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医師監修┃放置厳禁、高血圧!更年期女性は要注意
50代の血圧の正常値・平均値はいくつ?高血圧対策も
医療法人社団EPIC DAY理事長、東京メディカルクリニック平和台駅前院
木島 豪
公開日:2022.12.14
更新日:2023.07.13
「血圧ちょっと高めだけれどまだまだ大丈夫」と放置していませんか。実は、50代・60代の4割が後悔しているのが、家庭での血圧測定! 血圧の正常値や平均値はどのくらい? 50代になると気になってくる血圧について、医師監修のもと詳しく解説します。
監修者プロフィール:木島 豪さん
医療法人社団EPIC DAY理事長、東京メディカルクリニック平和台駅前院院長。体の内側と外側から得られる健康に注力し、内科系疾患の治療から美容皮膚科系の治療までをトータルで手掛ける。医師免許取得以来、自ら様々な栄養素を継続摂取し、効果検証を繰り返して健康を探求している。患者さんが心から明るく毎日を過ごせる為の治療を信念に診察を行っている。日本循環器学会認定循環器専門医、日本内科学会認定内科医。
血圧測定で後悔した人はなんと4割!(50代・60代)
血圧は年齢を重ねるに連れて気になってくる変化の一つですが、その一方で、見過ごされやすい数値でもあります。
オムロン ヘルスケア株式会社が高血圧患者の50代・60代男女1036人を対象に行った血圧管理についての意識調査によれば、血圧が高いと診断されたものの「一時的な症状で時間が経てば戻る」と思い、治療や対策を行わずそのまま放置してしまった人が約3人に1人もいたことがわかっています。
また、「高血圧は発症してしまうと治らない場合もある」ことを知らない人が半数以上を占め、「もっと早くから家庭での血圧測定を始めていればよかった」と回答する人が4割以上いたそうです。
日本には20代から70代までで高血圧の人が約4300万人いると推定されており、これは日本人のおよそ3人に1人は高血圧という計算です。
高血圧は放置すると命にかかわる疾患につながることもあるものの、高血圧自体には痛みなどの自覚症状がほとんどなく、見過ごされるケースが少なくありません。早めに異変に気づくためにも、血圧チェックを習慣づけましょう。
高血圧(高血圧症)の体質は基本的に治らない
高血圧と診断された場合、血圧が高くなる体質は、基本的に治ることはないといわれています。
中には禁煙やダイエットによる肥満解消、減塩、生活習慣の改善などによって薬を使わなくても血圧が下がることもあるものの、多くの人は血圧を下げるための薬が必要です。
ただし、ストレスや生活習慣の乱れ、環境変化、季節変動などの外的要因や内的要因が影響して血圧が変動することもあります。そのため、血圧の数値は日常的に気にかけるようにしましょう。
血圧とは
ここでは、血圧とはどのようなものなのか、確認してみましょう。
血圧とは、心臓から送り出された血液が全身をめぐる際に血管の壁を押す圧力のことです。血圧の正常値を把握するには、「最高血圧」と「最低血圧」を測定する必要があります。
- 最高血圧(収縮期血圧・上の血圧)……心臓が収縮したときの血圧
- 最低血圧(拡張期血圧・下の血圧)……心臓が拡張したときの血圧
なお、血圧と心拍数(脈拍数)はどちらも心臓に関わりますが、別のものです。血圧が高いからといって、心拍数も高いとは限りません。ただし、心拍数が高い状態が続くと健康に悪影響があるため、血圧と同じく、注意が必要な数値です。
血圧の正常値と高血圧の基準
血圧は、測定する環境によって結果が変わることがあるため、病院で血圧を測定する際(診察室血圧)と自宅で血圧を測定する際(家庭血圧)では基準値が分けられています。
