。不足・過剰摂取の影響や注意点も解説!

ビタミンAとは

ビタミンAとは

ビタミンAとは、油に溶けやすい性質を持つ脂溶性ビタミンの一種です。人間の体内でレチノール、レチナール、レチノイン酸という3つの形で存在し、ビタミンAの主な成分となるのがレチノールです。

ビタミンAという栄養素は、目や皮膚、粘膜を健康に保つうえで重要な役割を担っています。また、胎児や乳幼児の成長促進にも関わっています。

ビタミンAは動物性食品に豊富に含まれ、体の中に入って吸収されると、ほとんどが肝臓に蓄えられるため、過剰摂取ならないよう注意しましょう。

プロビタミンA(ビタミンAの前駆体)とは

プロビタミンAとは、ビタミンAの前駆体(体の中でビタミンAになる化合物)のことです。プロビタミンAには以下のようなものがあります。

  • αカロテン
  • βカロテン
  • βクリプトキサンチン

これらは赤や黄色などの色素成分で、緑黄色野菜などに豊富に含まれます。中でも、βカロテンは効率よくビタミンAに変換されるという特徴があります。

プロビタミンAは、すぐにビタミンAとして体に吸収されず、体内でビタミンAが不足したときにだけ、必要分がビタミンAに変換されて体に吸収されるようになっています。

そのため、プロビタミンAは多く摂取しても過剰となることはなく、使わない分は排泄されます。

ビタミンAの1日の摂取量の目安

ビタミンは「g(グラム/gram) 」「mg(ミリグラム/milligram) 」「μg(マイクログラム/microgram) 」という重量単位で表されますが、ビタミンAには重量単位とは異なる特別な単位「μgRAE(レチノール活性当量)」が存在します。

プロビタミンA(βカロテンなど)は、体の中でレチノールに変換されます。

そのため「μgRAE(レチノール活性当量)」は、食品に含まれるビタミンA(レチノール)だけでなく、プロビタミンAのビタミンAへの変換率が考慮された単位となっています。

μgRAE(レチノール活性当量)は以下の式で計算します。

【レチノール活性当量(μgRAE)=レチノール(μg)+1/12×β-カロテン(μg)+1/24×α-カロテン(μg)+1/24×β-クリプトキサンチン(μg)+1/24×その他のプロビタミンAカロテノイド(μg)】

ビタミンAの摂取基準は、この「μgRAE(レチノール活性当量)」で示されます。

厚生労働省が公表する「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」によればビタミンAの1日の摂取量の目安は以下のようになっています。

【女性のビタミンAの1日当たりの摂取量の目安】

  • 18〜29歳……650μgRAE 
  • 30~49歳……700μgRAE
  • 50~64歳……700μgRAE
  • 65~74歳……700μgRAE
  • 75歳以上……650μgRAE 

【男性のビタミンAの1日当たりの摂取量の目安】

  • 18〜29歳……850μgRAE 
  • 30~49歳……900μgRAE 
  • 50~64歳……900μgRAE 
  • 65~74歳……850μgRAE 
  • 75歳以上……800μgRAE 

昔の日本では、ビタミンA欠乏症が見られることもあったといいますが、現代では食生活の欧米化によって動物性食品を食べる機会が増えたため、ビタミンAが欠乏することはほとんどありません。

むしろ、普段の食生活によっては、過剰摂取に注意する必要があります。

ビタミンAの働き

ビタミンAの働き

ビタミンAは、皮膚や目・鼻・のどなどの粘膜を健康に保ち、ウイルスや細菌が体内に侵入するのを防いだり、目の健康を守ったりするなど重要な働きがあります。

ここからは、ビタミンAの働きについて解説します。

皮膚や粘膜を健康に保ち、抵抗力を高める

ビタミンAやその代謝物は、感染症から体を守る生体内の最初の防御ラインとなる皮膚や粘膜細胞(道・消化器官・尿路を覆う細胞)の機能を維持するために必要なものです。ビタミンAは、「抗感染症ビタミン」とも呼ばれています。

体の中に侵入した病原体に対抗する白血球細胞やリンパ球など発生や分化にもビタミンAが関わっており、不足すると感染症への抵抗力低下、呼吸器や泌尿器などの機能低下、皮膚や粘膜の乾燥などが起こることがあります。

