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医師監修│ズキズキ、押すと痛い…病院に行くべき?
こめかみが痛い!考えられる病気や原因と対処法
くどうちあき脳神経外科クリニック 院長
工藤千秋
公開日:2023.02.27
こめかみが痛いときにはどんな原因や病気が考えられる?医師監修のもと、詳しく解説!こめかみの痛みなど頭痛を引き起こす原因はさまざまなものが考えられます。中には緊急性の高い症状もあるため、放置せず気になる痛みは早めに病院を受診しましょう。
監修者プロフィール:工藤千秋さん
くどう・ちあき 1958(昭和33)年、長野県生まれ。脳神経外科医。くどうちあき脳神経外科クリニック院長。
こめかみの痛みの症状
こめかみの痛みの症状は、以下のようにさまざまです。
- こめかみがズキズキ痛い
- こめかみに違和感がある
- こめかみにピリピリした痛みがある
- 鼻風邪かと思ったらこめかみが痛む
- こめかみが急にズキズキ痛むことがある
- こめかみや目の奥の周辺に激痛がある
- こめかみの右側だけ、左側だけなど片側だけ痛む
しばらくすれば自然と治まる頭痛の場合もありますが、中には緊急性の高い病気が原因で症状が起こっている可能性もあるため「ただの頭痛」と考えず、適切な対処を取ることが大切です。
こめかみが痛いときに考えられる原因
ここからは、こめかみが痛いときに考えられる原因をご紹介します。
発熱によるもの
風邪やインフルエンザなど熱が出る原因はさまざまですが、発熱によってこめかみが痛むことがあります。
風邪やインフルエンザが原因の場合、頭痛の他にも喉の痛み・咳・鼻詰まり・鼻水・関節痛・筋肉痛・寒気といった症状もみられます。
歯痛・顎関節症
虫歯や歯茎(歯肉)の痛みを、こめかみの痛みとして感じるケースも。
中でも、奥歯が痛むときはこめかみの痛みとして感じやすいようです。上下左右どの歯でも起こる可能性があり、痛みが続く場合は早めに治療した方がいいケースもあります。
顎関節症も、こめかみの痛みとして考えられる原因の一つです。
耳の前の顎関節がある部分が痛むことが多いですが、人によってはこめかみや頭の横に痛みが出て、それを頭痛のように感じる人もいます。指でこめかみを押すと痛いこともあるようです。
顎関節症の場合、何もしていないときは痛みが出ることは少なく、食事など口を開くときに痛みが起こることがほとんどです。こめかみが痛むタイプは「咀嚼筋痛障害(顎関節症)」の可能性があるでしょう。
急性緑内障発作などの眼科疾患
緑内障とは、眼の奥にある視神経に異常が起こり、部分的に見えなくなったり視野が狭くなったりする病気です。
なんらかの原因によって眼圧が上昇することが原因で、多くの場合ゆっくり進行していきますが、急激な眼圧の上昇によって頭痛や目の痛みが起こるケースがあります。
急性緑内障発作が起こると、こめかみや目の周囲に痛みが生じます。痛みの他にも、霧がかかったように見える霧視や光の周りに虹色の輪っかが見える虹輪視、発汗、吐き気、嘔吐が見られることもあります。
帯状疱疹
帯状疱疹とは、水痘・水疱瘡の原因となる水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で起こる病気です。過去に水疱瘡にかかったことがある人の体内にはこのウイルスが潜伏し続けており、何かのきっかけで再び活動を始めると帯状疱疹が起こります。
体のあらゆる場所に現れ、こめかみに現れた場合は最初は違和感やピリピリした痛みから始まり、赤い発疹や水ぶくれが生じます。激痛となることもあり、発熱、味覚障害、顔面麻痺、角膜炎、ブドウ膜炎などの症状が現れるケースもあります。