同じ条件や時間帯で血圧を図れる自宅の方が、より正確に血圧を測定できると考えられており、高血圧と診断する際や服薬治療の評価指標としては「家庭血圧」が優先されます。
病院の場合、緊張から血圧が上がる傾向にありますが、自宅であればリラックスした状態で測定できることも理由です。
以下で、血圧の正常値と高血圧の基準をチェックしてみましょう。
【血圧の正常値】
- 診察室血圧……【最高血圧120mmHg未満】【最低血圧80mmHg未満】
- 家庭血圧……【最高血圧115mmHg未満】【最低血圧75mmHg未満】
【高血圧の基準】
- 診察室血圧……【最高血圧140mmHg以上】【最低血圧90mmHg以上】
- 家庭血圧……【最高血圧135mmHg以上】【最低血圧85mmHg以上】
家庭血圧の場合は115/75mmHg未満、診察室血圧の場合は120/80mmHg未満であれば正常値とされています。血圧が上がり、家庭血圧で135/85mmHg以上、診察室血圧で140/90mmHg以上になると高血圧と診断されます。
正常値と高血圧の間は「正常高値血圧」や「高値血圧」と呼ばれ、将来的に高血圧になりやすいと考えられているため、対策が必要です。
年齢別の血圧平均値
ここからは、血圧平均値を男女・年齢別にご紹介します。(参照:厚生労働省)
血圧の平均値は年齢によっても変わるため、年を重ねることでどのような変化があるかも、自分の年代の血圧正常値と合わせてチェックしてみましょう。
20代・30代の血圧平均値
【20代】
- 男性:116.6/74.5mmHg
- 女性:108.9/68.4mmHg
【30代】
- 男性:119.4/79.0mmHg
- 女性:110.5/71.3mmHg
若い年代は、まだ血管がしなやかで弾力がある状態です。30代になると20代の頃よりも少し血圧が上昇するものの、大きな変化は見られません。
40代の血圧平均値
- 男性:127.8/83.6mmHg
- 女性:118.1/75.8mmHg
40代になると、20代の頃と比較して最高血圧が10mmHgほど高くなってきます。このくらいの年代になると、高血圧の少し手前の段階である正常高値血圧に突入しやすくなります。
この状態で放置すると高血圧につながることもあるため、生活習慣の改善など予防に取り組むことが大切です。
50代の血圧平均値
- 男性:132.4/86.1mmHg
- 女性:123.6/78.3mmHg
50代になると、高血圧の前段階である高値血圧に突入する男性が増えます。
また、女性は50代を迎えると高血圧のリスクが上昇する傾向にあります。更年期を過ぎると、血管を拡げる作用のある女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が激減することで血管が細くなり、血液を送り出すのに高い圧力を掛けなければいけなくなるためです。
これまでは血圧が正常値だった人や、低血圧だった人もホルモンバランスの乱れの影響により、知らないうちに高血圧になってしまうことがあるため、注意しましょう。
血圧は家庭用の血圧計で簡単に測定できるので、家庭での日々の血圧測定を行い、自分の血圧の状態を把握しておくことが大切です。
60代・70代の血圧平均値
【60代】
- 男性:137.8/85.6mmHg
- 女性:132.5/80.0mmHg
【70代】
- 男性:139.5/81.2mmHg
- 女性:136.3/79.0mmHg
60代になると男女ともに高値血圧の人が増え、70代になるとさらに上昇します。
なぜ?年齢によって血圧が変化する理由
血管は本来、しなやかで弾力があります。しかし、加齢に伴い血管が老化すると、弾力性が失われたり、もろくなったり、血管が狭くなる「動脈硬化」が起こります。
動脈硬化になると血液の流れが悪くなることで血圧が上がるため、収縮期血圧(最高血圧。心臓が収縮して血液を送り出すときの血圧)が高くなります。
