眠れないときのNG行動!寝不足を乗り切るコツも

眠れないまま朝になった…原因は?対処法と注意点

白濱龍太郎さん
監修者
RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック 院長
白濱龍太郎

公開日:2023.04.11

更新日:2024.03.15

大事なイベントの前夜、緊張と不安から一睡もできなかった……。眠れないまま朝になってしまったピンチのときに、寝不足を乗り切る方法を8つ解説します。また、寝付きをよくするためのセルフケアや対策をして、快眠体質に改善していきましょう。

眠れないまま朝になっちゃった…乗り切る方法

眠れないまま朝になったらどうする?乗り切る方法

「一睡もできなかった」「眠れないまま朝になった」「少しは眠れたがかなり睡眠不足」というときは、どうしてもつらいもの。仕事や家事を休めるならいいけれど、なかなか休むのが難しいのが現実です。

仕事や家事ややらなければいけないこと、行かなければいけない場所など、どうしても外せない用事があるときは、工夫をして少しでもコンディションを整えましょう。

ここからは、眠れないまま朝を迎えてしまったときに、1日を乗り越えるためのコツをご紹介します。

日光を浴びる

朝はカーテンを開けて、日光を浴びましょう。太陽の光を浴びると、光の情報が目の網膜から脳の視交叉上核に届き、自然に目が覚めてきます。

日光には体内時計をリセットする効果もあり、夜の寝付きを良くするためにも太陽の光を浴びることが大切です。

朝ご飯を食べる

寝不足の日はしっかり栄養を摂取して、活動のためのエネルギーを摂取するといいでしょう。食生活の乱れを感じている人は、体の中からケアをすることも大切です。

また、食事から睡眠の質の改善・向上を図れます。睡眠の質を向上させる栄養素としてはトリプトファン、グリシン、GABA、マグネシウムなどがあります。

  • トリプトファン
    青魚や乳製品などに含まれる必須アミノ酸の一種で、体内では作ることができないため食べ物から摂取する必要がある。睡眠の質向上のカギを握るセラトニンやメラトニンのもととなる、重要な栄養素
  • グリシン
    肉類や魚介類に含まれるアミノ酸の一種。身体の末端部分の血流を増やして深部体温(内臓部分の熱量)を下げる働きがある。深部体温を下げることは、睡眠の質の向上につながる
  • GABA
    発芽玄米などに含まれる栄養素で、アミノ酸の一種。神経の興奮を静めたり、抗ストレス効果がある睡眠に重要な栄養素。多くの睡眠薬にGABAの作用を強める成分が配合されている
  • マグネシウム
    300種類以上もの酵素を活性化させ、体温や血圧の調整、神経情報の伝達、筋肉の収縮などに役立つ必須ミネラルの一つ。マグネシウムはメラトニンの他、睡眠に関係するレニンと呼ばれるホルモンの働きに関わっている。マグネシウムが不足すると睡眠障害の原因になる

カフェインを含む飲み物を飲む

コーヒーや緑茶、紅茶など、カフェインの入った飲み物を飲むのもおすすめです。カフェインには覚醒作用があるため、眠気を抑えることにつながります。

カフェインの覚醒効果が現れるまでには15〜30分ほどかかり、持続期間には個人差があるものの、2時間半〜4時間ほどだといわれています。

ただし、効果が切れたからといってカフェイン飲料を飲み過ぎるのはNG。取り過ぎは不眠、胃腸の不調、カフェイン中毒やカフェイン依存症、精神的な不安定につながることもあるため、飲み過ぎには注意しましょう。

軽い運動をする

朝、ストレッチやウォーキングなどの軽い運動をすると、覚醒度が高まります。運動とはいっても激しい運動をする必要はなく、散歩やウォーキング程度の軽い運動でOK。屋外で運動をすれば、自然に太陽の光を浴びることになるのでおすすめです。

精神的に疲れている場合でも、体が疲れていないとなかなか眠れないことがあります。普段体を動かすことが少なく、運動不足になりがちな人は、運動を意識的に取り入れることで快眠につなげられるかもしれません。