三叉神経痛
顔の感覚を脳に伝える三叉神経に痛みが起こる三叉神経痛でも、こめかみに痛みが起こることがあります。顔の右か左のどちらか一方に生じ、何かが触れたり風に当たったりすると、鋭い電気が走るような激痛が発作的に起こります。
10万人に4〜5人の割合で起こり、女性や高齢者に多く、右側が痛むケースが多いといわれています。
副鼻腔炎・歯性上顎洞炎
副鼻腔炎とは、副鼻腔を覆う粘膜がなんらかの原因によって炎症を起こした病気です。
人の顔には「上顎洞(じょうがくどう)」「篩骨洞(しこつどう)」「前頭洞(ぜんとうどう)」「蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)」という4つの副鼻腔があり、いずれも炎症が起こることがありますが、最も炎症を起こしやすいのが上顎洞です。
頭を下にすると痛みが起こりやすく、「下を向くと頭が痛い、こめかみが痛い」という場合は副鼻腔炎が原因の可能性が考えられます。
歯性上顎洞炎とは、虫歯や歯周病を放置したことによって引き起こされる副鼻腔炎のことで、上の歯を叩くと痛みが起こります。
慢性硬膜下血腫
慢性硬膜下血腫とは、頭をぶつけてから1か月〜2か月ほど経過してから、硬膜と脳の間に血液がたまる病気です。高齢者や、よくお酒を飲む人に多いといわれています。
慢性硬膜下血腫では多くの場合、頭をぶつけた数週間後くらいから、頭痛や吐き気、嘔吐、体の片側の軽いしびれや麻痺などの症状が少しずつ現れてきます。物忘れや意欲低下、失語症などが現れるケースもあるようです。
巨細胞性動脈炎
巨細胞性動脈炎は、こめかみ周辺〜首にかけての動脈に炎症が生じる病気です。
こめかみの痛みの他、食欲低下、全身のだるさ、体重減少、発熱、視力障害などが起こります。通常は50歳以上の人に起こることが多いです。
脳腫瘍・脳出血・くも膜下出血・脳炎・髄膜炎など
脳腫瘍・脳出血・くも膜下出血・脳炎・髄膜炎などでも、こめかみに痛みが起こります。
頭痛だけでなく、吐き気や嘔吐、麻痺やしびれ、意識障害、歩行障害、言語障害、血圧上昇、ふらつき、発熱などの症状が見られることがあり、これらの症状が見られた場合は直ちに病院を受診する必要があります。
繰り返すこめかみの痛みで考えられる原因
ここからは、繰り返すこめかみの痛みで考えられる原因をご紹介します。
片頭痛
片頭痛は、片側から両側のこめかみのあたりが脈に合わせてズキンズキンと痛むことが特徴です。女性は男性の3.6倍、片頭痛になりやすいといわれています。
右のこめかみだけ痛い、左のこめかみだけ痛いなど片方のこめかみだけズキズキ痛む場合もあれば、両側が痛むこともあるようです。吐き気や下痢、嘔吐、光・音・においに敏感になるなどの症状が見られることもあり、体を動かすと痛みが悪化します。
片頭痛の原因ははっきりとはわかっていないものの、脳の中の血管が何らかの原因で拡張し、それが引き金になって血管周囲の神経を刺激することが原因ではないかと考えられています。
月に1回程度繰り返し症状が起こり、片頭痛が起こる前にあくびが出る、きらきらした光が出て視界がぼやける(閃輝暗点)などの前触れが起こることもあります。
痛みが出てから痛み止めを飲んでも効果がありますが、病院では予防薬を処方してもらうことも可能なため、片頭痛がつらい場合は病院を受診してみましょう。
緊張型頭痛(筋緊張性頭痛)
緊張型頭痛(筋緊張性頭痛)は、首や肩などの筋肉の緊張によって引き起こされる頭痛で、締め付けられるような痛み、圧迫されるような痛み、重たい痛みがだらだら起こるのが特徴です。