また、加齢の他にもさまざまな要因が血圧の変動に影響します。塩分が多過ぎる食事やアルコールの飲み過ぎ、喫煙習慣、運動不足や肥満など、普段の生活習慣が大きく影響しているケースも多いようです。
乱れた生活習慣は血管年齢を高め、血管の老化を進めてしまうため、注意しましょう。
高血圧や低血圧が引き起こす病気・症状
ここからは、高血圧や低血圧が引き起こす代表的な病気や症状をご紹介します。
高血圧が引き起こす代表的な病気
高血圧が引き起こす代表的な症状が、血管の柔軟性を失わせる「動脈硬化」です。そして動脈硬化は、以下のように命にかかわる病気を引き起こす原因になります。
低血圧が引き起こす代表的な症状
低血圧になると、疲労感や立ちくらみ、めまいなどの症状が現れます。これらの症状は健康な人にも見られますが、悪化すると全身の痛みや脳に異常が起こる原因になります。
以下は、低血圧が引き起こす症状です。
- めまい、立ちくらみ
- ふらふらする、浮遊感がある、周囲が回転するような感じ
- 頭痛
- 耳鳴り
- 失神
- けいれん
- 目の奥の痛み
- 動悸、息切れ
- 胸の痛み
- 不整脈
- 頻脈
- 下肢のむくみ
- 呼吸困難感
- 食欲不振
- 胃もたれ、便秘、下痢、腹痛
- 吐き気
- 頭痛
- 肩こり など
この他にも線維筋痛症や四肢末梢痛、舌痛症などを起こすこともあり、低血圧による症状が繰り返し現れる場合は放置せず、早めにかかりつけ医に相談することが大切です。
血圧正常値の維持・高血圧予防ための生活習慣
ここからは、血圧正常値の維持や高血圧予防ための生活習慣をご紹介します。
減塩する
味噌や醤油、干物や漬け物など食塩を多く取る食習慣の日本人は、塩分を取り過ぎているといわれています。食塩に多く含まれるナトリウムは血圧を上昇させる原因になるため、塩分の過剰摂取は避け、減塩を心掛けましょう。
適度な運動を習慣にする
ウォーキングや平らな道でのサイクリング、ゆっくりした水泳などの運動は高血圧の改善・予防に効果的です。
ただし、高血圧の人は運動によって血圧が高くなるリスクもあるため、急激な不可のかかる運動は避ける必要があります。安全に運動を行うためにも、かかりつけ医の指導を受けましょう。
太り過ぎに注意する
体重が増えると心臓に負荷が常にかかっている状態であるうえに、脂肪が多くなることによって自律神経やホルモンバランスが乱れ、交感神経が優位になることで血圧上昇につながるといわれています。肥満につながらないよう、脂質の摂取量を抑えることも大切です。
タバコを控える
タバコは吸うとすぐに血圧が急上昇し、その後も血圧が高い状態が続きます。血圧が高いといわれた人はタバコを止める、控える、量を減らすなどの工夫が必要です。
高血圧や低血圧は病院に行くべき?
高血圧とわかった場合は放置せず、病院で相談しましょう。総合内科や循環器内科、腎臓内科がおすすめです。
低血圧は体に影響が出ないケースも多く、たまたま一度低血圧と診断されただけであれば様子見でもいいこともあります。ただし、めまいや立ちくらみなどの症状が見られた場合は、早めに病院で見てもらうといいでしょう。
放置NG!早めの対策で正常値維持・高血圧予防を
高血圧は痛みなどの症状はないものの、心筋梗塞や脳卒中など命にかかわる病気のリスクになります。
日本人は遺伝的に塩分を取り過ぎると高血圧になりやすいといわれているため、普段の食生活や生活習慣の見直しをしっかり行い、高血圧を予防しましょう。
更年期の影響もあり、50代女性は高血圧になりやすい傾向にありますが「更年期のせいだから」と放置せず、高血圧とわかったら早めにかかりつけ医に相談しましょう。
※この記事は2022年12月の記事を再編集をして掲載しています。
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