目の働きを健康に保つ

ビタミンAは、目の働きを健康に保つのに欠かせない重要な栄養素でもあります。

眼の網膜には「視細胞」と呼ばれる光を感じ取る働きをする神経細胞がありますが、ビタミンA(レチノール)はこの機能維持に必要な栄養素です。

また、ビタミンAが不足して目の粘膜や角膜が傷つくと視力が低下したり、暗いところや夜にものが見えにくくなる「夜盲症」になるリスクがあります。

抗酸化作用がある

ビタミンAは、ビタミンCやビタミンEとともに「抗酸化ビタミン」と呼ばれています。

抗酸化ビタミンとは、活性酸素の働きを抑える抗酸化作用を持つビタミンのこと。活性酸素は細胞伝達物質や免疫機能として働きますが、増え過ぎると老化、がん、生活習慣病、免疫機能の低下を引き起こしたり、動脈硬化につながります。

また、活性酸素は繊維芽細胞などを攻撃することでコラーゲンやエラスチンの生成を阻害してたるみや乾燥などの肌トラブルを引き起こしたり、表皮のメラノサイトを刺激してメラニン生成を促しシミを発生させたりするなど、肌にも悪い影響を与えます。

このように、ビタミンAは健康にも美容にも欠かせない重要な栄養素です。

なお、ビタミンA・ビタミンC・ビタミンEの抗酸化ビタミンは3つまとめて「ビタミンACE(ビタミンエース)」といわれます。

ビタミンAが豊富な食べ物・飲み物

ビタミンAが豊富な食べ物・飲み物

ここからは、ビタミンAが豊富な食べ物を「動物性食品」と「植物性食品」に分けてご紹介します。(参照:食品成分データーベース

ビタミンAが豊富な動物性食品

ビタミンAは、豚レバーや鶏レバー、鶏卵、うなぎ、バターなどの動物性食品に豊富に含まれています。

豚レバーや鶏レバーは非常に豊富なビタミンAを含んでいるため、過剰摂取にならないよう食べ過ぎには注意しましょう。

【ビタミンAが豊富な動物性食品(可食部100g当たりの含有量/レチノール活性当量)】

  • 豚スモークレバー……17000μg
  • 鶏レバー(生)……14000μg
  • 豚レバー(生)……13000μg
  • ほたるいか(ゆで)……1900μg
  • うなぎ(かば焼き)……1500μg
  • ぎんだら(生)……1500μg
  • 牛レバー(生)……1100μg
  • くろまぐろ(養殖・赤身・生)……840μg
  • 食塩不使用バター……800μg
  • 鶏卵・卵黄(生)……690μg
  • 有塩バター……520μg
  • あなご(生)……500μg
  • うずら卵(水煮缶詰)……480μg
  • ナチュラルチーズ マスカルポーネ……390μg
  • ホイップクリーム(乳脂肪)……350μg
  • プロセスチーズ……260μg
  • しらす干し(半乾燥品)……240μg
  • 普通牛乳……38μg
  • ヨーグルト(全脂無糖)……33μg

ビタミンA(プロビタミンA)が豊富な植物性食品

植物性食品には、ビタミンAが不足したときに必要量がビタミンAに変換されるプロビタミンAが含まれています。

【ビタミンAが豊富な植物性食品(可食部100g当たりの含有量/レチノール活性当量)】

  • あまのり(ほしのり)……3600μg
  • あまのり(味付け海苔)……2700μg
  • あまのり(焼き海苔)……2300μg
  • しそ(葉・生)……880μg
  • モロヘイヤ(茎葉・生)……840μg
  • にんじん(皮付き・生)……720μg
  • ほうれん草(葉・冷凍・ゆで)……720μg
  • 乾燥わかめ(素干し)……650μg
  • 春菊(葉・ゆで)……440μg
  • 野菜ミックスジュース(濃縮タイプ)……400μg
  • 干しひじき……360μg
  • ミックスベジタブル(冷凍・油いため)……360μg
  • カットわかめ(乾)……190μg