後頭部に起こることが多いですが、両側の側頭部を中心に痛みが起こることもあります。頭痛の他にも眼精疲労や肩こり、倦怠感、めまいが見られることもあります。
緊張型頭痛は心や体の緊張が原因となって起こるため、薬で治すというよりはストレッチやストレスをためないなどで対処するのが基本です。
群発頭痛
群発頭痛は激痛を伴う頭痛で、20~30代の男性に多くみられます。
片側の目の奥や目の上、こめかみのあたりに激痛が起こり「ハンマーで殴られたような痛み」「目に槍を突き刺してかき回すような痛み」と表現されるなど、じっとしていられないほど強烈に痛むことが特徴です。
群発頭痛の場合、数日〜2、3か月に集中して症状が同じ時間帯に起こる群発期を半年~数年おきに繰り返すといわれています。
マスク頭痛
新型コロナウイルスの感染拡大を予防するため、近年では毎日マスクを着用することが一般的になりました。そんな中で、マスクの影響による「マスク頭痛」に悩まされる人が増えているといいます。
マスク着用で起こると考えられるのは片頭痛、緊張型頭痛、熱中症による頭痛の3つです。
- 片頭痛
マスクで二酸化炭素過多状態になり、血管が拡張して頭痛が起こりやすくなる - 緊張型頭痛
マスクのゴムひもを両耳にかけ続けることで筋肉に負担がかかり、首のこりにつながって頭痛を引き起こす - 熱中症による頭痛
マスク着用で体の負担が増えると熱中症リスクが増加する。Ⅱ度(中等度)以上の熱中症になると、ズキズキと脈打つような頭痛が起こる
日常生活でのこめかみの痛みの原因・対処法
こめかみの痛みの原因が、日常生活の中にある可能性も考えられます。
- ストレスの影響
- ホルモンバランスの変化
- 眼精疲労や肩こり
- 睡眠不足
ストレスを発散する、質の高い睡眠を取る、眼精疲労や肩こりの対策を行うなど、考えられる原因に合わせて対策を取りましょう。
また、更年期になるとホルモンバランスの変化により、頭痛やホットフラッシュなどさまざまな不調がみられることがあります。更年期の症状がつらい場合は、婦人科や更年期外来を受診するといいでしょう。
一過性の頭痛の場合は市販薬も有効
抜歯後や発熱に伴うものなど、病気が原因ではない一過性の頭痛の場合は、ドラッグストアなどで販売されている市販の頭痛薬も有効です。
- イブクイック頭痛薬
- イブA
- タイレノールA
- ロキソニンS
- ノーシンアイ頭痛薬
ただし、これらは一時的に痛みを和らげることはできても、根本的に頭痛を治療することはできません。痛みが続く場合は、我慢せず早めに病院を受診することが大切です。
こめかみの痛みの受診の目安
こめかみの痛みだけでなく、他にも症状があればすぐに病院を受診しましょう。
中でも、麻痺や意識障害がある場合は緊急性が高く、直ちに病院を受診する必要があります。
突然発症した頭痛、発熱を伴う頭痛、我慢できないほどの激痛がある場合も、何らかの重大な病気の一つとして症状が出ていることがあるため、病院を受診しましょう。
また、痛みの他にも、「こめかみがムズムズする」などの症状がある場合は、脳神経や神経外科を受診して詳しい検査をした方がいいケースもあります。気になる症状がある場合は躊躇わず、早めに病院に行きましょう。
気になるこめかみの痛みは放置せず、病院へ!
こめかみの痛みの原因には、さまざまなものがあります。風邪やインフルエンザに伴う頭痛であれば症状が治まるとともに改善していくと考えられますが、他の病気が原因となっている可能性もゼロではありません。
こめかみの痛みの他にも症状がある場合や、痛みが激しい場合は何か病気が隠れている可能性もあるため、早めに病院を受診しましょう。
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