専門家監修┃ひと工夫で胃腸に優しく!おすすめ食品

消化に良い・悪い食べ物一覧!ランキング&調理のコツ

林安津美
監修者
たいや内科クリニック
林安津美

公開日:2023.02.08

更新日:2024.02.21

風邪や胃もたれで、胃腸の調子が悪い……。そんなときに真っ先に思いつくのはお粥ではないでしょうか。でも外出先だったら? 今回は、コンビニや外食で消化に良い食べ物ランキングをご紹介! 消化の良い・悪い、食べ物や飲み物も一覧で解説します。

監修者プロフィール:林安津美さん

林安津美さん

大学卒業後JAあいち厚生連に入職し37年間病院の管理栄養士として勤務、その間豊田厚生病院・安城更生病院の技師長として17年間在籍。2022年5月よりたいや内科クリニックへ入職。病態栄養専門管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・腎臓病療養指導士・がん病態栄養専門管理栄養士・和漢薬膳師等の資格を生かし患者さんの思いを聴き・応え、患者目線でテーラーメイドの医療をお届けできるように努めています。

消化に良い食べ物とは?特徴と見分け方

消化に良い食べ物の特徴・見分け方

風邪をひいてお腹の調子が悪い、下痢をしている、食べ過ぎや飲み過ぎで胃もたれしている、ストレスで食欲がない……こんなときは、胃腸が弱っています。

食事の際、消化の良い食べ物を選ぶと、胃腸の状態が整いやすくなり、体調回復につながるでしょう。

消化に良い食べ物とは、「消化に時間がかからず、消化器官に負担をかけにくい食べ物」を指します。ここからは消化に良い食べ物の特徴・見分け方をチェックしてみましょう。

加熱した食べ物

加熱すると、食べ物は消化が良くなります。生では消化に悪い食べ物の場合でも、加熱することで消化を良くできるので、加熱して食べましょう。

例えば、卵は調理方法によって消化スピードが変わり、消化の良い順に半熟卵→ゆで卵→生卵→目玉焼きとなります。

柔らかい食べ物

硬い食べ物や噛みにくい食べ物は、消化されにくく胃腸に負担をかけるものが多いです。豆腐やバナナなどは柔らかく、消化しやすい食べ物です。

主食のご飯も柔らかく煮てお粥にしたり、うどんもよく煮込んで柔らかくすると、消化が良くなります。野菜も、生ではなく柔らかくなるまで煮込むと消化しやすくなり、胃腸への負担を減らせるでしょう。

脂質が少ない食べ物

脂質の少ない食べ物は、消化に時間がかかりません。肉や魚を選ぶときは、脂身の少ない部分を選ぶといいでしょう。肉であれば鶏むね肉やささみ、魚であればタラなどがおすすめです。

食物繊維が少ない食べ物

食物繊維は「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」と定義されており、小腸で消化・吸収されずに大腸まで届くことが特徴です。

便秘予防などの整腸効果、血液中のコレステロール濃度を下げる、血糖値上昇を抑えるなどの作用があるものの、消化できないため、胃腸が弱っているときは消化器官の負担になってしまいます。

食物繊維を含まないヨーグルトや牛乳、野菜であれば食物繊維が少ないカブや大根、キャベツ、かぼちゃ、人参、カリフラワーなどがおすすめです。

消化に良い食べ物と消化に悪い食べ物一覧

消化に良い食べ物と消化に悪い食べ物一覧

ここからは、胃腸に負担をかけず、消化の良い食べ物と消化に悪い食べ物を種類別に分けて一覧でご紹介します。

なお、下痢があるときは下痢の状態によって食事内容を変えるのがおすすめです。食事内容を工夫して、早めの体調回復を促しましょう。

穀類

【消化に良い食べ物】

  • お粥
  • うどん
  • 食パン

【消化に悪い食べ物】

  • そば
  • 赤飯
  • ラーメン
  • パスタ
  • 寿司

肉類

【消化に良い食べ物】

  • 脂の少ない肉(鶏肉やヒレ肉など)

【消化に悪い食べ物】

  • 脂の多い肉
  • 加工肉(ハム、ソーセージ、ベーコンなど)

魚類

【消化に良い食べ物】

  • 脂の少ない白身魚(タラ、タイ、ヒラメ、カレイなど)