運動によるストレス解消、リフレッシュ効果も期待できます。朝のお風呂も体内時計の調整に有効です。

昼に仮眠を取る

一睡もできず徹夜の状態になると、日中に強烈な眠気に襲われることがあります。そんなときは、短時間の仮眠を取るのがおすすめです。

適度な昼寝には、脳の疲労回復の他、気分の改善、リラックス効果、集中力の向上、仕事の効率アップなどの効果が期待できます。頭がスッキリすることで気分がよくなる可能性もあるため、昼休憩などの時間帯に、20分ほどの仮眠を取るといいでしょう。

なお、長く寝過ぎると仮眠からの目覚めが悪くなったり、夜寝付きが悪くなったりしてしまう可能性があるため、必ず20分ほどに留めるのがポイントです。

暗く静かな仮眠室などの環境がおすすめですが、難しければアイマスクなどを使うといいでしょう。

なお、仮眠は遅くても15時までに取ることが大切です。15時以降の時間帯の仮眠は、体内時計の乱れにつながります。

脳を刺激する

「暇で眠くなった」という経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。脳への刺激が少なくなると、リラックス状態になり眠くなります。

脳を覚醒させるためには、刺激を与えるのがおすすめ。そのための簡単な方法が「人との会話」です。人との会話に集中すると、脳への刺激になり眠気の解消につながります。

1日にやる仕事の量を減らす

寝不足になると、集中力や思考力が低下してしまいます。仕事に支障が出てしまうかもしれないため、可能であれば仕事の量を減らしましょう。

仕事の量を減らすのが難しい場合は、午前中のうちに複雑な仕事を片付け、午後は単純な作業を行うように調整するといいでしょう。

体調が悪いときは仕事や家事を休む

どうしてもつらいときや体調が悪いときは、仕事や家事を休むのも選択肢の一つです。

睡眠は、人間にとって必要不可欠。睡眠時間が短いときや、一睡も眠れないと心身に不調が起こりやすくなります。

めまいや頭痛、吐き気などの症状がある場合や、起き上がれないほどの強い倦怠感がある場合は無理をせず休むことが大切です。場合によっては、病院の受診を検討した方がいいでしょう。

眠れないときの注意点・ポイント

眠れないときの注意点・ポイント

なかなか寝付けないときは「どうしよう」と気持ちばかり焦ってしまうもの。ここからは、眠れないときの過ごし方の注意点やポイントについてご紹介します。

寝付けないときは思い切ってベッドから出る

眠れないとき、なんとかして眠りにつこうと、イライラや不安な気持ちを抱えながら布団に入っているのは、よくありません。

どうしても寝付けないときは、思い切ってベッドから出てみましょう。

眠れないまま、緊張感のある状態で布団の中で過ごすと、脳に「布団=イライラ、不安な気持ちになる不快な場所」と認識させてしまうことになります。そうなると、さらに不眠が悪化してしまう可能性が。

また、眠れないときは不安になって「今日も眠れないかもしれない」「眠れなかったら明日の仕事や家事の予定に支障が出るかもしれない」とあれこれ考え込んだり、余計な悩みなどを思い出してしまいがちです。

「布団=リラックスして眠る場所」と脳に覚えさせるためにも、15〜20分くらい布団の中にいても寝付けない場合は一旦布団から出て、リラックスして過ごしましょう。

仕事や家事などはせずリラックスする

「どうせ眠れないから……」と残っている仕事や家事をするのも避けましょう。仕事や家事を始めると体が興奮してしまい、余計に寝付けなくなってしまいます。

音楽を聴いたり、ストレッチをしたり、本を読んだり、カフェインの入っていない温かい飲み物を飲んだりして、リラックスして過ごすことが大切です。

また、スマホやパソコンを操作するのも避けた方がいいでしょう。スマホやパソコンの画面から発されるブルーライトは、体内時計に作用してメラトニンの分泌が抑制され、眠りにくくなってしまうと考えられています。