コンビニで買えるビタミンAが豊富な食べ物

コンビニで手軽に買えるビタミンAが豊富な食べ物としては、「野菜スティック」「野菜ミックスジュース(濃縮タイプ)」「プロセスチーズ」などがあります。

他の食品に比べると少ないものの「普通牛乳」や「ヨーグルト(全脂無糖)」にもビタミンAが含まれています。

ビタミンAを効率的に摂取するポイント・注意点

ビタミンAを効率的に摂取するポイント・注意点

ここからは、ビタミンAを効率的に摂取するポイントや注意点をご紹介します。

脂と一緒に摂取する

ビタミンAは、脂溶性ビタミンです。脂溶性ビタミンは油脂に溶けるという特徴があるため、油脂と一緒に摂取すると吸収されやすくなります。ドレッシングやマヨネーズなどをプラスすると効率的に栄養を接種できるでしょう。

また、ビタミンAは熱にも強く、加熱してもOK。揚げる、炒めるといった調理方法もおすすめです。

パプリカはβ-カロテン(ビタミンAの前駆体)が豊富ですが、同時にビタミンCも豊富に含まれています。ビタミンCは水溶性で水に溶け出すため、ドレッシングをかけて生で食べるとしっかり栄養素を摂取できるでしょう。

過剰摂取に注意する

ビタミンAは脂溶性ビタミンで、取り過ぎると体に蓄積されるため過剰摂取に注意が必要です。

ビタミンAには、動物性の食品に含まれるビタミンAと、植物性の食品に含まれるビタミンA前駆体のプロビタミンAがあります。プロビタミンAは過剰摂取の心配がないため、ビタミンAの過剰摂取が心配な場合は植物性食品を選ぶといいでしょう。

食品安全委員会が公表する「ビタミンAの過剰摂取による影響」によれば、イギリスではレバーを定期的に摂取している人や骨粗鬆症になるリスクの高い人に対して、ビタミンAの摂取量に対して以下のような注意喚起が行われているといいます。

ア)レバーもしくはパテのようなレバー製品を週一回以上食べている人は、これ以上摂取量を増やさないこと。そしてビタミンAのサプリメントを摂らないこと。

イ)閉経後の女性及び65歳以上の男性といった骨粗しょう症になるリスクの高い人は1日1.5mg以上のビタミンAを摂らないこと。具体的には、レバーもしくはレバー製品を週一回以上摂らないこと。

ウ)妊娠中または妊娠を希望する女性は、ビタミンAを含むサプリメントを摂らないこと。また、レバー及びレバー製品を摂らないこと

出典:「ビタミンAの過剰摂取による影響」(食品安全委員会)

エトレチナート製剤やトレチノイン製剤などを飲んでいる場合などは特に過剰摂取に注意する必要があります。

サプリメントでの摂取に注意

サプリメントを飲んでいる場合、ビタミンAの過剰摂取につながる可能性があるため注意が必要です。

サプリメントにはさまざまな種類がありますが、例えば、1日に必要なビタミンを一粒に配合したサプリメントである「マルチビタミン」にはビタミンAが含まれていることがあるため、過剰摂取にならないようにしましょう。

ビタミンAの不足・過剰摂取はどうなる?

ビタミンAの不足・過剰摂取はどうなる?

ここからは、ビタミンA不足や過剰摂取による影響について解説します。

ビタミンAが不足した場合

ビタミンAが欠乏すると皮膚や粘膜が乾燥したり、感染症への抵抗力が低下するなどが起こります。また、ビタミンA不足の状態が続くと暗いところでものが見えにくくなる「夜盲症」の発症につながることがあります。

ただし、ビタミンAは肝臓に蓄えられるため、現代日本の通常の食生活であればビタミンAが不足することはほぼないといわれています。

ビタミンAを過剰摂取した場合

ビタミンAは肝臓に蓄積されるため、過剰摂取すると健康に悪影響が出る可能性があります。

短期間でのビタミンA過剰摂取では、腹痛や吐き気、嘔吐などが起こることがあります。

長期間にわたる過剰摂取の場合、皮膚の脱毛や食欲不振、体重減少、頭痛、関節痛、頭蓋内圧亢進症、肝機能障害、皮膚のはげ落ち、口唇炎、筋肉痛などの症状が見られます。

ビタミンAは過剰摂取に注意して適量を摂取しよう

ビタミンAは、人間の体や肌の健康を保つために欠かせない栄養素です。ビタミンAは肝臓に蓄積されるため、現代の通常の食事で不足することはほとんどないありません。過剰摂取に注意して、適量を摂取することが大切です。

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