【消化に悪い食べ物】

  • 脂の多い魚(サンマ、サバ、ブリ、マグロ、うなぎなど)
  • 貝類
  • 干物類
  • イカ、タコ、蒲鉾類
  • たらこ
  • すじこ

豆類

【消化に良い食べ物】

  • 豆腐
  • 高野豆腐
  • きな粉
  • 味噌

【消化に悪い食べ物】

  • 油揚げ、がんも
  • 小豆
  • 大豆など固い豆類

乳製品

乳製品は消化に良い食品ですが、下痢のときは避けるようにしましょう。

  • チーズ
  • 牛乳
  • ヨーグルト

野菜類

【消化に良い食べ物】

  • 食物繊維が少ない野菜(カブ、大根、人参、キャベツ、カリフラワー、白菜など)

【消化に悪い食べ物】

  • 食物繊維が多い野菜(ごぼう、ねぎ、たけのこ、ふき、ニラ、れんこん、セロリなど)

芋類

【消化に良い食べ物】

  • じゃがいも
  • かぼちゃ
  • 里芋
  • 長芋

【消化に悪い食べ物】

  • さつまいも

果物類

【消化に良い食べ物】

  • バナナ
  • りんご(すりおろしたもの)
  • 果物の缶詰

【消化に悪い食べ物】

  • 酸味の強い果物
  • 硬い果物
  • ドライフルーツ
  • みかん、グレープフルーツ
  • キウイ
  • パイナップル
  • いちご

卵類

【消化に良い食べ物】

  • 半熟卵
  • 卵とじ
  • 卵豆腐
  • 茶碗蒸し

【消化に悪い食べ物】

  • 固ゆで卵
  • 目玉焼き

その他の食べ物

以下の食べ物は、消化が悪いため、胃腸が弱っているときは避けるようにしましょう。

  • きのこ類
  • 海藻類
  • 漬物
  • 干物
  • こんにゃくやしらたき

飲み物類

【消化に良い飲み物】

  • 白湯
  • 麦茶
  • 乳酸飲料
  • イオン飲料

【消化に悪い飲み物】

  • ココア
  • コーヒー
  • 紅茶
  • オレンジジュース
  • サイダーやコーラ

お菓子類

【消化に良い食べ物】

  • プリン
  • ゼリー(寒天で作られたものは消化に悪い。コーヒーゼリーなど)
  • ボーロ
  • ウエハース

【消化に悪い食べ物】

  • ケーキ
  • ドーナツ
  • ナッツ
  • せんべい
  • かりんとう

シーン別!消化に良い食べ物ランキング

シーン別!消化に良い食べ物ランキング

ここからは、シーン別に消化にいい食べ物をランキング形式でご紹介します。

自宅

  • 1位:おかゆ・卵とじうどん
  • 2位:茶碗むし・卵豆腐
  • 3位:煮物(ポトフ・煮魚・お芋の煮物など)

コンビニ

忙しいときに手軽に購入できるコンビニのお弁当を選ぶときは、焼肉やカツなどがっつりしたものは避け、胃腸への負担が少ないものを選びましょう。

  • 1位:親子丼
  • 2位:鶏そぼろご飯
  • 3位:天津飯

柔らかく煮た鶏肉を卵でとじた親子丼は、油っぽさも少なく消化に良いメニューです。鶏ひき肉を使った鶏そぼろも、胃腸に負担を掛けにくいでしょう。

卵やほぐしたカニを使った天津飯も、消化に良い食べ物といえます。いずれのお弁当の場合も、よく噛んで食べることが大切です。

おにぎりを選ぶ場合は、揚げ物や肉、マヨネーズを使ったものは避けましょう。消化の良さで選ぶなら、何も入っていない塩むすびが一番です。

温かいおでんの場合、大根や焼き豆腐は消化に良いですが、油で揚げた具材は避けましょう。

外食

お店に入って食べる場合は、以下のようなメニューが比較的消化がいいでしょう。

  • 1位:ポタージュ
  • 2位:オムレツ、だし巻き卵
  • 3位:温かいうどん

とうもろこしやじゃがいも、かぼちゃ、たまねぎなどさまざまな野菜を裏ごししたり、ミキサーにかけてつくるポタージュは滑らかで、胃腸に負担がかかりにくいため、おすすめのメニューです。

食欲がある場合は、完全栄養食ともいわれる卵を使ったオムレツやだし巻き卵もおすすめ。消化が良く、体調不良時の栄養補給もできます。

つるりとしてさっぱり食べられるうどんを選ぶときは、温かいものを選ぶのがポイントです。コシの強いものよりも、よく煮込んでコシが弱くなったうどんがいいでしょう。具材をプラスする場合は揚げ物を避け、ととろや大根おろしを選びましょう。