早めに布団に入り過ぎない

寝不足だからといって早過ぎる時間に布団に入ると、結果的に寝付けない時間が長くなってしまう可能性があります。

寝付ける時間は、日中の活動量や季節など個人差があるため「眠たくなったら布団に入る」のがおすすめです。

なかなか寝付けない日が続くと、「眠れないことが心配になる」→「眠くないのに無理に寝ようとして、かえって眠れなくなる」という悪循環に陥ってしまうことも。

寝る前の時間帯は音楽を聴いたり、アロマを取り入れたり、リラックスして過ごし、眠くなったら布団に入るようにするといいでしょう。

「眠れないまま朝」にしないためのセルフケア・対処法

「眠れないまま朝」にしないためのセルフケア・対処法

ここからは、「眠れないまま朝」にしないためのセルフケア・対処法をご紹介します。

起きる時間は遅らせず、毎朝決まった時間に起きる

眠れないからといって、その分、昼過ぎまで寝てしまうのはNGです。

「夜の眠りの質は朝に決まる」といわれているため、寝る時間が遅くなったとしても起きる時間は遅らせず、毎朝決まった時間に起きるようにしましょう。

人間の脳は、起きる時間が遅れると眠くなる時間も遅れる仕組みになっています。起きる時間を遅くすると、また夜眠れないという状況に陥ってしまうことに。

朝は毎日同じ時間に起き、太陽の光を浴びることで体内時計をリセットさせることが大切です。どうしても眠れないときは、眠くなってから寝て、同じ時間に起きる「遅寝早起き」にするといいでしょう。

寝る前の行動を決めておく

自分なりに寝る前の行動を決めておくと、スムーズに眠りやすくなります。

眠りにつくまでの3時間は「睡眠のゴールデンタイム」と呼ばれており、この時間に体をリラックスさせる副交感神経を働かせておくことで、寝付きがよくなります。

  • 腹式呼吸をする
  • ツボを刺激する
  • ストレッチで体の緊張をほぐす
  • アロマでリラックスする
  • リラックスできる音楽を聴く
  • 好きな本を読む など

上記のようなリラックスできることを、寝る前に行う「入眠儀式」として決めておくのもおすすめです。

伸縮性のあるパジャマや下着にする

Tシャツやスウェットなどの部屋着で寝ている人は、伸縮性のある生地を使った、体を締め付けないパジャマに変えてみるのもおすすめ。

パジャマは通気性に優れ、睡眠中の汗を吸収してくれる素材のものも多いです。肌触りがいいものを選べば、リラックスして寝付きやすくなることにつながるでしょう。

眠れないなど睡眠障害で病院に行く目安は?

眠れないなど睡眠障害で病院に行く目安は?

たまたま1日眠れないくらいであれば、問題はないことがほとんどでしょう。

しかし、「眠れないまま朝になってしまった」「眠りが浅い」「夜なかなか寝付けない」などの症状が続く場合は、不眠症などの病気が隠れている可能性も考えられます。

  • 睡眠に関する症状が1週間に3回以上起こり、それが1か月以上続いている
  • 気分の落ち込みや憂鬱、不安な気持ちが続く
  • 強い疲労感や倦怠感を感じる
  • 仕事を休みがちになった
  • 生活に支障が出ている など

上記のような症状が見られる場合は、早めに病院を受診しましょう。

実際には睡眠に関するトラブルがあっても、治療をせず放置したまま生活している人も少なくないようです。しかし、睡眠障害は場合によっては大きなミスや事故につながることもあります。また、一睡もできない日が続くと精神的にも肉体的にもダメージを与えてしまいます。

眠れないことや、眠りの浅さが原因で仕事や日常生活に支障が出ている場合は、睡眠障害や他の病気が原因になっている可能性が考えられます。

中には、うつ病といった精神的な問題が原因で睡眠障害につながっていることもあり、このようなケースは根本的な病気の治療を行わなければ、眠れないなどの症状も思うように改善されません。

放置せず、悪化してしまう前にメンタルクリニックや心療内科、精神科を受診して、適切な治療を受けることが大切です。

「眠れない」が続く場合は早めに病院を受診することが大切

睡眠は人間にとって欠かせないものであり、寝不足になるとさまざまな支障が生じます。

たまたま1日眠れないくらいでは問題のないケースが多いですが、眠れないことが続く場合は睡眠障害や他の病気が原因になっている可能性も考えられるため、注意が必要です。眠れない日が続く場合は、早めに病院を受診しましょう。

取材先・監修者プロフィール:白濱龍太郎さん

RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック 院長 白濱龍太郎さん

しらはま・りゅうたろう RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック 院長。2002年、筑波大学医学群医学類卒業。東京医科歯科大学大学院統合呼吸器病学修了。東京共済病院、東京医科歯科大学附属病院を経て、13年にクリニックを開設。日本睡眠学会専門医。『誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』(アスコム刊)をはじめ著書多数。

※この記事は2023年4月の記事を再編集して掲載しています。
※効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。

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