消化を良くする食べ方・調理のコツ

消化を良くする食べ方・調理のコツ

食事を工夫することで、消化を良くできます。ここからは、消化を良くする食べ方のコツをご紹介します。

食材を小さく切る

食べ物の消化を良くするためには、なるべく食べ物を柔らかい状態にして消化器官へ運ぶことが大切です。食材を大きくカットすると、その分しっかり良く噛んで口の中で食材を細かくする必要があります。

噛む回数が足りないと、固形部分が残ったまま胃に運ばれることとなり、消化に時間がかかって胃腸を疲れさせてしまうことに。

よく噛むことも大切ですが、それと合わせて食材を小さく切ることを意識すると、火の通りもよくなり、柔らかい状態で食べられます。

「煮る・ゆでる・蒸す」で加熱する

胃腸が弱っているときは揚げる、炒めるといった油を使う調理法は避けて「煮る・ゆでる・蒸す」といった方法で加熱調理をしましょう。

食材によっては生で食べられるものもありますが、胃腸が弱っているときは加熱調理をして食材を柔らかくし、消化が良くするのがおすすめです。目安としては「あまり強く噛まなくても無理なく噛み切れるほどの柔らかさ」くらいに加熱するといいでしょう。

熱過ぎ、冷た過ぎも胃腸の負担につながるため、程よい温度になってから食べましょう。

なるべく油は使わないようにする

揚げ物やラーメン、脂身の多い肉や魚、クロワッサンやケーキ、菓子パンや調理パンなど脂質の多い食べ物は、消化に時間がかかります。

脂質も人間にとって大切な栄養素の一つですが、胃での消化に時間がかかるため、胃腸が弱っているときは、なるべく油は避けるのがおすすめです。

マヨネーズ(乳化されているため比較的消化がよい)やドレッシングには油分がたっぷり含まれていることもあるため、注意が必要です。

薄めの味付けにし、刺激になる食べ物や調味料を避ける

塩分が強過ぎるしょっぱい味付けは胃に負担を掛けてしまうため、薄めの味付けにしましょう。

また、唐辛子や胡椒、カレー粉などの香辛料や、柑橘類や酢など酸味の強いものも胃の粘膜を刺激してしまいます。胃痛につながる可能性もあるため、避けるのがおすすめです。

胃腸の調子が悪いときの注意点

胃腸の調子が悪いときの注意点

ここからは、胃腸の調子が悪いときの注意点をご紹介します。

生の食べ物や硬い食べ物、消化が悪い食べ物を避ける

上記の消化の悪い食べ物の他にも、生の食べ物や硬い食べ物は避けるのがおすすめです。生卵や生野菜、刺身は消化に時間がかかり、胃腸の負担になるため避けましょう。

また、食べ物だけでなく飲み物にも注意が必要です。コーラやサイダーなど刺激になるものや、カフェインやアルコールは胃腸に負担をかけてしまうため、水や白湯など、胃に優しい飲み物を選びましょう。

食習慣・生活習慣に注意する

胃腸の調子は、普段の食習慣や生活習慣が影響しやすい部分です。具体的には、以下のようなポイントに注意しましょう。

  • 食べ過ぎや飲み過ぎ
  • 夜遅い時間や寝る前の食事
  • 運動不足
  • 睡眠不足
  • 過度な飲酒
  • 喫煙
  • 生活習慣の乱れ など

ストレスや更年期も胃腸の不調に影響するため、思い当たる原因に合わせて対策するといいでしょう。

上記のような点に気をつけて過ごしても胃腸の調子が良くない状態が続く場合は、何かの病気が原因で症状が起こっている可能性も考えられます。我慢せずに一度病院を受診して、詳しく診てもらうことが大切です。

消化の良い食べ物で胃腸の負担を軽減しよう

食べ物の中には、消化に良いものと消化に悪いものがあります。胃腸の調子が良くないときや、体調が悪いときは、消化器官に負担を掛けずに栄養を摂取するためにも、消化の良い食べ物を選ぶのがおすすめです。

胃腸の調子は普段の食生活や生活習慣も影響するため、これらの乱れを整えることも不調の解消につながります。胃腸の調子を整えて、おいしく食事を楽しみましょう。

※効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。
※この記事は2023年2月の記事を再編集して掲載しています。

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